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2012年09月18日

2012年読書目録(続)

875.「日本人の自然観」伊東俊太郎編、河出、9月5日  **
 : 1990~1年にわたる国際日本文化研究センターの共同研究「日本人の自然観」の研究発表。縄文時代から現代に至るまでを分析
876.「しづ子」川村蘭太、新潮社、9月6日  **
 : 「春雪」(昭和21年)「指環」(昭和27年)の二冊の句集を残して突然消息を絶った俳人しづ子の全貌に迫るノンフィクション
877.「失われた30年」金子勝、神野直彦、NHK,9月7日  **  (11)
 : サブタイトル「これがラスト・チャンスだ」。五つの提言、1)東電の一時的国有化、2)「地域分散型ネットワーク社会」の構築、3)社会的セーフティネットの張り直し、4)東アジア諸国への高付加価値製品を輸出、5)知識集約型産業を主体とする能力開発型福祉国家への転換
878.「目には見えない何か」パトリシア・ハイスミス、河出、9月7日  **
 : ハイスミスの中後期(1952~82年)の短編集

879.「この本に出会えてよかった!」静岡市女性会館、フォーラム静岡、9月7日
 : サブタイトル「ワタシを変えるセレクト100」
880.「「源氏物語」の時代を生きた女性たち」服藤早苗、NHK,9月7日  *
 : 愛と結婚、住まいと家族、出産・子育て、働く、女の経済生活、文化活動、旅、病・死。家の成立と女性
881.「死ぬ気まんまん」佐野洋子、光文社、9月7日  *
882.「ベーシック・インカムの哲学」P・ヴァン・パリース、勁草書房、9月8日  **  (20)
 : 本書は、パリースが発展させてきた独自の「万人の実質的自由」という社会正義構想の全体像をまとめたものであり、「無条件で、持続可能な最高水準のベーシック・インカム」の導入を提案
883.「山川草木紀行」高田宏、新思索社、9月8日
 : 1997~9年に書かれた旅での山川草木との触れ合いについてのエッセイの単行本化
884.「「狂い」と信仰」町田宗鳳、PHP新書、9月8日  *
 : あらゆる宗教の共通基盤、それにとどまらず、人種や文化の如何を問わず、人間存在の共通基盤としての<狂い>。<悟り>と<狂い>の違いは紙一重
885.「文明の衝突を生きる」町田宗鳳、法蔵館、9月8日
 : 自伝的エッセイ。禅寺での20年、ハーバード乞食生活、フィラデルフィアの街で、プリンストンの森で、文明のアメリカ的段階
886.「縄文からアイヌへ」町田宗鳳、せりか書房、9月8日  *
 : 印度で誕生した禁欲的な仏教が日本に伝来すると善人・悪人等しくホトケになるという教えに変身する。仏教渡来以前の日本の精神土壌の存在を指摘する
887.「文明間の対話」服部英二、麗澤大、9月8日
 : 「わたしたちが未来世代にどのような地球を残せるかh、わたしたちが地球のほんの一点に起こった人類の歴史をいかに読み解き、いかに伝えるかにかかっている」という
888.「縄文時代」小山修三、中公新書、9月9日  (2)
 : サブタイトル「コンピューター考古学による復元」。人口、食糧、家族と村、親族組織など
889.「縄文探検」小山修三、くもん選書、9月9日  *
 : 考古学の限界は、古代人がどんな生活をしてその文化がどう発展してきたのか、無文字時代には迫れないという点にある。縄文時代の生活文化に迫るために、狩猟採集民のアポリジニ社会を参考にしながら、縄文時代の社会再現ーエスノアーケオロジー(考古民俗学)-に挑戦する
890.「イメージと人間」藤岡喜愛、NHK,9月9日  (6)
 : 「精神人類学の視野」「ヒトとなり(パーソナリティ)の進化」「ヒトとなりはイメージ世界そのもの」「社会の進化とヒトとなり」「イメージと創造」
891.「神になった人々」小松和彦、淡交社、9月9日
 : 「祟り神」(菅原道真)「顕彰神」(秀吉・家康)「生き神」(お竹)
892.「戦後の社会変動と神社神道」石井研士、大明堂、9月9日
 : 神棚を持たない家庭、神棚参拝を行わない家庭が戦後増えている
893.「儀礼の過程」ヴィクター・W・ターナー、思索社、9月9日  *  (6)
 : 「社会とは、ひとつの事物ではなく、ひとつのプロセスー構造とコムニタスという継起する段階をともなう弁証法的過程ーである」。部族社会の宗教儀礼から、それを大きく超えて進化・発展を容認し、イギリス社会人類学の静態的社会観を超克している
894.「オルダナティブのおんな論」もろさわようこ、ドメス出版、9月10日  *
 : 「オルタナティブ=じゃなかしゃば」。水俣の人が「難しい英語で言わなくても、立派な日本語がある。「じゃなかしゃば」=「今のようでない娑婆」」。第Ⅰ部「オルタナティブを求めて」の「なぜ沖縄なのか」が出色
895.「比較文明」伊東俊太郎、東大、9月10日  **  (13)
