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2012年01月09日

2012年読書目録

1.「シドモア日本紀行」E・シドモア、講談社学術文庫1月2日  **
 : 維新期に始まる明治時代の日本紀行記。この本の特色は、1)日本のみでなく西洋、東洋を知り尽くし  た著者が、2)深くかつ温かい視線で、3)清潔・美的・繊細・明るい面とその反対面も併せ持つ日本人の  特徴を、4)当時の様子が眼前に彷彿とする筆力で描いたところにある
2.「百代の過客」ドナルド・キーン、朝日新聞、1月3日  *
 : サブタイトル「日記に見る日本人」。838年の円仁に始まり1854年の川路聖護の日記に終わる千年  余りにわたり日本人の日記の歴史を探り日本文学の特色に迫る。その結論として、他国に例を見ない   ほど日記を重んじるのは、理性の表現よりも個人・感情の表現を重んじる日本文学の特色によるという

3.「東アジア共同体と日本の針路」伊藤憲一監修、NHK,1月4日  **  (8)
 : 「東アジア共同体」をめぐる議論の歴史から東アジア共同体確立に向けた政策提言に至るまでを網    羅、この一冊で「東アジア共同体」についての基本知識を得ることができる
4.「リオリエント」アンドレ・グンダー・フランク、藤原書店、1月4日  ***  (22)
 : 従来の西欧中心主義の通説「資本主義は進歩したヨーロッパのみに起こり、アジア的停滞の遅れたア  ジアには起こらなかった」を豊富な資料に基つき真っ向から否定する。1400~1800年代を中心に分  析、世界の歴史で資本主義の勃興は産業革命のはるか以前にあり、そこで質的にも量的にも圧倒的な  主導権を握っていたのはアジアであり、西欧が勝利したのは直近の短期間にすぎず、現在は主導権が  再びアジアに戻る途上だと見れると主張
5.「挫折の昭和史」山口昌男、岩波、1月4日
 : 日本近代で政治的に敗北したか、近代の隊列から横へ足を踏み外した人物たちの中に日本人の生き  方のもう一つの可能性を探り出せる鍵があるのではないかという観点で綴られた「挫折の昭和史」
6.「歴史の起源と目標」ヤスパース、理想社、1月4日  **  (24)
 : 「リオリエント」の著者がコメントすれば「最も良くかけた西欧中心主義(西欧唯一・例外主義)・進歩主   義」ということになるだろう
7.「埋もれた巨像」上山春平、岩波、1月4日  *
 : 8世紀初頭、大宝律令、平城京、日本書紀(正史)という三大モニュメントの制作主体として藤原不比等  を挙げるという大胆な仮説を提案。「政治にかかわるということは悪魔と手を握ることに他ならぬ」という  視点から不比等を抜群の政治的力量の持ち主と断定する
8.「神々の体系」正・続、上山春平、中公新書、1月5日  (8)
 : 「記紀」のイデオロギーは、大化改新以降の天皇家の復権、天武・持統による父子皇位継承の正当化  を狙ったものであると同時に、不比等による藤原家の指導権確立のための基本条件整備を図ったもの  であると主張
9.「NARASIA 日本と東アジアの潮流」松岡正剛編、丸善、1月5日  **
 : この一冊で日本・奈良・東アジアが見えてくる。「いま何を構想するべきか」「奈良と東アジアを編集す   る」「日本と東アジアの1300年を見る」「日本と世界の未来を感じる」で構成
10.「神・泥・人」甲斐大策、石風社、1月5日
 : サブタイトル「アフガニスタンの旅から」。20年以上にわたって度々訪れたアフガニスタンでのエピソー  ドを描く。文字数は少ないが、作者の書いたスケッチの味わいもあり、人々との触れ合いが生き生きと   伝わってくる。
11.「餃子ロード」甲斐大策、石風社、1月5日
 : カブール、ペシャワール、西安、洛陽、サマルカンド、カシュガル、玉門、北京、大連をめぐる
12.「文化と社会」レイモンド・ウィリアムズ、ミネルヴァ、1月6日
 :1968年出版の復刊。著者はカルチュラルスタディーズの大先達。「文化の観念、この言葉の現在の一  般的用法が、イギリス人の中に根をおろすようになったのは、産業革命以後である。本書はこのような   変化が、なぜ、どのようにして起こったのかと、その後の発展を追跡する。この案内図をつくるためのキ  ーポイントは、1)インダストリー、2)デモクラシー、3)クラス、4)アート、5)カルチャアである
13.「アイデンティティと共生の哲学」花崎皋平、筑摩、1月6日  **  (32)
14.「個人/個人を超えるもの」花崎皋平、岩波、1月6日  (2)
 : 最終的な拠りどころであるはずの「個」の揺らぎを、情報化、多文化主義、生命、ジェンダー、実存的自  覚、超越などを基軸として考える
15.「読み書き能力の効用」リチャード・ホガード、晶文社、1月6日
 : 「労働者階級」が読み書き能力をつけることによって、1950年代末のイギリスの状況・階級文化の伝  統的形態は、より貧しい階級のない置き換えられた。
16.「中国の地の底で」鄭義、朝日新聞、1月6日  *
 : 著者は中国民主化運動の指導者の一人で、天安門事件後指名手配された。本書は農村を流浪する   逃亡中に、獄につながれた妻にあてた11通の手紙という形式で自分の生い立ち、文化革命の本質、自  分の闘いについて述べたもの
17.「打ちのめされるようなすごい小説」富岡幸一郎、飛鳥新社、1月7日
 : 昭和~平成にかけて日本語で書かれた小説の中から、読者を圧倒し、打ちのめし、衝撃と感動を与え  るであろう作品を50篇選び出し、紹介・批評したものである。衝撃力・構想力・文章力・浸透力の4項目  を5段階評価
18.「日本語を書く部屋」リービ英雄、岩波、1月7日  *
 : 日本語を母国語としない「日本文学研究者」にとって、日本語で書くことは超えてはいけない一線。日   本語で書くことは、「外」からでなく「内」から日本語の世界を体験することであると考え、「日本語を書く   部屋」を東京に持つことにしたとのイントロにはじまり、日本を根城に中国に出入りすると、漢字のみ使   用の中国と漢字に仮名交じりの日本の微妙な違いが体感できるという
19.「田中正造の生涯」林竹二、講談社現代新書、1月7日  *
 : 足尾鉱毒事件解決をめざし衆議院で10年間孤軍奮闘したが議会・政府を動かすことはできず、次に   谷中村滞在闘争に参加、一生を農民とともに足尾闘争にささげた田中正造の一生を描く
20.「由ヒ」李良枝、講談社、1月7日  *
 : 在日朝鮮人である作者が、在日の主人公が韓国に留学、下宿するという設定で、朝鮮人でありながら  の「嫌韓」と朝鮮人である叔父の「嫌日」を描く
21.「日々の絶筆」井上有一、芸術新聞、1月8日  *  (3)
 : 「書とは文字を書くという場で、なにものにも束縛されない本当の自己の生命を、動きとして表現した時
  にそこに定着された形をいうものです。」職業書家になることを嫌い、定年まで教師の職を全うしながら、  書家として停滞を嫌い革新・創造し続けた井上有一の全文集
22.「ジョン・ランプリエールの辞書」ローレンス・ノーフォーク、創元社、1月8日  **
 : 仕掛けの多重性に圧倒される小説。エーコ+ピンチョン+ディケンズ+007
23.「楽しみの社会学」M・チクセントハイ、施策社、1月9日  ***  (29)
 : サブタイトル「倦怠と不安を超えて」。従来の心理学の問題は、「仕事」は苦、「遊び」は」楽しみと考えた  ところにある。「仕事」のなかにも至高体験を見出す人がいることを発見したマズローは、どうしたら至高  体験に至れるかについては何も語らなかった。著者は「楽しみ」を感じられるかどうかは、「フロー体験」  を経験できるかどうかによるという。そのカギは「内発的動機付け」にあり、「外発的動機付け」では「遊   び」も苦と感じると主張
24.「瞬間の君臨」ポール・ヴィリリオ、新評論、1月9日  *  (8)
 : サブタイトル「リアルタイム社会の構造と人間社会の構造」。根源的な科学批判。道具を使う人間の到  達した場所とは、いったいいかなる所なのか?「科学技術」の根本に横たわる問題、科学そのものに内  在する思想の問題を真正面からとらえた書
25.「情報化爆弾」ポール・ヴィリリオ、産業図書、1月9日
26.「火星年代記」レイ・ブラッドべり、早川、1月9日  *
 : 1950年に発表されたブラッドべりの出世作。詩人とモラリストのイマジネーションを混ぜ合わせたSF   という評価が定着。人類に対する警告の書でもある
27.「華氏451度」レイ・ブラッドべり、1月9日  **
 : 451度は本に火が付き燃え上がる温度。焚書官の主人公が本を読みたいという欲望を抑えきれなく   なり逮捕・処刑されかかる。社会にかけているものは、1)ものの本質をつかむ知識、2)それを消化する  閑暇、3)学んだことを正しい行動に移す力だという。読書は1)に役立つという
28.「記紀覚書」梅原猛、集英社、1月10日
29.「時間について」ノベルト・エリアス、法大、1月10日  *  (20)
 : 古代以来幾多の哲学者(ニュートン、デカルト、カント、ベルグソン、ハイデガー)が考えに考えて、なお  考えていなかった、社会学的、それも発達社会学的な方法による時間論の嚆矢である
30.「不合理ゆえに吾信ず」埴谷雄高、月曜書房、1月10日
31.「ヴァリス」ピリップ・K・デイック、創元推理文庫、1月11日  **
 : VALIS=Vast Active Living Intelligent System.デイック晩年の代表作。「種々の生活が究極  的に<唯一者>と同形になるまで進化することが、唯一者の目的であった。」「しかし、記憶回復の欠陥  によりこれができなくなった。この<忘却の喪失>による<救済>が必要であり、それを試みているの   がVALISである」
32.「聖なる魂」森田ゆり、朝日新聞、1月11日  *
 : サブタイトル「現代アメリカ・インディアン指導者デニス・バンクスは語る」。バンクスの生い立ちから始ま  り、インディアンとしての誇りに目覚め数々の闘争を組織し、度重なる逮捕・裁判を乗り越えて先住民の  権利を回復していく過程をえがく
33.「太陽の都」カムパネルラ、岩波文庫、1月11日
 : 「太陽の国」というユートピアを描く。細かく定められた秩序によって、万人の幸福が整えられるという、  トーマス・モアと対極をなすユートピア
34.「希望の原理」1~3、ブロッホ、白水社、1月11日  *  (13)
 : 数々の希望を網羅した「希望の大辞典」
35.「<意>の文化と<情>の文化」王敏編著、中公叢書、1月12日
 : 「トレンディドラマと村上ワールド」「ブックロードを訪ねて」「和物の起源を求めて」「「中国人の日本観 を 見る」「政治と宗教をめぐって」「日本語の面白さ・難しさ」「日本文化研究の新展開」。
36.「無為の力」河合隼雄、谷川浩司、PHP,1月12日  *  (4)
 : サブタイトル「マイナスがプラスに変わる考え方」。谷川は「棋士は<勝負師><芸術家><研究者>  の三つの部分ををバランスよく持つ必要がある」という。河合は「それは、良き心理分析家にも求められ  る」と受ける。
37.「実存から実存者へ」E・レヴィナス、講談社学術文庫、1月12日  (2)
 : ヨーロッパにおいてユダヤ人であるという脆弱な運命と生きながら、いかなる絶望やニヒリズムとも無   縁に、「善」へと向かう思想をなやむことなく、忍耐強く鍛え続けた、幻想なき希望の哲学者
38.「古代研究ー国文学篇」折口信夫、中公文庫、1月12日
 : 国文学の発生、短歌本質成立の時代、女房文学から隠者文学へ、万葉集研究など
39.「古代研究ー民俗学篇」1・2、折口信夫、1月12日
 : 古代生活研究(常世の国、)、水の女、盆踊り、翁の発生、村々の祭り、霊魂の話、河童の話、古代人  の思考の基礎など
40.「政治的創造力の復権」武藤一洋、お茶の水書房、1月13日  (4)
 : 1980年代後半に書かれた論文を一書にまとめたもの。「平和と民主主義」ではない反帝国主義的民  衆的国際連帯の機軸を立て共同闘争を組織するための理論を提唱
41.「異質との共存」尹健次、岩波、1月13日  *  (4)
 : サブタイトル「戦後日本の教育・思想・民族論」。在日を視座として、異質を差別・抑圧し続けている日   本はいったいいかなる社会かを、主として戦後日本の教育・思想・民族の問題を取り上げて検証
42.「コミュニティ・ソルーション」金子郁容、岩波、1月13日  **  (8)
 : 「ヒエラルキー・ソルーション」は大きなコストがかかり、「マーケット・ソルーション」では望ましい解決法  が提起されない問題に対し、「コミュニティ・ソルーション」の有効性を提唱
43.「日本語が亡びるとき」水村美苗、筑摩、1月13日  *
 : サブタイトル「英語の世紀のなかで」。「<国語>というのは<普通語>からの翻訳という行為によって  生まれる」。「だが英語が<普通語>になったことによって、英語以外の<国語>は文学の終わりを迎  える可能性が本当にでてきたのである。古典とのつながりを最低限に保つ。<国語>の運命。そしてそ  の<国語の祝祭>である<国民文学>の運命。それは、国民がその<国語>とどう向き合うかをもっ  て、この先酷いほど明暗を分けるであろう。」という
44.「江漢西遊日記」司馬江漢、法蔵館、1月13日
45.「売茶翁手記」高遊外、法蔵館、1月13日
46.「改元紀行」太田南畝、法蔵館、1月13日
47.「壬戊紀行」太田南畝、法蔵館、1月13日
48.「連塾方法日本Ⅲ フラジャイルな闘い」松岡正剛、春秋社、1月14日 ** (9)
 : 第七講、第八講をまとめたシリーズ最終巻。正剛節快調にますますヒート・アップ
49.「罪悪感の現象学」久重忠夫、弘文堂、1月14日  88)
 : サブタイトル「「受苦の倫理学」序説」。
50.「自叙伝」1~5、河上肇、岩波文庫、1月15日  *
 : 「自伝」の傑作として名高い。率直な語り口でその人柄にグイグイ引き込まれる。自己の本質を「時間   がかかっても、物事の本質を突き詰め、一旦あることが正しいと信じたら、誰が何と言っても、揺らぐこと  なく、損得を忘れて、それを愚直に・徹底的にやり抜く」といい、正にそのとうりの生き様を記録
51.「文学に現れたる国民思想の研究」津田左右吉、岩波、1月15日  *
 : 「思想」で意味するのは、思惟せられたものを指すだけではなく、生活気分・生活意欲もふくめた幅広   いもの。国民思想を政治・道徳・宗教・人生観・文化・文学・恋愛観・自然観で記述
52.「法然の編集力」松岡正剛、NHK,1月16日  **  (8)
 : 法然の革新性は、「南無阿弥陀仏」の6文字に諸法典を凝縮、「専修念仏」すれば救われると提唱した  ところにある。万巻の経典を読みつくした法然が、阿弥陀の本願を信じる「浄土門」を選び「乱想の凡夫」  として念仏に専念するしかないという究極の選択=編集をしたからに他ならない
53.「風はおのが好むところに吹く」花崎皋平、田畑書店、1月16日
 : 札幌べ平連、伊達火力発電所建設阻止の闘いをエッセイに「弁証法的自然などを加えたもの
54.「記憶の場」1・3、ピエール・ノラ編、岩波、1月16日  *  (16)
 : サブタイトル「フランス国民意識の文化=社会史」。原典は1984~92年にかけて全7巻130編から   なるが、日本語版は3巻31編に縮刷された。本書の企画はノラが単独で行い、企画の意図は、従来の  テーマ別的で年代記的な方法とは違った方法でフランスの国民感情を研究すること。「共和国」「国民」  「さまざまなフランス」の3部構成
55.「文学に現れたる国民意識の研究」5、津田左右吉、岩波、1月18日
 : 最終巻。幕末から明治憲法制定までを描く。政治道徳中心で、宗教や文学については章をなすに至ら  ず
56.「ソ連邦沿海州で考えたこと」柴谷篤弘、阿吽社、1月18日
 : ソ連邦沿海州(歴史、蝶、生物多様性)、自然・生物・人間(機械論・還元主義批判)、オーストラリア事  情報告
57.「大菩薩峠」1~10、中里介山、筑摩、1月19日  **
 : 1912年~41年の29年間にわたり執筆され未完で終わった大長編小説。勝手に時代劇小説と思い  込んでいたが印象は大いに異なり驚かされた。まず文体。優しい口語体で今読んでも違和感が全くない  斬新さ、言葉数・形容詞は多くはないが状況がくっきり浮かぶ読者の想像力を喚起する。また内容も、   幕末から維新期の国内外の政治状況、民情、文化、技術、芸術、地理・風土など当時の時代・社会全   般にわたる情報を小説の中に埋め込んでいる
58.「明治天皇」上・下、ドナルド・キーン、新潮社、1月20日  *
 : 「伝記作者の務めは、その対象を眼前に蘇らせることにある」というジェームズの言葉を引用し叙述を  始める。日本人では書けなかった明治天皇の人となりとその時代を蘇らせる
59.「曲亭馬琴日記」1~4、滝沢馬琴、中央公論、1月20日
 : 毎日の天気、著述の原稿・校正・出版の進度、来客・手紙の往来、商人・職人・物・金の出入り、世間   の動向(事件、火事など)、読書、食べ物、行事など多岐にわたる内容を簡潔に記す。馬琴の行動を知   るための資料にとどまらず、当時の生活・世情を知る上でも貴重な資料
60.「訓訳 南淵書」権藤成卿、黒色戦線社、1月21日
 : 古の碩儒南淵靖安が天智天皇の下問に奏対せしもので、簡にして本義を尽くすので紹介するという序  文で始まる
61.「絹と明察」三島由紀夫、講談社、以月21日  *
62.「愛と幻想のファシズム」村上龍、講談社、1月22日  ***
 : 1984年1月~86年3月にかけ「週刊現代」に連載された小説の単行本化。狩猟ハンターの主人公冬  二がアメリカ・ソ連政府も動かし世界支配を目指す世界トップ200企業の結成した「ニュー・セブン」にス  ケープゴートとしての標的にされ円は500円を超え暴落、外貨枯渇、食糧輸入も絶え飢餓に陥るという  状況に対し「狩猟社」を結成、閉塞状況の中で希望・誇りを失った国民の支持を広げ、二段クーデターな  どを経て見事に日本の窮状を救うという、一見荒唐無稽に見えるストーリー。リーマンショック・欧州債務  危機・福島原発事故などを経験し、政治家・官僚・マスコミ・知識人・労働組合等の「平和/民主主義ボ  ケ」し危機管理能力を失った日本の弱点を痛感させられた現在、迫真のリアリティーを持つ力作
63.「ザメンホフ」伊東三郎、岩波新書、1月23日  *
 : エスペラント=希望するもの。言葉は単なる技術・手段ではなく、人間の生命そのものであるし、友愛と  正義、人類の幸福を生み出すものであるという信念にたち、ユダヤ人として経験した差別もバネに単一  言語の必要を主張、自らエスペラント語を開発したザメンホフの物語
64.「楢山節考」深沢七郎、新潮文庫、1月23日  **
 : 話の筋は知っていても、実際に読むとその迫力に圧倒される名作
65.「火山島」1~7、金石範、文芸春秋、1月24日  *
 : 1976年2月~1995年9月まで5年間の中断をふくみ足かけ20年にわたり連載された小説の単行本  化。1948年の済州島4・3事件事件直前からの約1年間を描く。アメリカが強行した「南」の単独選挙・  単独政府樹立反対の民衆の蜂起である「4・3事件」を「親共反国」と規定し未曾有の大虐殺が行われた  が、事件は歴史の暗黒の中に埋められた。この事件の「解放」なしに、韓国社会の本当の「解放」はない  という、考えが執筆動機。文体のせいもあり7巻の大長編となっているが、三分の一程度に圧縮したほ  うがテンポよく読めるのではとの印象
66.「杏っ子」室生犀星、新潮社、1月24日  **
 : 「本篇をよくほぐして見れば、およそ200篇ぐらいの短篇が群密をつくり、女の半生というのもつまびら  かに描写されている筈であり、私の文学の過ぎ越しがここにそのあけくれを集成しているわけである」と  作者は「あとがき」で述べる
67.「品格と色気と哀愁と」森繁久彌、朝日、1月24日  *
 : まさにタイトルどうりの森繁久彌の交遊録エッセイ。圧巻は冒頭の勝新太郎との付き合い
68.「摩訶止観」新田雅章、大蔵出版、1月25日  *  (16)
 : 天台大師智顗の思想の核心部分はいわゆる「天台三大部」と言われているが、それを代表するのが   「摩訶止観」であるが、その内容は極めて難解であるため正確な理解が困難。そこで膨大な「摩訶止観」  の中の最重要部分を抜粋し、原典の紹介とその解説を行ったのが本書
69.「耳の物語」開高健、新潮社、1月25日
 : 自伝的小説。内容的にはほとんど他の本に書いているため、目新しさはない
70.「楡家の人びと」北杜夫、新潮社、1月25日  *
 : 北杜夫の代表的長編小説。明治・大正・昭和の戦後に至る50年以上にわたる楡家の三代にわたる歴  史を通じて人々の生き様・時代の変化を描く
71.「パノラマ島奇談」江戸川乱歩、桃源社1月25日  *
72.「人間椅子」江戸川乱歩、桃源社、1月25日  *
73.「日本の耳」小倉朗、岩波新書、1月25日  *
 : 「民族はその耳にふさわしい音を選びながら、おのずから固有の音の世界を形づくっていく。」「日本の 耳には、抑揚の節約によって、おのずから音による形成に出会っていた耳と、他方には、言葉を情緒的 対象てして捉え音においても主情的に解いていた耳の二通りの形がある。」という
74.「西欧の衝撃と日本」平川祐弘、講談社学術文庫、1月27日  *
 : 従来の歴史学の一国縦割り、戦後の「科学的歴史記述」派の跋扈の中では、本当の歴史は描けない  との問題意識のもと、「比較文化史」的観点で、原典を味読して、16世紀以降の西洋の衝撃に東洋(日  本)がいかに対応したかを記述した、新たな歴史学の地平を切り開いたと著者が自負する力作
75.「神州纐纈城」国枝史郎、六興出版、1月27日
 : ある夜買った紅巾(人血で染めた)の祟りで、主人公の土屋庄三郎の身の上に幾多の波乱が生じる。  富士山中の纐纈城、富士教団を舞台に物語が展開する時代小説
76.「狂人日記」色川武大、福武書店、1月27日
 : 本書のカバーに採用された有馬忠士さんの絵に触発されて書かれた小説
77.「幻燈辻馬車」山田風太郎、新潮社、1月27日  *
 : 孫のお雛を御者台に乗せた千兵衛の親子馬車にのる客を登場人物に数編の話が展開する明治の時  代小説
78.「アマテラスの変貌」佐藤弘夫、法蔵館、1月27日
 : サブタイトル「中世神仏交渉史の視座」
