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2013年01月21日

2013年読書目録

1.「新しい人間観と生命科学」渡辺格、講談社学術文庫、1月4日  **  (13)
 : 「生命科学」とは何かから始まり、科学の役割・人間の存在意義にまで及ぶ。人間社会の向かう方向として「恥多き生存」と「尊厳な終焉」・「人間にふさわしい生存」を挙げ、後者を推奨する
2.「世界宗教史」Ⅰ~Ⅳ、ミルチア・エリアーデ、筑摩、1月4日  **  (25)
 : エリアーデが長年にわたり構想してきた「一息に通読すれば、もろもろの宗教現象の基本的統一性と、同時にそれらの表現の汲みつくしえない新しさが明らかになるような著書」
3.「素女経」葉徳輝編、公論社、1月4日  *
 : 中国の隋・唐時代の養生術・房中術の本
4.「玉房秘決」葉徳輝編、公論社、1月5日  *
5.「洞玄子」葉徳輝編、公論社、1月5日  *  (1)

6.「ディスクールの政治学」山本哲士、1月5日  *  (12)
7.「日本古典文学全集 謡曲集」1・2、小学館、小山弘志ほか校注訳、1月5日 *  (4)
 : 「高砂」「養老」「賀茂」「竹生島」「田村」「八島」「実盛」「清経」「東北」「采女」「江口」「井筒」「野宮」「芭蕉」「定家」「二人静」「半蔀」「雲林院」「三輪」「百万」「花笥」「班女」「富士太鼓」「卒塔婆小町」「蟻通」「弱法師」「自然居士」「邯鄲」「錦木」「景清」「盛久」「國栖」「檀風」「熊坂」「昭君」「鵺」「紅葉狩」「舟弁慶」
8.「日本古典文学大系 謡曲集」上・下、岩波、1月5日  *  (4)
 : 「金札」「道盛」「浮舟」「阿古屋松」「歌占」「烏帽子折」「玉井」「輪蔵」「河水」「生田敦盛」「笠卒塔婆」「白楽天」「経政」「巴」「天鼓」「松虫」「鉄輪」「國栖」「土蜘」草子洗」「望月」「放下僧」「鉢木」
9.「田辺聖子の古典まんだら」下、新潮社、1月6日  **
 : 「古典の面白さを一読して分からせる田辺マジック」。平家物語・方丈記・宇治拾遺物語・百人一首・とわずかたり・徒然草などの読みどころを分かりやすく解説
10.「ホビットの冒険」J・R・R・トルーキン、岩波、1月7日  **
 : 碩学トルーキンの描くファンタジーの極み。「指輪物語」の原典
11.「はてしない物語」M・エンデ、岩波、1月7日  **
 : 物語の呼びかけに応え本の中に入り込んだ少年の冒険の物語。「モモ」につづくエンデの名作
12.「サーカス物語」M・エンデ、岩波、1月7日  *
13.「読書の技法」佐藤優、東洋経済、1月7日
 : サブタイトル誰でも本物の知識が身につく、熟読術・速読術「超」入門」。
14.「「処方箋」的読書術」奥野宣之、角川、1月7日
 : サブタイトル「心を強くする読み方、選び方、読み方」
15.「はかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します」河出、*
 : 30人の著者が自分の読書・人生体験を踏まえ14歳の少年少女に贈るエッセイ集
16.「アマゾンの空飛ぶ日本語教師」中瀬洋子、無明舎、1月8日
 : 2年間のぺレン(アマゾン)での日本語教師としての滞在経験を綴ったもの
17.「人間の檻」藤沢周平、講談社文庫、1月9日  **
 : 獄医立花登手控え4
18.「ジム・ボタンの機関車大旅行」M・エンデ、岩波、1月9日  *
 : エンデの処女作「ジム・ボタンの冒険」1
19.「ジム・ボタンと13人の海賊」M・エンデ、岩波、1月9日  *
 : 「ジム・ボタンの冒険」2
20.「スティーブ・ジョブス 驚異のプレゼン」カーマイン・ガロ、1月10日  *  (21)
 : サブタイトル「人々をひきつける18の法則」
21.「スティーブ・ジョブス 驚異のイノベーション」カーマイン・ガロ、1月10日  *  (12)
 : サブタイトル「人生・仕事・世界を変える7つの法則」
22.「父として考える」宮台真司・東浩紀、NHK,1月10日  **
 : 子育て・教育・民主主義について語る
23.「新潮日本古典集成 謡曲集」上・中・下、伊東正義校注、新潮、1月11日  *
 : 「阿漕」「朝顔」「安達原」「右近」「鵜羽」「梅枝」「鸚鵡小町」「小塩」「姥捨」「女郎花」「春日龍神」「兼平」「清経」「呉服」「源氏供養」「項羽」「皇帝」「桜川」「志賀」「誓願寺」「殺生石」「千手重衡」「大会」「当麻」「龍田」「田村」「東岸居士」「道明寺」「難波」「氷室」「放生川」「仏原」「夕顔」「楊貴妃」「籠太鼓」
24.「料理歳時記」辰巳浜子、中公文庫、1月11日  *
 : 昭和40年代前半までの季節感のはっきりした時代の季節の料理を紹介
25.「アイヌ、風の肖像」宇井眞紀子写真・文、神泉社、1月11日  *
 : 20年間にわたって二風谷に通ってアイヌ女性アシリレラさんを中心とする共同生活に迫る
26.「コミュニティのちから」金子郁容はか、慶大、1月12日
 : サブタイトル「”遠慮がちな”ソーシャル・キャピタルの発見」
27.「ブラック・ジャック」1~17、手塚治虫、秋田文庫、1月14日  **
28.「まちの幸福論」山崎亮、NHK,1月15日  *
 : サブタイトル「コミュニティ・デザインから考える」
29.「法と経済で読みとく 雇用の世界」大内伸哉・川口大司、有斐閣、1月16日  **
 : 「法律」と「経済」の枠を取っ払い「雇用」問題にアプローチする意欲作
30.「複雑な世界、単純な法則」マーク・ブキャナン、草思社、1月16日  *  (7)
 : 人間社会だけでなく自然界も人口の世界も同じようなスモール・ワールド・ネットワーク構造で構成されている
31.「問題があります」佐野洋子、筑摩、1月16日
 : 2000~8年にかかれたエッセイの単行本化
32.「荒野へ」ジョン・クラカワー、集英社、1月16日
 : アラスカの荒野へ単身分け入り、4か月後に死体となって発見されたひとりの若者の生い立ち・旅に出た経緯・荒野での軌跡を徹底調査
33.「風に訊け」2、開高健、集英社、1月18日  **
 : 「週刊プレイボーイ」誌掲載の人気「人生相談コラム」の単行本化
34.「移民の運命」E・トッド、藤原書店、1月18日  **  (18)
 : サブタイトル「同化か隔離か」。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、の移民の分析。「普遍主義」は「同化」につながり、「差異」は「隔離」につながると説く
35.「人間臨終図鑑」上・下、山田風太郎、徳間書店、1月19日  *
 : サブタイトル「この人々はあなたの年齢でこんな風に死んだ」。15~100歳すぎまで、死亡年齢ごとに歴史上の人物の生涯と死に方を述べる
36.「デモクラシー以後」E・トッド、藤原書店、1月19日  **  (11)
 : サブタイトル「協調的保護主義の提唱」
37.「太公望」幸田露伴、新潮文庫、1月19日  *
 : 司馬遷の「史記」の「太公望」の記述は、伝わる諸説を載せているだけで、突っ込み不足だと指摘
38.「三屋清左衛門残日録」藤沢周平、文春、1月19日  **
39.「人間のゆくえ」渡辺格・野間宏、洋泉社、1月20日
 : 対談集
40.「春秋の檻」藤沢周平、文春、1月20日  *
 : 獄医立花登シリーズ第一巻
41.「風雪の檻」  ”   、 ”  、1月20日  *
 :   ”      ”   第二巻
42.「愛憎の檻」  ”   、 ”  、  ”     *
 :  ”       ”   第三巻
43.「風に訊け」1、開高健、集英社、1月22日
44.「自分を鍛える」ジョン・トッド、三笠書房、1月22日  (4)
 : サブタイトル「人生の実学を学ぶ」
45.「異なる悲劇 日本とドイツ」西尾幹二、文春、1月23日  **  (13)
 : 日本の戦争と戦後の歴史をドイツを鍵として論じたのが本書。太平洋戦争が起きたのはアメリカの側にも戦意があったからだと指摘
46.「優雅なる衰退の世紀」佐伯啓思・中西輝政ほか、文春、1月23日  *  (12)
 : 「戦後の経済を支えてきたもの」「国家衰退からの脱出」「グローバリズムという虚構」「「教養」の崩壊と日本の危機」