 : 「比較文明論の枠組み」、対話「比較文明学の建設」(梅棹)「比較思想の地平」(中村元)が秀逸
896.「ゴーディマ短編小説集JUMP」ナディン・ゴーディマ、岩波、9月10日  *
 : 直接に政治を論ぜず、個人の出来事を取り扱っているが、南アを背景としているため、アパルトヘイトの内側からそれを批判する政治性を持った小説
897.「神も仏もありませぬ」佐野洋子、筑摩、9月10日
 :「死」をテーマとするエッセイを中心に
898.「一週間」井上ひさし、新潮社、10月10日  *
899.「希望の国のエクソダス」村上龍、文春  9月10日
900.「武士の娘」杉本真子、ちくま文庫、9月11日  **
 : 明治6年長岡藩家老の家に生まれ、米国に永住する兄の親友に嫁ぎ、アメリカでの生活になじみ、二女をなし、夫の急死で日本に帰国、そして子供の教育のために再びアメリカへという波乱万丈の人生
901.「水の旅」富山和子、文春文庫、9月12日  *
 : 「日本の森林は米のもと、水も土も培ってきた。でもその森林を作ったのは米であった。」魚も育てる森林と水を追い求めての旅
902.「注解 アイヌ神謡集」知里幸恵、北海道出版企画センター、9月12日  **
 : 夭折したアイヌの天才少女知里幸恵の残したアイヌの民話集
903.「黒い聖母」柳宗玄、福武書店、9月12日  *
 : この本のテーマは「色彩象徴の解明」。色彩には、1)自然界の色、2)自立的な色彩、3)象徴色がある。「象徴色」に焦点を当てた色彩論を展開
904.「沖縄の宇宙像」松居友、洋泉社、9月12日  *
 : 沖縄池間島の人達の世界観・宇宙観を探る。この世と神界とあの世の三つからなる世界
905.「ふりむけば日本」李正子、河出、9月12日  *
 : 「歌う(和歌を詠む)ことで自分も民族も解放させていた -- 。」在日女性のエッセイ。絶版の第一歌集「鳳仙花の歌」の紹介もおこないながら、韓国人でありながら自己表現を和歌で行うという複雑な立場の悩みを含めたアイデンティの在り方を告白
906.「非線型科学」蔵本由紀、集英社新書、9月12日
 : 非線型科学の「定石」を獄平易な言葉で語り、それを通して、この科学の全体像を浮かび上がらせようと試みた本
907.「逆システム学」金子勝・児玉龍彦、岩波新書、9月12日  ***  (23)
 : 「逆システム学」とは、現代科学のセントラル・ドグマである要素還元主義(ないし方法論的個人主義)とそれに反対する全体論の立場にある構造論や複雑系論にも同意せず、この不幸な分裂を乗り越えていくために提唱される。それは、制度の束が持つ調節制御の多重フィードバックを帰納的に実証することによって、生命体や市場経済の全体像を明らかにする方法である。この方法の優位性は、変化や進化という動態(歴史)の内的プロセスを明らかにできるという点にあると主張する
908.「何がわたしをかうさせたか」金子ふみ子、黒色戦線社、9月12日  *
 : 金子ふみ子が獄中で記した生い立ちの記
909.「まっくら」森崎和江、三一書房、9月12日
 : 遠賀川流域の炭鉱で炭鉱婦として働いたことのある10人からの聞き書き
910.「北海道母の百年」こだまの会編、明治図書、9月13日  **
 : 開拓に続く道民一世紀の生活を支えた女の記録。樺太からの引揚者、アイヌの聞き書きをふくむ
911.「本の魔法」司修、白水社、9月13日
 : 本という存在は魔法である。タイトルの「本の魔法」とは、本を魔法にかけるのではなく、本の魔法にかかってしまったことである。装幀家の立場からの本との付き合いを描く
9912.「エロスの国熊野町田宗鳳、法蔵館、9月13日  *  (6)
 : エロスを生命がもつ変容の力と理解するなら、再生のメカニズムを内蔵する熊野はエロスの国であった。しかし、自然と共感する力を失ってしまった今こそ、人は自然に帰ることにより、エロスの力を取り戻し、ロゴスとエロスの全体核融合により、宇宙とのつながりを取り戻さねばならない
913.「法然」町田宗鳳、法蔵館、9月14日  **  (16)
 : 法然の唱えた「専修念仏」がいかにインド・中国・それまでの日本の仏教と異質で革新的であったかを渾身の力で描く。ともすれば法然の後継者とみなされる親鸞のみが注目されている状態に理不尽さにいきどうりを感じて法然研究に取り組む
914.「沙石集」上・下、無住、岩波文庫、9月14日  *
 : 著者は臨済宗の僧侶であるが、八宗の教えと同時に世相にも通じる。「沙石集」は仏教の教えを(八宗綱要約)分かりやすく、同時に信仰の実際的効果を説く
915.「OUT」上・下、桐野夏生、講談社文庫、9月14日  *
 : 深夜の弁当工場で働くパートの主婦たちの一人が夫を殺し、その死体をパート仲間がバラバラに解体するというミステリー仕立ての小説
916.「冬の雑草」郡山吉江、現代書館、9月15日
 : 文学少女から日本共産党の活動家へ、ゆえなき除名後、日雇いをしながら反権力に生きた一女性の個人史
917.「水の文化史」富山和子、文春、9月15日  *