79.「<日本人>の境界」小熊英二、新曜社、1月28日  *
 : サブタイトル「沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮植民地支配から復帰運動まで」。同化/漸化/多元主義、差別  /平等、排除/包摂を切り口に過去の沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮政策が矛盾に満ち不徹底であったこと   を指摘
80.「法然の衝撃」阿満利麿、人文書院、1月28日  *  (4)
 : 法然の革命性: 「阿弥陀の本願という救済原理にもとづく専修念仏」の提案、すなわち苦行主義・作   善主義からの決別にあると指摘
81.「法然」町田宗鳳、法蔵館、1月28日  **
 : サブタイトル「世紀末の革命者」。親鸞の最大の貢献を法然の豊かな想像力に裏付けられた体験によ  り到達した仏教革命を論理化したことにあると評価しつつ、法然と親鸞の本質的相違を、1)宗教的動   機: 社会的/人間的レベルの死VS自己の内奥の一切の罪と悪の根源としての無明、2)往生観: 肉  体の死と究極的な死の重ね合わせVS臨終来迎の否定、3)念仏観: 臨終の最後まで称名(念仏)を実  践すべきVS一念義(一回の念仏)
82.「法然対明恵」町田宗鳳、講談社、1月29日  **  (9)
 : サブタイトル「鎌倉仏教の宗教対決」。明恵の「生の座標軸」(この世の生に積極的な価値を見出そうと  する現世主義)と法然の「死の座標軸」(死の向こうのあの世の平安こそ真実なものとみる来世主義)。  中世日本という枠組みを超えて、あらゆる宗教が普遍的に抱える根源的な問題に深くかかわる。キリス  ト教との対比では、法然=ルター、親鸞=カルヴァン、明恵=フランチェスコと位置付ける
83.「選択本願念仏集」法然、春秋社、1月29日  *
 : 九条兼実の要請により、法然が口述したものを弟子が執筆したもので、法然唯一の著作であり、浄土  真宗の考えの基本を述べる。
84.「われ逝くもののごとく」森敦、筑摩書房、1月29日  *
 : 森敦の大作。日本文学において特異な輝きを放つ。文学は文字化された声から普通出発するが、「わ  れ逝くもののごとく」という意味を形作る以前の「響き」がこの作品の源泉をなす
85.「記憶の場」2、ピエール・ノラ、岩波、1月29日
 : 「フランス国民意識の文化=社会史」シリーズ第二巻<統合>。1)シンボル(三色旗、国歌、パンテオ  ン)、2)神話(7月14日、革命100年祭)、3)国民化と文明化(巡歴、歴史教科書)で国民統合が図ら   れた歴史を描く
86.「阿闍世コンプレックス」小此木啓吾編、1月29日
 : 約70年前に平澤平作が提出した仮説「東洋には、フロイトの提起した父と息子との葛藤=エディプス・  コンプレックスとは異なる母と息子の葛藤=阿闍世コンプレックスがある」をフォローし、仏教経典の理   解を深め、また精神療法の臨床例も合わせ、「阿闍世コンプレックス」の存在を理論的・実践的に証明す  る
87.「<歴史>はいかに語られるのか」成田龍一、NHK,1月30日
 : サブタイトル「1930年代「国民の物語」批判」
88.「フーシェ革命暦」Ⅰ・Ⅱ、辻邦生、文芸春秋、1月30日  *
 : 「文学界」に1978年1月から1989年4月まで足かけ12年にわたり連載された小説の単行本化。    色々な要因が複雑に絡み合い分かりにくいフランス革命をフーシェの眼を通して解きほぐそうとする意   欲作
89.「フランス革命の文化的起源」ロジェ・シャルチェ、岩波、1月30日
90.「浦島草」大庭みな子、講談社、1月31日  ***
 : 実に巧みに考えられた物語構成で人間の本質に迫る。人間のエゴ・献身、性、死、血のつながりと環   境(家族とは)、日本人・アメリカ人・ヨーロッパ人・混血。稀に見る質の高い小説
91.「波うつ土地」富岡多恵子、講談社、1月31日
92.「人間と文化の研究」石田英一郎、文芸春秋、1月31日
 : 「文化人類学ノート」「桃太郎の母」「文化人類学序説」「東西抄」「人間を求めて」の5冊のなかから選   んだ論文集。
93.「科学文明の暴走過程」吉岡斉、海鳴社、1月31日
 : 「現代科学批判のための体系的枠組みを構築することが本書の目標である」という。この目標は明ら   かにまったく未達である。こんなレベルのものを出版する編集者は何をしているのだろう
94.「伝統と断絶」武智鉄二、風塵社、1月31日
 : 歌舞伎・能狂言・日本舞踊・役者とその演技論を通じて伝統の継承と断絶を論じる
95.「いま自然をどう見るか」高木仁三郎、白水社、1月31日  *
 : 全体的な内容のバランスがよくとれた本。1985年発行という時代の制約もあり、その後の状況変化   の反映並びに歴史的振り返りで非西洋としての東洋・インデイアンの自然観の追加・二つに分裂したヒ  ューマニズムをどう調和させるかなどを補強した続巻の発行が望まれる・
96.「さい邪論(抄)」明恵、中央公論、2月1日  *
 : 法然の「選択本願念仏集」にたいする反論の書。法然の主張は、1)菩提心を捨てる過失、2)聖道門   を群賊に譬える過失を有し、誤っていると主張
97.「KOJIKI]Donald・L・Philippi、University of Tokyou Press、2月2日 **  (1)
 : 「古事記」の英訳書。本文と同じページにのせてある注が豊富で分かりやすい
98.「中世の真実」阿満利麿、人文書院、2月3日  **  (8)
 : サブタイトル「親鸞・普遍への道」。
99.「宗教の深層」阿満利麿、人文書院、2月3日  *  (9)
 : サブタイトル「聖なるものへの衝動」。「たましい」を中核におく民俗宗教>と漱石や清沢満之の理知的  求道、その間に本居宣長の世俗化論をおいた本書は、現代における宗教的求道がどのような形で存在  し、どのような課題を持っているかを示す
100.「古代中国から近代西洋へ」平川祐弘、竹山護夫、名著刊行会、2月3日
 : サブタイトル「明治日本における文明モデルの転換」。
101.「解放の神学」G・グティエレス、岩波現代選書、2月3日  *
 : 貧しい人・悲惨と不正に苦しむ人との連帯により、不正の根絶と新しい社会の建設を目指す解放の神  学は、ラテンアメリカ教会の正当性を示す使命であると述べる
102.「適応の条件」中根千枝、講談社現代文庫、2月3日
 : サブタイトル「日本的連続の思考」。国際化にともない海外で仕事をする日本人が増えているが不適応  が多い。<タテ>の原理ウチからソト<連続>の思考がそこにはある
103.「日本の面影」ラフカディオ・ハーン、角川文庫、2月3日  **
 : 「怪談・奇談」の姉妹篇で、随筆・紀行・小品で日本の美しい自然・風物・習俗・世態人情などの代表作  23編を収録。「日本人の微笑」が日本人の深い理解を示すものとして出色
104.アニマル・ロジック」山田詠美、新潮社、2月4日  **
 : 美貌の黒人主人公ヤスミンがニューヨークを舞台に関わる人々との交流をつうじ、セックス(ヘテロ・ホ モ)、生と死、人種、家族、エゴと利他などで人と人との繋がりと断絶を描き、人間とは何かを問いかける
105.「進歩がまだ希望であった頃」平川祐弘、新潮社、2月4日  *
 : サブタイトル「フランクリンと福沢諭吉」
106.「開国の作法」平川祐弘、東大出版会、2月4日
 : 「第三の開国」を迫られている時代背景をふまえ、国際間の付き合いは人間の顔の見えるものでなけ  ればならないと説く
107.「中国エリート学生の日本観」平川祐弘、文芸春秋、2月4日
 : 1)日本の近代化と中国の改革開放、2)西洋文明と日本、3)知識人がみた近代の光景、4)世界の中  の日本文化。タイトルはミスリーディング
108.「和魂洋才の系譜」平川祐弘、河出書房、2月5日  **
 : 平川祐弘の出世作。比較文化史的な考察であるが、文化史・精神史・学芸史いずれの枠にとどまらな  い近代史研究上の金字塔をなす。同時に論文と読み物(文芸)の両立をめざす
109.「内なる壁」平川祐弘・鶴田欣也編著、TBSブリタニカ、2月5日
 : サブタイトル「外国人の日本人像・日本人の外国人像」。1988年カナダでの会議に若干の論文を追   加して単行本化したもの。人種観の総合研究。外国人との間にある障壁は、実は大半は外にあるので  はなく、内にある、そしてその内なる壁は、日本人だけにあるのではない
110.「異文化を生きた人々」平川祐弘、中央公論、2月5日
 : 複数の文化を跨って生きタ19人の人々の生きざまを描く
111.「日本の母」平川祐弘編著、新曜社、2月5日
 : サブタイトル「崩壊と再生」。「内なる壁」と同じ国際会議の8冊目の単行本化。
112.「日本語は生きのびるか」平川祐弘、河出、2月6日  *  (3)
 : サブタイトル「米中日の文化史的三角関係」。グローバル化時代に対応するには、一国への一辺倒傾  斜の負を回避する三点測量を空間的時間的にできる多力者の育成が不可欠であると説く。米軍の占領  政策・日中関係への一辺倒対応と三角測量対応の事例が秀逸
113.「都市のドラマトゥルギー」吉見俊哉、弘文堂、2月6日  *  (10)
 : サブタイトル「東京・盛り場の社会史」。方法論的には「テキスト論的」を否定し「演劇論的(演ずると見   るの相互作用)」を採用。江戸・明治期の浅草、大震災以降の銀座、戦後の新宿、’70年代以降の渋谷  へという盛り場の賑わいの変遷と特徴を分析。浅草・新宿の共通性、<幻想としての家郷>、触るー群  れる、共同体的と銀座・渋谷の先送りされる<未来>、眺める
114.「虚無への供物」中井英夫、講談社、2月6日  **
 : ミステリーの定番「密室殺人事件」の決定版を目指す中井英夫の代表作。4件の連続密室殺人とその  トリックの複数仮説と密室殺人トリックのオンパレード
115.「歎異抄」唯円・梅原猛訳注、講談社学術文庫、2月6日  **
 : 親鸞の高弟唯円の手になる。親鸞の言葉・人柄がイキイキと伝わってくる名著。梅原猛の現代語訳・   注も出色
116.「女子学生 渡辺京二に会いに行く」渡辺京二、亜紀書房、2月7日
117.「洒落本大成第一巻」中央公論、2月7日
 : 「吉原源氏六十帖評判」「傾城つれつれ草」「会海通窟」「白増譜言経」「百花評林」「華里通商考」「阿房  枕言葉」「泉台治情」「烟花漫筆」「石婦伝」「猪の文章」「当世花街談義」
118.「  ”  ”  第二巻  」2月7日
 : 「吉原出世鑑」「交代盤栄紀」「魂胆総勘定」「本草妓要」「禁現大福帳」「花菖蒲侍乳問答」「穿当珍話」  「風俗七遊談」「風俗八色談」「西郭灯籠紀」「新月花余情」「聖遊郭」「浪華色八卦」「秘事真告」
119.「  ”  ”  第三巻  」2月7日
 : 「陽台遺編」「遊客年々考」「ものはなし」「迷処邪正按内拾穂抄」「肉道秘鍵」「月花余情」「弥味草紙」   「くだまき綱目」「正夢後悔玉」「このてかしわ」「列仙」伝」「袂案内」「原柳巷花語」「拾遺枕草紙花街抄」   「玄玄経」「夢中生楽」
120.「  ”  ”  第四巻  」2月8日
 : 陽台三略」「色道三略」「永代蔵」「旧変段」「色里つれつれ草」「当世座持話」「古今吉原大全」「惚己先  生夜話」「間似合早粋」「江戸評判娘揃」「郭中奇譚」「評判娘名寄草」「あづまの花」「遊子方言」「辰巳之  園」
121.「  ”  ”  第五巻  」2月8日
 : 「蕩子鍪旺解」「南江駅話」「遊婦多数寄」「恋道双陸占」「無量談」「艶占奥儀抄」「侠者方言」「両国栞」  「遊里の花」「肝相撲」「よるのすかかき」「論語町」「猿の人真似」「濁里水」「当世気とり草」「
122.「  ”  ”  第六巻  」2月8日
 : 「宮郭八景論」「浪華今八卦」「南閨雑話」「当世風俗通」「越里気思案」「きつねのも」「婦美車紫史」「古  今馬鹿集」「里のをだ巻評」「一目千本」「青楼花色寄」「放蕩虚誕伝」「後編風俗通」「甲駅新話」「青楼楽  美種」「寸南破良意」「選怪興」「
123.「  ”  ”  第七巻  」2月10日
 : 「当世左様候」「風俗問答」「無論里問答」「契国策」「郭中掃除雑編」「妓者呼小鳥」「浄瑠璃稽古風流」  「大通伝」「穴知鳥」「通志選」「桜河微言」「中州雀」「売花新駅」「娼妃地理記」「ことぶき草」「世説新語   茶」「広街一寸間遊」「金枕遊女相談」「傾城買指南所」「契情買虎之巻」「淫女皮肉論」「三幅対」
124.「  ”  ”  第八巻  」2月10日
 : 「大通秘密論」「胡蝶夢」「一事千金」「野路の譫言」「女鬼産」「深淵情」「廓中美人集」「蚊不喰呪詛曾   我」「酔姿夢中」「深川新話」「美地の蠣殻」「家暮長命四季物語」「呼小鳥」「風流裸人形」「無頼通説法」  「大通愛想尽」「大通禅師法語」「百安楚飛」「能似画」「竜虎問答」
125.「タテ社会の人間関係」中根千枝、講談社現代新書、2月8日
 : 日本の社会構造の特色は、タテ型社会で「場」を強調し、「ウチ」「ソト」を強く意識、序列重視の「単一   社会」である
126.「オニババ化する女たち」三砂ちずる、光文社新書、2月9日  *
 : サブタイトル「女性の身体性を取り戻す」。女性の体の持つエネルギーが行き場をなくして女性の「オニ  ババ化」が起こっている。その原因は、セックス・出産の経験のない女性が増えていて、またそれらの経  験が豊富にあっても、本当に体に向き合った経験になっていないと満たされていないため
127.「書物の声歴史の声」平川祐弘、弦書房、2月9日
 : 「熊本日々新聞」に「書物と私」というタイトルで2003年4月から6年3か月にわたり連載された314点  から177点を選び収録
128.「東の橘西のオレンジ」平川祐弘、文芸春秋、2月9日
 : 比較文化論的エッセイ
129.「日本をいかに説明するか」平川祐弘、葦書房、2月9日
 : サブタイトル「文化の三点測量」。「西日本新聞」と東大出版会「UP」誌に連載されたエッセイを収録
130.「三匹の蟹」大庭みな子、講談社、2月10日
 : アメリカの大学で絵画・彫刻を学ぶ(教える)登場人物の人間模様を描く
131.「教行信証」親鸞全集第七・八巻、講談社、2月10日
132.「科学革命の政治学」吉岡斉、中公新書、2月10日
 : サブタイトル「科学からみた現代史」。科学の歴史の入門書。現代科学の社会的功罪については「性   半説」=善と悪とが相半ばし、しかも両者は切っても切れない関係にある
133.「法然の哀しみ」梅原猛、小学館、2月11日  *
 : 法然の「専修念仏」とは何かを、500年前に「浄土教」を開いた善導、親鸞との比較を中心に解き明か  す。そして法然は奈良・平安仏教と鎌倉以降の仏教をつなぐ、キリスト教でいえばルターの位置付けに  あたると指摘する
134.「山姥の微笑」大庭みな子、日経、2月11日  *
 : 人の気持ちを読み切ることのできる山姥。その能力を持って生まれてしまった人間の赤ん坊・娘・主婦  の一生を描く短編小説
135.「洋学の盛衰を論ず」森鴎外、岩波、2月11日
 : 明治35年の講演
136.「赤ちゃんのいる暮らし」毛利子来、筑摩、2月11日
 : 子育ては暮らしであって、込み入った人生の道行でもある。だから「ハウ・ツー」だけの応対では、満た  されぬ思いを残してしまう。そのギャップを埋めることをめざして書かれた本
137.「西欧世界と日本」上・下、G・B・サンソム、筑摩、2月11日
 : 16~19世紀に及ぶ日本と西洋との文化的関係についての燦然たる、しかも読みやすい文章で書か  れた研究書
138.「洒落本大成第九巻」中央公論、2月12日
 : 「伊賀越増補合羽之竜」「大抵御覧」「駅舎三友」「粋町甲閨」「南客先生文集」「色里名所鑑」「多荷論   」「郭中名物論」「客者評判記」「大通人好記」「多圭余字侍」「真似山気登里」「初葉南志」「噺之画有多」  「風流仙婦伝」「芳深交話」「遊婦里会談」「隣壁夜話」「虚辞先生穴賢」「弁蒙通人講釈」
139.「  ”  ”  第十巻」2月12日
 : 「一騎夜行」「根柄異軒之伝」「口学諺種」「玉菊灯籠弁」「風俗砂払伝」「奴通」「喜夜来大根」「娼註銚
子戯語」「翻草盲目」「咲分論」「千字文」「大通多名於路志」「道中酔語録」「通人鬼打豆」「廓遊唐人寝
言」「楼妓選」「記原情語」「雲井双紙」「契情極秘巻」「真女意題」
140.「  ”  ”  第十一巻」2月12日
 : 舌講油通汚」「通仁枕言葉」「突当富魂短」「当世繁栄通宝」「宝船通人之寝言」「傾城異見之規矩」「か  よふ神の講釈」「公大無多言」「にやんの事だ」「三都仮名話」「通点興」「無陀もの語」「新吾左出放題盲  牛」「通人三国師」「古今三通伝」「鯉池全盛噺」「大劇場世界の幕なし」「通人の寝言」「登美賀遠桂」「根  津見子楼茂」「深弥満於路志」「山下珍作」「こんたん手引くさ」「富賀川拝見」
141.「  ”  ”  第十二巻」2月12日
 : 「太平楽巻物」「恵世ものがたり」「歌舞伎の華」「柳巷訛言」「三教色」「古今無三人連」「智恵鏡」「卯地  臭意」「歌妓琴塩屋之松」「金錦三調伝」「居続借金」「傾城蜂牛伝」「大の記山寺」「太平楽記文」「彙軌   本紀」「浪花花街今今八卦」「角鶏卵」
142.「  ”  ”  第十三巻」2月12日
 : 「誰か袖日記」「浮世の四時」「残座訓」「真真の川」「息子部屋」「無駄酸辛甘」「契情懐はなし」「深川手  習草紙」「粋宇瑠璃」「客衆肝照子」「其あんか」「寒暖寝言」「むだ砂子」「福神粋語録」「田舎芝居」「古契  三娼」
143.「  ”  ”  第十四巻」2月12日
 : 「当世粋の源」「総籬」「不仁野夫鑑」「替理善運」「女郎買之糟味噌汁」「膵毛登喜」「曾我糠袋」「一目   土堤」「青楼五雁金」「夜半の茶漬」「吉原やうし」「仙台風」「性売往来」「自惚鑑」「志羅川夜船」
144.「  ”  ”  第十五巻」2月14日
 : 「通気酔語伝」「中州の花美」「駅路雀」「まわし枕」「廓大帳」「京伝予誌」「格子戯語」「染抜五所紋」「破  紙子」「学通三客」「田舎談義」「傾城買四十八手」「繁千話」「美止女南話」「文選臥座」「面美多通身」    「南品あやつり」
145.「  ”  ”  第十六巻」2月14日
 : 「仕懸文庫」「娼妓絹籭」「錦之裏」「西遊記」「取組手鑑」「言葉の玉」「膵のすじ書」「遊里不調法記」「北  廓鶏卵方」「北華通情」「老子興」「粋包丁」「仮根草」「裸百貫」「翁曾我」「天岩戸」「名所拝見」「見通三   世相」「廓の池好」
146.「  ”  ”  第十七巻」2月14日
 : 「戯言浮世瓢箪」「来芝一代記」「うかれ草紙」「廓通遊子」「阿蘭陀鏡」「傾城買二筋道」「辰巳婦言」「温  泉の垢」「十界和尚話」「津国毛及」「廓節要」「契情買猫之巻」「客物語」「品川楊枝」「粋学問」「仲町艶   談」「猫射羅子」
147.「  ”  ”  第十八巻」2月14日
 : 「野暮の枝折」「身体山吹色」「廓の癖」「闇名月」「契情買言告鳥」「青楼真廓誌」「大通契語」「通俗 
  古」「南遊記」「白狐通」「松登妓話」「郭数可桂妓」「疇昔の茶唐」「虚実情の夜桜」「囲多好髷」「南門鼠」  「女楽巻」「軽世界四十八手」
148.「  ”  ”  第十九巻」2月14日
 : 「風俗通」「三人酩酊」「昇平楽」「部屋三味線」「遊僊窟烟之花」「二筋道宵之程」「傾城真之心」「意妓
口」「客衆一華表」「玉之帳」「孔雀そめき」「廓写絵」「契情実之巻」「五臓眼」「讃極史」「品川海苔」「青
楼 惚多手買」「面美知之娌」「大門雛形」
149.「預言者」カリール・ジブラン、成甲書房、2月13日  **
 : 原書は1923年発行。世界的ベストセラーになり、現在までに30以上の言語に翻訳され、2000万部  以上が読み継がれており、その読者はさらに増えつつある。人生の本質を説く本
150.「洒落本大成第二十巻」中央公論、2月13日
 : 「五甲任侠甲子夜話」「廓の桜」「千客万奇」「善玉先生大通論」「匂ひ袋」「月雪二蒲団」「野良の玉子」  「春色雨夜噺」「三千之紙屑」「商内神」
151.「  ”  ”  第二十一巻」2月13日
 : 「契情買穴可至子」「起承転合」「後編遊治郎」「狂言雑話五大力」「吉原談語」「嫖客三躰誌」「青楼小   鍋立」「青楼日記」「青楼松之裏」「富岡八幡鐘」
152.「  ”  ”  第二十二巻」2月13日
 : 「素見数子」「仕懸幕莫仇手本」「ふしみた花折紙」「梅になく鳥」「甲駅雪折笹」「指南車」「酒徒雅」「真   寸鏡」「岡女八目圭人窺」「甲駅夜の錦」
153.「  ”  ”  第二十三巻」2月13日
 : 「当世嘘之川」「螺の世界」「外国通娼」「傾城買花角力」「滑稽娼買往来」「徒談話」「駅客娼せんこころ  の外」「浮雀遊戯嶋」「笑屁録」
154.「  ”  ”  第二十四巻」2月13日
 : 「遊状文章大成」「青楼草紙」「傾城仙家壺」「退屈晒落」「船頭深話」「通客一盃記言」「俳諧通言」「遊   女大学教草」「南駅夜光珠」「辰巳船頭部屋」
155.「日本文学の特質」平川祐弘・鶴田欣也編、明治書院、2月14日
 : 世界文学という視野の中で日本文学の特質を論じるという意味で大きな貢献をしたアール・マイナーに  感謝して作られた本。氏は「欧米の文学伝統はアリストテレス以来ミメーシス=人・物の言葉・動作・形   態の特徴を模倣することで成り立っている。これに対して、日本の文芸伝統は、紀貫之以来、やまとうた  に代表されるように感動とその表現からなるアフェクティヴィズムの詩論から成り立っている」という大胆  な展望を示した
156.「アニミズムを読む」平川祐弘・鶴田欣也編、新曜社、2月14日  *
 : サブタイトル「日本文学における自然・生命自己」。1992年ヴァンクーバーで開かれた国際会議で発  表されたものの中でアミニズムに関係した内容のものに手を入れて単行本化
157.「洒落本大成第二十五巻」中央公論、2月15日
 : 「北系兵庫結」「青楼千字文」「昼夜夢中鏡」「駿州府中安倍川の流」「通俗雲談」「愛敬鶏子」「四季の   花」「くるわの茶番」「当世花筏」
158.「  ”  ”  第二十六巻」2月15日
 : 「鄙風俗真垣」「洒落文台」「相合傘」「百人袷」「吉原帽子」「京伝居士談」「新かた後の月見」「いろは雛  形」「当世粋の曙」「楼上三之友」
159.「  ”  ”  第二十七巻」2月15日
 : 「東海探語」「青楼胸の吹矢」「花街鑑」「河東方言箱まくら」「南町太平記」「花街風流解」「青楼曙草」   「田舎あふむ」「色深狭睡夢」「北川蜆殻」
160.「  ”  ”  第二十八巻」2月15日