47.「火の鳥」1~13、手塚治虫、角川文庫、1月23日  ***
48.「黎明の世紀」深田裕介、文春、1月25日  **  (9)
 : サブタイトル「大東亜会議とその主役たち」
49.「脱ゴーマニズム宣言」上杉聡、東方出版、1月25日  *
 : サブタイトル「小林よしのりの「慰安婦」問題」
50.「望幻鏡」須永朝彦、西澤書店、1月25日  *
 : 幻想文学・怪奇小説・探偵小説・SFなどに触れた1971~80年に書かれた文章をまとめた本
51.「ゴーレム」グスタフ・マイリンク、河出、1月26日  **
 : ホフマンやポオの流れを汲む恐怖と戦慄の幻想文学者マイリンクの代表作
52.「フィシャー家の崩壊」ポオ、創元推理文庫、1月26日  *
53.「特別料理」スタンレイ・エリン、早川書房、1月26日  **
54.「専用列車」  ”     ”  、   ”  、   ”     *
55.「決断の時」  ”     ”  、   ”   、  ”     *
56.「経済幻想」E・トッド、藤原書店、1月27日  **  (20)
 : 現代世界は慢性的な最終需要不足に直面している。その理由は、1)自由貿易の拡大、2)先進国での人口減少にある。その対応策としてグローバリゼーションにより破壊された国家維持型共同体を再構築し、保護主義へと舵を切ること
57.「魔性の恋人」シャーリイ・ジャクスン、早川書房、1月27日  *
58.「くじ」       ”       ”   、   ”   、  ”     *
59.「恨みの人類学」崔吉城、平河出版、1月27日
60.「風来酔夢談」山田風太郎、富士見書房、1月27日
 : 11人の作家との対談集
61.「人間万事嘘ばっかり」 ” 、筑摩、1月28日
 : 「山田風太郎<未刊行エッセイ集>」シリーズ最終巻(全5巻)
62.「甲賀忍法帖」  ”     、講談社、  ”             *
63.「尾崎翠全集」創樹社、1月28日                   *
64.「古事記」梅原猛、学研文庫、1月29日              ***
 : 著者による現代語訳+「古事記に学ぶ」=梅原日本学。この現代語訳により「古事記」の世界が現在に生き生きと蘇える。「古事記に学ぶ」は、従来の硬直した「古事記」観を打ち破り、新しい「古事記」観を打ちだし説得力に富む
65.「無限の相のもとに」埴谷雄高・立花隆、平凡社、1月30日   *
 : 対談集
66.「オレンジ計画」エドワード・ミラー、新潮社,      ”       **  (5)
 : サブタイトル「アメリカの対日進講50年戦略」。アメリカは日露戦争直後に日本を仮想敵国に設定、対日戦の戦略を海軍・陸軍大学で作成し、状況変化を反映しながら戦略を継続的に検討してきた。そして太平洋戦争は基本的にはこの「オレンジ計画」どうりに遂行された
67.「シンクロニシティ」E・D・ピート、朝日、1月30日          **  (6)
 : 「宇宙全体の無限の可能性と潜在力に対する、より敏感な感受性と感知をめざす」世界への窓を開くものが「シンクロニシティ」だという
68.「はじめちょろちょろなかぱっぱ」高柳蕗子、集英社、1月30日  *
 : 和歌の霊験の源は、1)言霊の力、2)神様の心を動かし力を貸してくれる、3)言葉のワザが人間を動かす。サブタイトル「七五調で読む日本語」
69.「生きている過去」レニエ、岩波文庫、1月30日           *
 : 荷風が心酔したレニエの代表作
70.「人間は原子、世界は物理法則で動く」マーク・ブキャナン、白楊社、1月30日  ** (8)
71.「学ぶ様式」山本哲士、新曜社、1月31日              *  (11)
 : 人間に共通する特性は、1)論理的思考が不得手で直感に頼って判断する、2)他者とのかかわりの中で学習・適応していく、3)人のまねをする、4)仲間との協調をする一方よそ者に対しては盲目的に敵意を向ける傾向があること。複雑で奇妙に見える人間行動や社会現象の結果の大半がこの特性から明らかになる
72.「文明の接近」E・トッド、藤原書店、 ”     
 : サブタイトル「「イスラムVS西洋」の虚構」。文明の衝突は起こらず、文明の接近が起きるという
73.「地域を考えるデザイン」筧裕介、英治出版、1月31日      *
 : 「地域を変えるキイ・イッシュー20」「地域を変えるキイ・デザイン30」
74.「子供の誕生」P・アリエス、みすず、2月1日             **  (12)
75.「<子供>の発見」カール・ハインツ・マレ、みすず、2月1日   *
 : 本書の意図は、「昔話(メルヘン)を判断の材料として、子どもたちや親たちの実態を把握しよう」ということ。「ヘンゼルとグレーテル」「赤頭巾」「ゾーッとすること」「ガチョウ番の少女」などを取り上げて分析
76.「目の中の劇場」アリス狩り2、高山宏、青土社、2月1日     **
77.「世界の多様性」E・トッド、藤原書店、2月2日            *   (36)
 : 世界各地域の文化的成長、政治イデオロギー、経済成長を根底で条件付けてきたのは、家族構造に見られる人類学的な要件であり、その逆ではないということを明らかにする
78.「赤瓦の家」川田文子、筑摩、2月2日
 : サブタイトル「朝鮮から来た従軍慰安婦」
79.「「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実」吉見義明・川田文子、大月書店、2月2日  *
80.「新ヨーロッパ大全」Ⅰ・Ⅱ、E・トッド、藤原書店、2月3日      **  (24)
 : 「人類学的基底(主として家族制度)」を説明変数として、総体としての近代ヨーロッパ500年像(宗教改革そして宗教の死、諸イデオロギーの誕生と解体)をはじめて浮き彫りにした力作
81.「世界像革命」E・トッド、          ”   、  ” 
82.「「帝国以後」と日本の選択」 ”   、 ”   、   ”
83.「被抑圧者の教育学」パウロ・フレイレ、亜紀書房、2月4日     *  (11)
84.「アラブ革命は」なぜ起きたか」E・トッド、藤原書店、2月5日    *  (6)
85.「教室のカルテ」J・ホルト、新泉社、2月6日              ***  (10)
 : サブタイトル「なぜ子供は失敗するのか」。「応答戦術」「恐怖と失敗」「本当の学習」「なぜ学校は失敗するのか」。実際の授業の膨大な観察記録のなかから選ばれたものを単行本化
86.「教育伝達の社会学」バーンスティン、明治図書、2月6日      *  (10)
87.「社会科学理論研究」山本哲士、文化科学高等研究所、”      *  (19)
 : 教育理論・産業社会論・消費の社会論・ジェンダー論・ラテンアメリカ研究・パワー関係論において著者が到達した内容のまとめ
88.「伝達か対話か」パウロ・フレイレ、亜紀書房、2月7日
 : サブタイトル「関係変革の教育学」。パウロ・フレイレの初期の論文「解放の実践としての教育」と「伝達か対話か」を一冊にまとめたもの
89.「アレクサンドリア四重奏」1~4、ロレンス・ダレル、河出、2月7日 *
 : 著者はこの4篇の小説群は、単一の作品として読んでもらえることを意図しているという。従来の連続形式小説に対する挑戦
90.「戦争責任・戦後責任」望田幸男ほか、朝日選書、2月8日        (19)
 : 第二次世界大戦の戦争責任とその補償については、日独の比較を行い「ドイツは謝罪と補償を行ったが、日本は謝罪も補償を行っていない(不十分)」とする論調がマスコミの主流をなしているが、本書はその代表的な一冊。ドイツが謝罪し補償したのはユダヤ人大量虐殺(ジェノサイト)に対してだけであり、日本と同様の植民地支配と帝国主義国間の戦争に対しては一切謝罪も補償を行っていないという事実が意図的に触れられていない
91.「SQ 生き方の知能指数」ダニエル・ゴールドマン、日経、2月9日 **  (18)
 : SQ=Social Quality。「EQ こころの知能指数」の完結編ともいうべき本。「EQ」出版後の脳神経科学の進歩の成果を反映させて書かれている。強調点は脳の社会性
92.「共感の時代へ」フランス・ドゥ・ヴァール、2月9日           *