 : 淀川・利根川・木曽川筑後川を取り上げ、水と緑と土は同義語であり、土地利用は治水事業があって初めて可能であるという
918.「東西遊記」1・2、橘南けい、東洋文庫、9月15日
 : 医学の修行のため元明8(1788)年から足かけ7年にわたり日本各地を巡歴。奇事異聞を編纂した報告。近世後期のベストセラー
919.「哀しい目つきの漂流者」工藤美代子、集英社文庫、9月15日
 : 明治末にカナダにメープルと呼ばれた「哀しい目つき」の日本人娼婦がいた。その足跡をたどるノン・フィクション
920.「死の風景」立川昭二、講談社学術文庫、9月15日  *
 : 1972年ヨーロッパ一人旅へ。主調音は「メメントモリ(死を想え)」。その旅の7年後に完成したのが本書
921.「不惑のフェミニズム」上野千鶴子、岩波現代文庫、9月15日
 : 1980~2009年にわたる、フェミニズムについて折々に発表した「時局発言」集
922.「改訂増補 老農伝」大西伍一、農山漁村文化協会、9月16日  *
 : 昭和8年初版。昭和60年に改訂増補し再版。徳川初期から現代に至る老農的人物1000人以上の各伝ならびに総合的考察を収める
923.「「本屋」は死なない」石橋毅史、新潮社、9月16日
 : 「本屋」その中でも「書店員」に焦点を当てた見聞録
924.「逆渡り」長谷川卓、毎日新聞、9月16日
 : 生きるために渡るのに対して、死に向かって一人で渡ることを山の者は「逆渡り」といった。60歳になった者を次の渡りに加えず、里に残していく風習をふまえた物語
925.「モンド氏の失踪」ジョルジュ・シムノン、河出、9月16日
 : 1945年発表、社会の規範を逸脱した主人公を描く
926.「昭和の芸人千夜一夜」矢野誠一、9月16日
 : 芸に一生をささげた芸人88人のエピソード集
927.「井上ひさし笑劇全集」上・下、講談社文庫、9月17日  *
 : 井上久がてんぷくトリオのために書いたコント集
928.「饗宴」梅原猛、講談社、9月17日  **
 : サブタイトル「随想と対話」。文明・学問・芸術さまざまなジャンルわたる考察と対話
929.「風俗のパトロジー」バルザック、9月17日  *
 : 原題「社会生活の病理学」。時代の風俗とその時代の根底に潜むものをジャーナリストの眼で分析
930.「グローバリゼーションの中の江戸」田中優子、岩波ジュニア新書、9月17日  *
 : 江戸時代は日本がグローバリゼーションに巻き込まれ、銀の枯渇により、「自前で生きていく」道選び成功した時代であったという
931.「本の寄り道」鴻巣友季子、河出、9月17日
932.「蜻蛉日記」道綱母、新潮社、9月18日  **
 : 藤原北家の兼家との長年にわたる関係、その一粒種道綱の成長を中心とした当時の女性の心の動きが細やかに描かれた日記
933.「雨月物語」上田秋成、新潮社、9月19日  *
 : 激しい人間の愛と憎しみから生じる執着・執念を描く9編の怪奇小説
934.「癇癖談」上田秋成、新潮社、9月19日
 : さまざまな人間の気質を描く24の短編からなる
935.「語りの宇宙」山口昌男、冬樹社、9月19日  **  (6)
 : サブタイトル「記号論インタヴュー集」。聞き手三浦雅士との相性抜群で、うまく話がかみ合い転がっていく。山口昌男の個人史的情報も引き出し楽しい読み物に仕上がっている
936.「河原にできた中世の町」網野善彦、いわなみ、9月20日  *
 : サブタイトル「へんれきする人びとの集まるところ」。あの世とこの世としての河原・中洲。そこは死者を弔い、市が立ち、芸能が演じられる異界であった
937.「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治、くもん出版、9月20日  *
938.「日本中世の国家と宗教」黒田俊雄、岩波、9月20日  (8)
 : 国家に焦点を当てた時には、古代は律令制、近代は幕藩体制として定義されるが、その間にある中世の特色と必然性は何か、また宗教面では、鎌倉仏教・神国思想に焦点を当てて分析
939.「寺泊」水上勉、筑摩、9月20日
940.「胆大小心録」上田秋成、岩波文庫、9月20日
 : 秋成晩年の随筆
941.「だれが「本」を殺すのか」佐野眞一、プレジデント、9月21日  *  (1)
 : 年々本の売り上げは減り、返品率は40%に達している。本の現状と将来について、再販制度、版元・取次・書店・読者、ネット書店、電子書籍、図書館などの動向を踏まえて分析
942.「だれが「本」を殺すのか」延長戦、佐野眞一、プレジデント、9月21日
 : 「だれが「本」をころすのか」が大反響をよび、多くの書評で取り上げられ、また講演依頼・インタビュー・対談が殺到した。その内容を紹介
943.「比較文明学を学ぶ人のために」伊東俊太郎編、世界思想社、9月21日  *
 : 伊東俊太郎の国際日本文化研究センター退官(1995年)記念論文集。比較文明学についての良き入門書となっている