 : 「新宿晒落梅の帰咲」「ゆめあわせ」「滑稽潮来婦誌」「粋好伝夢枕」「新宿夜話」「粋話なにはの芦」「座  敷茶番三狂人」「傾城情史」「青楼夜話」
161.「  ”  ”  第二十九巻」2月15日
 : 「深川大全」「つづれの錦」「都無知己問答」「息子順礼色里三拾三所」「十二時」「金郷春の夕栄」「花   霞」「苦界船乗合話」「あはせかがみ」「艶道秘巻」
162.「  ”  ”  補巻」2月15日
 : 「曾古左賀誌」「ものはくさ」「遊里の花」「山吹論」「おむなつう文章」「粋行弁」「遊女案文」「損者三友」   「魂胆情深川」「肝競後編仇姿見」「遊子評百伝」「栄花の現」「水の行すえ」「ににはの芦」「巽夢語卒爾   屋」「誰か面影」「通妓酒見穿」「偏界録」
163.「日本文化史」G・B・サンソム、創元社、2月15日  *  (1)
 : 1931年にロンドンで刊行された英文の原書を1951年に翻訳出版したもの。外国人の眼で見た「日   本文化史」。特に古代・飛鳥時代の描写に、日本人の書いたものには見られない独自のイキイキとした  表現があるのが秀逸
164.「法蔵菩薩」曾我量深、法蔵館、2月15日  *
 : 「法蔵菩薩」は米寿記念講演、「我如来信ずるが故に如来在ます也」は90歳の時の講演。講演を文章  化したものであり、論理的には迫力を欠く面はあるものの、宗教の本筋である「信」と「行」を説く面では   強みを示している
165.「東京に暮らす」キャサリン・サンソム、岩波文庫、2月15日
 : 1928年~39年にわたる日本滞在見聞記。温かい目で日本と日本人の姿を眺めた好著
166.「「戦争責任」論の真実」牛村圭、PHP,2月17日  **
 : サブタイトル「戦後日本の知的怠慢を断ず」。「戦争責任」については数多くの著作があるが、その大半  は「戦争責任」とは何かの定義もせずに粗雑な論議を行っているとの指摘から始める。今まで読んだ    「戦争責任論」で初めて納得できるようにしっかりした構成で書かれた力作
167.「うひ山ふみ」本居宣長、岩波文庫、2月17日  *
 : 本書は、宣長が大著「古事記傳」脱稿直後に、長年にわたる弟子たちの求めに応じて、古楽の概念と  その研究方法について述べたもの。
168.「日本論の名著」佐伯彰一・芳賀徹編、中公新書、2月18日  *
 : 明治の開国前後以降に書かれた膨大な数の日本観系文書の中から42編を厳選し、その内容を紹介  したもの
169.「大伴坂上郎女」東茂美、笠間書院、2月18日  *
 : 恋多く、恋多きが故に悩む、<悩み>を抱いて逝った女、<恨む>恋の女流の位置を占め、後日後宮  を中心に開花する王朝和歌の底辺を準備したのが天平の坂上郎女であると述べる
170.「二つの真実」船井幸雄、、ビジネス社、2月18日  *  (4)
 : 「二つの真実」とは、「人類の歴史・個人の生涯の99.9%以上は何千年も前から決められている」と   「最近その決められたことをよい方・正しい方に変えられる、その条件や方法が分かった」ということ
171.「自死の日本史」モーリス・パンゲ、講談社学術文庫、2月19日  *
 : 意志的に選びとられた死を通じて現れてくる日本精神の光輝と陰影とを描き、その意味を問う思索の   書
172.「川」井伏鱒二、集英社、2月19日  *
 : 一本の川のほとりにある村の人々の暮らし・人生を描く短編
173.「昨日の世界」Ⅰ・Ⅱ、ツヴァイク、みすず、2月19日  *
 : ツヴァイクが生きた1881~1942年は、安定した世界・進歩が素直に信じられた時代から、第一次・   第二次世界大戦とその前後の大混乱経験、「一身二世三世」を生き、汎ヨーロッパ精神を具現しながら  ヨーロッパの自滅を嘆いて自殺したツヴァイクの60年の生涯の自伝
174.「縄文紀」前登志雄、小澤書店、2月19日  *
 : 前登志雄の詩集
175.「だからあなたも行きぬいて」大平光代、講談社、2月19日
 : 中学生の時にいじめにあい、先生・親の理解もえられずに、非行に走ったその後の人生。あるとき父親  の友人に会い、真剣に自分の話を聞き、心配して叱ってくれた一言を機に立ち直り、ついに司法試験に  合格し弁護士として活躍する著者の自伝
176.「中国人の歴史観」劉傑、文春新書、2月19日  **
 : 日本の現代の中国研究は、現象の分析に終始している。これでは中国の将来の動きを読めない。動   きを読むためには、過去の歴史に遡り、歴史観を抽出し、それを適用する必要がある
177.「日本はなぜ敗れるのか」山本七平、角川、2月20日  (1)
 : 「虜人日記」の著者小松真一が書き残した「敗因21ヶ条」を山本七平が自身の軍隊経験も踏まえなが  ら検証する
178.「聖書の暗号」マイケル・ドロズニン、新潮社、2月20日  *
 : 原型聖書(ヘブライ語で書かれた旧約聖書の最初の五書)の全体30万4千805字を等距離文字列法  に基づいたコンピューター・プログラムにより読み解く数々の預言。1917年ロシア革命、1929年大恐  慌、1945年広島原爆投下、1963年ケネディ暗殺、1969年月面着陸、1991年湾岸戦争などが記さ  れているという
179.「The PILLOW BOOK of Sei Shounagon」ARTHUR WALEY,TUTTLE Publishing,2月21日  *
 : 「源氏物語」の英語名訳で名高いウエィリーの「枕草子」英訳版。訳者が気に入った全体の約四分の一  を訳したもの
180.「ワープする宇宙」リサ・ランドール、NHK,2月21日  **  (24)
 : サブタイトル「5次元宇宙の謎を解く」。相対性理論・量子力学・素粒子物理学の標準理論から始め、最  新の超ひも理論・著者の提案する三つのプレーン宇宙理論(仮説)=余剰理論が説明される
181.「異次元は存在する」リサ・サンドール、NHK,2月21日
 : 宇宙飛行士の若田光一がリサ・サンドールに彼女の提唱する「余剰次元宇宙論」について質問する
182.「昭和史からの警告」副島隆彦、船井幸雄、ビジネス社、2月21日
 : サブタイトル「戦争への道を阻め」。現在と昭和初期の状況を比較、その驚くべき類似性を指摘すると   同時に、アメリカに仕組まれて太平洋戦争に突入した二の舞を踏むな、中国との戦争を回避する道を説
  く
183.「日米「振り込み詐欺」大恐慌」副島隆彦、徳間書店、2月21日
 : サブタイトル「私たちの年金保険は三分の一に削られる」
184.「恐慌第二幕」朝倉慶、ゴマブックス、2月21日
 : サブタイトル「世界は悪性インフレの地獄に堕ちる」
185.「日本人の知らない「人類支配者」の正体」船井幸雄・太田龍、ビジネス社、2月22日  ** (8)
 : ロスチャイルド家による世界支配の歴史と構造を解き明かす。その基本思想は「人類独尊」であり、行  き着くところは環境破壊による地球の滅亡。これへの対抗策は「万類共存」の思想を特徴とする日本が  「百匹目の猿現象」で共存的世界を構築していくこと
186.「火車」宮部みゆき、新潮文庫、2月22日  **
 : 1993年山本周五郎賞受賞作
187.「枕草子」上・中・下、橋本治、河出書房、2月23日  *
 : 「桃尻娘」で一世を風靡した橋本治がその「桃尻語」で「枕草子」翻訳にチャレンジ、清少納言の軽さが  よく表現されてなかなかの名訳。また当時の風俗・習慣なども豊富な注で説明し、平安時代を理解する  良い手引きにもなっている
188.「地球の運命」ジョナサン・シェル、朝日新聞、2月23日  *
 : 全面核戦争のもたらす結果を描く。地球・人類の滅亡を避けるためには、「共有の世界」を構築せねば  ならず、そのための原則は、1)現在と将来の世代の人類の尊重、2)地球を尊重すること、3)人間を生  み出した自然界の物体を尊重する
189.「日本の曖昧力」呉善花」、PHP新書、2月23日  **
 : 日本文化を世界的視野に立って大枠でつかみ取ってみせる。「曖昧さ」を察しあうコミュニケーション文  化が日本にはある。科学の分野でも、曖昧さ・ゆらぎ・ファジイ・多義性などの探求は先端的テーマとな   っており、日本文化は曖昧さゆえに、対立に飽きた世界を根本から変え、調和・融和へと導くパワー「曖  昧力」となりうる
190.「慮人日記」小松真一、筑摩書房、2月24日  **
 : フィリピンで砂糖キビからエタノールを製造するため軍の嘱託として昭和19年2月に赴任、終戦で捕虜  となり20年12月に日本に帰還するまでの日記。実に冷静に邪心なく、戦争・軍隊の様子、現地人との  交流、そして日本の敗戦理由などを分析する
191.「あるヨギの自叙伝」パラマパンサ・ヨガナンダ、森北出版、2月24日  *
 : 人生の目的は自らの努力によって、生死に束縛された有限の人間意識から神の意識に進化すること  である。イエス・キリストが自ら説いた教えと、バガバン・クリシュナが教えたヨガの根本的一致を明らか  にし、かつ、その根本原理が、あらゆる宗教に共通する科学的真理であることを証明する。この啓蒙・実  践活動を展開するためSelf Realization Fellowshipを設立
192.「みんなが幸せになるホ・オポノポノ」イハレアカフ・ヒューレン、徳間書店、2月24日 * (8)
 : SITH=Self Identity Through Ho’oponopono,潜在意識にある不幸な記憶をクリーニングして  本来の生き方を取り戻す
193.「文明化の過程」上・下、法大出版、2月24日
 : 上巻では文明化の動きが世俗の上流階層の人々の個人構造に変化を引き起こす、下巻はそれと西   欧の近代民族国家成立との関係を解明
194.「「「新しい働き方」ができる人の時代」セス・ゴーディン、三笠書房、2月24日 * (8)
 : 「指示待ち型」「知識」に頼る働き方は過去のもの。「夢を実現」「人の心に「感動を呼ぶ」仕事」できる   人、そのためには、1)組織を「クモの糸」のようにつなぐ力、2)「オリジナル」をつくって伝える力、3)複   雑な問題を解決する力、4)顧客をリーダーシップで導く力、5)周囲のモチベーションを上げる力、6)誰  にも負けな専門知識の力、7)「オンリーワン」をアピールする力がひつようと説く
195.「日本壊死」船井幸雄・副島隆彦、ビジネス社,2月25日  (6)
 : 1000兆円の借金を抱え、アメリカの属国状態にある日本は、2005年以降の大激変によるアメリカ帝  国の崩壊を機に、本物技術と小さな政府を実現を武器に真の独立国になる目がでる
196.「いのちきわみなし」松居桃楼、ミネルヴァ、2月26日   ***
 : サブタイトル「法華経幻想」。「宇宙は一体である」というメッセージが法華経の本質。仏=宇宙=人・動  物・植物・物質
197.「大破滅」アイザック・アジモフ、講談社、2月26日  *  (3)
 : サブタイトル「アジモフのカタストロフィー大研究」。カタストロフィーのレベルを5段階に分けて、1級:全  宇宙で全生命が存在不可能~5級:人類は存続するが何らかの原因で文明が崩壊し原始的な生活を   余儀なくされると定義し、それぞれの危機をもたらす要因を列挙する
198.「日本文芸史」Ⅰ~Ⅴ、小西甚一、講談社、2月27日  ***  (140)
 : 5巻で3千ページを超える超力作、1992年大佛次郎賞受賞。「情報量が飛躍的に増大し、その処理   をコンピューターが行う現代にあって、人間がなすべき仕事とは何か」という自らに対する問いかけから  書き始める。その答えは「考えることである」という。理論を持たぬ文学史はつまらない。歴史に裏付けさ  れぬ文学理論はさらにつまらない。小西「日本文芸史」はその両刀を使って、古代から現代に至る「文   芸史」を緩みなく描ききる
199.「荷風随筆集」上・下、永井荷風、岩波文庫、2月27日  *
 : 上巻は「日和下駄」他16篇の明治から昭和にかけての東京の街を江戸と比較した随筆、下巻は色々  な題材を取り上げた随筆を収録。「妾宅」「小説作法」が出色
200.「進化のイコン」ジョナサン・ウエルズ、コスモトゥーワン、2月28日  *(2)
 : サブタイトル「破綻する進化論教育」。ダーウィンの「進化論」の妥当性を説得するために使われている   10のイコン(図像)を取り上げて、それぞれの説明を論破し、「進化論」の論理的破綻を指摘
201.「裸のサル」デスモンド・モリス、角川文庫、2月28日
 : 裸の猿=人間と他の動物(猿)との共通点と相違点を分析
202.「古代オリエントの生活」生活の世界歴史1、三笠宮崇仁編、河出、2月29日 *
 : 農業の発生、都市国家の誕生、エジプト人の死生観、奴隷と自由民の生活、民衆の日常生活
203.「黄土を拓いた人々」生活の世界歴史2、三田村泰助、2月29日  **
 : 歴史をみる二つのうちの「停滞説」にではなく「発達説」に立ち、かつ文化の特色を明らかにする方法   のうち「特定の時代を取り上げて、その個性を明らかにする」を選び、明代に絞って中国古代の人々の   生活に迫る
204.「いま一番大事な情報と、びっくり現象」船井幸雄、あ・うん、2月29日  (2)
 : 船井幸雄のホームページ2007年分から大事な情報と思えるものを選んで単行本化
205.「今世紀で人類は終わる」マーティン・リース、草思社、2月29日
 : 人類滅亡につながる要因を列挙
206.「ポリスの市民生活」生活の世界歴史3、太田秀道、3月1日  **
 : 紀元前5世紀後半からが黄金時代のアテネ社会、その生活現実、理念、生きがい、デガダンス、悪徳  といった生きた人間の実相を伝える。ギリシャの民主制は奴隷制を前提としており、現代の民主制とは  全く異なるものである強調
207.「素顔のローマ人」生活の世界歴史4、弓削達、3月1日  *
 : 「人間は何のために生きるにか?」紀元1世紀のローマには、考えられるあらゆる答えがあった。清い  /汚れた、快楽の/禁欲の、乾いた達観と悟り、古い伝統の倫理の締め付け/新しい人間解放の叫   び。全体としては、どっちの方向をむいているのか定かにはわからない混沌、その中にローマ人の素顔  があった
208.「インドの顔」生活の世界歴史5、寺島昇、3月1日  *
 : インドの持つ二つの顔:多様性と統一。「インドにカレーライスはあるか」「言語と民族のるつぼ」「カース  ト」「ヒンドゥ教徒の生活」「女の一生」「快楽の思想」などでその二つの顔を描く
209.「中世の森の中で」生活の世界歴史、堀米庸三編、3月2日
 : 「自然と時間の観念」「市民の一日、農民の一年」「城と生活」「神の掟と現世の掟」「知の王国」「抒情   の発見」などヨーロッパ中世の生活を描く
210.「太陽の暗号」エハン・デラヴィ、三五館、3月2日  **  (20)
 : 現代科学は太陽の謎に迫りつつある。従来の核融合説は矛盾が多く、電気運動説が説得力を持つ。  過去の大文明、マヤ・エジプト・ストーンヘンジなどは、太陽の活動に注目し詳しい情報を得ていた。そ   れは太陽の活動(黒点、歳差運動)が地球に大きな影響(時には危機をもたらす)を与えることを知って  いたから
211.「「本物の時代」が始まる」船井幸雄編、ビジネス社、3月2日  *  (1)
 : EM技術、ハイポニカ農法、アーセロイン、FFC,バイオウオーターコンバーター、気代謝誘導装置、イ  オンセラミックス、クリーンエネルギー装置などを紹介
212.「イスラムの陰に」生活の世界歴史7、前嶋信次、3月2日  *
 : 西暦10世紀のイスラム社会に焦点を当て、学問文芸黄金時代東方(バクダード)帝王論、教育と文学  の成熟、西方のコルドバ図鑑、田園図鑑、恋愛図鑑を描く
213.「王権と貴族の宴」生活の世界歴史8、金澤誠、3月3日
 : フランス絶対王政の成立と崩壊ならびにその時代背景を描く
214.「新大陸に生きる」生活の世界歴史9、猿谷要、3月3日
 : 第一部はアメリカン・ウエイ・オブ・ライフの内容とその形成の歴史、第二部はその崩壊の過程と新しい  文化創造の働きを描く
215.「産業革命と民衆」生活の世界歴史10、角山栄、3月3日
 : 産業革命の進展を生活様式(需要)の側から見ることを強調、また石炭の使用=エネルギー革命、生  活様式の国際化、都市の生活環境、庶民生活の哀歓向上、上・中流社会の生活などを描く
216.「法華経」田村芳朗、中公新書、3月3日  ***  (12)
 : 法華経の三代思想を真理・生命・実践と捉える。法華経の成立、思想、インド・中国・日本への伝搬、   法華経と日蓮主義など法華経全体についての新書とは思えない充実した解説書になっている
217.「法華経物語」渡辺照宏、大法輪閣、3月4日  **
 : 「法華経」全28巻のこなれたかつ行き届いた現代語訳に分かりにくいところの解説と文献学的交渉を  加えた絶好の入門書
218.「現象としての人間」ティエール・ド・シャルダン、みすず、3月4日  *
 : シャルダンは物質の進化、生命の進化、人間の進化が宇宙全体に一貫した唯一の歴史を形成してい  ると考え、この歴史のうちにはっきりと刻み込まれた方向を発見した、宇宙全体の進化が向かっている   方向を<オメガ点>という言葉を選んで指し示した
219.「宇宙のなかの神の場」ティエール・ド・シャルダン、春秋社、3月4日
 : シャルダンの固有の科学的現象論に裏付けられたキリスト教の提示。神と人間が協力してこの世のす  べてのものを神のものにする運動の場である
220.「時間の発見」コリン・ウイルソン編著、三笠書房、3月4日  *
 : サブタイトル「その本質と大脳タイムマシン」。時間のすべて、時間観の歴史、時計の歴史、体内時計、  過去にさかのぼって時間を決める技術など
221.「幻化」梅﨑春生、新潮社、3月4日
222.「増補 最後の親鸞」吉本隆明、春秋社、3月5日  **  (10)
 : 法然の「専修念仏」の祖述者としてふるまい、自己主張をしなかったかに見える親鸞が、その教理を集  大成し、法然を乗り越えて最後にたどり着いた所がどこだったのかを示す
223.「<信>の構造」吉本隆明、春秋社、3月5日  *  (8)
 : サブタイトル「吉本隆明・全仏教論修正1944.5~1983.9」。「親鸞の教理について」が親鸞の教理  についての要約として出色
224.「和泉式部日記」岩波、3月5日
225.「更級日記」岩波、3月5日
226.「道元「永平広録・上堂」選」太谷哲夫、講談社学術文庫、3月6日
227.「大乗仏典Ⅱ法華経」中村元、東京書籍、3月7日
 : 漢訳、サンスクリット訳、現代語訳で法華経全巻を収録
228.「臨済録」柳田聖山訳、中央公論、3月7日  *
229.「ガイアの復讐」ジェームズ・ラブロック、中央公論、3月7日
 : 「地球生命圏ーガイアの科学」(1984年)の続編的位置付け。20年以上の事実データからガイア仮   説の正しさと危機進行を指摘、危機進行を緩和するために原子力に期待
230.「新版 300人委員会」上・下、ジョン・コールマン、成甲書房、3月8日  *  (12)
 : 世界を支配する最高レベルの勢力が300人委員会である。現在アメリカを支配しているこの組織は、  フランス革命、ロシア革命、第一次・第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、セルビア戦争、イラク   戦争を引き起こした。現在はアメリカを脱工業化させて崩壊させ、ワンワールド支配を目指しているのが  300人い委員会である
231.「日本精神通義」安岡正篤、エモーチオ21、3月8日  **  (22)
 : 第一部は日本思想の通史、第二部は「日本精神」とは何か。細部にこだわらず、大局的に日本精神の  本質とその特徴を的確にまとめている
232.「近世日本国民史 開国日本」1~4、徳富蘇峰、講談社学術文庫、3月9日
 : 「ぺルリ来航以前の形勢」「ぺルリ来航およびその当時」「神奈川条約締結篇」「日・露・英・蘭条約締結  篇」の4巻
233.「人類の発祥・神々の叡智・文明の創造・すべての起源は「異次元」にあった」グラハム・ハンコック、    徳間書店、3月9日  *
 : 人類は4万年前から急に文明時代に突入した。このキッカケは「異次元」との接触にあった。人間は今  でも「異次元」とコミュニケートする潜在能力をもっている。変性意識状態になることで
234.「法華経」上・中・下、坂本幸男、岩波文庫、3月9日
 : 漢文、漢文読み下し、現代語訳、語彙、解説で構成する「法華経」全巻
235.「テクネトロニック・エージ」Z・ブレジンスキー、読売、3月10日  **  (25)
 : 1972年発行。工業化社会は、テクノロジーと電子工学が結びついてテクネトロニック社会=脱工業化  社会になろうとしているという。そしてその社会がどんな社会なのか、そこで起こる分断と統合を踏まえ  た、アメリカ並びに世界像を描く
236.「知の挑戦」エドワード・O・ウイルソン、角川、3月10日  **  (7)
 : サブタイトル「科学的知性と文化的知性の統合」。著者は理系と文系が分断されている現状を憂い、何  故そうした状況が生じたかを分析する。その原因は還元主義にあると指摘し、その後の科学の発達の   あとをたどり、素粒子論、複雑系、脳(認識)科学などに統一理論の萌芽をみて、文化的知性領域も数   式で表示する統合に期待をかける。この統合の可能性はあると信じるが、その統合は著者の描く「機械  論的」形とは異なった相互作用をカオス的アプローチで表すやりかたで
237.「シャクンタラー」カーリダーサ、岩波文庫、3月10日
 : インド第一の詩人カーリダーサの代表作
238.「暴かれた「闇の支配者」の正体」ベンジャミン・フルフォード、扶桑社、3月11日 * (1)
 : 著者は「フォーブス」元アジア太平洋支局長。郵政民営化は、日本の1500兆円の金融資産を狙う「闇  の支配者」の指示に基ずく日米政府の合意により実施された
239.「2012地球大異変」ローレンス・E・ジョセフ、NHK,3月11日
 : 2012年に時が終わるという予言はマヤ族のものとされるが、ユダヤ教、インドのゴールデンエイジ財  団なども銀河系宇宙の軌道運動、太陽の黒点活動の観測などに基付き同様の見解を有する
240.「鳩の頸飾り」イブン・ハズム、岩波、3月11日
 : スペイン・イスラムの稀有の大学者ハズムの手慰みの書。乱世を理想主義を貫きとうしたが、最悪の   時代に容れられずに他界。本書は「恋愛」論を、全30章で構成、愛の良き特徴10章、悪しき特徴12   章、災厄6章で構成