 : サブタイトル「動物行動学が教えてくれること」。共感=他者とのつながりを持ち、他者を理解し、相手の立場に立つ能力
93.「希望の教育学」パウロ・フレイレ、太郎次郎社、2月10日
 : 「被抑圧者の教育学」成立の経緯とそれの今日の状況とのかかわりで再読した記録
94.「周郷博著作集」1~6、柏樹社、2月11日               *  
 : ティエール・シャルダン、シモーヌ・ヴェイユ、H・リード、イリイチ、モンテッソーリなどを読み込み独自の「人間性回復」の教育理論に到達し「教育の詩(人)」として生きた周郷博の著作集
95.「教育と社会変動」上・下、J・カラベル、A・H・ハルーゼ編、東大、2月11日 * (2)
 : サブタイトル「教育社会学のパラダイム展開」。原書は編者による過去の教育社会学ないし教育教育研究の批判的立場からの評価や位置付けを厳しくまとめ、それに37編の論文を加えたものだが、本書はその論文を18編に絞り込んで単行本化したもの
96.「自由のための文化行動」パウロ・フレイレ、亜紀書房、2月11日  *  (10)
 : 意識化のありようと、認識行為としての識字教育のプロセスを、文化行動という視覚から自由闊達に論じる
97.「ヌガラ」クリフォード・ギアツ、みすず、2月11日             **  (16)
 : サブタイトル「19世紀バリの劇場国家」=原題。ギアツの代表作。「文化を意味のシステム」として「解釈」しようとする「解釈人類学」「文化解釈学」
98.「宇宙船「地球号」操縦マニュアル」バックミンスター・フラー、2月11日
 : 日本の建築界でも有名な「フラー・ドーム」(=最小の表面積で最大の空間を確保する)の考案者の提案する汎地球DK主義
99.「平和のための教育」H・リード、岩波、2月12日             **  (27)
 : 「平和のための教育」=「教育における自由」。手鍬=人間の感覚がごく自然に従うところの唯一の訓練
100.「ショック・ドクトリン」上・下、ナオミ・クライン、2月12日        *
 : サブタイトル「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」。CIAの拷問実験、チリ・アルゼンチン・ブラジル・インドネシア・ボリビア・ポーランド、南ア・ロシア・イラクなどで起きたことを分析
101.「黒い皮膚、白い仮面」フランツ・ファノン、みすず、2月13日     *  (6)
 : 他からも疎外があるとき、内面においても自己を疎外する黒人にむけて、そこからの自己解放を黒人として訴えた書
102.「責罪論」カール・ヤスパース、理想社、2月13日           ***  (20)
 : ドイツの戦争に対する罪を判断するために、四つの罪の概念(刑法上、政治上、道徳上、形而上的)を明確にし、それにもとづき、ドイツ人の罪の区別を行い、最後にドイツ人としての「罪の清め」について述べる著名な書
103.「第二の罪」ラルフ・ジョルダーノ、白水社、2月13日          *    (4)
 : サブタイトル「ドイツ人であることの重荷」。第一の罪=ヒットラー下でのドイツ人の罪、第二の罪=1945年以降第一の罪を心理的に抑圧し否定した罪
104.「自己組織化と進化の理論」スチュアート・カウフマン、日経、2月13日 ***  (26)
 : 生態系、生命体、経済システムの変化を解くキー・ワードは「自己組織化」であり、共進化をもたらす。
自己組織化については膨大な数の本が書かれているが、その全体像・論理展開・具体的事例のバランスごよくとれたこの世界の第一人者によるベストの解説書
105.「社会的選択と個人的評価」ケネス・J・アロー、日経、2月13日
106.「デザインとしての文化的技術」山本哲士、文化科学高等研究院、2月14日 *  (54)
 : 「デザインの本質」が純粋芸術的創造にあるのではなく、「デザインの行為主体」がプラチックな文化的諸条件をふまえて社会的諸条件を変容することにあることを、新しいテクノロジー論として提示
107.「「ケルト/装飾的思考」鶴岡真弓、筑摩、2月14日
 : ダブリン大学留学時代に学んだり訪れたりしてえた「ケルト」についての知識・感情をまとめたもの
108.「ブランドなんか、いらない」ナオミ・クライン、はまの出版、2月14日   *
 : サブタイトル「搾取で巨大化する大企業の非情」。世界的大企業による公共空間/選択肢/仕事の奪取が広汎におこなわれ、これに対する市民の反撃が始まった
109.「貧困と不正を生む資本主義を潰せ」ナオミ・クライン、はまの出版、2月14日
 : 本書は著者が各種新聞に発表したコラムを主に、集会でのスピーチも加えて単行本化したもの
110.「「日本文化のゆくえ」河合隼雄、岩波、2月15日            *
 : グローバリゼーションが急速に進むなかで、欧米文化に立ち向かうには、現代において「日本文化」の状態、それをどう見るかがまず問われると指摘
111.「現代日本文化論8 欲望と消費」河合隼雄・上野千鶴子、岩波、2月15日
112.「  ”   ”    5 ライフ・スタイル」 ”  ・谷川俊太郎、 ” 、 ”  ”
113.「女の民俗誌」宮本常一、岩波現代文庫、2月15日           *
 : 岩波現代文庫のために新たに編集して単行本化
114.「ライフ・レッスン」E・キュウプラー・ロス、角川、2月15日        *  (4)
 : 人生のレッスンとして、本物の自己愛・人間関係・喪失・力・罪悪感・時間・恐れ・怒り・遊び・忍耐・明け渡し・許し・幸福・最終レッスンの16のテーマを取り上げる
115.「ゴータマ・ブッダの仏教」羽矢辰夫、春秋社、2月15日         *
 : 現代的かつ普遍的課題を解決するためのヒントはゴータマ・ブッダの残したメッセージ・仏教の中にあるという
116.「芸術の草の根」H・リード、岩波、2月16日                *  ( )
 : 産業時代に審美の心を普及させるために、社会機構や教育や人生観の諸面にあってどうしても果たさねばならぬ変革を解明する
117.「幼稚園」H・リード、フレーベル館、2月16日                **
 : サブタイトル「人間関係と学習の場」。本書は保育実習の学生たちが、人間行動に対するより深い理解を得ることができるように、詳細にかつ実践的にまとめられている
118.「アフリカ革命に向けて」フランツ・ファノン、みすず、2月16日      *
 : 新聞に寄稿したもの、未発表のものを集めて単行本化
119.「地に呪われたる者」フランツ・ファノン、みすず、2月16日        **
 : 「ヨーロッパのため、われわれのため、人類のために、同志たちよ、われわれの脱皮が必要だ。新たな思想を発展させ、新たな人間を立ち上がらせようと試みることが必要だ」と呼びかける
120.「盆栽老人とその周辺」深沢七郎、文春、2月17日             *
 : 農家の副業としての盆栽作りを通して垣間見えた「農家の商法」。欲のための知恵、底力のある無鉄砲なエゴイズムの素晴らしさを綴る
121.「プロメテウスの罠」1・2、朝日新聞特別報道部、学研、2月17日    **
 : サブタイトル「明かされなかった福島原発事故の真実」。2011年10月から朝日新聞紙上に連載された「プロメテウスの罠」の単行本化
122.「鉄砲を捨てた日本人」ノエル・ぺリン、中公文庫、2月17日
 : サブタイトル「日本史に学ぶ軍縮」。核兵器の廃絶に向けての先例となる好事例として日本を紹介
123.「次世代への伝言」宮脇昭・池田武邦、地湧社、2月17日
124.「つながりの精神史」東島誠、講談社現代新書、2月17日         *
 : サブタイトル「自然の本質と人間の生き方を語る」。「無縁・合力・義捐・交通・江湖・理想・公共」「つながり・きづな」について語る
125.「近世農民生活史」児玉幸多、吉川弘文館、2月18日           **
 : 租税制度、行政制度、農村の伝統と農民、農家の生活とその変化について豊富な事例をあげながら、かつ色々な説を紹介というスタンスに好感を覚える
126.「ふるさと戸塚」郷土戸塚区歴史の会、戸塚区老人クラブ連合会、2月18日 *