944.「神と人」岩田慶治ほか、大阪書籍、9月21日
 : サブタイトル「古代信仰の源流」。「原始のカミ」と「神」、日本神話の源流、古代のまじない世界、古代信仰と道教、神と人との交流、古代宗教における海と山などについて
945.「身体の宇宙性」湯浅泰雄、岩波、9月21日  **  (4)
 : サブタイトル「東洋と西洋」。身体の宇宙性という共通の考えから出発したにもかかわらず、東洋と西洋がまったく性格の違った自然観や人間観を発達させたのはなぜかを説く
946.「仏像・羅漢」梅原猛、集英社、9月22日  **  (19)
 : 「仏像」は他の著者との共同執筆で出版した「仏像 - 心とかたち」「仏像に想う」のなかの梅原猛執筆分をまとめたもの
947.「水底の歌」梅原猛、集英社、9月22日  **
 : 従来の人麿論を一新。斎藤茂吉の「鴨山考」賀茂真淵「人麿考」が前提となって「人麿像」がつくられていると指摘、両者の根拠の誤りを分析
948.「海人と天皇」上・下、梅原猛、新潮文庫、9月23日  *
 : サブタイトル「日本とは何か」。天皇制の成立、律令国家、女帝論、藤原不比等論を通じ、日本とは何かを分析、「日本とは象徴天皇制の国である」と結論する
949.「親鸞と世阿弥」梅原猛、文春、9月23日
 : 東京新聞・中日新聞に「思うままに」というタイトルで週1回連載されたエッセイの2007年4月から2010年8月までの単行本化
950.「アジアにも半世紀の平和を」岡崎久彦、PHP,9月23日
 : サブタイトル「情報戦略論ノート1999-2000」
951.「電子本をバカにするなかれ」津野海太郎、国書刊行会、9月23日  *
 : サブタイトル「書物史の第三の革命」。本や読書についてのエッセイ・対談、電子化の4段階など
952.「小説のストラテジー」佐藤亜紀、青土社、9月23日
 : 早大での講義(1999~2005)をベースにまとめられた本。創作とその受容について、あくまでも読む/書くの現場から実践的に考察
953.「動物のいのち」J・M・クッツエー、大月書店、9月24日  **
 : 動物についての二つの対立する見解を講演。聞き手に「心を開いて心が語ることを聞く」ことを求める哲学(理性)対詩(想像力)
954.「マヤ」ヨースタイン・ゴルテル、NHK,9月24日  *
 : ゴルテルのテーマ「わたしたちは何故宇宙の時空の無限性を知りながら短い間しか滞留を許されないのか」
955.「電子書籍争奪戦」萩野正昭、新潮社、9月24日  **
 : 8年間電子書籍専門会社ボイジャーの社長を務めた著者の電子書籍の歴史(生い立ち・現在・未来)、課題と目指すべき方向についての分析
956.「江戸時代の図書流通」長友千代治、思文閣、9月24日
 : 江戸時代の図書流通について、図版を中心にしてわかりやすく解説
957.「耳の悦楽」西成彦、紀伊国屋、9月24日
 : サブタイトル「ラフガディオ・ハーンと女たち」。「語る女の系譜」「「怪談」を読む」「ハーンと同時代作家」の三部作
958.「石の葬式」バノス・カルネジス、白水社、9月24日
 : 19の作品からなる処女短編集
959.「切り取れ、あの祈る手を」佐々木中、河出、9月25日  **  (14)
 : サブタイトル「「本」と「革命」をめぐる五つの夜話」。著者は「本はゆっくりと読め、そして何度でも読め」という。「読むこと、読み変えること、書き換えることーーこれこそが世界を変革する力の根源である」から
960.「「赤」の誘惑」蓮見重彦、新潮社、9月25日
 : サブタイトル「ノンフィクション論序説」
961.「学ぶよろこび」梅原猛、朝日、9月25日  *
 : 「夢」を持ち、その「実現」に向けて努力することの重要性、そのカギとなるのが創造力であることを、若者に向けて熱く語る
962.「複雑さを科学する」米沢喜美子、岩波、9月25日  (1)
 : ギリシャ時代からの科学の歴史を展望する中で、複雑性の科学の持つ意義・その内容を解説する入門者
963.「日本文明史の構想」上山春平、法蔵館、9月26日  *  (8)
 : サブタイトル「受容と創造の軌跡」
964.「日本の国家デザイン」上山春平、法蔵館、9月26日  (2)
 : サブタイトル「天皇制の創造」
965.「信頼」N・ルーマン、未来社、9月26日
 : サブタイトル「社会の複雑性とその縮減」。「システムは複雑性を把握し縮減しうるものであればあるほど、それが可能なのは、システムが人間に過度な要求をすることなく、信頼が信頼否定を用いる術を知っている場合のみである。」という
966.「芸術の非人間化」オルテガ、白水社、9月26日
967.「仏像に想う」梅原猛・岡部伊都子、朝日、9月26日
 : 昭和40~42年朝日新聞大阪支社版「こころのページ」に「仏像」と題して連載されたエッセイ・写真の単行本化
968.「新たな文明の創造」梅原猛編、朝倉書店、9月26日  **