241.「御進講録」狩野直喜、みすず、3月11日
 : 1924~32年に天皇陛下に御進講した4回の講義録。「尚書堯典首節講義」「古昔支那に於ける儒学  の政治に関する理想」「我国に於ける儒学の変遷」「儒学の政治原理」
242.「維摩経」筑摩、3月12日  **
243.「勝髷経」筑摩、3月12日  *
244.「華厳経」筑摩、3月12日
245.「阿弥陀経」筑摩、3月12日
246.「大無量寿経」筑摩、3月12日  *
247.「中論のじゅ」筑摩、3月12日  *
248.「大乗起信論」筑摩、3月12日  *
249.「第二次世界大戦」1~4、W・S・チャーチル、河出文庫、3月14日  **
 : 本書は「第二次世界大戦回顧録」全6巻から軍事上のあまりにも詳細にわたる記述を省き全4巻にま  とめたもの。第二次大戦を首相兼国防相として戦ったチャーチルならではの情報が随所に見られ、戦略  性・勇気・決断力・リーダーシップ・人格全てにわたってリーダーとは何かを学ばされる
250.「バイオコスム」ジェームズ・ガードナー、白楊社、3月14日  *** (26)
 : サブタイトル「生物学と物理学の来たるべき融合」。最新の宇宙論の紹介に加え、著者の独創的仮説   を提案。宇宙論・生物学の発展の要約も的確だし、仮説も説得力大
251.「生き方の極意」船井幸雄、PHP,3月14日
 : サブタイトル「新人間主義のすすめ」
252.「未来への分水嶺」船井幸雄、PHP,3月14日
 : サブタイトル「人類はパラダイスを創るのか、破滅に向かうのか」
253.「これから10年 愉しみの発見」船井幸雄、サンマーク、3月14日  (3)
254.「絶句」上・下、新井素子、早川、3月15日  *
 : 従来のSFのイメージを一新する力作
255.「未来へのヒント」船井幸雄、サンマーク、3月15日  *  (7)
256.「異次元の刻印」上・下、グラハム・ハンコック、パジリコ、3月15日
 : サブタイトル「人類史の裂け目、あるいは宗教の起源」
257.「未来のための100ページ」アウレリオ・ベッチェイ、読売、3月16日
 : サブタイトル「ローマクラブ会長の省察」
258.「幸運な宇宙」ポール・デイヴィス、日経BP,3月16日  **  (18)
259.「理性のゆらぎ」青山圭秀、三五館、3月16日  *  (1)
 : サブタイトル「科学と知識のさらなる内側」。理性の科学と霊性の科学の両立、サイババ、霊性と奇跡、  アーユルベーダ、占星術、インド体験などについて語る
260.「アガステイアの葉」青山圭秀、三五館、3月16日  (4)
 : サブタイトル「運命か自由意志か、そして星の科学とは何か」。アガステイアの預言(5000年前)とそこ  に書かれた著者についての預言などについて述べる
261.「「人類の起源」大論争」瀬戸口烈司、講談社選書、3月16日
 : 「ヒトとチンパンジーの分岐は500万年前」という分子進化学者の提唱する分子時計論に反論
262.「古代の宇宙論」C・ブラッカー編著、海鳴社、3月17日  (3)
 : エジプト、シュメールとバビロニア、ユダヤ、中国、インド、イスラム、スカンジナヴィア、ギリシャの8つ   の地域の古代宇宙観
263.「時空のサーファー」ホセ・アクエイアス、小学館、3月17日  *  (2)
 : サブタイトル「マヤの<聖なる暦>から始まる大冒険」
264.「神と新しい物理学」ポール・デイヴィス、岩波、3月17日  *
 : この世界をすべての観点ー還元主義と全体論、数学および重力の場と粒子、善と悪ーから理解するこ  とによってのみ、私たちは私達自身、そして私たちの家庭である宇宙の裏にかくされた意味を知る道が  開ける、と私は信じる
265.「宇宙が始まるとき」ジョン・バロウ、草思社、3月18日  *  (8)
266.「生命の塵」クリスチャン・ド・デューブ、翔泳社、3月18日  (4)
 : サブタイトル「宇宙の必然としての生命」。生命の起源、遺伝子、細胞進化、生物の多様性、ヒトの出   現、脳、意識、社会、環境、生命の未来、生命の意味あるいは無意味について、これまで数多くの本が  書かれてきた。いかいこれらのテーマを一度にすべて引き受けて書かれた本はなかった。それに挑戦   する無鉄砲な試み
267.「宇宙は自ら進化した」りー・スモーリン、NHK,3月18日
 : サブタイトル「ダーウィンから量子重力理論へ」
268.「宇宙を支配する6つの数」マーティン・リース、草思社、3月18日
269.「イデアの結界」田淵安一、人文書院、3月18日
 : サブタイトル「西欧的感性のかたち」。<かたち>と平仮名を振っているわけは、<かたち>のなかに   ギリシャ人のいうイデアないしエイトス(形相)の概念をこめて、現実的な<形態>と区別するため
270.「戦争の嵐」1~5、ハーマン・ウオーク、早川書房、3月21日  **
 : 第二次世界大戦を舞台とした戦争小説の傑作。フィクションではあるが、史実を丹念に集め、事実に忠  実であろうとしながら各国リーダーの人物像に膨らみを持たせるという狙いをうまく両立させている 
271.「ハワイの秘法」ジョー・ヴィターリ  、イハレアカラ・ヒューレン、PHP,3月21日  (14)
272.「複雑性とパラドックス」ジョン・L・キャスティ、白揚社、3月21日
 : サブタイトル「なぜ世界は予測できないのか?」。複雑性の科学についての分かりやすい入門書
273.「多様化世界」フリーマン・ダイソン、みすず、3月21日  **  (21)
 : 1985年ギフォード講演「多様性の賛美」の改定単行本化。科学の二つのスタイル、その象徴はアテ   ナイとマンチェスター、アインシュタインとラザフォード、抽象と具体、統一化と多様であり、この二つのス  タイルは対立するものではなく、相補的であり、宇宙の二つの姿を見せてくれる。どちらの姿も本当だが  両方を同時に見ることはできない
274.「ヨーロッパの略奪」デイエス・デル・コラール、未来社、3月21日  *
275.「遺伝子の川」リチャード・ドーキンス、草思社、3月22日  (12)
 : この本のタイトルの「川」は「DNAの川」であり、時間を流れる情報の川であり、体をつくるための抽象   的な指令の川であり、体そのものの川ではない
276.「メタマン」グレゴリー・ストック、白揚社、3月22日  *  (10)
 : サブタイトル「人と機械の文明から地球的超有機体へ」。本書は自然の本姓、進化という点から見た人  類文明の重要性、そして、とりわけ人類の未来についての本である。そのもっとも重要な結論はいたっ   て単純で、人類は明るい未来に向かって進んでいるということ
277.「スピリチュアル・マシーン」レイ・カーツワイル、翔泳社、3月22日 ** (38)
 : サブタイトル「コンピューターに魂が宿るとき」。コンピューターは「ムーアの法則」により加速度的に能   力を高めており、これを踏まえて将来を予測すると想像を超えた技術の進歩をもたらし、社会を激変さ   せる。その未来社会の姿を予測紹介する
278.「精神の起源について」E・O・ウィルソン、思索社、3月22日
279.「薔薇と十字架」S・マグリアーガ、みすず、3月23日
 : 原題「ヨーロッパの肖像」。ヨーロッパ各国の国民性の比較論。「薔薇」はギリシャ精神、「十字架」は
  キリスト教を意味する
280.「輪廻転生」J・L・ホイットマン、人文書院、3月23日  *  (8)
 : サブタイトル「驚くべき現代の神話」。前世療法という睡眠療法にかかわる著者がその治療体験を通し  て、輪廻の存在とそのはざま(「チベットの死者の書」にいうところのバルド)の実在とその重要性を説く
281.「狂歌酔吟藁百首」暁月房、日本名著刊行会、3月23日
282.「世中百首」荒木田守武、3月23日
283.「雄長老狂歌集」建仁寺雄長老、3月23日
284.「貞徳狂歌百首」松永貞徳、3月23日  *
285.「我吟我集」石田未得、3月23日
286.「古今夷曲集」生白堂行風、3月23日  *
287.「後選夷曲集」生白堂行風、3月23日
288.「狂歌百首歌合」池田正式、3月24日
289.「卜養狂歌集」半井卜養、3月24日
390.「狂歌鳩の杖」豊蔵坊信海、3月24日
291.「貞柳翁狂歌全集類題」永田貞柳、3月24日
292.「明和十五番狂歌合」橘洲他、3月24日
293.「狂歌若葉集」唐衣橘洲、3月24日
294.「萬載狂歌集」四方赤良、3月24日  **
295.「超能力の秘密」ジナ・サーミナラ、たま出版、3月25日  * (10)
 : イントロでアメリカでの年齢逆行実験での「ブライデイ・マーフィー」の出現をめぐる大騒動、後半はエド  ガー・ケーシーの説く転生観とその意味内容を描く
296.「聖なる予言」ジェームズ・レッドフィールド、角川、3月25日 *  (6)
 : 1994年アメリカで最も話題になった本の一冊。ここ半世紀私たち人類の世界に新しい意識が生まれ  始めている。それは超越的、あるいは霊的としか言いようのない、一つの新しい気づきです。私たちの   人生の展開の仕方そのものが宇宙と同調し始めているように見える
297.「ここまで来た「あの世」の科学」天外伺朗、祥伝社、3月25日  * (2)
 : サブタイトル「魂、輪廻転生、宇宙のしくみを解明する」
298.「徳和歌後萬載集」四方赤良、3月25日  **
299.「狂歌才蔵州」四方赤良、3月26日 *
300.「四方の留粕」四方赤良、3月26日
301.「恐怖の世界大陰謀」上・下、デーヴィッド・アイク、三交社、3月26日  ** (24)
 : ロスチャイルド家の世界支配の歴史を描く。フランス革命、ロシア革命、第一次・第二次世界大戦、ベト  ナム戦争、ケネデイ暗殺、湾岸戦争、9・11テロ等の仕掛人としてのその存在を暴く
302.「人間の本姓について」E・O・ウィルソン、ちくま学芸文庫、3月26日  (8)
 :1978年発行。今読むと古さを感じる
303.「ポストヒューマン誕生」レイ・カーツワイル、NHK,3月27日 *** (45)
 : サブタイトル「コンピューターが人類の知性を超えるとき」。「スピリチュアル・マシン」の続編(発行は7   年後の2005年)。コンピューターの性能は「ムーアの法則」により加速度的(対数カーブ)に向上する   。これを踏まえてコンピューターの進化を予測すると常識的には考えられないスピードで新しい社会が   出現する。それはG(遺伝子工学)N(ナノテクノロジー)R(ロボット工学)が融合した、技術社会である。  SF的との印象もあるが技術的知識の裏付けにより説得力をもつ。ただし「マルチ・メデイア」予測の時も  そうだったように、実現のタイミングは遅くなるのだろう
304.「ひとり言」鬼貫、日本名著刊行会、3月28日
305.「鬼貫句選」鬼貫、3月28日
306.「七草」鬼貫、3月28日
307.「とくとくの句合」素堂、3月28日  **
308.「五元集」其角,3月28日  *
309.「五元集拾遺」其角、3月28日  *
310.「玄峰集」嵐雪、3月28日  **
311.「去来発句集」去来、3月28日  *
312.「丈草発句集」丈草、3月28日  *
313.「俳諧職人盡」3月29日  **
314.「宇宙のランドスケープ」レオナルド・サスキンド、日経BP,3月29日  * (16)
315.「多世界宇宙の探検」フレックス・ビレンゲン、日経BP,3月29日  *  (2)
316.「宇宙の素顔」マーテイン・リード、講談社、3月30日  *
 : サブタイトル「すべてを支配する法則を求めて」。宇宙の誕生から終わりまでと人間原理・多宇宙理論   を中心に取り上げる
317.「箴言」Ⅰ・Ⅱ、サイババ、中央アート出版、3月30日  *  (3)
 : サブタイトル「サイババからのメッセージ」。人間は欲望・執着・エゴを捨てなければ平安・幸福になれな  い。人生の目的は愛の実現にあり、そのためには考え・言葉・行為を一致させることが必要である
318.「千代尼句集」千代尼、日本名著刊行会、3月30日  *
319.「大祇句選」大祇、3月30日  **
320.「春泥発句集」召波、3月30日  **
321.「樗良発句集」樗良、3月30日
322.「蕪村句集」蕪村、3月30日  **
323.「蕪村文集」蕪村、3月30日
324.「寥太句集」寥太、3月30日  **
325.「井華集」几量、3月30日  *
326.「青籮発句集」青籮、3月30日  **
327.「白雄句集」白雄、3月31日  **
328.「暁壺句集」暁壺、3月31日  **
329.「半化坊発句集」蘭更、3月31日
330.「俳懺悔」大江丸、3月31日  ***
331.「枇杷園句集」士朗、3月31日  **
332.「曾波可理」巣兆、3月31日  **
333.「成美家集」成美、4月1日
334.「野の佛」若杉慧、創元社、4月1日
 : 1953~58年に撮影された野にある仏像の写真集
335.「創造する機械」K・エリック・ドレクスラー、パーソナルメディア、4月1日 * (8)
 : 原題「The Coming Era of Nanotechnology」。ナノテクノロジーとは何か、その可能性・実現性・  リスクとそれへの対応などナノテクノロジーの解説を網羅
336.「蔦本集」道彦、日本名著刊行会、4月1日  *
337.「松窓乙二発句集」乙二、4月2日  *
338.「一茶発句集」一茶、4月2日
339.「おらが春」一茶、4月2日  **
340.「廜龍之技」抱一、4月2日
341.「宇宙はこうして始まりこう終わりを告げる」デニス・オーヴァバイ、白楊社、4月2日
 : 原著の発行は1991年。1999年に改版された際に、その後の研究の進展をまとめた1章を追加
342.「一休 狂雲集」二橋進編著、徳間書店、4月2日  *
 : 前半が一休の伝記・目指した禅の世界、後半が「狂雲集」から75偈を抜粋・翻訳・解説する。「狂雲集」  の特色として著者は、1)歴代の祖師への深い敬慕、2)俗僧への強い反感・批判、3)奔放な性の表現  を挙げる
343.「五里霧」大西巨人、講談社、4月2日
 : 12編の短編小説集
344.「イビザ」村上龍、角川、4月2日
345.「風流志道軒傳」風来山人、日本名著刊行会、4月3日  *
346.「古朽木」喜三二、4月3日  *
347.「当世阿多福仮面」粥腹得心、4月3日  *
348.「指面草」京傳、4月4日  *
349.「一休伝説」岡松和夫、講談社、4月4日  *
 : 一休に最後まで報恩庵で仕えた弟子二人、「年譜(伝記)」をまとめた墨斎と「狂雲集」を編集した祖心  を中心に一休の求めた禅・生き様を描く
350.「改訂版 属国・日本論」副島隆彦、五月書房、4月4日
 : 5つの事例をあげて「アメリカの属国としての日本」を論証する。後半は日本近代史を日本の開国をめ  ぐる米英の主導権争いとの観点で描く
351.「石仏の美」Ⅰ~Ⅲ、佐藤宗太郎、木耳社、4月4日
 : Ⅰは「庶民の願い」地蔵を中心、Ⅱは「岩のほとけ」磨崖仏中心、Ⅲは「古仏への憧れ」
352.「人遠茶懸物」一拂斎、日本名著刊行会、4月4日
353.「無弾砂子」多羅福孫左衛門、4月4日  *
354.「小紋雅話」京傳、4月4日  **
355.「奇妙図彙」京傳、4月4日
356.「浮世風呂」三馬、4月5日
357.「早変胸機関」三馬、4月5日
358.「客者評判記」三馬、4月5日
359.「浮世床」三馬、4月5日
360.「人間万事虚誕計」三馬、4月5日
361.「仮名手本蔵意抄」正二、4月5日
362.「一盃綺言」三馬、4月5日
363.「古今百馬鹿」三馬、4月5日
364.「八笑人」鯉丈、4月6日
365.「七偏人」金鷲、4月6日
366.「柳巷訛言」喜三二、4月6日
367.「市川評判図会」豊丸、4月6日
368.「室の梅」振鷺、4月6日
369.「福来すずめ」百成、4月6日
370.「一雅話三笑」鬼武、4月6日
371.「言葉の花」4月6日
372.「鯛の味噌津」蜀山人、4月6日
373.「禅への鍵」テイク・ナット・ハン、春秋社、4月7日  *  (10)
 : ヴェトナムの高僧による禅仏教の紹介書。禅は「頭で理解」するのではなく、「気ずき(マインドフルネ   ス)」を持って「生きる」こと
374.「人はなぜ話すのか」ロジャー・C・シャンク、白揚社、4月7日  (7)
 : サブタイトル「知能と記憶のメカニズム」
375.「物語論辞典」ジェラルド・プリンス、松柏社、4月7日
 : 「物語」研究に用いられるおびただしい数のキイワードが取り上げられ、その意味が説明される
376.「読書の歴史」アルベルト・マンゲェル、柏書房、4月7日  *
 ; 古今東西におよぶ史実・逸話・伝承・研究成果なども交えて語られる「読書の歴史」であり、作者の生   きた読書史でもある
377.「ネオフェリア」ライアル・ワトソン、筑摩、4月8日  **
 : サブタイトル「新しいもの好きの生態学」。「ブルータス」誌に1986年10月から87年11月まで連載さ  れた書き下ろしの26回シリーズの単行本化。新しいもの、不思議なもの、稀有なものに惹かれ、求めて  やまない、ネオフェリア(新しいもの好き)、それは人間として生きる存在の本質である
378.「愛の起源」シドニー・L・W・メレン、どうぶつ社、4月8日
 : 人生の中心にある「愛する」という能力、情緒を、ヒトはなぜ、どうして持つようになったのかを、愛の進  化しとして分析
379.「数の不思議・色の謎」北沢方邦、廣済堂、4月8日  *
 : サブタイトル「日本文化の記号を読み解く」。
380.「千の顔をもつ英雄」上・下、ジョセフ・キャンベル、人文書院、4月9日  ** (11)
 : 「英雄の冒険」は、出立、イニシエーション、帰還、というプロセスをたどる。「宇宙創成の円環」は流出・  処女出産・英雄の変貌・消滅で構成される
381.「万能感」和田迪子、新潮社、4月9日  *  (16)
 : 「万能感(全能感に類似)」が肥大化すると奢りが生じ、現実検討能力の低下をもたらす。バブル崩壊   後の閉塞状況はこの実例と考えると理解しやすい
382.「始まりの現象」エドワード・W・サイード、フレッド・イングリス、法大、4月9日 *
 : 「始まりの現象」は理想的独創性を持つ理想的<現存性>に対立するものであり、始まりとは、学問の  存在性そのものであるべきと私が考えるものである
383.「メディアの理論」フレッド・イングリス、法大、4月10日  ** (15)
 : サブタイトル「情報化時代を生きるために」。メディア理論を試みることは、思想の歴史と経済的生産の  歴史を総合することであり、現代歴史的展開を解く鍵は、すぐれた市民を教育するための、ひかえめで  はあるが、全世界的意味を持つ核心部にある
384.「アベラシオン」バルトルシャイテス、図書刊行会、4月10日  *
 : サブタイトル「形態の伝説をめぐる四つのエッセー」。アベラシオン(錯視)の世界のもつ魅力を「動物観  相学」「絵のある石」「ゴシック建築のロマン」「庭園とイリュージョン風景」という四つのエッセーで紹介
385.「排風柳多留」1、岩波文庫、4月11日
386.「最古の宗教」ジャン・ボテロ、法大、4月12日
 : サブタイトル「古代メソポタミア」。紀元前三千年から約三千年年間にわたって存在した宗教は、シュメ  ール文化・セム文化の相互交流と和合の上に作り上げられ、神々の体系を確保、人間の役割は「労働」  と「奉仕」にあり、人生に「成功する」ことに熱心に取り組み、生を楽しんだ
387.「闇の歴史」カルロ・ギンズブルグ、せりか書房、4月12日  *
 : サブタイトル「サバトの解説」。魔女裁判のなかに出てくる「サバトニ儀礼的悪魔崇拝」は、敵対的宗派  や、社会集団の陰謀と魔術的奇行や動物の変身などのシャーマニズムの二つの潮流があり、これが隠  された本質的類似を有するために堅固で持続的な融合が生じた
388.「世界劇場」フランセツ・イエーツ、晶文社、4月12日  **
 : エリザベス・ジェームス朝時代のロンドンの公衆劇場は古代劇場を改革したものであり、デイーを中心  とするヴィトルーヴィウス復興運動の中で作り出された。それは聴覚的側面、音楽的側面、宇宙的側面  という古代劇場の最も重要な側面を受け継ぐものである
389.「オイディプス王」ソポクレース、小沢書店、4月13日  *
390.「神話作用」ロラン・バルト、現代思潮社、4月13日  *
 : 神話とは一つの意味表象の意味作用を、意味するものにしてしまい、意味されるものを与える、第二   次の意味作用を出現させる<超言語>の働きであり、一社会内では、その社会の支配的イデオロギー  のために働く<まやかし>である
391.「記号論」Ⅰ・Ⅱ、U・エーコ、岩波現代選書、4月13日  *
 : エーコは記号論を「意味作用と伝達」「コードの理論」「記号生産の理論」として展開する
392.「ノストローモ」コンラッド、研究社、4月14日  *
393.「ロード・ジム」コンラッド、研究社、4月14日  **
394.「失楽園」ミルトン、講談社、4月14日  **
395.「オリエンタリズム」エドワード・W・サイード、4月15日  ** (17)
396.「改訂版ひふみ神示」上・下、岡本天明、コスモ・テン・パブリケーション、4月15日 (4)
397.「チーズとうじ虫」キンスブルグ、みすず、4月16日  **
 : 16世紀に異端として宗教裁判で死刑とされた粉挽屋に焦点をあて、支配階級ではない彼が独自の見  解を持つに至ったかを描く
398.「ティル・オイレンシュピゲールの愉快ないたずら」ヘルマン・ボーテ、法大、4月16日 *
 : 64話の小話を収録。ドイツの民衆的な英雄のゆりかご(誕生)から墓場(死)までを描く
399.「誹風柳多留」二、岩波文庫、4月16日
400.「王の奇跡」マルク・ブロック、刀水書房、4月17日  *  (4)
 : サブタイトル「王権の超自然的性格に関する研究/特にフランスとイギリスの場合」。「王の奇跡」とし   ての「病気治癒」の発生・絶頂・消滅の歴史を分析
401.「アナモルフォーズ」バルトルシャイテス、国書刊行会、4月17日  *  (6)
 : サブタイトル「光学魔術」。「アナモルフォーズ=光学的な逸脱現象」を遠近法の加速、鏡、光学機械の  使用に分類
402.「明るい部屋」ロラン・バルト、みすず、4月17日  *  (4)
 : サブタイトル「写真についての覚書」
403.「表象の王国」ロラン・バルト、新潮社、4月17日  **