 : サブタイトル「体験でつづる明治・大正・昭和」。戸塚・川上・中川・大正・豊田・中和田・本郷地区にわけて戸塚の歴史を伝える
127.「大往生」永六輔、岩波新書、2月18日                     *
 : サブタイトル「これは僕の生き方講座です」。無名の人々の言葉(無名人語録)を随所に引きながら自説を展開
128.「本当の戦争の話をしよう」ティム・オブライエン、文春、2月19日     *
 : ベトナム戦争を戦った自らの経験を語っているが、時間の経過で経験が熟成され独特の風合いを持った文章になっている
129.「「世界史のゲーム」を日本が超える」松本健一、 ” 、  “ ”
 : 「世界史のゲーム」とは世界の秩序換えを指す。「世界史のゲーム」に巻き込まれている日本が何をすべきで、何をしてはならないのかを、過去の失敗も振り返りながら提案
130.「人類の行方」河合隼雄、みすず、2月19日                  *
 : 生物・生態・動物・資源学者、哲学者が「人類の行方」に対する心配を提起し、あわせてそれへの対応イメージを提案するという構成
131.「宗教多元主義」J・ヒック、法蔵館、2月20日                 ***  (20)
 : サブタイトル「宗教理解のパラダイム転換」。著者はクリスチャンであるが、その立場に固執することなくキリスト教を始めとする一神教とその他の宗教の共存を視野に入れ、感情・行動レベルと同時に理論的にも鋭い分析で「宗教多元主義」を説く力作
132.「毒舌 身の上相談」今東光、集英社文庫、2月20日             *
133.「子どもの神秘生活」ロバート・コールズ、工作舎、2月21日         *
 : サブタイトル「生と死、宇宙をめぐる証言」。子どもを知れば知るほど、宗教と民族意識が微妙に絡み合って子どもの人生観を形成していることがわかった
134.「学び その死と再生」佐藤学、太郎次郎社、2月21日            *  (10)
 : 自分自身の「死の再生」という「主体の闘争を連続するいとなみをとうして、私たvひは、この窒息状態を生きのびる「学び」を遂行しつずけることができるというべきだろう
135.「転換期における人間別巻 教育の課題」宇沢弘文・河合隼雄編、岩波、2月21日
136.「ものの考え方 合理性への逸脱」O・S・ウォ―ユップ、講談社学術文庫、2月21日
 : 「何がかくあるのか、ということが解かっているすべての人々に、私は、何がかくあると言い得るための指導のための原理を提供する」
137.「植物と人間」宮脇昭、NHK,2月22日
 : 「生活環境を改変し共存者たちに絶対的に打ち勝ったときに、その生物もまた滅びるという生物社会の冷徹な秩序を理解しよう」
138.「隠者の楽しみ」鷲田小彌太、青春出版社、2月22日         *
 : 「私が考える現代の隠者とは、この仕事の新時代、現在従事している仕事や生き方に満足せず、あるいはしがみつかず、新しい仕事や生き方の開拓に向かって努力している、しようとする人のことです」
139.「公共圏の歴史的創造」東島誠、東大、2月23日            **  (8)
 : 本書は「公共圏の歴史的創造」を主題とし、素材を「日本」史に求めたものである。<公共圏>とは万人に開かれた領域であり、批判的討議の広場である。
140.「10年後一流の会社」北矢行男、かんき出版、2月23日       **  (16)
 : サブタイトル「第三世代ソシオカンパニーだけが生き残る」。第一世代は、トヨタ・松下のような強い会社、第二世代はソニー・ホンダのような賢い会社
141.「自由にしてケシカラン人々の世紀」東島誠、講談社、2月23日   *
 : 「自由」という中世語は「勝手し放題」という意味。「自由狼藉の時代」とは、「誠にもってケシカラン時代」というに等しい
142.「日本のフロンティアは日本の中にある」「21世紀日本の構想懇談会」、講談社2月24日**(26)
 ; 小淵首相の委嘱による「21世紀日本の構想」懇談会の報告のまとめ。21世紀の日本の課題と向かうべき方向についての提言
143.「学校を非学校化する」里見実、太郎次郎社、2月24日        *  (12)
 : 「新しい学びの構図」「月学校から非学校化へ」「いまなぜフレネか」「世界を読み解くということ」で構成
144.「社会を変えるには」小熊英二、講談社現代新書、2月24日     *  (11)
 : 日本社会の現状分析、社会運動の変化・歴史、民主主義とは何か、どういき詰まっているか、そして社会を変えるにはどうすればいいか、について網羅的に語る大作
145.「本のおかわりもう一冊」桜庭一樹、創元社、2月25日         *
 : 読書日記
146.「「日本の歴史」14~19、石ノ森章太郎、中央公論、2月25日    *
147.「中学生からの愛の授業」宮台真司、コアマガジン、2月26日     *
 : 「情報は「経験」を積むことによって「知恵」になる。「愛」の大事な働きは「包摂」にあり、それが人を「幸せ」にできる」
148.「「課題先進国」日本」小宮山宏、中央公論、2月26日
 : サブタイトル「キャッチアップからフロントランナーへ」。エネルギー問題、環境問題、高齢化問題などについて述べる
149.「アメリカ資本主義と学校教育」Ⅰ・Ⅱ、S・ボウルズ、H・ギンタス、岩波現代選書、2月27日 (10)
150.「歪められる日本イメージ」近藤誠一、サイマル、2月27日       **  (11)
 : アメリカは国外・国内向けを問わず、「パーセプション・ゲーム」が大きな影響を持っている。日米貿易交渉に見られたように、日本もこの動きに直接的に巻き込まれている。日本も従来は不得手な領域ではあったが、「パーセプション・ゲーム」の特徴とそれへの対応を学び行動しなければならない
151.「感覚の変容」川本三郎、文春、2月27日                 *
 : 人間社会の背後にあるランドスケープを見ようとしている幻視者たち=映画監督・作家を取り上げたエッセイ集
152.「竜が最後に帰る場所」恒川光太郎、講談社、2月27日        *
 : 5編の短編小説を収録。出色は「鸚鵡幻想曲」
153.「若い小説家に宛てた手紙」バルガス・リュサ、新潮、2月27日    *
 : ボルヘスとともに「物語る」という行為を重視したリョサの小説を書くための抑えどころ指南
154.「文学刑事サーズデイ・ネクスト1」ジャパー・フォード、ヴィレッジブックス、2月27日  **
 : 古典文学をこよなく愛する文学刑事局の女性捜査官本の本のための遊び心満載・奇想天外な小説
155.「日本の歴史」石ノ森章太郎、中央公論、2月28日            *
156.「学歴社会 新しい文明病」R・P・ドーア、岩波現代選書、2月28日
 : 「人間の才能には避けられない個人差があり、学校教育に助けにもなれば邪魔にもなる」
157.「フレネ教育の誕生」エリーズ・フレネ、現代書館、3月1日       *  (11)
 : 「子どものところから出発しなければいけない」というフレネ教育の核をなす自由作文・印刷機・学習カーの意義と誕生について語る
158.「フランスの現代学校」フレネ、明治図書、3月1日
 : フレネ教育とは何か、どのようにして生まれたのか、実践するのは誰か、その力は何か
159.「不就学のすすめ」ポール・グッドマン、福村出版、3月1日
 ; 「脱学校論」のはしりが本書
160.「教育危機の経済学」馬場宏二、御茶ノ水選書、3月1日
 : 経済学の眼鏡をかけてみた社会観察の記録といえる小論文集
161.「日本の歴史」28・35~40、石ノ森章太郎、中央公論、3月2日
162.「学校でできることはなんだろうか」里見実、太郎次郎社、3月3日  *  (2)
 : 現在の学校教育の主流は人間を「愚か」にする方向。人間を育て「賢く」したり精神を豊かにする場としての教育のあり方を論ずる
163.「授業!日本はどこへ行く?」千葉保、太郎次郎社、3月3日     **
 : 「ゴミ(使い捨てカメラ、プラスチック・トレイ、わりばし、原発廃棄物)」「食糧(ハンバーガー、肉、ポテト、クジラ)」など12の授業を紹介、現代の問題点に迫る