 : 西洋文明は本質として人間の自然支配を容認、ここに環境破壊の根源があり、東洋の伝統、自然の一部としての人間という認識に立ち返ることが重要。そのとき縄文化・ヘレニズム化はキーコンセプト
969.「社会システム理論」上・下、ニクラス・ルーマン、恒星社、9月27日  *  (42)
970.「日本とは何か」梅原猛編、NHK/B,9月27日  (5)
 : サブタイトル「国際化のただなかで」。世界の中で日本が注目され、海外での日本研究も増えている。日本人の観点だけでなく、国際的観点で「日本とは何か」に迫る
971.「ムーア人の最後のため息」サルマン・ルシュディ、河出、9月27日
 : インドを描いた小説
972.「歓喜する円空」梅原猛、新潮社、9月27日
 : 先行する「円空研究」の主たるものを紹介し、批判的に検討、円空の生い立ち・僧としての経歴・作品の特徴とその変化を語る
973.「葬られた王朝」梅原猛、新潮社、9月28日  **  (20)
 : 「神々の流竄」での自説を50%否定。記紀の出雲神話は歴史的事実を反映したものであり、本居宣長、津田左右吉の説に反駁する
974.「夜戦と永遠」佐々木中、似文社、9月28日  **  (22)
 : ラカン、ルジャンドル、フーコー論
975.「わが悲しき娼婦たちの思い出」G・ガルシア・マルケス、新潮社、9月28日  *
 : マルケスが川端康成の「眠れる美女」にインスパイアされて書いた小説
976.「十夜」ランダムハウス講談社編、9月28日  *
 : 十人の作家が自分の一番好きな短編を一遍ずつ選び、それについてのエッセイを書いた後にその作品を紹介するという本
977.「十話」ランダムハウス講談社編、9月28日  *
 : 「十夜」の姉妹編
978.「レヴィ=ストロース講義」平凡社文庫、9月29日  *
 : サブタイトル「現代世界と人類学」。国際文化教育交流財団の招きで1986年4月に東京で行われた三つの講演の単行本化
979.「日本文化論」梅原猛、講談社学術文庫、9月29日
 : 1968年富山県教育委員会の依頼による講演の単行本化
980.「神道の成立」高取正男、平凡社、9月29日
 : 仏教伝来以前からあった神祇信仰・祖先崇拝は現代まで継承されている。死穢を忌むのは奈良時代末から平安初期に生じており、、ここに神道成立の画期をみる
981.「日本の深層」梅原猛、佼成出版、9月30日
 : サブタイトル「縄文・蝦夷文化を探る」。原日本文化は弥生文化以前の縄文文化にある。「蝦夷文化はその縄文文化を受け継いでおり、そうだとすると東北にはその名残がのこされているはず」という仮説を検証するために東北を旅する
982.「日本は希望の新世紀を迎えられるか」岡崎冬彦、廣済堂、9月30日
 : 1994年出版の「悔恨の世紀から希望の世紀へ」の再版
983.「「飢餓」と「飽食」」荏開津典生、講談社選書、9月30日  *  (14)
 : サブタイトル「食糧問題の十二章」。人口爆発に食糧供給は追いつくのかという問いからはじめ、これまでは追いついている、しかし今後の課題として、大量の化学肥料・農薬の使用による土壌破壊が発生しており、これをいかに持続可能のものにしていくか。また「飢餓」の問題は「分配」の問題であること、また先進国では「飽食」問題、すなわち「肉食化」が穀物使用量を増大させると同時に健康問題を発生させている。ところが日本は先進国唯一の例外で「肉食化」率が低くしたがって豊かなわりに穀物使用量が少なくかつ健康にもいいというモデルとなっている
984.「おかしな本棚」クラフト・エヴィング商会、朝日、9月30日
 : 「本棚についてあれこれを考える本」というイントロでではじまるが、実は本のことを語っている本
985.「本が揺れた1997-2001」津野海太郎、大日本印刷、9月30日
 : トーハンが全国の書店むけに出している雑誌「書店経営」のコラム「活字出版の行方」の単行本化。内容は、座談会、往復書簡、電子出版、出版危機、読書の未来など
986.「平中物語全釈」森本茂、大学堂、9月30日
987.「西洋が西洋について見ないでいること」ピエール・ルジャンドル、以文社、10月1日 ** (52)
 : 日本での三回の講演を単行本化。著者の提唱する「ドグマ人類学」とは何かを知る一冊を選ぶなら本書が最適
988.「心臓に毛が生えている理由」米原万理、角川、10月1日  **
 : ロシア小話の味付けでまとめられたエッセイ集
989.「滴り落ちる時計たちの波紋」平野啓一郎、文春、10月1日
 : 9篇からなる短編小説集
990.「残虐紀」桐野夏生、新潮社、10月1日
 : 25歳の工員に小学4年生のときに誘拐・監禁(1年2ヶ月にわたり)された主人公が35歳の時に当時を思い出して書いたという設定の小説
991.「間宮兄弟」江國香織、小学館、10月1日  *
992.「法華義疏」上・下、聖徳太子、岩波文庫、10月1日
 : 「三教義疏」全8巻のうちの「法華義疏」4巻の読み下し・現代語訳・解説をしたもの