 : 「表象の帝国」としての日本を捉えるバルトの日本論。西洋と完全に断絶した思いもよらぬ表象世界を  垣間見せる日本の姿を描く
404.「二つのイスラーム社会」C・ギアーツ、岩波新書、4月17日  *
 : インドネシアとモロッコを取り上げ、宗教を基軸とする比較文化研究と比較社会論を展開
405.「誹風柳多留」三、岩波文庫、4月18日
406.「ミドル・マーチ」1・2、ジョージ・エリオット、講談社、4月19日  **
407.「新しい学」1~3、J・ヴィーコ、法大、4月20日  *  (22)
 : 原題「諸国民の共通の自然本姓についての新しい学の諸原理」。諸原理を三つの世界として提示。1)  象形文字はすべての諸国民の世界を指示、2)自然学者たちが観察することになった自然の世界、3)   形而上学者たちが観照するするに至った知性ならびに神の世界
408.「古川柳おちぼひろい」田辺聖子、講談社文庫、4月20日  **
 : 古川柳の名作を選び出し、解説を加える。川柳を理解するには当時の時代背景にとどまらず、数多く   の約束事を知っていることが必要。そうした説明も加えながら、いかにも古川柳を楽しんでいる筆者の   姿が好ましい
409.「知恵の七柱」1~3、T・E・ロレンス、東洋文庫、4月22日
 : 「アラビアのロレンス」の手記。1916~18年の約二年間の行動とそれを支える理念、アラブの諸民族  とその風俗習慣・思想感情・気候風土・地形・地勢・など多岐にわたる記録
410.「来たるべき書物」モーリス・ブランショ、筑摩、4月22日  *
 : 「あらゆる思想は骰子の一擲を発する」。これは結句であり起句である。書物は、その意味である生成  のなかに、ひそやかに持ちたてられるのであり、この意味は円環の生成そのものとなるだろう
411.「情報文化問題群」松岡正剛監修、NTT,4月22日  *
412.「遊行の博物学」松岡正剛、春秋社、4月22日  *
413.「ルナティックス」松岡正剛、作品社、4月22日  *
414.「加速するテクノロジー」レイ・カーツワイル、NHK,4月23日
415.「臨済録」臨済、中央公論、4月23日  **
 : 天と地の外に仏を求め回っても無駄。いつも変わらず、戸惑わないのが生きた文殊であり、差別のな   い一瞬の心の輝きが普賢であり、仏は君たちのなかにいる。腹が減ったら飯を食い、眠くなったら目を   閉じる、これが禅だ
416.「正法眼蔵」上・下、道元、理想社、4月24日  **  (5)
417.「空の思想史」立川武蔵、講談社学術文庫、4月25日  *
 : サブタイトル「原始仏教から日本近代へ」。「軸の時代」に生まれた世界宗教は自己否定を重視した。   自己否定を通じて新しい自己に生まれ変わることを目指した、仏教においてこの精神がもっとも顕著に  現れたのが空の思想であり、この思想はチベット・中国・日本への仏教東漸のなかで「世界を生み出す  無」「真理としての空」肯定色を強めていく
418.「日本渡航記」ゴンチャロフ、雄松堂、4月25日  *
419.「山の音」川端康成、新潮社、4月25日
420.「英国公使夫人の見た明治日本」メアリー・フレイザー、淡交社、4月25日  * 
 : 1889(明治22)年からの3年間の日本滞在記。日本を観察する見識の高さ・確かさが印象的
421.「極東の魂」ローエル、公論社、4月25日
 : 1888年出版。極東の文明の特徴を西洋と反対の「没個性」にあるとし、言語・日常生活の思想、宗教  に焦点をあてて分析
422.「秋の日本」ピエール・ロチ、角川文庫、4月27日
 : 1885年の日本滞在記。京都・江戸・鎌倉・日光・昭憲皇后などの見聞録
423.「カンディード」ヴォルテール、岩波文庫、4月28日  *
 : 当時の支配階級に受け入れられていたライプニッツの楽天主義説をこっぴどくやっつけるために書か  れた小説
424.「日本奥地紀行」イサベラ・バード、東洋文庫、4月28日  **
 : 1878(明治11)年に来日した英国人女性による日光から北の東北・北海道のヨーロッパ人初の踏破   記
425.「増補アジアのなかの日本」飯塚浩二、中央公論、4月28日  *
 : 初版1960年
426.「東京日光散策」ギメ、雄松堂、4月29日  *
427.「日本素描紀行」レガメ、雄松堂、4月29日
 : 豊富なスケッチが掲載されており、当時の様子が良くわかる
428.「明治東京逸聞史」1・2、森銑三、東洋文庫、4月29日  *
 : 明治元年から大正元年までの明治の古い新聞・雑誌を漁り読んでその時代の東京の姿を浮かび上が  らせる好文章
429.「人間の条件」アンドレ・マルロオ、新潮社、4月29日
430.「荒野の狼」ヘルマン・ヘッセ、人文書院、4月29日  **
 : 近代を作り上げた人間は「統一体」であるという虚構にとらわれ、人間は「人間」と「狼」の間を揺れ動   く、しかし人間はそんな単純な生き物ではなく、「ユーモア」を持ち合わせており、「人間」と「狼」の二つの  極にとどまらない複雑な理想を実現させうる
431.「ベルツの日記」第一部上・下、ベルツ、岩波文庫、4月30日  *
432.「大いなる秘密」上、デーヴィド・アイク、三交社、5月2日
433.「一外交官の見た明治維新」上・下、アーネスト・サトウ、岩波文庫、5月2日  *
434.「大君の都」上・中・下、オールコック、岩波文庫、5月2日  **  (12)
435.「ベルツの日記」第二部上・下、ベルツ、岩波文庫、5月3日
 : 1904(明治37)~5年、第二部の全篇を覆うのは日露戦争の話題、親ロシア路線をとる母国ドイツの  評判を気にしながら、日本の行く末を心にかける
436.「南方特別留学生トウキョウ日記」レオカデオ・デアシス、秀英書房、5月3日
 : サブタイトル「フィリピン人の見た戦時下の日本」
437.「都市の日本人」R・P・ドーア、岩波、5月3日
 : 1951(昭和26)年の東京の下町にある人口約300人の下山町の調査に基ずく日本社会分析
438.「モレルの発明」アドルフォ・ビオイ=カサーレス、風の薔薇、5月3日  **
 : ボルヘスに「完璧な小説」と言わしめた作品
439.「誹風末摘花」稲田三良編、魚住書店、5月4日  **
440.「絵本末摘花」衣笠桃雄、三崎書房、5月4日  **
 : 作品に解説を加えたもの
441.「日本の家屋と生活」ブルーノ・タウト、春秋社、5月4日  *
 : 1933年来日、圧巻は本書の原稿を読んだ鈴木氏とのやり取りと桂離宮論
442.「民間が所有する中央銀行」ユースタス・マリンズ、秀麗社、5月5日  * (8)
443.「坂本龍馬と明治維新」マリアス・ジャンセン、時事通信社、5月5日
444.「日本人の西洋発見」ドナルド・キーン、中公叢書、5月5日
 : 本多利明、司馬江漢、最上徳内、間宮林蔵、平田篤胤を取り上げ、日本人の西洋発見を語る
445.「西洋文学の日本発見」E・マイナー、筑摩、5月5日  *
 : 本書の目的は、日本の発見とその後この国が次第に理解されていったこと、この発見が英米作家の   想像力に与えた影響を記述すること。最も刺激的だったのは、エズラ・バウンドが俳句・漢字(象形文    字)・能から受けた詩などへの影響
446.「ガラス玉演戯」ヘッセ、新潮社、5月6日  **
447.「骰子一擲」S・マラルメ、思潮社、5月6日  *
448.「希望」上・下、A・マルロー、新潮文庫、5月6日  *
 : 1937年発表。スペイン戦争を革命軍の立場から描いたマルローの代表作
449.「デミアン」ヘッセ、岩波文庫、5月6日  *
450.「ねじの回転」H・ジェイムス、新潮文庫、5月7日  **
451.「あずさ弓」C・ブラッカー、岩波現代選書、5月7日  *
 : サブタイトル「日本におけるシャーマン的行為」。日本には他界と交流できると信じられている霊媒や行  者がいる。古代からの歴史にとどまらず、、現代にも生きているその姿を描く
452.「意気土産」加藤郁乎、小沢書店、5月7日  *
453.「東京下町山の手」E・サイデンステッカー、TBSブリタニカ、5月8日  **
 : 1867~1923年にわたる東京の変遷を江戸から東京の明治・大正への流れの中で描く
454.「超常現象には”絶対法則”があった」猪俣修二、KKロングセラーズ、5月9日  *
 : 「意識工学」の登場により、「超常現象」を取り扱えない現代物理学の限界を打破、新しいパラダイムを  紹介
455.「コスモスの思想」岩田慶治、NHK・B,5月9日  **
 : サブタイトル「自然・アミニズム・密教空間」
456.「木と森の山旅」西口親雄、八坂書房、5月9日
457.「虫こぶ入門」薄葉重、八坂書房、5月9日
 : サブタイトル「虫と植物の奇妙な関係」
458.「「縮み」志向の日本人」李御寧、学生社、5月9日  *
 : 日本人論に「縮み」志向という新しい切り口を提示。「拡大」志向に向かったとき日本人は失敗してきた  という
459.「知の構築とその呪縛」大森荘蔵、ちくま学芸文庫、5月10日  **  (16)
 : 「科学革命」の時代に、感覚や感情を始めとする人間の「心」が科学から排除され世界は「死物」化し   た。著者はこの問題を克服する方法として、「心」の諸相を取り戻して科学の世界像の上に重ねて描く方  法を提案する
460.「男性学入門」伊藤公雄、作品社、5月10日
 : 1990年ごろからの女性学の興隆に対抗「男性学」が日本でも始まった
461.「ポリテイコン」上・下、桐生夏生、文春、5月10日
 : 大正時代東北の寒村に芸術家たちが作ったユートピア「唯腕村」の1997年以降を描く長編小説
462.「「静岡方式」で行こう」津富宏、クリエイツかもがわ、5月10日  *
 : 若者就労支援で驚異的な実績( 6か月後進路  決定率80%、全国平均25% )を挙げている静岡  方式を紹介
463.「宇宙エネルギーの超革命」深野一幸、廣済堂、5月11日  *  (14)
464.「ニューサイエンスのパラダイム」猪俣修二、技術出版、5月11日
 : 科学における第三のパラダイム・シフトであるニューサイエンスを数式で証明する
465.「気は挑戦する」別冊宝島103号、石井慎二編、JICC、5月11日  *
 : <気>をめぐる最近の論考をできるかぎり広く集めてつくられた
466.「天理教教祖伝」天理教本部、天理教道友社、5月11日
467.「正義のアイディア」アマルテイア・セン、明石書店、5月11日  *  (20)
 : 通常「正義論」で取り上げられるのは、ロールズに代表される「完全な正義」とは何かについての問い   に答えるものとなっているが、本書で著者が目指すのは、どうすれば、われわれは正義を促進し、不正  義を抑えることができるのかに答えるという広い意味での正義の理論である
468.「俳諧志」加藤郁乎、潮出版、5月12日  **
 : 宗鑑の「犬筑波集」から数えて500年俳諧史ながら、探れば探るほど興深く、奥深い。俳人の人となり  とその作品を紹介
469.「弐玉川」日本名著刊行会、5月12日
 : 川柳集
470.「大いなる秘密」下、デーヴィド・アイク、三交社、5月13日  * (17)
471.「日本アルプス」ウエストン、創元社、5月13日
 : サブタイトル「登山と探検」
472.「江戸俳諧歳時記」加藤郁乎、平凡社、5月13日
473.「時間と存在」大森荘蔵、青土社、5月13日  *  (20)
474.「川傍柳」日本名著刊行会、5月13日
475.「誹風柳多留拾遺」日本名著刊行会、5月14日
476.「大名なぐさみ曾我」近松門左衛門、5月14日  *
 : 歌舞伎脚本集
477.「終活ハンドブック」本田桂子編、PHP,5月14日
478.「大名なぐさみ曾我」近松門左衛門、日本名著刊行会、5月15日  *
479.「好色伝授」小島彦十郎、日本名著刊行会、5月17日
480.「源平雷伝記」三升屋兵庫、5月17日
481.「けいせい浅間嶽」中村七三郎、5月17日  **
482.「男伊達初買曾我」藤本斗文、5月18日
483.「桑名屋徳蔵入船物語」並三正三、5月18日
484.「滑稽太平記」浮生選、集英社、5月13日
485.「樹木学」ピーター・トーマス、築地書館、5月18日
 : 樹木についての数々の誤った神話を正すとともに、樹木が成長し、子孫を残し、死んで行く、その驚
  くべき世界を開示する
486.「フリー・エネルギー技術開発の動向」D・A・ケリー編、技術出版、5月18日  (2)
487.「水素エコノミー」ジェレミー・リフキン、NHK,5月18日  **  (25)
 : 環境・資源問題により石油に代表される炭素燃料の終焉・再生エネルギー社会への転換が叫ばれて  いる。再生エネルギーの本命として太陽が注目を集めているが、太陽は放散型であるため、収斂工程   が必要、そのために化石エネルギーを大量に使用した装置が必要という基本的弱点を持つ。次世代エ  ネルギーの本命は水素エネルギーである。そのためには、再生エネルギーで水を安く分解・燃料電池   の低廉化を成し遂げる技術開発が必要である。それができれば燃料電池をネットワーク状につなぐエネ  ルギー・ウエブが実現しエネルギーの分散・民主化が行われる
488.「天満宮菜種御供」並木五瓶、日本名著刊行会、5月19日
 : 歌舞伎脚本
489.「隅田川続俤」奈河七三助、5月19日
490.「廓の花見時」桜田治助補、5月19日
491.「東海道四谷怪談」鶴屋南北、5月19日
492.「花街模様薊色縫」河竹黙阿弥、5月19日
493.「忠臣蔵年中行事」河竹新七、5月19日
494.「快楽」Ⅱ、工藤美代子、中央公論、5月19日
 : 「婦人公論」に2010年8月~11年8月まで連載されたものを単行本化。熟年女性の人生と性愛を描  く
495.「電気システムとしての人体」久保田博南、講談社、5月20日
496.「歴代滑稽伝」許六、集英社、5月20日
497.「俳諧無門関」寥太、集英社、5月20日
498.「旅寝論」去来、集英社、5月20日
499.「篇突」許六、集英社、5月20日
500.「川柳江戸名物」西原柳雨、春陽堂、5月21日
501.「遊牧空間」加藤郁乎、三一書房、5月21日  *
 : 昭和40~45年に発表された評論の単行本化。巻頭の「句的瞬間」「然りしかして否」がよかった
502.「現代史のリテラシー」佐藤卓巳、岩波、5月21日   *
 : サブタイトル「書物の宇宙」。筆者の論評した書物を通して現代を読み解く。「ヒトラーの世紀を読む」   「日本の戦争と知識人」「現代日本の文化批評」「メデイア史の射程」で構成  
503.「三体詩」1~4、村上哲見、朝日文庫、5月22日  *
 : 三体とは、唐詩の形式の古体と近体のうちの近体のなかの七言絶句、七言律詩、五言律詩の三つの  形をいう。「新体詩」は周弼が詩法の違いに基づいて編集するという画期的独創性を示すもので、167   人の詩人の作品494首を収め、「唐詩選」との重複もほとんどなく中・晩唐の詩を主とする
504.「自由」アウンサン・スーチー、集英社、5月23日  *
 : 3部構成。1)わたしが受け継いだもの(ビルマの歴史、父アウンサン将軍)、2)わたしはなぜ戦ってい  るのか(自由・民主主義を求めて)、3)アウンサン以外の人々のメッセージ
505.「嬉遊笑覧」上・下、喜多村信節、名著刊行会、5月23日  *
 : 人間の衣食住に用いる諸物・道具、それを用いる風俗習慣、動植物、書・画、詩歌、武事、雑技、音    曲、玩具、祭礼、娼妓、言語、商売などの起源・意味を各種古典より抜粋し説明する大著
506.「超相対性理論入門」清家新一、大陸書房、5月23日
 : 「超相対性理論」とは、相対性理論を超えて四次元空間の運動を説明し、そこに存在する重力エネル   ギーを電力化する理論である
507.「消えた地球重力」清家新一、大陸書房、5月23日
508.「男おひとりさま道」上野千鶴子、法研、5月23日
509.「男おひとりさま術」上野千鶴子、法研、5月23日
510.「仕事漂流」稲泉連、プレジデント、5月23日
511.「199X年地球大破局」深野一幸、廣済堂、5月24日
512.「陶淵明全集」上・下、岩波文庫、5月24日  **
513.「最先端の世界本物の世界」Part1/Part2,船井幸雄編、ビジネス社、5月25日 * (20)
514.「意識が拓く時空の科学」猪俣修二ほか、徳間、5月25日
 : 1998年11月に日本で開催された「第二回意識・新医療・新エネルギー国際シンポジウム」の記録
515.「高次元科学」関英雄、中央アート出版社、5月25日
 : サブタイトル「気と宇宙意識のサイエンス」
516.「来たるべき宇宙文明の真相」深野一幸、徳間、5月25日  (3)
517.「白氏文集二上」明治書院、5月26日  *
518.「近世滑稽俳句大全」加藤郁乎、読売、5月26日  *
 : 俳諧俳句の俳は元来が滑稽諧謔を意味する。ところが、おどけたわむれる俳趣味は失われたと指摘
519.「詩篇」加藤郁乎、思潮社、5月26日
 : 詩集
520.「むらさき控」加藤郁乎、小沢書店、5月27日  **
 : サブタイトル「新編江戸歳時記」。正月~十二月、都島、相対死、天下祭、江戸名物
521.「古意新見」加藤郁乎、小沢書店、5月27日  *
522.「閑談前後」加藤郁乎、小沢書店、5月27日
523.「白氏文集三」明治書院、5月27日
 : 白氏文集巻第13~16
524.「白氏文集二下」明治書院、5月28日
 : 白氏文集巻9~12、感傷1~4
525.「白氏文集四」明治書院、5月28日  *
 : 白氏文集巻17~21、律詩5~7、詩賦
526.「暴走老人」藤原智美、文芸春秋、5月28日
 : 最近社会現象として目立つのが暴走老人の急増。情報社会化の進展の中で人々の内面=感情・情   動の在り方が揺れているからだという
527.「白氏文集五」明治書院、5月28日  **
 : 巻22~30
528.「白氏文集六」明治書院、5月29日  *
 : 巻31~36
529.「歴史をさわがせた女たち」庶民篇、永井路子、文春文庫、5月29日
530.「白氏文集八」明治書院、5月30日  *
 : 巻45~48、49~50
531.「白氏文集九」5月30日  *
 : 51~56
532.「白氏文集十二上」5月30日  **
 : 67~69
533.「デカメロン」ボッカチオ、河出書房、5月31日
534.「白氏文集七上」6月1日
 : 巻37~40
535.「白氏文集七下」6月1日  **
 : 41~44
536.「これで世界は蘇える」船井幸雄、中島孝志、かんき出版、6月1日  (4)
 : サブタイトル「本物技術が世界を変える」。1)「カーゼロイン」(微生物活用農法)、2)AIA-Life(人工   生命技術)、3)「BMD}などを紹介
537.「ホワイトホール・イン・タイム」ピーター・ラッセル、地湧社、6月1日  *
 : サブタイトル「進化の意味と人類の将来」。私達人類が直面している問題を冷静に見つめつつ、人類の  意識の目覚めとという次なる進化の段階に私たちが登っていくために、祈りと期待をこめて書かれた本
538.「科学は心霊現象をいかにとらえるか」ブライアン・ジョセフソン、徳間、6月1日  *
539.「日本は俳句の国か」加藤郁乎、角川、6月1日  *
540.「歴史をさわがせた女たち」外国篇、文春文庫、6月2日
541.「インド・ヨーロッパ諸制度語彙集」Ⅰ・Ⅱ、エミール・バンヴェニスト、言叢社、6月2日  *
 : Ⅰ「経済・親族・社会」、Ⅱ「王権・法・宗教」。人間の言語活動がいかに歴史の無意識と意識の狭間に  働き、社会の規制的な力と創造・変容の始動力となって歴史形成を促すかを描く
542.「モル・フランダース」上・下、デフォー、岩波文庫、6月2日  *
 : 「ロビンソン・クルーソー」とならぶデフォーの代表作。主人公モル・フランダースの60年の人生は悪と  淫売と姦淫と血族相姦と窃盗との恐るべき万華鏡である
543.「エイジ・オブ・アクセス」ジェレミー・リフキン、集英社、6月3日  **  (21)
 : 市場の取引が複雑な商業ネットワークに置き換えられ、財産の所有よりアクセスの方が重要、経済的・  社会的サービスがサイバー空間の中で起こる度合いが増し、文化自体が究極の商品となるという21世  紀社会像を提示する
544.「多言語主義とは何か」三浦信孝編、藤原書店、6月3日  *
 : 人間の言葉を一つに統一するのが便利だと考える傾向を「一言語主義」、言語の多様性に意義を認   め、互いに相手の言葉を学びあうことで意志の疎通をはかろうとする態度を「多言語主義」という
545.「フランクリン自伝」フランクリン、岩波文庫、6月3日
546.「大阪弁ちゃらんぽらん」田辺聖子、筑摩、6月3日  *
547.「大阪弁おもしろ草子」田辺聖子、6月3日  *
548.「定年後を楽しむ人楽しめない人」金田義朗、洋泉社、6月3日
549.「団塊漂流」海江田万理、角川、6月3日
 : サブタイトル「団塊世代は逃げ切ったか」
550.「江戸艶本ベストセラー」林美一、新潮社、6月4日  *
551.「神秘の島」1~3、ジュール・ヴェルヌ、偕成社文庫、6月5日  *
 : 「海底万里」「80日間世界一周」などと並ぶヴェルヌの代表作。「ロビンソン・クルーソー」を愛読してき  た作者の独自のロビンソン・クルーソーの物語
552.「地球意識革命」ジェレミー・リフキン、ダイヤモンド、6月6日  **  (27)
 : サブタイトル「聖なる自然をとりもどす」
553.「バイテク・センチュリー」ジェレミー・リフキン、集英社、6月6日  *  (23)
 : サブタイトル「遺伝子が人類そして世界を改造する」。遺伝子組み換えがもたらす効果とリスクを描き  、物理・科学革命の経験の反省して対応すべきだと主張する
554.「大失業時代」門倉貴史、祥伝社、6月6日
555.「旧事紀直日」橘守部、現代思潮社、6月7日
 : 「先代旧事本紀」の研究書
556.「直昆霊」本居宣長、名著刊行会、6月7日
 : 日本は古より天照大御神以来、文字に書かれた教えはなかったが、天下は穏やかに治まってきた。こ  れはさかしら心で言挙げしなくても王道があったからであると説く
557.「国意考」賀茂真淵、名著刊行会、6月8日
 : どうしたら国が治まるかを、中国の歴史を分析しながら考察。大事なのは「直き心」「やわらぐ心」であ   り、歌の心も役に立つと述べる
558.「天書」韓美林、河出書房、6月11日  ***