164.「極道辻説法」今東光、集英社文庫、3月3日               *
165.「最後の辻説法」今東光、集英社、3月3日                 *
166.「刑事の子」宮部みゆき、光文社、3月3日                 *
 : 1994年刊行「東京下町殺人暮色」を改題し発行
167.「祝祭都市」山口昌男、岩波、3月4日                    *
 : 象徴人類学的手法を駆使して、世界の都市の魅力の秘密をあきらかにし、祝祭のダイナミズムに接近
168.「笑いと逸脱」山口昌男、筑摩、3月4日                   *
 : SCRAP BOOK NO.1
169.「文化と仕掛け」山口昌男、筑摩、3月4日                  *
 : SCRAP BOOK NO.2
170.「冥界遊び」山口昌男、筑摩、3月4日                     *
 : SCRAP BOOK NO.3
171.「タブーの正体」川端幹人、ちくま新書、3月5日               **
 : サブタイトル「マスコミが{あのこと」にふれない理由」。
 : 暴力・権力・経済の恐怖により作り出されるタブーの正体に迫る
172.「日本の意識」住谷一彦、岩波、3月6日                    *  (12)
 : 「日本の意識」とは、「日本教」、それに一番近いのは、河上肇の「日本独特の国家主義」。井波普猷・河上肇、柳田国男の沖縄論の比較、後半は井波、柳田、石田栄一郎、原田敏明の氏神論を比較する
173.「もうひとつの学校に向けて」村田栄一・里見実、筑摩、3月6日
 : スペインの教育運動の実態を見に行った村田と日本にいる里見の間の往復書簡。学校がなんであるのかの模索の書である
174.「働くことと学ぶこと」里見実、太郎次郎社、3月6日              *
 : 1993-4年度に行った一般教養講座<教育>の講義記録。<学び><知><労働><仕事><時間><書くこと><教育>について触れる
175.「なんで学校にやるの」ジョン・ホルト、一光社、3月6日            *  (3)
 : ホーム・スクーリング運動の報告書。運動の擁護論、手引きでもある
176.「祭りと文明」ジャン・チュイニチョー、紀伊国屋、3月6日
 : 「覆滅行為」としての祭り論
177.「信用詐欺師」メルヴィル、国書刊行会
178.「成城だより」大岡昇平、文春、3月6日                       *
179.「学校と社会」J・デューイ、明治図書、3月8日                   *  (11)
180.「ウオーターシップ・ダウンのウサギたち」上・下、リチャード・アダムス、評論社、3月8日  *
181.「中島らもの特選明るい悩み相談室」集英社文庫、3月8日
 : 読者からの「相談」が秀逸
182.「地球はどこへ行く」里見実編著、太郎次郎社、3月8日             *
 : ゴルフ場、再生紙、空き缶、食料(コーヒー、エビ)を取り上げ環境問題に迫る
183.「「オッペルと象」の読み方指導」大西忠治編、明治図書、3月8日
 : サブタイトル「教材教育の定説化」。構造よみ、形象よみ、主題読み
184.「教育的集団の発見・定本「核のいる学級」」大西忠治、明治図書、3月9日 ***
 : 学校現場での「核=クラスのリーダー」づくりと集団づくりによる教師と生徒の協働による自立性を持ったクラス確立の実践記録。実践記録のもつ迫力がある
185.「歩きはじめの算数」遠山啓編、国土社、3月9日                 *
 : ちえ遅れの子どもたちのための教科教育の創造を目ざして、数年間にわたって研究実践された結果の報告
186.「科学文明の曲がり角」中岡哲郎、朝日選書、3月10日             *
 : 技術と労働と科学についての7編のエッセイを収録。途上国への技術移転「土とテクノロジー」、高校通信教育の新入生に対する講演「労働の世界」が秀逸
187.「知のルビコンを超えて」山口昌男、人文書院、3月11日              *
 : 9人との対談集。出色は中川久定との「表層の知、深層の知」、中村雄二郎との「人類学と哲学の間」
188.「貧困の終焉」ジェフリー・サックス、早川書房、3月11日             **  (22)
 : サブタイトル「2025年までに世界を変える」。国連の「ミレニアム計画」(2025年までに世界の貧困をなくす)プロジェクトの中心人物が語る、2025年の予測ではなく、何ができるかのシナリオ
189.「文化人類学の視角」山口昌男、岩波、3月11日
 : 1985年7-9月のタイトルと同名のNHK市民大学講座の12回の講義の単行本化
190.「自然と文明の想像力」山口昌男、宝島、3月11日
 : 山口昌男のエッセイと4人との対談集
191.「人間つくりの学級記録」宮崎典男、むぎ書房、3月13日              **  (1)
 : 福島土湯での小学校での4年間の経験をつづったもの。子どもたち・教師・集団(学級)成長、親との信頼感醸成の様子を語る
192.「明日の学校 子供とカリキュラム」J・デューイ、人間の絆学舎、3月13日
 : 本書は教育理論でも教科書でもない。教育理論を実践に移そうとしたときに実際に何が起きるかを示そうとしたもの
193.「新しい地歴教育」相川日出男、国土社、3月13日
 : 1952年度の小学4年生の社会科の歴史・地理教育の記録
194.「精神史的考察」藤田省三、平凡社、3月13日                *  
 : 1975~81年にかけて発表された10の文章の単行本化。
195.「シネマ人間紀行」高野悦子、毎日新聞、3月13日              ***
 : 自伝的映画論・岩波ホール(映画・伝統芸術・演劇・音楽活動)の歴史
196.「私のシネマ宣言」高野悦子、3月13日
 : サブタイトル「映像が女性で輝くとき」。女性と映画に話題を絞った自伝的映画論
197.「嘘つき大統領のデタラメ経済」ポール・クルーグマン、早川書房、3月14日  **  (7)
 : 本書はニューヨーク・タイムスに1990~3ねんにかけて連載された人気コラムの単行本化。ブッシュ大統領本人と高官たちのウソとデタラメを具体的事例を豊富にあげて指摘
198.「生きている象形文字」西田龍雄、3月14日                  *
 : 雲南に住む少数民族モン族の巫師の間に伝わる象形文字・表音文字について語る
199.「青銅の神の足跡」谷川健一、集英社、3月16日               **   (4)
 : 古代天皇制の成立(北方民族渡来と南方系海人を皇妃とし伝えられた鉄器技術)、柳田民俗学(金属文化軽視)批判
200.「古代オリエントの神話と思想 哲学以前」H・フランクフォートほか、社会思想社、 **  (4)
 : 古代人の神話は現代人と似た問題を未熟な姿で表したものとの仮説ほど人を誤るものはない。文明を分かつ深い溝を明らかにする
201.「新しい綴方教室」国分一太郎、新評論、3月16日               (2)
202.「鮭サラの一生」H・ウイリアムソン、至誠堂新書3月16日           *
203.「エキプ・ド・シネマの三十年」高野悦子編、講談社、3月17日         *
204.「自律への教育」テオドール・アドルノ、中央公論、3月22日
205.「「名づけの」精神史」市村弘正、みすず、3月22日
206.「もとの黙阿弥」井上ひさし、文春、3月22日
207.「地獄」アンリ・バルピュス、岩波文庫、3月22日
208.「根拠なき熱狂」ロバート・J・シラー、ダイヤモンド、3月26日         **  (4)
 : アメリカの「株式投資」のブームを歴史的に分析した本。そのブームの合理性を主張する主たる通説を紹介し、その見解の問題点を具体的に反論し、潰していく。そしてたどり着く結論が「根拠なき熱狂」
209.「世界を救う処方箋」ジェフリー・サックス早川書房、3月26日         **  (2)
210.「黒潮の民俗学」谷川健一、筑摩、3月26日                    *