993.「11の物語」パトリシア・ハイスミス、早川、10月2日  **
 : 初期短編集
994.ドグマ人類学総説」ピエール・ルジャンドル、平凡社、10月2日  (9)
 : サブタイトル「西洋のドグマ的諸問題」。論文と対談で構成。つぎはぎ感が残る。ドグマ人類学は、人間が「話す生き物」であるという規定から出発する。そして、言葉は一つの秩序であり、規範的なものであると指摘する。そこから「法」や「宗教」との関わりに注目すると同時に、言葉以前の「生き物」の要請(始源)と言葉を繋ぐものを「ドグマ的表象」として捉える。「語る種」としての人間を、生物学的なもの、社会的なもの、そして主観的なものの組立として「ドグマ的次元」から考察する、それが「ドグマ人類学」の課題である
995.「真理の帝国」第Ⅱ講、ピエール・ルジャンドル、人文書院、10月2日  (6)
 : サブタイトル「ドグマ的産業空間入門」
996.「勝鬘教義疏」聖徳太子、中央公論、10月2日
997.「維摩経義疏」聖徳太子、中央公論、10月2日
998.「回転する世界の静止点」パトリシア・ハイスミス、河出、10月2日  *
 : 初期短編集(1938~49年)、14作品を収める
999.「安政五年の大脱走」五十嵐貴久、幻冬舎、10月2日
1000.「東京島」桐野夏生、新潮社、10月2日
 : 無人島に漂着した女一人に多数の男という設定で始まる小説
1001.「ワインの科学」ジェイミー・グッド、河出、10月3日  (2)
 : 「ワイン」に影響を与える要素に科学的にせまるというユニークな試み。ブドウと土壌・病気・気候温暖化・遺伝子組み換え、醸造・熟成と樽・コルク(栓)などについて論じる
1002.「仏像 心とかたち」正・続、望月信成・佐和隆研・梅原猛、NHK,10月3日  *
 : NHKのテレビで好評を博した「仏像ーこころとかたち」(1964年4月~65年3月放映)の単行本化
1003.「禿頭礼讃」フィリップ・エリアキム、河出、10月3日  *
 : 23歳で男性脱毛症と宣告された著者の悪戦苦闘ぶりをユーモラスに描く
1004.「女神記」桐野夏生、角川、10月3日  **
 : 「古事記」イザナキ・イザナミに題材をとった小説
1005.「招かれざる客たちのビュッフェ」クリスチアナ・ブランド、創元推理文庫、10月4日
 : ブランドの傑作短編集
1006.「耳たぶに吹く風」天野忠、編集工房ノア、10月4日
 : エッセイ集
1007.「後ろ向きで前へ進む」坪内祐三、晶文社、10月4日  *
 : 植草甚一、保守(福田恒存と江藤淳)、私小説、ジャイアント馬場、「靖国問題」などについてのエッセイ
1008.「灰色の魂」フィリップ・クローデル、みすず、10月4日
 : フランスの片田舎の街を舞台とする第一次大戦を時代背景とした小説
1009.「年年歳歳」安藤鶴夫、求龍堂、10月5日  ***
 : 江戸っ子の情感豊かな世界を伝える安藤鶴夫の名エッセイ
1010.「笑う茶碗」南伸坊、筑摩、10月5日  *
 : タイトルの「茶碗」は「夫婦茶碗」を意識、著者の夫婦生活を綴ったエッセイ集
1011.「図書館」アルベルト・マングエール、白水社、10月5日  **
 : サブタイトル「愛書家の楽園」。神話・秩序・空間・権力・形体・仕事場・心の在り方・帰る場所としての図書館。「本を読む人の美点は、読書を通じて知ったことを、解釈し、関連づけ、変貌させる才能にこそある」という
1012.「日本語が亡びるとき」水村美苗、筑摩、10月5日  **  (4)
 : 植民地時代には、<普遍語>/<現地語>という二重構造が存在した。その後日本でいえば明治時代に<国語>が確立、世界に誇りうる近代文学が興った。しかし、今日インターネットの普及とともに、英語が<普遍語>としての地位を強めており、<国語>としての<日本語>の運命を脅かしている
1013.「ルネッサンス巷談集」フランコ・サケッテイ、岩波文庫、10月5日
 : 14世紀フィレンツェの商人の著者が市井の出来事を描いた300篇の短編小説から秀逸な74篇を収める
1014.「なめとこ山の熊」宮沢賢治、草思社、10月5日  **
 : アイヌのイヨマンテ(熊送り)に触発されたと思われる童話
1015.「時間のかかる読書」宮沢章夫、河出、10月6日
 : 原稿用紙50枚ほどの横光利一の小説「機械」を11年かけて雑誌「一冊の本」に連載し解読
1016.「本は読めないものだから心配するな」管啓次郎、左右社、10月6日  *
 : 本(一部映画)についてのエッセイ集
1017.「やんごとなき読者」アラン・ベネット、白水社、10月6日  *
 : エリザベス女王が突如読書の魅力に目覚め、周りの妨害にもかかわらず、読書の楽しみを深めていくという物語をイギリス風ユーモアたっぷりに描く
1018.「天国旅行」三浦しをん、新潮社、10月6日  *
 : 「心中」を共通のテーマとした短編集
1019.「話の終わり」リディア・デイヴィス、作品社、10月6日