 : サブタイトル「失われた古代文字を求めて」。秦の始皇帝による文字統一以来失われた古代文字数万  点を収集、我々の祖先が創造した文化を現代の審美眼で理解し、創造すべきとの考えを「字画同源」で  実践して見せたのが本書
559.「先代旧事本紀、神道体系編纂会、6月11日
 : 10巻からなり、1~5巻は天地開闢より神代、6~9巻は神武~推古天皇、10巻は諸国国造の定置   について。近世初頭以前まではわが国史書の最初のものとされ尊重されてきたが、近世に入って成立  時期に疑問がもたれ、本文は「古事記」「日本書紀」「古事拾遺」の文章が適宜裁断して構成した部分が  多く、平安時代初期9世紀後半の作と見られるにいたった
560.「日本超古代秘史資料」吾郷清彦、新人物往来社、6月11日  *  (6)
 : 12の超古代文書の成り立ちとその内容を紹介。神武朝以前の太古の歴史
561.「古神道大義」筧克彦、刊行会、6月11日  *  (8)
 : 「古神道」とは何かの解説書。明治天皇の崩御直後に書かれた
562.「イルミナテイ 悪魔の13血統」フリッツ・スプリングマイヤー、KKベストセラーズ、6月11日
 : サブタイトル「世界を収奪支配する巨大名家の素顔」
563.「プルターク英雄伝」1~8、潮文庫、6月13日  *
 : 「プルターク英雄伝」の全訳。訳者は「このプルターク英雄伝を読む人が一様に感ずるであろうことは、  課題ギリシャと古代ローマの英雄や哲人たちが、日本の過去の偉人や天才たちと、多くの点において似  通っているということである。せれは、西洋文明の淵源とせられるこれら二大国の国民性と徳操とが、多  くの点において似通っているということである。」と指摘する
564.「ソウルフルな経済学」ダイアン・コイル、インターシフト、6月13日
 : サブタイトル「格闘する最新経済学が1冊でわかる」。最近20~30年間で経済学は飛躍的に発展を   遂げた、その成果の紹介
565.「芸術の非人間化」オルテガ、白水社、6月13日  (2)
 : 「新芸術」とは何かを、その時代背景と歴史的・文化的展望の中で分析する
566.「日本と世界を直撃するマネー動乱」増田悦佐、マガジンハウス、6月14日  *** (19)
 : アメリカは財務省・ウオール街融合体により上位一社総取り格差社会へ転換、ヨーロッパ経済の復権  はありえず、本当に危ないのはドイツとイギリス、変調をきたし崩壊へのメルトダウンが始まっている中   国、これからは日本と金だけが一人勝ちする
567.「聖なる導きインド永遠の書」サンダー・ジング、徳間、6月14日  *
 : ジングはヒマラヤに生まれ幼少のころから将来は神に一生を捧げるサードゥー(聖なる人)になること   のみを願い努力を重ねた。15歳の時彼の前に現れた神はインドの神仏ではなくイエス・キリストだっ    た。この日よりクリスチャン・サードゥーとして宣教を開始した。計7冊の本を執筆したが、本書はその全  冊を一冊にまとめたもの
568.「情報の地政学」アンソニー・スミス、TBSブリタニカ、6月15日  (4)
569.「ヒューマン・スケール」カークパトリック・セール、講談社、6月15日  (5)
 : サブタイトル「巨大国家の崩壊と再生の道」。アメリカの事例を取り上げて、あらゆる領域での巨大化に  より人間は危機に直面直面していると指摘
570.「民主主義の終わり」ジャンマリ・ゲーノ、講談社、6月15日  **  (57)
 : 1989年のベルリンの壁崩壊をどう見るかについての三つの見解。1)民主主義の勝利(歴史の終わ   り)、2)民主主義以前の世界への逆戻り、3)民主主義の終わり。筆者は「民主主義の終わり」を主張
571.「道教の神秘と魔術」ジョン・ブロフェルド、ABC出版、6月15日  ** (12)
572.「孔子・老子・釈迦「三聖会談」」諸橋轍次、講談社学術文庫、6月16日  * (2)
 : 「三教図」に茂樹され、「文章による三教図」を思いつく。三聖の人間観・死生観・「空」「無」「天」「中」、   仁・悪・慈悲についての見解を戦わせる
573.「現代人は愛しうるか」D・H・ロレンス、筑摩叢書、6月16日
 : サブタイトル「アポカリウス(黙示)論」
574.「フランス デカメロン」、筑摩叢書、6月16日  *
575.「楽しいおつきあいこころゆたかな老いじたく」吉沢久子、日本評論社、6月16日
576.「デカルトからベイトソンへ」モリス・バーマン、国文社、6月17日  *** 
 : サブタイトル「世界の再魔術化」
577.「困ってる人」大野更紗、ポプラ社、6月17日  **
 : 上智大学の大学院生が突如難病にかかり、何の病気か分からず一年間の病院放浪とその後の9か   月にわたる検査・入院生活、その病院のそばに部屋を見つけ一人暮らしを始める顛末を語綴る。悲惨   な事態をユーモアを交えて語る著者のパーソナリテイに脱帽
578.「脱物質社会」ダイアン・コイル、東洋経済、6月17日
 : 原題「The Weightless World」
579.「天窓を抜けて消えてゆく」O・B・ハーディソンJR,白揚社、6月17日
 : サブタイトル「20世紀の文化とテクノロジー」。自然・歴史・言語・芸術・人間の五つのものの消失として  その特質を説明する
580.「第三の道」糸川英夫、CBSソニー、6月17日
 : サブタイトル「インドと日本とエントロピー」。開発に遅れを取ってしまったインドであるが、その低エント  ロピーの伝統に、未来社会での先行者としての希望を見出す
581.「声の文化と文字の文化」W・J・オング、藤原書店、6月18日  ** (21)
 : 全く書くことを知らない声の文化と文字の文化との間には、知識がどのように取り扱われ、どのように   表されるか、基本的違いがあるという
582.「老子の思想」張鐘元、講談社学術文庫、6月18日  **  (3)
 : 老子の「道徳性」を西洋と東洋の現代思想の観点に立って読み直し、「道」についての解釈を提示す   る。ハイデッカー・ヘーゲル・ユング・西田幾太郎などの思想と比較
583.「世界一大きな問題のシンプルな解き方」ポール・ポラック、6月18日  ** (3)
 : サブタイトル「私が貧困解決の現場で学んだこと」。貧困解決のためには開発が必要、そのためには先  進技術を導入した工業化が有効というのが一般的アプローチだったが、貧困はなくなっていない。自ら   の経験に基づき、現地の伝統技術を活用し(少額の資金でできる)、現地の需要(地産地消)にあったビ  ジネス・モデルが成功の鍵だという
584.「みんなのなやみ」重松清、イースト・プレス、6月18日
 : 小・中学生の悩み・相談に重松清が回答
585.「福沢諭吉と女性」西澤直子、慶大、6月18日
 : 「一身独立して一家独立し、一家独立して一国・天下も独立する」と唱えた福沢の女性論は如何なるも  のであったかを紹介
586.「日本のデザイン」原研哉、岩波新書、6月18日  (5)
 : サブタイトル「美意識がつくる未来」。日本のデザインのもとにあるのは、国民性としての美意識の高さ  にあると指摘
587.「科学コミュニケーション」岸田一隆、平凡社新書、6月18日
 : 「科学コミュニケーション」を「共感・共有のコミュニケーション」という観点で考察
588.「これも男の生きる道」橋本治、ちくま文庫、6月19日
 : 最近団塊の世代の大量退職に伴い「男の自立」が叫ばれているが、筆者は「女の自立」は必要だが、  男に必要なのは「一人前になる」ことだと主張
589.「日本神代文字研究原典」吾郷清彦、新人物往来社、6月19日  *  (4)
590.「解読日本古代文字」相馬龍夫、新人物往来社、6月19日
 : 「日本古代文字の謎を解く」の続編。洞窟・古墳・鏡・武具・銅鐸・縄文時代の古代文字を読み解く
591.「マヤンファクター」ホセ・アグエイアス、ヴォイス、6月19日  (7)
592.「エコトピア・レポート」アーネスト・カレンバック、創元推理文庫、6月20日  ***
 : 1979年アメリカから西武三州分離独立したエコトピア国を20年後に訪問した取材レポートいう形態を  とる小説。大量生産・大量消費・大量廃棄型のアメリカ文明を痛烈に風刺
593.「子規と碧梧桐」栗田靖、双文社、6月20日  **
594.「三千里」上・下、河原碧梧桐、講談社学術文庫、6月20日
 : 明治39年8月~40年12月に千葉から太平洋側を北上、北海道にわたり、青森に戻り、秋田、山形、  新潟と日本海側を回り東京に帰るまでの紀行文・句会などの紹介
595.「松山日記」種田山頭火、春陽堂、6月20日  *
596.「一草庵日記」種田山頭火、春陽堂、6月20日  *
597.「相似象」創刊号、宇野多美恵、相似象学会、6月21日  *  (8)
598.「秀真伝」吾郷清彦、歴史と現代社、6月21日   ***  (20)
 : 景行天皇に捧げられた「ホツマツタヱ」全40巻に注釈・解説を加えたもので、天・地・人の三部構成
599.「ミカサフミ」吾郷清彦、歴史と現代社、6月21日
600.「新論日本古代史」田中勝也、大和書房、6月22日  (3)
 : サブタイトル「異書から日本人の源流が見えてきた!」
601.「グローバル定常型社会」広井良典、岩波、6月22日  ***  (62)
602.「文明としての教育」山崎正和、新潮新書、6月22日  *  (18)
603.「ポポル・ヴフ」A・レシーノス、中公文庫、6月22日
 : グアテマラの原始民族、キチュー族が残した豊かな神話の遺産「ポポル・ヴフ」の書
604.「誰が「地球経済」を殺すのか」浜短子、実業の日本、6月22日
 : 経済の見方をやさしく解説しているという意味では成功しているが、「誰が殺すのか」という点について  は全く触れていないという不思議な本
605、「EUメルトダウン」浜短子、朝日、6月22日
 : 現象を中心に追っているので迫力に欠け、本質に迫り切れていない
606.「これは誰の危機か、未来は誰のものか」スーザン・ジョージ、岩波、6月22日
 : サブタイトル「なぜ1%にもみたない富裕層が世界を支配するのか」。世界の牢獄の錠と鍵を打ち壊    し、より安全で環境に優しく公正で人間的で文明的な形にシステムをリセットさせられる決定的に重要な  役割を果たせるのは一人一人のあなたであると呼びかける
607.「「分かち合い」の経済学」神野直彦、岩波新書、6月22日  *  (14)
608.「古史精伝ウエツフミ全訳」1~5、吾郷清彦、霞ヶ関書房、6月23日  *
 : 大友能直(源頼朝の長男(庶子))の編纂した超古代史で全41綴。豊国文字の原文併記
609.「広野から」川田順造、筑摩、6月23日
 : 1972年西アフリカのサバンナ地帯での生活の中で感じたり考えたりしたことをまとめたエッセイ集
610.「「福祉政府」への提言」神野直彦・金子勝編、岩波、6月23日  *  (27)
 : サブタイトル「社会保障の新体系を構築する」
611.「無文字社会の歴史」川田順造、岩波、6月25日  *  (8)
 : 「文字社会」と「無文字社会」を、二つの断絶した異質の社会とみなすことはできない、人類の生活の中  で、文字性と無文字性は、さまざまな度合いで浸透しあっている
612.「隠された神々」吉野裕子、人文書院、6月25日  (16)
 : サブタイトル「古代信仰と陰陽五行」。日本の古代信仰と中国の五行思想の習合が行われたのが白凰  期で、天照大御神と太一(中国の守護神)との合一が行われた
613.「森のゲリラ宮沢賢治」西成彦、岩波、6月25日
 : 宮沢賢治を通して、日本文学の「越境(可能)性」を語ろうとした書
614.「脱「格差社会」への戦略」神野直彦・宮本太郎編、岩波、6月25日  (10)
615.「死生観を問いなおす」広井良典、ちくま新書、6月26日  ***  (18)
 : 通常わたしたちは、生=有・死=無と考えているが、著者は”生=「相対的な有」と「相対的無の入り混  じった世界」”=時間のある世界であり、死=絶対的無=絶対的有(=永遠)だと主張する
616.「現代社会の理論」見田宗介、岩波新書、6月26日  **  (10)
617.「林住期」五木寛之、幻冬舎、6月26日  *
 : 仏教では人生を「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の四つに区分している。著者はこれを踏まえ、  50歳を「林住期」の始まりとする「人生のゴールデン・エイジ」とする人生設計を提唱する
618.「抱朴子」葛洪、平凡社、6月27日  *  (3)
 : 抱朴子=葛洪が内篇で神仏の道、外篇で世人の得失・世事の良し悪しについてのべ、老子が本筋だ  として傾倒、儒(孔子)は末流だという
619.「新釈遠野物語」井上ひさし、新潮、6月27日  *
 : 柳田国男「遠野物語」のパロデイ。井上ひさし一流の仕掛で楽しませてくれる
620.「銃・病原菌・鉄」上・下、ジェレド・ダイヤモンド、草思社、6月27日  *  (30)
 : 「なぜ人類社会は、それぞれの大陸でかくも異なる経路を取って発展したのか?」と問いかけ、「それ   は人々の置かれた環境の差異によるものであって、人々の生物学的差異によるものではない」という
621.「完全言語の探求」ウンベルト・エーコ、平凡社、6月27日  *
 : 「完全言語」の探求を通してたヨーロッパ史。単一祖語説に対しては、「祖語はただ一つの言語からで   きていたわけではなく、ありとあらゆる言語の複合体である」という
622.「哲学はランチのあとで」内藤理恵子、風媒社、6月27日  *
 : サブタイトル「映画で学ぶやさしい哲学」。映画の内容を紹介しながら、そのテーマに合った哲学者の   言葉を紹介する
623.「七つの資本主義」C・ハムデンターナー、日経、6月27日  *  (24)
 : 原題「The Seven Cultures of Capitalism]
624.「大失業時代」ジェレミー・リフキン、TBSブリタニカ、6月28日  **  (28)
 : 原題「the End of Work」。第三次産業革命とグローバル化により大量の失業が生み出される。これに    対応するには、大幅な労働時間の短縮と市場・政府の役割の低下をカバーする第三の社会経済の拡  大が不可欠である
625.「生命の政治学」広井良典、岩波、6月28日  (12)
 : サブタイトル「福祉国家・エコロジー・生命倫理」
626.「情報宇宙論」室井尚、岩波、6月28日
 : この本のテーマは「身体」と「情報の宇宙」であり、「情報の一元論」という立場から新しい宇宙像と身体  性の構築を目指す試み
627.「手鎖心中」井上ひさし、文春、6月28日  *
628.「江戸の夕立ち」井上ひさし、文春、6月28日  *
629.「資本主義対資本主義」ミシェル・アルベール、竹内書店、6月29日  (10)
 : 資本主義の型をアメリカ型とライン型に大別し、選択の道としてネオ・アメリカ型と欧州合衆国の形勢を  提示する
630.「ゲーム理論を読み解く」竹田茂夫、ちくま新書、6月29日  *  (6)
 : サブタイトル「戦略的理性の批判」。この本の目的は、ゲーム理論の解説、解剖、批判
631.「キャミーの八月」ヴァジニア・ハミルトン、講談社、6月29日  *
 : 8月のある日川で遊んでいていとこが死んだことを受け入れられない主人公の少女が、お婆さんの話  で死を受け入れることができるようになった話
632.「消費社会の神話と構造」ジャン・ボードリヤール、紀伊国屋、6月29日  ** (20)
633.「象徴交換と死」ジャン・ボードリヤール、筑摩、6月29日
634.「教育再生の条件」神野直彦、岩波、6月29日  **  (16)
635.「情報と自己組織化の理論」吉田民人、東大、6月30日
 : 理論としては完成途上で完成していない
636.「シャボテン幻想」龍儋寺雄、北宋社、6月30日  *
 : シャボテン研究の第一人者がさまざまなシャボテンに関する話題・エピソードを綴る
637.「知的人間関係」ハルトマン、講談社、6月30日  *
 : 「知的生活」と並ぶハルトマンの代表作。知的人間関係についてエッセイという形式で語る。作者の人  間性と教養がにじみ出た好著。またイギリス人論にもなっている
638.「地中海人間」和田勉、NHK,6月30日
 : 取材で訪れた地中海各地の人間模様を描く
639.「自己組織性とはなにか」吉田民人・鈴木正仁編著、ミネルヴァ、7月1日 ** (47)
 : 第一部は吉田民人の基調講演「システム・情報・自己組織性」、第二部は自己組織性とはなにか」につ  いての6人の論文を掲載
640.「ウエツフミ要録」上・下、吾郷清彦、霞ヶ関書房、7月1日  **  (8)
 : 本書は「ウエツフミ」を全訳せず、概要の紹介を行うと同時に「古事記」「日本書紀」などに書かれた内   容との異同を解説している
641.「たどたどしく声に出して読む歎異抄」伊藤比呂美、ぷねうま舎、7月1日  **
 : 「歎異抄」「和讃」の作者の手になる現代語訳が素晴らしい。宗教の本質である、「信じて生きる」ことの  大切さがヒシヒシと伝わってくる
642.「日本を信じる」瀬戸内寂聴、ドナルド・キーン、中央公論、7月1日  *
 : 今年90歳を迎える2人が、東日本大震災で感じた日本人の底力・素晴らしさと日本文学について語る
643.「計画と無計画のあいだ」三島邦弘、河出書房、7月1日  **
 : 「原点回帰」「野生の感覚」「計画と見計画のあいだ」などをキー・コンセプトに出版社を起業した青年社  長の奮戦記
644.「ブータン、これでいいのだ」御手洗瑞子、新潮、7月1日  *
 : 2010年9月から1年間ブータン政府首相フェローという新役職で仕事をした著者のブータン事情紹介
645.「印度 - 傷ついた文明」V・S・ナイポール、岩波現代選書、7月2日  *
 : ガンディーはインドを覚醒させ独立をもたらした。しかしその精神主義は酸敗して虚無主義と化し、新た  な停滞をもたらしたと述べる
646.「インド・闇の領域」V・S・ナイポール、人文書院、7月2日  *
 : インド滞在の1年間を紀行文風につづったエッセイ集
647.「無縁社会の正体」橘木俊昭、PHP,7月2日
 : サブタイトル「血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか」
648.「チベット旅行記」河口慧海、旺文社文庫、7月2日  **
 : 1897年~2003(明治30~36)年の6年間にわたるチベット(インド・ネパール)旅行記。大乗仏教の  経典の原典を求めてチベット行を計画するものの、当時はチベットは鎖国状態で正式にチベットに入国  する手立てがないため密入国(見つかれば死刑)し、仏教大学に潜り込むなど信じられない苦労をしな  がら目的を達成する
649.「奇書「先代旧事本紀」の謎をさぐる」安本美典編、批評社、7月3日  *  (10)
 : 記紀に先立つ最古の国書か偽書かに意見が真っ二つ分かれる評価探求の現代の到達水準を示すこ  とを意図した書
650.「先代旧事本紀」現代思潮社、7月3日
 : 漢文。付録「旧事紀直日」
651.「歴史の真実と政治の正義」山崎正和、中央公論、7月3日  *  (20)
 :1996~9年に発表されたエッセイの単行本化
652.「なぜ世界の半分が飢えるのか」スーザン・ジョージ、朝日選書、7月3日
 : 1976年発行、世界的ベスト・セラー。食糧危機は人口過剰や天候異変による不可避な現象なのか?  NO!巨大な多国籍農業企業によるつくられた危機であることを指摘
653.「陰陽五行思想からみた日本の祭り」吉野裕子、弘文堂、7月4日  *
 : 日本の祭りには陰陽五行思想の影響が色濃くみられることを、伊勢神宮・大嘗祭・諏訪大社の祭りを   通じて分析する
654.「秘術としてのAI思考」西垣通、ちくまライブラリー、7月4日  **  (19)
 : 我々は人工知能を我々の<外>に思い込みがちだが、それを我々の<内>にあるものとして位置付  けないかぎり、その可能性を生かすことはできない
655.「弥勒」稲垣足穂、河出文庫、7月4日
656.「美しきいたいけなき夫人に始まる」稲垣足穂、河出文庫、7月4日
657.「日本の大転換」中沢新一、集英社新書、7月4日
658.「古事記以前の書」吾郷清彦、大陸書房、7月4日  *
 : サブタイトル「古代文書「ウエツフミ」の研究」
659.「街場の中国論」内田樹、ミシマ社、7月4日  *
660.「街場の教育論」内田樹、ミシマ社、7月4日  (9)
661.「法と立法と自由」Ⅰ、ハイエク、春秋社、7月5日  *  (25)
 : サブタイトル「ルールと秩序」
662.「一千一秒物語」稲垣足穂、人間と歴史社、7月5日
663.「中西進万葉論集」1~3、講談社、7月5日  **
664.「インド・新しい顔」上・下、V・S・ナイポール、サイマル、7月6日  *
 : サブタイトル「大変動の始動」。1988年に27年ぶりにインドを再訪した著者が、色々な土地を訪ね、   沢山の人々にインタビュー、地域・カースト・宗教・男・女の現在を報告
665.「読むと誰かに語りたくなる」大竹昭子、中央公論、7月6日
666.「みんなのなやみ2」重松清、イースト・プレス、7月6日
667.「家庭の三つの資源」サンドラ・ウォルマン、河出書房、7月6日
 : サブタイトル「時間・情報・アイデンティティ」。ロンドンのインナーシティで暮らす8世帯の家庭の比較分  析(片親・西インド諸島・再婚・典型的イギリス)
668.「いつもそばに本が」ワイズ出版、7月6日
 : 朝日新聞読書面に1999~2004年に連載の73人の表現者の知の原点を騙る
669.「二兎を得る経済学」神野直彦、恒さん社α新書、7月6日  **  (16)
 : サブタイトル「景気回復と財政再建」
670.「市場の倫理統治の倫理」ジェイン・ジェイコブス、日経、7月7日  *  (10)
 : 原題「SYSTEMS OF SURVIVAL]。歴史的に見ても人間が何かを手に入れるためには、取引か占取か  の二つの方法しかなかった。市場の倫理は取引の倫理であり、統治の倫理は支配の倫理である
671.「秘境ブータン」中尾佐助、現代教養文庫、7月7日  *
 : 昭和33年日本人ががほとんど訪れることのなっかたブータン事情の紹介記
672.「中西進万葉論集」4~8、講談社、7月8日  *  (48)
673.「16世紀文化革命」1・2、山本義隆、みすず、7月8日  *