 : 1部「神々のいる風景」、2部「黒潮の民俗学」。「埋もれた日本地図」の続編
211.「ジーザス・クライスト・トリックスター」筒井康隆、新潮社、3月26日      *
 : 「ジーザス・クライスト・トリックスター」をはじめとする6本の脚本を収録
212.「生命の出会い」善元幸雄、筑摩、3月26日                    *
 : 葛西小学校での中国から来た6名の児童向けの日本語クラスの1988年2~3月60時間にわたる授業の記録
213.「向こう岸からの世界史」良知力、未来社、3月26日
 : 1948~9年のヨーロッパ革命をめぐるエッセイ
214.「イタリアの旅から」多田富雄、新潮文庫、3月29日                *  (7)
 : サブタイトル「科学者による美術紀行」
215.「国債危機と金融市場」清水克俊、日経、3月29日                *
 : サブタイトル「日本の財政運営へのインパクト」
216.「快楽主義の哲学」澁澤龍彦、カッパブックス、3月29日             **  (2)
 : サブタイトル「現代人の生き甲斐を探求する」。”快楽はあなた自身で発見する者です”と主張。「独立自尊」の精神が快楽主義の精神だ
217.「中島らもの明るい悩み相談室」中島らも、集英社文庫、3月29日       *
 : 「その1 日本の家庭編」。読者からの質問が秀逸、勝負あり
218.「懲戒の部屋」筒井康隆、新潮文庫、3月31日
 : 「懲戒の部屋」をふくむ10編の短編小説集。「自選ホラー傑作選」
219.「ひばりは空に」吉田一穂詩、フレーベル館、3月31日
220.「地球全体を幸福にする経済学」ジェフリー・サックス、早川書房、3月31日  *  (6)
221.「イーハトーボの劇列車」井上ひさし、新潮社、3月31日
222.「無意識の発見」上・下、アンリ・エレンベルガー、弘文堂、3月31日       *
 : 科学的方法論にもとづく、力動精神学史をめざす。その代表的体系としてジャネ、フロイト、アードラー、ユングの体系を取り上げる
223.「魔女の1ダース」米原万理、読売、4月5日                      **
 : サブタイトル「正義と常識に冷や水を浴びせる13章」
224.「中国美味礼賛」阿堅、青土社、4月5日                        **
 : この本の特色は単なる食」エッセイ二止まらず、詩人である作者の持ち味を生かして、食べ物・酒から連想をする文人ならびにその作品にも多く話題を広げている点
225.「ロンドンの見世物」Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、R・D・オールテイック、国書刊行会、4月6日  *
 : 中世末期~1860年代にかけての、教会の聖遺物・個人収集家のキャビネット・蝋人形・科学と結びついた自動人形・パノラマ・ジオラマ・遊園地・動物園などロンドンの見世物業界の活況ぶりを描く
226.「コミュニケーション的行為の理論」上・中・下、エルゲン・ハバ―マス、未来社、4月6日  *
 : コミュニケーション的合理性の概念のもつ普遍性をあえて試みる方法としてヴェーバーからパーソンズに至る概念的戦略・諸仮定・議論を取り上げ、体系的理論史をつくりあげる
227.「戦前キ日本の金融システム」寺西重郎、岩波、戦前期金融システムの機能、その変化のメカニズム、変化の方向の観点で分析した大作
228.「無用物の系譜」唐木順三、筑摩、4月6日                       *
 : 日本には昔からなぜかくも無用者が多いのか、質において高い者がなぜ無用者になるのかを問う
229.「知的トレーニングの技術」花村太郎、JICC出版局、4月7日            *
 : 第1部「知的生産・知識獲得に必要な基礎テクニック11章」、第2部「読み・考え・書くための技術12章」
230.「季節のかたみ」幸田文、講談社、4月7日                        *
 : 随筆集
231.「ユビュ王」アルフレッド・ジャリ、現代思潮社、4月7日
 : 19世紀末、合理主義に根差した未来対する頑なまでの不信ゆえに「呪われた詩人」の一人といわれたジャリの戯曲台本
232.「日と夜と」アルフレッド・ジャリ、川村均私家本、4月7日
233.「江戸の百女事典」橋本勝三郎、新潮選書、4月7日                  *
 : 心中と道行の死の掟、遊女の意地と心意気、武家の女の波乱の生涯、貞女・烈婦の燃ゆる心、江戸文化を生きた百人の女を紹介
234.「トガニ」孔枝泳、新潮社、4月7日                             **
 : 韓国で実際に起きた障害児への教師の性的暴行事件をもとに書かれた小説。韓国の世論・警察・政府を動かし、加害者の厳罰・法改正に結びつけた
235.「風水思想と東アジア」渡辺欣雄、人文書院、4月8日                 *  (7)
 : 中国・台湾・韓国・沖縄の比較を通して東アジアの風水思想の共通性と個別性を探る
236.「幸せは星の降るごとく」橋本治、集英社、4月9日
 : 「何にも起こらない人生」を抱えた女芸人たちの物語
237.「ならずものがやってくる」ジェニファー・イーガン、早川書房、4月9日
 : ピューリッツア賞、全米批評家協会賞受賞作
238.「孤族の国」朝日取材班、朝日、4月10日
 : 2010~1年にかけて7回に分けて連載された「孤族の国」シリーズの単行本化
239.「野蛮な読書」平松洋子、集英社、3月10日                  *
 : サブタイトル「本は本を連れてくる」。海を泳ぐように読む、全103冊、無類のエッセイ
240.「中国古代の性生活」R・H・ファン・フーリック、せりか書房、4月10日  *
 : 紀元前1500年から明代までの3000年間を対象に中国の性生活を取り上げる
241.「ロシア語通訳読本」宇田文雄・徳永晴美、NHK,4月10日        *
 : 第1部「通訳の理論と技術」、第2部「通訳の現場」、第3部「日本の風物」、第4部「現場のコツ」、第5部「知っておきたい用語」
242.「誤訳天国」ロビン・ギル、白水社、4月10日                  *
 : 「ことばの遊び」の誤訳を調べていた私の思考「何ノ罪モナイ書民ヲ欺ク誤訳ノ数々ヲヨクモコレマデ重ネテマイッタ、天ニナリ代ッテ、コノ筆鋒ガ貴様ヲ成敗シテクレヨウ」
243.「翻訳史のプロムナード」辻由美、みすず、4月10日             *
 : 紀元前のエジプトから現代まで、フランスを中心とした翻訳と翻訳家の歴史を興味深いエピソードでつづった翻訳学の新しい試み
244.「世界の翻訳家たち」辻由美、4月10日                     *
 : 翻訳家達へのインタビュー集。翻訳や異文化の接触について、さらにもっと広く、言葉そのものについて考えるための一つの素材になれば、という思いで書かれた本
245.「きもの」幸田文、新潮社、4月10日                       *
246.「都市という廃墟」松山巌、新潮社、4月10日
 : 「新潮」に1977年1年間連載された。子どもが少しずつ年齢を上げ、老人に立ちいたるまで、それぞれの年齢に応じた視点で都市問題を考えてみようという試み
247.「鏡花幻想譚」4、泉鏡花、河出、4月10日
 : 「絵本の春の巻」: 「絲遊」「絵本の春」など4編を収録
248.「不実な美女か貞淑な醜女か」米原万理、新潮文庫、4月11日       **
 : 通訳・翻訳の共通性と相異、美しさと正確さのどちらをとるか、文脈の重要性などについて述べる
249.「中国の科学と文明」ニーダム、思索社、4月11日               **
 : ニーダムの大著「中国の科学と文明」全11巻の第1巻。数々の資料に基づいて、予見を排して、中国で開発され他地域に伝播された技術と逆に他地域から中国に伝播された技術を特定する
250.「ガセネッタ&シモネッタ」米原万理、文春文庫、4月12日           *
 : 200年発行の単行本の文庫化。洋食のフルコース・メニュー仕立てで、