 : デイヴィスの唯一の長編小説
1020.「イギリスを泳ぎまくる」ロジャー・デイキン、亜紀書房、10月7日  *
 : タイトルの通り、イギリスの川・海・プール・池・運河と水があり泳げるところはどこでも泳いだ記録
1021.「天台寺」高橋富雄、東京書籍、10月7日  *
 : 明治の廃仏毀釈、太平洋戦争後の混乱などで天台寺は荒廃し忘れられていた。筆者が残された記録の収集・分析をおこない、寺の起源=いつ・誰が・どのようにして建立されたのかに迫り、末寺27~48におよぶ盛事の全容を明らかにした力作
1022.「耳らっぱ」レオノーラ・キャリントン、工作舎、10月7日  *
 : 92歳の主人公が老人ホームに入れられ、さまざまな出来事をへて、最後は聖杯奪回にいたる奇想天外な物語
1023.「雪まろげ」安藤鶴夫、桃源社、10月7日  *
 : 安藤鶴夫の初エッセイ集
1024.「「豊かな社会」の貧しさ」宇沢弘文、岩波、10月8日
 : 1989年出版。「バブル」で豊かさに沸き返る中で、水俣病・むつ小川原開発・環境破壊・人間破壊・大都市の人間的貧困化などを取り上げる
1025.「豊かさの精神病理」大平健、岩波新書、10月8日  (6)
 : 精神科医である著者を訪れた患者の事例をあげて、現代日本で”幸せ”や”生活”の向上が”モノ”によって達成できると考えている人々が増えていると指摘
1026.「清貧の思想」中野孝次、草思社、10月8日  **  (5)
 : 「清貧とは、みずからの思想と意志によって積極的に作り出した簡素な生の形態である」という
1027.「豊かさの孤独」中村達也、岩波、10月8日  (2)
 : バブル崩壊後の日本はどこに向かうのか。「時間の豊かさ」を求め、労働・消費・生活の在り方を問う
1028.「満足の文化」J・K・ガルブレイス、新潮社、10月8日
 : 主題は「個々人と集団が願望をかなえようとする意識は、成功によって弱まり、逆境に直面すると強まる」と指摘
1029.「幸福の研究」デレック・ボック、東洋経済新報、10月8日
 : これまでの幸福研究の方法、意義、限界、研究により見出された事実を適切に説明
1030.「七時間半」獅子文六、朝日、10月8日  *
 : 東京から大阪まで7時間半の特急「ちどり」を舞台とした乗客・乗務員・食堂車スタッフの物語
1031.「沈黙博物館」小川洋子、筑摩、10月8日
 : 依頼人の老婆の風変わりな要望による「沈黙博物館」建設をめぐる物語
1032.「本阿弥行状記」東洋文庫、10月9日  **
 : 本阿弥光悦の聞き書きを中心にまとめられた家記
1033.「詩をポケットに」吉増剛造、NHK,10月9日  **
 : サブタイトル「愛する詩人たちへの旅」。NHKラジオ放送のテキスト「詩をポケットに」上・下をもとに単行本化
1034.「貧困の精神病理」大平健、岩波、10月9日  *
 : ペルーの貧民街で1年間精神医として活動した経験に基づく、ペルー人下層階級を中心とした分析。マチスモ(男らしさ)と聖母崇拝
1035.「発心集」鴨長明、新潮社、10月10日  *
 : 激情・妄執・狂気・失踪・隠遁願望、死への関心と凝視、超越的なものへの視線で描かれた談話集
1036.「ブック・カーニバル」高山宏、自由公民社、10月10日  **
 : 高山宏のブック・ガイドと高山宏へのメッセージ(高山宏論)からなる大冊(約1200ページ)
1037.「日々雑記」武田百合子、中央公論、10月10日
 : 武田百合子の独特のユーモアが健在のエッセイ集
1038.「なやまない」田中小実昌、福武書店、10月10日
 : 西田哲学をめぐる2篇の考察と3篇の小説
1039.「ぼくの浅草案内」小沢正一、講談社、10月10日
1040.「チベット」多田等観、岩波新書、10月10日
 : 昭和17年(1942)発行、1982年特装再版。大正2年~12年のチベット滞在記録
1041.「豊かさとは何か」揮峻淑子、岩波新書、10月10日
 : 1986年一人当たりGNPでアメリカを抜いたが、金銭至上主義・効率万能主義で「ゆとりをいけにえした豊かさ」から社会保障・自由時間の充実をはかる「真の豊かさ」への転換を主張
1042.「豊かさの条件」揮峻淑子、岩波新書、10月10日
 : 「豊かさとは何か」の続編。バブル崩壊から立ち直り、豊かさをめざすには、「共に助け合う社会」への転換が必要と主張
1043.「豊かさのゆくえ」佐和隆光、岩波ジュニア新書、10月10日
 : 著者が中・高校生にむけて国際社会の中で期待される役割、日本の豊かさ・貧しさについて語る
1044.「歌の復籍」梅原猛、集英社、10月11日  **  (8)
 : 「水底の歌」に続く柿本人麻呂論第二弾。今回は契沖・真淵により定説化された人麻呂像を徹底検証、新説として「高官」・「刑死」・「人麻呂歌集」=人麻呂の詠んだ歌を主張
1045.「道化と笏杖」ウィリアム・ウィルフォード、晶文社、10月11日  **  (18)