 : 17世紀科学革命が起きるには、16世紀を通して発達した魔術と技術の伝統が科学にある広がりを加  えたからであると主張。これを「16世紀文化革命」(仮説)とよぶことを提唱
674.「世界図絵」J・A・コメニウス、ミネルヴァ、7月8日
 : 1658年「無知にとっての薬は学識である」との信念にもとずき、世界全体と言語のすべての概要につ  いて、絵と命名と事物の描写で説明した本
675、「天然原子炉」藤井勲、東大、7月8日
 : 1972年アフリカで約20億年前の天然原子炉が発見された。現在の100万KW級の原子炉5基が1  年間に発生するエネルギーに等しい熱を放出していることが分かった
676.「17億年前の原子炉」藤井勲、東大、7月8日
 : 1956年に著者は「天然原子炉理論」を発表し、10年後に予言どうりの化石がアフリカで発見された。  サブタイトル「核宇宙科学の最前線」
677.「法と立法の自由」Ⅱ・Ⅲ、ハイエク、春秋社、7月8日  (19)
 : Ⅱ巻「社会正義の幻想」、Ⅲ巻「自由人の政治的秩序」
678.「日本霊異記」景戒、小学館、7月9日、
 : 日本最初の仏教説話集。人々に善因善果・悪因悪果の応報 の速やかなることを知らせ、現世の行   動の規範とさせたいという意図で書かれた
679:「チベットのモーツアルト」中沢新一、せりか書房、7月9日  **  (14)
 : 1981~3年に発表されたエッセイの単行本化。「孤独な鳥の条件 - カスタネダ論」「チベットのモー  ツアルト - クリステヴァ論」が」出色
680.「雪片曲線論」中沢新一、青土社、7月9日  *  (9)
681、「 野うさぎの走り」中沢新一、思潮社、7月9日1985~6年に発表されたエッセイの単行本化。「振動」がこの本のテーマである
682.「虹の理論」中沢新一、新潮社、7月9日
 : 1986~7年発表のエッセイの単行本化(6編)。+書き下ろし編
683.「錯乱の論理」花田清輝、筑摩、7月9日
684.「腰巻お仙」唐十郎、現代思潮社、7月9日
 : 「特権的肉体論」+脚本
685.「贋作者列伝」種村季弘、青土社、7月9日
686.「「三十歳までなんかいきるな」と思っていた」保坂和志、草思社、7月9日
687.「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」内山節、講談社現代新書、7月9日  *
 : 1965年ごろを境に変化がおきている。その原因は1)人間/キツネが変わったため自然と人間のコミ  ュニケーションがなくなった、2)生命性(身体性)の歴史的衰弱という二つの説がある
688.「グローバリズム出づる処の殺人者より」アラヴィンド・アディガ、文春、7月10日  *
 : 「世界のテクノロジーとアウトソーシングの中心に住む起業家にして思想家」。主人を殺すことで起業家  となった男の成功物語
689.「極北で」ジョージーナ・ハンティング、新潮社、7月10日
 : 1616年8月極北の島に一人残り越冬、1年後に捕鯨船が戻ってくるまで生きのびた男を描く
690.「草原の記」司馬遼太郎、新潮文庫、7月10日
 : 万里の長城の内と外が歴史的に中国の内と外(夷)を意味した。草原の今と昔、蒙古に思いをはせる   エッセイ集
691.「物の本質について」ルクレーテイウス、岩波文庫、7月11日  **
 : 紀元前1世紀の人ルクレーテイウスがエピクロースの説を長編詩の形式で説明したのが本書。宇宙の  基本をなすのは無限に存在する原子と無限(限界をもたない)の空虚(空間)であり、原子が状況によ   り、結びついたり、離れたりするすることによって、すべての物が生じたり消滅したりする
692.「磁力と重力の発見」1~3、山本義隆、みすず、7月11日  *
 : 本書は、近代自然科学とりわけ近代物理学がいかにして近代ヨーロッパに生まれたのかを、万有引力  の発見に焦点を当てて分析
693.「亜細亜の曙」山中峯太郎、講談社、7月11日
 : 昭和7年発行、少年たちを熱狂させた名作の復刻版
694.「100年前の女の子」船曳由美、講談社、7月11日
 : 明治42年(1909)にうまれ平成21年に100歳になった寺崎テイのふるさと栃木県足利郡足立村を   めぐる思い出を中心に
695.「TOKYO 0円ハウス0円生活」坂口恭平、大和書房、7月11日  *
 : 0円ハウス=隅田川べりに、全部拾ってきた材料で作った正真正銘0円でできた家。
   0円生活=古本、テレフォンカード、アルミ缶拾いで生活
696.「できそこないの男たち」福岡伸一、光文社新書、7月11日
 : 聖書ではアダム(男)の肋骨からイブ(女)がつくられたと書かれているが、最近の科学の知見による   と、すべての物をそなえている女性が先につくられ、そこからあるものを除いた(できそこないの)男がつ  くられたという
697.「意識の形而上学」井筒俊彦、中央公論、7月12日  **  (20)
 : サブタイトル「大乗起信論の哲学」井筒俊彦の遺作。「真如」「心」「空」と「不空」「アラヤ識」、「覚」と「不  覚」、「始覚」と「本覚」、「薫習的メカニズム」をキイ・ワードに説明
698.「院政期社会の研究」五味文彦、山川出版、7月12日  **
 : 院政期は荘園制が本格化、知行国制の拡大など大きな変化が起き、中世成立の基礎つくりの時期だ  った
699.「もう一つの遠野物語」岩本由輝、刀水書房、7月12日
 : 柳田国男の「遠野物語」は「感じたまま」を書いている。柳田以前に水野遠舟が「聞きたるまま」、以後   に佐々木喜善が「あるがまま」のもう一つの遠野物語を書いている
700.「古語拾遺」斎部広成撰、岩波文庫、7月12日
 : 平城天皇の朝議についてのお訊ねにたいし、807年に撰上した書
701.「地平線の階段」細野春臣、徳間文庫、7月12日
 : 1979年に発行された単行本の文庫化。音楽を中心話題とするエッセイ集
702.「地平線の階段」細野晴臣、徳間文庫、7月12日  
 : 1979年発行の単行本の文庫化。音楽を中心とするエッセイ集
703.「「成長なき時代の「国家」を構想する」中野剛志編、ナカニシヤ出版、7月13日 ** (60)
 : 従来国家戦略・政策は成長を前提として作成されていたが、現実は「成長なき時代」に突入しており、   それを前提にした国家経営を模索・提案。若手の学者・官僚による研究成果の発表
704.「野生の探偵たち」上・下、ロベルト・ボラーニョ、白水社、7月13日  *
 : フランスの批評家ファブリス・ガブリエルに「ウディアレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモンを   合わせたような奇才」と言わしめた著者が書いた小説
705.「ルクレティウスのテキストにおける物理学の誕生」ミッシェル・セール、法大、7月14日 *
 : ルクレティウスの一般的評価はエピクロスの諸説の祖述者。セールが提示するルクレティウスの新し   い評価は固体を扱う物理学にとどまらず、流体の力学を論じた独創的な書であるというもの。ルクレティ  ウスの原子論の最大の難点と考えられたクリナメン(原初に想定される普遍的で一様な原子の降下の   なかで、不定の時に不定の場で生じる原子の方向の偏向)の理解が容易に=河川、流れのあるいたる  ところで見られる渦の形成というありふれたのことを語っている。これにより古代原子論とアルキメデス   の仕事の構造的類似性を明らかにする
706.「日本の村」守田志郎、朝日選書、7月14日  *
 : 大塚久雄の「共同体の基礎理論」によれば、「農村共同体の死滅」から次の社会へ移行。これに対し   、著者は、部落は自分の占める位置を決め、この中で生活・生産をする。共同体の知恵として、1)「小
   国寡行の知」、2)「我慢の知」をあげる。
707.「むらの鍛冶屋」香川節子・洋一郎、平凡社、7月14日
 : 高知(土佐)の鍛冶屋の歴史・技術に始まり、全国各地のニーズに合わした製品仕様などを語る
708.「日朝関係の克服」姜尚中、集英社新書、7月14日  *  (15)
 : 日朝関係の「いまそこにある危機」とそれを「克服する」手がかりを提供することを目指した本
709.「鉄、千年のいのち」白鷹幸伯、草思社、7月14日
 : 楽命寺再建のため樹齢千年の檜を使って千年もつ建物を造るのが自分の仕事だという西岡棟梁と
  出会い、千年もつ和釘を造るようになったいきさつを語る
710.「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」橋本治、集英新書、7月14日  *  (4)
 : 「勝ち組・負け組」議論から始め、たった一つの価値観を押し付ける危うさ、そして経済とは何か、豊か  さを達成した後に残るもの方向性を探る
711.「二つのコリア」ドン・オーバードーファー、共同通信、7月15日  *
 : サブタイトル「国際政治の中の朝鮮半島」。二つの朝鮮の始まりから朝鮮戦争、米・中・ソ・日・韓・朝の  国内事情、複雑な事情を抱えた二つのコリアの姿を描く
712.「目的と手段」A・ハックスレー、河出書房、7月15日  *  (9)
 : 人間の努力の目的=「自由・平等・正義・同胞愛」。そこに至る道(手段)=政治・経済・宗教・倫理
713.「人間の状況」A・ハックスレー、人文書院、7月15日
 : 1959年カリフォルニア大学で行われた17回の講演の単行本化。地球・自然・人口爆発・戦争と国家・  個人の人生・エゴ・無意識・言語・ひとと宗教・人間の潜在的可能性など
714.「日本の難点」宮台真司、幻冬舎新書、7月15日  **  (20)
 : 「コミュニケーション・メディア論」「若者論・教育論」「幸福論」「米国論」「日本論」切り口で急所を突く。   最先端の枠組みを提示し解決の方向を探る
715.「通訳ダニエル・シュタイン」リュドミラ・ウリツカヤ、新潮社、7月16日  *
 : ゲシュタポでナチスの通訳をつとめ、300人のユダヤ人の命を救った主人公が、その後カトリックの神  父になりイスラエルで働く生涯を描く。寛容と共存を追い求める
716.「森のバロック」中沢新一、せりか書房、7月16日  **  (41)
 : 渾身の力を込めた南方熊楠論。「南方マンダラ」「燕石論」「南方民俗学」を通じ、構造人類学の先行   者、バロック様式をもった自然哲学のモデル、近代哲学のアポリア、自然と文化・自然と作為・感情と理  性の対立をラジカルに無効にする
717.「生き方の演習」塩野七生、朝日、7月16日
 : サブタイトル「若者たちへ」
718.「財政恐慌」浜矩子、徳間、7月16日
 : サブタイトル「ついに財政と金融の死に至る無限ループに突入した」
719.「100歳までボケない101の方法」白澤卓二、文春新書、7月16日
 : サブタイトル「脳と心のアンチ・エイジング」
720.「本当はどうなの日本経済」熊野英生、日経、7月16日
 : サブタイトル「俗説を覆す64の視点」
721.「玉川徹のちょっと待った総研!」玉川徹、講談社、7月16日
 : テレビ朝日の名物コーナー8年分の単行本化
722.「ポジティブ・アクション」辻村みよ子、岩波新書、7月16日  *
 : ポジティブ・アクション=人種・性別による格差を解消し実質的な平等を確保するための積極的格差是  正措置ないし改善措置。本書では、女性に焦点を当て、主要各国での取り組みと歴史などを紹介しな   がら、最後にこの分野での取り組みの遅れている日本への適用の選択肢を提示
723.「女ぎらい」上野千鶴子、紀伊国屋、7月17日  *
 : ミソジニー=「女性嫌悪」「女嫌い」「女性蔑視」
724.「上野千鶴子に挑む」千田有紀編、勁草書房、7月17日  *
 : 上野千鶴子の東大定年退官を記念して、月並みな論文集ではなく、ゼミ卒業生が言いたかったこと、   暑い思いの丈をぶつける最後の機会として本書を発行
725.「イコノソフィア」中沢新一、7月17日
726.「幸福の無数の断片」中沢新一、河出文庫、7月18日
727.「通話」ロベルト・ボラーニョ、白水社、7月18日
728.「刑事たち」ボラーニョ、7月18日
729.「アン・ムーアの人生」ボラーニョ、7月18日
730.「かたちもなく」大庭みな子、河出、7月18日
731.「資本主義の多様性」ピーター・A・ホール、ナカニシヤ出版、7月18日  (7)
 : 自由な市場経済とコーディネートされた市場経済の主要な資本主義の多様性。グローバリゼーション   の進展にともない以下の三つの方向に拡大された。1)起源、2)多様化を精緻化する、3)補完的システ  ム
732.「「経済人」の終わり」P・F・ドラッカー、ダイヤモンド、7月18日  *** (25)
 : 1939年出版のドラッカーの処女作。ファシズム・社会主義の本質と矛盾を鋭く指摘。合わせて資本主  義・「経済人」の破綻、キリスト教の失敗を指摘するとともに、第三の道を提示
733.「政治が終わるとき」A・ギャンブル、新曜社、7月18日  *  (30)
734.「黒い本」ロレンス・ダレル、中公文庫、7月18日  *
 : ヘンリー・ミラーに「チョーサーよ、シェイクスピアよ、くたばるがいい!この本によって宣言された先駆   的宇宙に栄光あれ!」と叫ばせた書
735.「人生の教科書(よのなか)」藤原和博、宮台真司、筑摩、7月19日
 : サブタイトル「学校では絶対学べないことを学べる教科書」。接待、ハンバーガー、家作り、仕事とキャ  リア、自殺などから世の中を変える
736.「人生の教科書(ルール)」
 : 性転換、未成年者と法律、結婚・離婚・女などをめぐるルール、何故人を殺してはいけないのかなどに  触れる
737.「西洋近代思想史」上・下、G・H・ミード、講談社学術文庫、7月19日  (8)
 : サブタイトル「19世紀の思想の動き」。ルネサンスから革命へ、カント=革命の哲学者、革命の挫折と  ロマン主義の誕生、産業革命と科学、科学哲学などの問題を提起する。私たちはどのようにして自我に  なるか。19世紀における個人という概念の発見というブレーク・スルーを通じて
738.「街場のアメリカ論」内田樹、NTT,7月19日
 : 街場シリーズ第一弾
739.「テズカ・イズ・デッド」伊藤剛、NTT,7月20日  *  (8)
 : マンがにおける「表現史」が書かれてこなかった」という問題意識からスタートし、1)80年代の「切断」  の発見と「キャラの自立化」、2)「キャラ」と「キャラクター」の概念上の分割、「マンガのおばけ」「ウサギ  のおばけ」という概念の発見、3)「フレームの不確定性」を指摘
740.「青い鳥」重松清、新潮社、7月20日  ***
 : いじめで自殺未遂者を出した中学二年のクラスを描いた小説。「ひとが本気でしゃべることを本気で聞  くのはあたりまえのことです」、「ひとを踏みにじって、苦しめるのがいじめ。ひとを苦しめていることに気  づかず、苦しくて叫んでいる声を聞こうとしないのがいじめ。」教師の本気に感染して変わっていく生徒た  ちを描く
741.「ケルビムのぶどう酒」中沢新一、河出、7月20日  *  (2)
 : 1987~92年に発表されたものをベースに単行本化。「トロッキー 言葉への殉教者」「知られざる山   口昌男」「「「西欧」の発生と解体」
742.「ゲーテの耳」中沢新一、河出、7月20日
 : サブタイトル「民俗学者のユートピア」
743.「純粋な自然の贈与」中沢新一、せりか書房、7月20日  **  (4)
 : 1991~5年に発表されたものに書き下ろしを加え単行本化。「日本思想の原郷」(伊勢神道論)、「す  ばらしい日本捕鯨」「ゴケールとマルクス」(富の増殖と交換)、「新贈与論序説」
744.「石神問答」柳田国男、筑摩、7月20日
 : シャクシ、サクジ、サゴジという神。山中氏との書簡
745.「燕石考」南方熊楠、平凡社、7月20日
746.「沖縄文化論」岡本太郎、中公叢書、7月21日  *  (2)
 : 「われわれが遠く捨て去り、忘れてしまったはずの本来的生活の肌目が意識下の奥底に生きている。  一種のキヨラカな呪術のようにわれわれを縛りつづけるのだ。そしてそれが何らかの機会、たとえば芸   術の表現によってむきだしにされたとき、われわれは不意に、言いようのない親近感を覚える
747.「日本の食と農」神門善久、NTT,7月21日  **  (60)
 : サブタイトル「危機の本質」。「日本農業の危機とその再生」をめぐって多くの意見が出ているが、ほと   んどが本質に触れていない。それは農協・政党・政府は農協組合員の主体をなす中小兼業農家(農業  が生計の主体をなさず、生産量でも主体たりえない)に焦点をあてて議論をおこなっており、それはそう  した農家の関心は農業にはなく、何とか土地を持ち続けて売却の機会を得たいという要望に沿うところ  に政策の本音があるから。農家・政党・政府そしてマスコミも農業危機と農業再生の本質議論に戻るべ  きと主張
748.「ポケットの中の野生」中沢新一、岩波、7月21日  *
 : 現代でも子供たちには「野生の思考」が繁茂しており、「家の神」「贈与の霊」を感じ生きている。「ポケ   モン」を通じて子供たちのしんり・行動を分析
749.「人類最古の哲学」中沢新一、講談社、7月21日  **
 : 「神話を学ばないということは人間を学ばないということにほぼ等しいかと思える」
750.「中国の飲食文化」王仁湘、青土社、7月22日  *
 : 飲食は飢えを充たし渇きをとめるにとどまらず、人と神、人と祖先、人と人、人と自然、身体と心性との  間の関係を調節し、さらに人類の進化、文化の発達、哲理の形成、伝統の揚棄にも不可欠であることを  豊富な材料を用いて説く大著
751.「コックサッカーブルース」村上龍、小学館、7月22日  **
752.「死にそこないの美学」種村季弘、北宋社、7月22日
 : サブタイトル「私の日本映画劇場」
753.「神の子どもたちはみな踊る」村上春樹、新潮社、7月22日
754.「果心居士の幻術」司馬遼太郎、新潮文庫、7月22日  *
755.「朱盗」司馬遼太郎、新潮文庫、7月22日  *
756.「金枝篇」1~5、フレイザー、岩波文庫、7月23日  **  (14)
 : 人類学史上に燦然と輝く金字塔「金枝篇」。全13巻からなる「金枝篇」を幅広い読者のため著者自身   の手で簡約版として5冊にまとめられたもの
757.「アフリカの神話的世界」山口昌男、岩波新書、7月23日  *
 : 神話を導き手として「トリックスター」が登場、世界の秩序を攪乱し、混乱を煽り、負の価値を生の価値  に顛倒、全体的感覚を世界にもたらす
758.「知の旅への誘い」山口昌男・中村雄二郎、岩波新書、7月23日  *
 : 第Ⅰ部「知の旅人へ」(中村雄二郎)は、<哲学的な>原理論、第Ⅱ部「知の冒険へ」(山口昌男)は、   人類学的な実践論
759.「文化人類学への招待」山口昌男、7月25日
 : 多摩市市民講座「文化人類学入門」(1981年)5回の講義の単行本化
760.「仏教の思想」上・下、梅原猛、角川文庫、7月25日  ***  (36)
 : 「梅原学」はこの本から始まった。西洋思想の生きづまりが目立つなかで、それを突き破る糸口を東洋  思想「原日本思想」としての仏教に期待する。インド・中国・日本の仏教の比較をかみ砕いて行いなが   ら、日本人が世界的であることの条件、世界に何が新しい「よきこと」を贈与できないかを問う
761.「ブッタの方舟」中沢新一他、河出文庫、7月25日
 : 「仏教」をめぐる4回の対談を1冊にまとめたもの
762.「ファンダメンタルなふたり」中沢新一・山田詠美、文春文化、7月25日
 : 1989年12月~91年11月まで「クレア」連載の対談集
763.「三位一体モデル」中沢新一、糸井重里事務所、7月25日
 : キリスト教の三位一体は、三つの原理を「聖霊=増殖力」「子=幻想力」「父=社会的な法」としている
764.「イカの哲学」中沢新一、集英社新書、7月25日
 : 波多野一郎が自費出版した「イカの哲学」を愛読していた著者の読み解き、自然ならびに人と人がお   互いの実存に触れ合うことが世界平和の鍵だと説く
765.「ストロベリー・ロード」上・下、石川好、早川、7月25日  *
 : 23年前のアメリカでの生活を綴った思い出の記録。太平洋戦争前後の日本人移民の姿が印象的
766.「民主主義が一度もなかった国日本」宮台真司、幻冬舎文庫、7月26日  *  (15)
767.「神秘哲学」井筒俊彦、中公、7月27日
 : 神秘主義と哲学との関係を、ギリシャ哲学の発展史という一つの具体的事象の中に探求した作品
768.「未開と文明」山口昌男編、平凡社、7月27日  *
 : 人類学をめぐるアンソロジー
769.「本の神話学」山口昌男、中公、7月27日  *
 : 「20世紀後半の知的起源」「ユダヤ人の知的情熱」「モーツアルトと第三世界」「社会科学としての芸   能」「もう一つのルネサンス」などからなる読書案内
770.「道化の民俗学」山口昌男、新潮社、7月27日  *
 : アルレッキーノとヘルメス、アフリカのエシュ、クリシュナ、アメリカ・インディアンと道化、人類の歴史に   おける道化について述べる
771.「おじさんおばさん論」海野弘、幻劇書房、7月27日
 : 現代において、あまりにもおとしめられ、ばかにされている<おじさんおばさん>を文化史的に見直し   たいという試み
772.「古典まんだら」上、田辺聖子、新潮社、7月28日  *
 : 古事記、万葉集、土佐日記、和泉式部日記、蜻蛉日記、落窪物語、枕草子、大鏡、堤中納言物語、今  昔物語、とりかえばや物語について語る
773.「東洋の不思議な職人たち」中沢新一編、東洋文庫、7月28日
 : 職人の技には、「捕獲の技」その対極の「トリックの技」、別のタイプの軸に「再現の技」と偶然の技」が  あるという。
774.「道化の宇宙」山口昌男、講談社文庫、7月28日  *
 : 1976~7年にかけて発表されたエッセイの単行本化。演劇・映画・音楽・文学について語る
775.「道化的世界」山口昌男、ちくま文庫、7月28日  *
 : 1970~4年に発表された道化についてのエッセイの単行本化。Ⅲ部「道化的世界」が良くまとまって   いる
776.「仏教」渡辺照宏、岩波新書、7月29日  *  (3)
 : 仏教とは何かについて、一通り基本的な知識が得られるレベルの高い入門書
777.「お経の話」渡辺照宏、岩波新書、7月29日  **  (6)
 : 「仏教」の姉妹編。前半は”お経”の成立や構成を説明した「経典概説」、後半は主な”お経”の概説