251.「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万理、文春文庫、4月12日      **
 : 2001年発行の単行本の文庫化。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
252.「聊斎志異」上・下、蒲松齢、平凡社、4月12日                  *
 : 「志異」とは「うしぎをしるす」ということで、神仙・異人・幽霊・妖怪変化・冥界の故事・人間のひょうきんな行動に至るあらゆる異
253.「紅楼夢」曹雪芹、4月12日                              *
254.「超男性」ジャリ、白水社、4月13日                         *
255.「白樫の樹の下で」青山文平、文春、4月13日                  **
 : 江戸の町で一振りの名刀をめぐって起きる事件を描く
256.「白い果実」ジェフリー・フォード、国書刊行会、4月13日             *
 : 1997年世界幻想文学大賞受賞作
257.「夕凪の街桜の国」こうの文代、双葉社、4月13日
258.「ツイッター幸福論」角川書店、4月13日
 : サブタイトル「ネットワークサイズと日本人」
259.「名作うしろ読み」斎藤美奈子、中公、4月13日                   *
 : 古今東西の名作132冊を、作品の最後の一文から読み解く
260.「図書館が教えてくれた発想法」高田高史、柏書房、4月13日
 : 図書館で情報を調べる「調査の流れと組み立て方」について述べる
261.「ロシアは今日も荒れ模様」米原万理、講談社文庫、4月13日          *
 : 1998年2月発行の単行本の文庫化
262.「パンツの面目ふんどしの沽券」米原万理、ちくま文庫、4月14日
 : 2005年7月発行の単行本の文庫化。パンツとふんどしの起源、どちらが先か、アダムとイブのイチジクの葉はなぜ落ちなかったのか
263.「言葉を育てる」、米原万理対談集、ちくま文庫、4月14日             *
 : ちくま文庫のためのオリジナル編集。11人との対談集
264.「現代詩のリテラシー」佐藤卓己、岩波、4月15日                  *  (10)
 : サブタイトル「書物の宇宙」。現代とは、いかなる時代か?答えは、歴史の中にある
265.「踊る大地球」山口昌男、晶文社、4月15日                      **
 : 100枚の自作の絵で読む文化人類学。
266.「文化人類学の視角」山口昌男、岩波、4月15日                   **  (3)
 : 文化人類学の起源、儀礼と人間、宇宙モデルとしての身体、交換とコミュニケーション、呪術・占い、シャーマニズム、神話、文化人類学の全体像を述べる
267.「こころの声を聴く」河合隼雄対話集、新潮文庫、4月15日             **  (4)
 : 1997年発行の単行本の文庫化。10人との対話。対話相手の書いた本を取り上げ、意見を交わし、最後に「対話の後で」で締めくくるという構成に特色がある
268.「伝える力」池上彰、PHP新書、4月15日
 :サブタイトル「 「話す」「書く」「聞く」「能力が仕事を鍛える」」
269.「伝える力」2、池上彰、PHP新書、4月15日
 : サブタイトル「もっと役立つ!「話す」「書く」「聞く技術」」
270.「祭りの季節」池内紀、みすず、4月16日
 : 「歴史や由来、風土性をそなえる」「古式をよく残している」「地元の人の手になり、老若男女が参加している」全国36の祭りの紀行
271.「パーネ・アモーレ」田丸公美子、文春、4月17日                    **
 : サブタイトル「イタリア語通訳奮闘記」。処女出版。米原万理の盟友の活躍記。特に米原万理ら通訳仲間とのやり取りがおかしい
272.「カワハギの肝」杉浦民平、六興出版、4月17日                     *
 : 「食いもの談義」「食事歳時記」で構成
273.「風の中の子供」坪田譲治、新潮文庫、4月17日                     **
 : 4編の短編小説を収録。「お化けの世界」(昭和9年)、「風の中の子供」(昭和11年)が有名。後者は、朝日新聞夕刊に連載され、多くの子供を含む幾百万の読者が、待ちわびて読むという社会現象を引き起こした。子どもを描いて社会にまで肉薄した作品
274.「一日一書」石川九楊、二玄社、4月17日                         *
 : 京都新聞に2001年1~12月に連載されたコラムに大幅に加筆。中国・日本の書を編集した「書の宇宙」全24巻からの引用
275.「北越雪譜」鈴木牧之編撰、岩波文庫、4月17日                    *
 : 北越の雪そのもの、雪に関係した出来事・生活などを取り上げる
276.「翻訳の技術」中村保男、中公新書、4月17日                      **  (6)
 : Ⅰ、翻訳とは何か:不即不離の原理、文学的効果の再現、対応ということ、Ⅱ、翻訳の実際
277.「中国笑話集」村山吉廣訳編、現代教養文庫、4月17日                *
 : 落語の元ネタである笑い話が多く収められている
278.「宴と日本文化」佐藤幹治、中公新書、4月18日                     *  (3)
 : 4つの視点: 1)聖俗論、非日常・日常論、2)二元論、3)祭儀と祝祭の両極論、4)贈与交換論。宴をめぐる日本文化論
279.「世事見聞録」武陽隠士、岩波文庫、4月18日                      ***
 : 江戸後期の世相(武士、農民、町人の内部矛盾・弊害)を鋭く分析、富の平等化と風俗の匡正を提言
280.「フォーストルール博士言行録」A・ジャリ、国書刊行会、4月18日
281.「国家の罠」佐藤優、新潮社、4月19日                           **  (8)
 : サブタイトル「外務省のラスプーチンと呼ばれて」。「国策捜査」の一環で鈴木宗男代議士と共に逮捕・起訴された著者のみた、日ロ関係・田中真紀子外相・外務省・検察・国家権力について語る
282.「白鹿原」上・下、陳忠実、中央公論、4月19日                      *
 : 清代末期から共産革命にいたる約50年にわたる西安郊外の村を舞台とした大河小説
283.「幻の公衆」ウォルター・リップマン、柏書房、4月20日                  *  (3)
 : 「輿論」の続編。「輿論」を神の声・社会の声でなく、行動を結果する私信ある者の声とする。公衆は調整できない危機があったときのみに介入し、問題の実際には触れず、調整を妨げる恣意的な力を中和する、という
284.「消費人類学」星野克美、東洋経済、4月20日                      ***  (14)
 : 近代の知を超える無謀な試み。混沌たる人間と文化の現象に、科学の方法で挑む。現象の深奥に秘められた、知られざる意味的世界の認識を極めること
285.「ヒューマニティーズ歴史学」佐藤卓己、岩波、4月20日                 *
 : 本書は著者の「メディア史家」宣言。「歴史学はどのようにして生まれたのか」「歴史を学ぶ意味とは何か」「歴史学は社会の役に立つのか」「歴史学の未来はどうなるのか」にこたえる本
286.「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」田中弥生、集英社、4月20日
 : 「非営利組織について私がドラッガーから学んだものを中心に記す」という内容で、タイトルは、内容と何の関係もないという不思議な本
287.「公共性の構造転換」ユルゲン・ハバ―マス、未来社、4月21日
288.「学問の下流化」竹内洋、中央公論、4月21日                       *
 : 「読者の心の旅行のささやかなガイドブックになれば、これにすぎる喜びはない」という
