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第三回「タイの地産地消ネットワーク」

 第三回は、「タイの地産地消ネットワーク」が、テーマ。
 まず、歴史的背景として、1961年に42%あった東北タイの森林率は1998年に12%に低下、農村の自己完結の崩壊がおこり、輸出を念頭に置いた換金作物の導入により農村が貨幣経済にまきこまれ、歴史的には豊かだった農村が借金を抱え貧しくなっていっているという状況がある。
 今回はこうした状況を打開するための活動として二つの事例紹介が行われた。
 一つは、タイ東北部の農村での「地場の市場づくり」であり、もう一つがカラシン県プアカーオ市の生ごみ収集し堆肥化する「レインボープラン」である。
 第三回:講師: アジア農民交流センター(AFEC)松尾康範氏、2006年6月27日

 「地場の市場づくり」は、換金作物の導入は当初利益をもたらすが、世界的レベルでの競争が始まると価格の急激な低下が起こり借金を抱えるようになったことと農村でも野菜等のかなりの部分を他所から買っているという事実に注目し、自分たちで消費する作物は自分たちで作り地域で消費するため、「むらとまちを結ぶ直売市場」を開催し、安定した食と農業を自分たちで作り出そうという運動である。
 この運動は、タイの農民運動家ヌーケン・チャンターシー氏が日本の地産地消運動にヒントを得、帰国後自分の村で農家直営の朝市を開催、これを日本国際ボランティアセンター(JVC)が1999年からプロジェクトでサポートし運動の拡大と定着をはかっているものである。
 「レインボープラン」は、山形県長井市の生ごみ堆肥化事業。およそ31000人の長井市は、消費者から見るとコメを除く青果物の自給率が5%しかなく、一方農家側からいうと堆肥を作りたくてもその資源がないというニーズから生まれ、市民が行政を巻き込んだ事業として注目されている。
 カラシン県プアカーオ市の「レインボープラン」は、この長井市の事例を参考に2002年から実験的に始まり、他地域にも波及している。
* 独断と偏見
 ・ 今回のプレゼンは、二つの意味で分かりずらかった。
 一つは、「地産地消」の基本理念と将来ヴィジョンである。具体的には、この地産地消運動の市場経済との対比での位置付けである。これは、講師が説明しなかったのではなく、この運動自体が突き詰めていないのではないか、また、これが将来目ざす方向に触れられなかったことにつながっているのではないかと推測した。
 もう一つは、「地産地消」のケーススタディであるが、これが今回の目玉なのだが、定性的な話がほとんどで今ひとつクッキリとイメージが湧かなかった。その村の換金作物導入前の生産作物の種類・量、それが換金作物導入後どう変化し、何が問題として出てきたのか、そしてそれが「地産地消」運動の展開によりどう変化し、何が改善され何が問題として残っているのか。それらを踏まえ、将来に向け何をしようとしているのかを、定性的・定量的に説明してもらいたかった。

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