778.「知の祝祭」山口昌男、青土社、7月29日
 : 1973~7年発表のエッセイの単行本化。「文化における中心と周縁」、一つの社会が活気をおびてい  るためには、、周縁が挑発性をおび、社会の成員が、文化の中に仕組まれている仕掛を通してこうした  部分と対話し、往還が可能になっていることが必要であるという
779.「知の遠近法」山口昌男、岩波、7月29日
 : 1975~6年発表のエッセイの単行本化
780.「新篇人類学的思考」山口昌男、筑摩、7月30日  *  (6)
 : 1960~70年発表のエッセイに描き下ろし1編を加え単行本化
781.「仕掛としての文化」山口昌男、青土社、7月30日
 : 1973~80年に発表された論文・エッセイの単行本化
782.「挑発としての芸術」山口昌男、青土社、7月30日  *
 : サブタイトル「山口昌男対談集」。1969~79年に行われた対談の単行本化。山崎正和との対談「世   阿弥における呪術と芸術」が出色
783.「14歳の生命論」長沼毅、技術評論、7月30日  *
 : サブタイトル「生きることが好きになる生物学のはなし」。きちんと悩んできちんと自分の生を生きる。お  手本はアニメや漫画のなかの仲間たち
784.「孤独でも生きられる」曽野綾子、イースト・プレス、7月31日  *
 : サブタイトル「いま、あなたが必要なメッセージ」。「孤独」「世間」「運命」「老い」「死」「幸福」について論  じる
785.「人間の条件、そんなものない」立岩真也、理論社、7月31日  **  (5)
 : 中学生以上のすべての人を対象とした「よりみちパンセ」シリーズの一冊。民主主義・自由主義経済の  原則とそこから生じる結果(問題)について述べる
786.「12歳から大人まで政治の基礎の基礎がよくわかる本」瀧沢中、大和書房7月31日  *
787.「特別授業3・11 君たちはどう生きるか」池澤夏樹ほか、河出、7月31日  *
 : 「14歳の世渡術」シリーズの一冊。9人の教授(著者)による講義
788.「ヒカルの碁」1~18、ほったゆみ原作・小旭健画、集英社、7月31日  **
789.「隅田川のエジソン」坂口恭平、青山出版、8月1日  **
 : 隅田川沿いで、拾った材料で家を始めとして必要なものを何でも作ってしまう路上生活者のレポート
790.「文化の詩学」Ⅰ・Ⅱ、山口昌男、岩波現代選書、8月1日  *  (15)
 : Ⅰは1979~83年、Ⅱ1981~3年発表の論文・エッセイの単行本化
791.「ヒカルの碁」19~23、8月2日  **
792.「秘密曼荼羅十住心論」空海、筑摩、8月2日  **  (10)
 : 空海の主著。天長年間に各宗の宗義書いて差し出せとの勅命があり空海がまとめたもの。十住心と   は低次元の心の世界から高次元の世界へと次第に発展向上する心の諸段階を意味する
793.「「脱原発」成長論」金子勝、筑摩、8月2日  *  (18)
 : 原発は巨大な「不良債権」であり、「脱原発」によってこそ成長が可能と説く
794.「宝慶記」道元、岩波文庫、8月2日*
 : 本書は道元が渡宋し如淨禅師に入門(1225~7年)した折、師匠の方丈での問答を語ったもの
795.「釈尊の生涯と思想」宮坂宥勝、宝蔵館、8月3日  *  (4)
 : 本書の特色は、その方法論、1)釈尊の活動した歴史的・社会的背景、2)仏教の歴史を把握する視   点、3)宗教現象として仏教を理解することにある
796.「虹の階梯」ラマ・ケツン・サンポー、中沢新一、平河出版社、8月3日  **
 : この本はラマ=師(ケツン・サンポー)が弟子(中沢新一)に与えた密教の口頭伝授の模様を記録した  もの。チベット仏教ニンマ派が伝承する「ゾクチェン」の密教体系の伝授
797.「狂の精神史」中西進、講談社、8月3日  **
 : 近代以前の日本における「狂」の系譜をその時々の時代背景をふくめて分析
798.「祝祭都市」山口昌男、岩波、8月3日
 : サブタイトル「象徴人類学的アプローチ」。「旅とトポスの精神史」3冊シリーズの一冊
799.「よこはま村の100人」佐藤將人、春風社、8月3日
 : 神奈川新聞横浜地域版「自転車記者が行く」(コラム)の2010年5月~)の単行本化
800.「アンアンのセックスできれいになれた?」北原みのり、朝日、8月3日
801.「チューブな形而上学」アメリー・ノートン、作品社、8月3日
 : 自伝的小説:ベルギーの日本駐在領事の子供として神戸に生まれ5歳まで過ごした思い出
802.「のらくろ漫画全集」田河水泡、講談社、8月4日  **
 : 昭和6~16年10年9か月ににわたり少年倶楽部に連載され、少年たちに熱狂的に支持された「のらく  ろ」の全漫画を1冊に集約した復刻版
803.「友人たち/恋人たち」ロバート・ブレイン、みすず、8月4日  *
 : サブタイトル「恋愛の比較人類学」。「ロマンティック・ラブ」は西欧の特殊な文化で全盛期を過ぎた。現  代社会では孤独が大きな問題になっており、友情の重要性が増している
804.「喜劇とエコロジー」ジョセフ・W・ミーカー、法大、8月4日  *  (9)
 : サブタイトル「サバイバル原理の探求」。文学・生態学においても、喜劇は人類や世界を変えようとする  ことなく、人間の経験を開眼し、それを豊かなものにくれるのである
805.「日米同盟の正体」孫崎亨、講談社現代新書、8月4日  **  (22)
 : サブタイトル「迷走する安全保障」。日米安保は、ソ連崩壊後その内容を大きく変化させ、集団安全保   障・シーレーン防衛に踏み出した。この事実は日本国内では政府・マスコミにより国民にはほとんど知ら  されていないという事実を、当時の防衛庁の日米交渉当事者が報告
806.「「自由の平等」立岩真也、岩波、8月5日  **
 : サブタイトル「簡単で別な姿の世界」。「自由」と「平等」については、「再分配」問題も絡みリバタリアンと  社会改良主義者の間で議論がおこなわれており、その内容紹介と著者の立ち位置を語る
807.「ベーシック・インカム」立岩真也、青土社、8月5日  *
 : 「ベーシック・インカム」についての政治哲学的観点での分析。著者の支持する「ベーシック・インカム」  の枠組みについて述べる
808.「言誌四緑」1~4、佐藤一斎、講談社学術文庫、8月18日  *
 : 江戸後期の儒者佐藤一斎の42~80歳にかけての思索の賜物。人生を豊かに送るための修養の糧  としてまた処世の心得として幕末から明治にかけて多くの人に影響を与えた。西郷隆盛も座右の書に   していたといわれている
809.「べーシック・インカム」ゲッツ・W・ヴェルナー、現代書館、8月19日  ** (38)
 : サブタイトル「基本所得のある社会へ」。先進国での失業が意味するのは、その社会が需要を上回る   財・サービスが供給できるほどに生産性の上昇に成功したということであり、今後もますます少人数でそ  れが行えるようになる(失業は増える)。社会がこれだけ豊かになっているわけだから、それを全員に配  分することができるし、配分しなければならない。そのためには、仕事と収入を切り離し、貨幣を全員に  配分する仕組みを導入する必要がある。それが市民全員に無条件で所得をあたえる「ベーシック・イン  カム」である
810.「国際政治」モーゲンソー、福村出版、8月19日  **  (18)
 : 国際政治についての代表的古典
811.「国際理論」マーティン・ワイト、日本経済評論、8月20日  **  (22)
 : サブタイトル「三つの伝統」。合理主義(グロティウス)、現実主義(マキャべり)、革命主義(カント)の三つ  の型で国際理論(人間の本姓、国際社会、人間の理論、「未開人」、国力、国益、外交、戦争、国際法、  義務、倫理)の観点から国際関係理論を検討。結論として、「諸伝統の間には混乱とは言わないまでも、  合流や収斂があった」という
812.「国際関係思想史」イアン・クラーク編、新評論、8月20日  *  (10)
 : ワイトの提示した「三つの伝統」を比較の切り口にして、国際関係思想史に足跡を残した思想家たちの  思考し輪郭とその貢献を分析。ホッブス、グロティウス、カント、ルソー、アダム・スミス、エドマンド・パー  ク、ヘーゲル、フリードリッヒ・ゲンツ、ヴァツテルを取り上げる
813.「永遠平和のために」カント、岩波文庫、8月20日  *  (2)
 : 平和論の古典。永遠平和の実現が空論にとどまらない根拠を明らかにしつつ、常備軍の全廃、諸国家  の民主化、国際連合の創設、などの具体的提言を行う
814.「国際紛争」ジョセフ・S・ナイ、有斐閣、8月21日  **  (14)
 : サブタイトル「理論と歴史」。本書の執筆の目的は、歴史(事実)と理論を行き戻りすることにより、国際  政治の研究と実践の複雑性をより明快に理解できるようにし、読者が将来に向けて自分自身の見方を  形成する手助けを行うことにあるという  
815.「アメリカへの警告」ジョセフ・S・ナイ、日経、8月21日  *  (18)
 : サブタイトル「21世紀国際政治のパワーゲーム」。ソ連崩壊後、唯一の超大国となったアメリカの落と  し穴、その力を各方面・分野で強めれば強めるほどアメリカの影響が弱まり孤立するを指摘。情報化と  グローバル化に対応しながら存続するにはソフトパワーの強化が必要だという
816.「グローバル化で世界はどう変わるか」ジョセフ・S・ナイ、栄治出版、8月21日 * (9)
 : 「21世紀のためのガバナンスの展望」というプロジェクトから本書が誕生。グローバル化と経済・安全   保障、環境・社会と文化・通信、世界・国内統治
817.「論争 グローバリゼーション」デヴィッド・ヘルド編、岩波、8月21日  (9)
 : 新自由主義秩序派対地球的社会民主主義路線ではなく、「グローバル盟約」を提言。「オープン・デモ  クラシー」サイト・フォーラム上でのディベートの単行本化
818.「戦略的思考とは何か岡崎久彦、中公新書、8月22日  ***  (11)
 : 日本人は出来上がっているものを工夫して改善していくには世界一といえる能力を発揮するが、論理  的なものの考え方による戦略不在であることを歴史を振り返りながら分析
819.「秘密のファイル」上・下、春名幹男、共同通信、8月22日  *
 : 日本とアメリカが絡んだ情報工作が本書のテーマ。日本軍による真珠湾攻撃の前夜かr現在に至るま  でその裏面で何があったのか描く。CIAの対日工作が大部分を占める
820.「所有と国家のゆくえ」稲葉振一郎・立岩真也、NHK,8月24日  **  (24)
821.「絶対安全剃刀」高野文子、白泉社、8月24日
 : マンガ
822.「怠ける権利」ポール・ラフォルグ、人文書院、8月24日
 : フランスの2月革命で労働者の掲げた「1948年の労働の権利」にたいする反駁の書。「聖なる労働」が商品の過剰生産を生みその結果労働条件の切り下げがおこっているため、この悪循環を断ち切るには「怠ける権利」の承認が必要と主張
823.「美的教養論」フリードリッヒ・シラー、玉川大学、8月24日  (6)
 : 人間完成の目標・人間性の最高目的としての美的道義性、美的調和と道徳的秩序の融和を説く
824.「税を直す」立岩真也、青土社、8月24日
 : 主として累進課税の強化を中心とする税制改革を提唱
825.「弱くある自由へ」立岩真也、青土社、8月24日  *
 : サブタイトル「自己決定・介護・生死の技術」。「自己決定」についての論理的突き詰め不十分。安楽死・障害・遺伝子工学・介護について論じる
826.「代議政治論」J・S・ミル、中公、8月24日
 : よい統治形態の基準、最前は代議政治、それが機能するための条件、、議会の適切な機能、代議政治が陥りやすい欠陥と危険について述べる
827.「対立か協調か」スティーヴン・K・ヴォーゲル編著、読売、8月25日  (1)
 : サブタイトル「新しい日米パートナーシップを求めて」。力のバランス、経済的パフォーマンス、国内政治、メディア、国際機関、金融、技術その変遷と将来の予測にふれる
828.「日米の戦略対話が始まった」秋山昌廣、亜紀書房、8月25日  *  (14)
 : 冷戦崩壊後の日米安全保障協議に焦点をあて、日本の新防衛大綱と米国のナイ・イニシャティブ、日米戦略対話について述べる
829.「同盟変貌」春原剛、日経、8月25日
 : サブタイトル「日米一体化の光と影」。ドキュメンタリー風に2001~7年の間の日米安全保障協議の背景とその内容を描く
830.「「帝国」の国際政治学」山本吉宣、東信堂、8月26日  **  (16)
 : 冷戦終了後のアメリカの国際政治学とその変化の大要を示し、「帝国」と「帝国システム」の意味・意義・限界を示すこと、冷戦後・9・11以後の国際政治の理解に資することを目的に書かれた力作
831.「「資本」論」稲葉振一郎、ちくま新書、8月26日  (4)
 : サブタイトル「取引する身体/取引される身体」。「所有」論、「市場」論からはじめ、「資本」そして「労働力=人的資本」の特殊性を論じる
832.「経済学という教養」稲葉振一郎、東洋経済、8月26日  *
 : 「構造改革主義」「市場原理主義」「日本型経済システム」「経済学と公共性」「左翼のはまった罠」「マルクス主義経済学批判」
833.「デモクラシーと世界秩序」デヴィッド・ヘルド、NTT,8月26日  *  (26)
 : サブタイトル「地球市民の政治学」。民主主義政治体制は2000年までに189か国におよび、またグローバリゼーションの進展によりさらに増加が見込まれる。長期的な射程をもった規範的な世界秩序像の高僧を提示
834.「民主制の諸類型」デヴィッド・ヘルド、お茶の水書房、8月26日  **  (19)
 : ギリシャから始まる民主政の理論史であるとともに、ソ連崩壊・地球化、地球化の進展を踏まえた民主政理論の新しいモデルまで提示
835.「グローバル社会民主政の展望」デヴィッド・ヘルド、日経、8月26日  *  (11)
 : 本書はグローバル化のなかで国境を越えた「重複型の運命共同体を共有しているという認識に基づき「グローバル社会民主政」」の盟約を提示
836.「戦略論」上・下、リデル・ハート、原書房、8月27日  *  (14)
 : 紀元前5世紀のギリシャでの戦争から第二次大戦までの歴史左右した大戦争分析、戦略とは何か明らかにする。「間接アプローチ」の重要性を強調
837.「戦争を考える」レイモン・アロン、政治広報センター、8月27日
 : サブタイトル「クラウゼヴィッツと現代の戦略」
838.「紛争と文化外交」福島安紀子、慶大、8月27日  (6)
 : 「文化」は紛争にも平和にもかかわっている。「文化」を平和構築に結びつけるためには何が必要かを含めた仮説を提示。「平和構築を支える文化の力」を構想
839.「大失業時代」門倉貴史、祥伝社新書、8月27日
 : リーマン・ショックによる世界同時不況下での「大失業時代」に焦点を当て、回復期に入れば、日本では非正規から正規への切り替えが生じ、ジョブレス・リカバリーにはならないと主張
840.「「私のおとぎ話宇野千代、文芸社、8月27日  *
 : 宇野千代の10話からなる唯一の童話集
841.「北緯10度線」イライザ・グリズウォルド、白水社、8月27日
 : 北緯10度線はキリスト教とイスラム教がぶつかり合う信仰の断層地帯であり、紛争の実態を気象の変化、歴史、文化、経済、国際政治、人口動態など様々な観点から精察したレポート。スーダン、ナイジェリア、ソマリア、インドネシア、マレーシア、フィリピンをカバー
842.「グローバル・トランスフォーメーションズ」ディヴィッド・ヘルド、中大、8月27日 ** (26)
 : グローバリゼーションの拡大・深化を歴史的に分析(政治・経済)、現代のグローバリゼーションの特徴を指摘すると同時にコスモポリタン主義者の立場からの提言をおこなう
843.「友か敵か」マイケル・H・アマコスト、読売新聞、8月28日
 : 1989~93年駐日米国大使。冷戦終了、湾岸戦争、日米貿易摩擦、などの日米間の課題とその解決に向けての展望を示す
844.「アメリカン・ショック」岡崎久彦ほか、ビジネス社、8月28日  *
 : 2002年発行。クリントン政権とブッシュ政権の違いに焦点を当て、アメリカの取る行動、日米関係の在り方を説く
845.「この国を守るための外交戦略」岡崎久彦、PHP新書、8月29日  **
 : 外交戦略の機軸は日米同盟に置くべき、台湾問題を中心として日中関係・靖国問題・竹島問題への対応など毅然たる態度をとることが必要と説く
846.「今年の国際情勢の展望」(2008年)、岡崎久彦、国民会館、8月29日  *
 : アメリカ大統領選、六か国協議、台湾総統選去などを展望
847.「リベラリズムの存在証明」稲葉振一郎、紀伊国屋、8月29日  *  (5)
 : リベラリズム・共同体主義・全体主義の比較をノージック「アナーキー・国家・ユートピア」の記述を批判的に検討しながら行い、リベラリズムの優位性を説く
848.「マルクスの使いみち」稲葉振一郎ほか、太田出版、8月29日
 : 新古典派経済学、合理選択理論と一般均衡論にのっとった主流経済学派の道具立てで、かってマルクス経済学が追及していたテーマを新たに定式化しなおして、きちんと論じようという書
849.「雇用不安」野村正實、岩波新書、9月1日  *  (12)
 : バブル崩壊後も欧米に比して日本の失業率は極めて低い。その理由を女性の周辺労働を中核とする日本独特の全部雇用の存在にあると指摘
850.「大衆教育社会のゆくえ」刈谷剛彦、中公新書、9月1日  (6)
 : サブタイトル「学歴主義と平等神話の戦後史」。戦後日本社会の形成と変貌を教育という窓口から比較社会学という方法を用いてとらえ直す試み
851.「階層化日本と教育危機」刈谷剛彦、有信堂、9月1日  *  (8)
 : サブタイトル「不平等再生産から意欲格差社会へ」
852.「「知」の欺瞞」アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン、岩波、9月1日  **  (3)
 :サブタイトル「ポストモダン思想における科学の乱用」。ポストモダン思想の共通の問題点を指摘するため、ポストモダン思想を代表する思想家(ラカン、クリステヴァ、イリがライ、ラトゥール、ボードリヤール、ドゥールズ、ガタリ、ヴィリリオ)の論文から引用を行ったパロディ論文を作成し、ポストモダンの旗手的思想誌に投稿、論文は審査を通り掲載される。直後に著者はこの論文がポストモダンの思想家が「テーマとどんな関係があるのか一切触れずに数式・物理学の理論を用いる」問題を指摘するための実験であったことを発表し、大騒ぎとなる
853.「市場と制度の政治経済学」金子勝、東大、9月2日  *  (4)
 : 三大生産要素(労働力・土地・資本)の市場化の限界に焦点をあて、セーフティ・ネットと制度で構成員の<個の自己決定権>と<共同性>を充足していくことが必要だと主張
854.「私的所有論」立岩真也、勁草書房、9月2日  **  (7)
 : 臓器売買・代理出産・出生前診断による異常胎児中絶問題などを取り上げ、自己決定できる(何故なら私の体=所有しているから)という考えに違和感をおぼえ、それを理論的に解きほぐす
855.「近代・組織・資本主義」佐藤俊樹、ミネルヴァ、9月2日  (3)
 : サブタイトル「日本と西欧における近代の地平」
856.「はじめての分析哲学」大庭健、産業図書、9月2日  (6)
 : サブタイトル「素人による・素人のための・分析哲学の入門書」。現代の分析哲学はその重要性にもかかわらず、マトモでコンパクトな解説書がない、誰かが書かねば、では自分が
857.「ヒューマン・ユニバーサルズ」ドナルド・E・ヴォラン、新曜社,9月2日(3)
 : 文化人類学者が広めてきた文化相対主義が浸透するにつれて人間に共通する普遍性は存在しないかのような風潮が生じたが、それに反論、普遍性の存在を主張
858.「「「魂」にたいする態度」永井均、勁草書房、9月2日
 : 1986~90年に発表された論文の単行本化
859.「自由論」酒井隆、青土社、9月2日
 : 1996~2001年に発表された論文の単行本化。統治論、権力論、法・ノルム論、現代都市隔離論
860.「文明間の対話に向けて」伊東俊太郎監修、世界思想社、9月3日 *
 : 比較文明学会創設20周年記念事業の一環として、21世紀の鍵概念となる「文明間の対話」を主題とする「共生の比較文明学」シンポジウムを開催、発表の単行本化
861.「ヤポネシア 序説」島尾敏雄編、創樹選書、9月3日  *
 : 記紀以来日本では大陸とのつながりに注目してきたが、鳥尾は日本の源流には海とのつながり(ポリネシア・インドネシア・ミクロネシア・メラニシア)がありこれを「ヤポネシア」という造語であらわすことを提唱
862.「生きる読書」群よう子、角川、9月3日  *
863.「人生をいじくり回してはいけない」水木しげる、日本図書センター、9月3日  **
 : 自伝・エッセイ・インタヴューで構成
864.「空也上人がいた」山田太一、朝日、9月3日  **
 : 介護の世界を舞台とした書き下ろし小説
865.「近代科学成立史論」伊東俊太郎、麗澤大学、9月4日  *
 : 力学・天文学・生理学・近代数学・化学における科学革命の成立を分析・解説する
866.「科学革命について」伊東俊太郎、麗澤大学、9月4日
 : 科学革命とその意義・意味・構造にわけて解明
867.「往生要集」中村元、岩波、9月4日
 : 「往生要集」がインドの元の浄土教と比べて如何なる点で発展を示し、如何なる点で歪めているかを、サンスクリット(バーリ)原典にあたり解明
868.「本のオアシス」道浦母都子、岩波、9月4日  *
 : 静岡新聞読書のページに1994年11月~96年3月まで「ことば旅」で連載されたものの単行本化
869.「科学と現実」伊東俊太郎、麗澤大学、9月5日  *
 : 数学における無限と有限、時間論、生命論、象徴と記号、科学革命などをめぐる論考
870.「江戸買物独案内」吉川弘文館、9月5日
 : 文政7年(1824)出版、江戸全域にわたる買物案内書。三冊で2622の商店を収録、江戸があまりにも大きくなりどこにどのような店があるかが分からなくなったとの声に応じ発行された
871.「扶桑略記」吉川弘文館、9月5日
872.「日本往生極楽記」廣滋康種、岩波、9月5日
873.「大日本国法華経験紀」鎮源、岩波、9月5日
874.「続本朝往生伝」江国房、岩波、9月5日