289.「社会史への途」竹岡敬温・河北稔編、有斐閣、4月22日                 *
 ; 第一部では、ヨーロッパ諸国における社会史の形成と発展の歴史をあきらかにし、第二部で、社会史のさまざまな領域における研究動向と問題を論じることを通して、改めて社会史への途を探ろうとした試み
290.「歴史をいかに学ぶか プルクハルトを現代に読む」野田宜雄、PHP新書、4月22日 ** (4)
 : 19世紀の歴史家プルクハルトは、20世紀の問題を予見し、「歴史は人生の教師である」と述べた。深い懐疑の精神に貫かれた歴史観が、危機の時代を乗り切る指針として価値を持つ
291.「李白」上・下、竹部利男注、岩波、4月23日                         **
 : 本書は約1000ある李白の詩の中から代表作約200を選んで収録
292.「タックスヘイブンの闇」ニコラス・ジャクソン、朝日、4月24日               **  (2)
 : サブタイトル「世界の富は盗まれている」。タックスヘイブンの起源・実態・その変遷・対応策などを豊富な取材で獲た情報で裏づけながら詳述
293.「戦後歴史学再考」歴史学研究会編、4月24日                        *  (10)
 : サブタイトル「「国民史」を超えて」。1999年度歴史学研究会全大会テーマ「再考・方法としての戦後歴史学」の報告とそれに対するコメントを収録
294.「歴史学ってなんだ」小田中直樹、PHP新書、4月24日                   **  (8)
 : 歴史学は歴史上の事実である「史実」にアクセスできるか、歴史学を知ることは役に立つか、そもそも歴史学とは何か、という三つの問題に答える
295.「新しい現代歴史学の名著」樺山紘一、中公新書、4月24日                *
 : サブタイトル「普遍から多様へ」。18名20冊の名著を紹介する
296.「笑いと異装」飯島吉春、海鳴社、4月24日
 : 「笑い」や「異装」の文化を探り、フォークロアのもつ豊かで多彩な世界を垣間見、民衆の知恵のもつ奥深さや普遍性の一端を紹介する
297.「族の系譜学」藤波功士、青弓社、4月24日                               (2)
 : サブタイトル「ユース・サブカルチャーズの戦後史」。11のユース・サブカルチャーズの成立・転形・消滅を描く
298.「移りゆく「教養」」苅部直、NTT,4月24日
 : 広い意味での「政治」にかかわる性格を入り口にしながら「教養」について語る。「政治的判断力」と「教養」と「日本の伝統文化」とのかかわりについて述べる
299.「文化人類学15の理論」綾部恒雄編、中公新書、4月24日                 *  (2)
 : 文化人類学の主だった15の学説をその分野の第一線で活躍している学者が執筆し紹介する。この本の特色は、多くの入門書がほとんど理論史に触れていないが、理論史にも触れている点
300.「終生ヒトのオスは飼わず」米原万理、文春文庫、4月24日
 : 2007年5月発行の単行本の文庫化
301.「他諺の空似」米原万理、光文社文庫,4月24日                        *
 : サブタイトル「ことわざ人類学」。2006年発行の単行本の文庫化
302.「学歴・階級・軍隊」高田理恵子、中公新書、4月25日
 : サブタイトル「高学歴兵士たちの憂鬱な日常」
303.「教養のためのブックガイド」小林幸夫・山本泰編、東大、4月25日             *
304.「野望としての教養」浅羽道明、時事通信、4月26日                      **
 : 本書のベースとなったのは、法大社会学部での1996年度「社会史講義」全26回
305.「国家像・社会像の変貌」歴史学研究会編、4月26日
 : サブタイトル「現代歴史学の成果と課題 1980-2000年」Ⅱ
306.「歴史学のスタイル」成田龍一、校倉書房、4月26日                      **  (7)
 : 「民衆史研究のただ中で日本史研究の<スタイル>、作法を学んでいった私にとり、その民衆史研究の歴史的位相を問うことが現在の問題関心の中心にあり、そのための周辺のあるいは予備的考察として本書に収録した論稿は位置づけられるだろう」という
307.「ニュー・ヒストリーの現在」ピーター・バーク編、人文書院、4月26日            *  (12)
 : この書物は、ニュー・ヒストリーとは何か、それはどのように新しいのか、それは長期的動向なのか、それは伝統的な歴史学にとって代ろうとしているのか、について述べたもの
308.「農民の愛と性」J・L・フランドラン、白水社、4月26日
 : 本書では、「愛と性」を扱う方法の新しさ、社会集団の習俗やイデオロギー的構造、社会組織、物質文化などの内に存在していたはずの特別の関係を理解することに力を注ぐ
309.「まな板文化論」江原恵、河出書房、4月27日                           *
 : 食べることが、同時に批評することであり、創造であるような生活こそ、変革期食事文化の指導理念であらねばならない。そのためにこそ、過去の権威にすがる「伝統」を破壊しなければならないのである、という
310.「HAPPYなくらしの120冊」3、札幌エルプラザ情報センター、4月27日
311.「誰も書かなかった 世界経済の真実」浜矩子、アスコム、4月27日
 : サブタイトル「世界経済は再び切り刻まれる」
312.「その未来はどうなの」橋本治、集英社新書、4月27日
 : 「今の世の中のあり方がよくわからない」から出発して「そうか、そのように分らなかったのか」をゴールとして書かれた本
313.「オクサ・ボロック」1.希望の星、アンヌ・プリショタ、サンドリーヌ・ヴォルフ、西村書店  **
 : 全6巻+外伝。フランスの図書館司書が自費出版したところ、若者を中心に爆発的人気を博し、27か国で出版される世界的ベストセラーとなっているファンタジー小説
314.「螺旋の神秘」イメージの博物誌7、ジル・パース、平凡社、4月27日             *
 : サブタイトル「人類の夢と怖れ」
315.「イメージと人間」藤岡喜愛、NHKブックス、4月27日
 : サブタイトル「精神人類学の視野」
316.「ヤーコブ・プルクハルト」カール・レーヴィット、みすず、4月28日                *
 : プルクハルトをニーチェ、ヘーゲル、キュルケゴールとの比較に置いて描き出す歴史的名著
317.「プルクハルト史学と現代」仲手川良雄、創文社、4月28日               ** (23)
 : 今日、プルクハルトは、文化史家、美術史家としての面よりも、歴史省察者・時代判断者に重点をおいて見られている。本書も「世界史的考察」に重点を置きプルクハルトの業績に迫る
318.「世界史的諸考察」プルクハルト、二玄社、4月28日                   *  (1)
 : プルクハルトの歴史哲学的名著の翻訳。1968年、1970-1年の冬学期の「歴史の研究について」の講義を、死後に編集して刊行
319.「フランスの家族」J・L・フランドラン、勁草書房、4月28日                *
 : サブタイトル「アンシャンレジーム下の親族・家・性」。16~7世紀のフランスの家族についての私たちの認識の刷新をはかる
320.「学歴貴族の栄光と挫折」竹内洋、中央公論、4月28日
321.「失われた範列」エドガール・モラン、法大、4月28日
 : 諸学を結集し、それを超えた学際的な根拠に立って書かれた「人間とは何か」を問う書
322.「本の運命」井上ひさし、文芸春秋、4月29日                        **
 : 自伝的に語る本との運命的出会い、そして買い集めた13万冊の本の行方
323.「鶏が鳴く東」ことばの旅1、斎藤たま、新宿書房、4月29日               *
 : 「ことばの旅」の30年ぶりの再版
324.「ムスリムの女たちのインド」柴原三貴子、木犀社、4月29日
325.「笑府」上・下、馬夢竜撰、岩波文庫、
    計 325タイトル、398冊、情報カード955ページ作成