 : フールたちと愚行の事例を一つの根源的な類型と関連づけ、その愚行のおかれているコンテクストとその愚行が芸術と生のなかで果たす機能を描き出すことを目的に書かれた本
1046.「道化」イーニッド・ウェルズフォード、晶文社、10月11日  *  (7)
 : 「愚者とは、普通の人間の標準以下でありながら、自分の欠点が喜びのもと、人間の特に洗練された娯楽のの一つであり、喜劇の源泉に変わってしまっている男のことである」
1047.「アフリカの日々」アイザック・ディネーセン、晶文社、10月12日  **
 : 1914~1931年まで18年にわたるアフリカでコーヒー園を経営した著者が、アフリカを離れてアフリカ像が内部で結晶したものを書きとめた作品
1048.「英国の紳士」フィリップ・メイソン、晶文社、10月12日  *
 : 紳士とは1)行動基準、2)社会的地位により判断される。現在その影響は薄まりつつあるが、イギリス人行動全体に「英国の紳士」風味が行き渡っている
1049.「生きるということ」エーリッヒ・フロム、紀伊国屋、10月12日  ***  (29)
 : 現代社会の危機の分析とその克服の方向を提示。その鍵は「持つこと=利己心」の追求から「あること=利他心による喜び」転換にあると指摘
1050.「エコロジー共働体への道」アンドル・ゴルツ、技術と人間、10月12日  *
 : サブタイトル「労働と失業の時代を超えて」。マイクロ・エレクトニクスの発達により、少人数の労働で物・サービスの供給ができる社会が到来した。しかし、現在の制度・仕組みの中では、これは失業の拡大という形での社会的危機を生み出している。この克服の方向としてゴルツは「労働の社会の終焉」に対応する「自由時間の社会=生涯労働時間(2万時間)」「社会的所得=賃金生活者の廃絶」などを提案
1051.「豊かさの貧困」ポール・L・ワクテル、TBSブリタニカ、10月12日  (10)
 : アメリカ社会の窮乏感は経済成長が常に満足を上回る必要を生み出したことにより生じており、この克服のためには、個人主義を捨て、体験の豊かさや他人とのきずなといった心理的価値を重視しなければならないと主張する
1052.「緑の資本論」中沢新一、集英社、10月12日
 : イスラムとキリスト教の利子に対する考え=貨幣論を通して一神教の特質を論じる
1053.「アートフル・サイエンス」バーバラ・M・スタフォード、産業図書、10月13日  (4)
 : サブタイトル「啓蒙時代の娯楽と凋落する視覚教育」。口誦・視覚文化中心の時代は、大衆的読み書き文化相に駆逐されたが、新啓蒙時代たる21世紀は、コンピューター・グラフィック革命などどあいまって視覚文化復権の時代となるであろう
1054.「幻のアフリカ」ミシェル・レリス、河出書房、10月13日  *
 : 1931年5月~33年2月ダガールからジプチまで横断した調査隊の日誌。この日誌の特徴は、民族史学上の記録の合間に、筆者の夢や色々な妄想、悩みなどが書かれていること
1055.「がむしゃら1500キロ」浮谷東次郎、ちくま少年文庫、10月13日  **
 : 中学3年の夏休みに50CCのドイツ製オートバイ「クライドラー」で東京ー大阪往復一人旅の記録をクライマックスとする日記。少年の感性・成長が伝わってくる良い作品
1056.「下流の宴」林真理子、毎日新聞、10月14日  **
1057.「反貧困」湯浅誠、岩波新書、10月14日
 : サブタイトル「「すべり台」社会からの脱出」
1058.「絶対音感」最相葉月、小学館、10月15日  **
 : 「絶対音感」とは何かから始まり、どうしたら身につくのか(遺伝か早期教育か)、持つことのメリットとディメリット、音楽家にとって大切なこと、最後には人間とは何かまでを論じる
1059.「ヨーロッパ文明批判序説」工藤庸子、東大、10月15日  *
 : サブタイトル「植民地・共和・オリエンタリズム」。「歴史学との対話が可能になるような開かれた文学研究をめざす」という意図をもって書かれた本。1870年代に照準を当てたヨーロッパ文明批判
1060.「文化の意味論」マーティン・ジェイ、法大、10月15日
 : 現代人の思考と生活を織りなしている基本概念である「理論」「経験」「多文化主義」、文化的「転倒」、「排除」、「不気味なもの」「文化の反復」「心理主義」「異教性」などのキーワード・概念を分析・論述
1061.「グロテスクなもの」ヴォルフガング・カイザー、法大、10月15日
 : ルネッサンスから現代までの巨匠の作品の分析から、結論として、「精神の危機が叫ばれている変革期には、決まってグロテスクな芸術が一世を風靡する」という
1062.「革命的人間」エーリッヒ・フロム、創文社、10月15日
 : フロムの初期の作品(1930年代)で、厳格なフロイト主義者であったころで、後のフロムの立場とは大きく異なる
1063.「幸福について」ショーペンハウアー、新潮文庫、10月15日  *  (5)
 : サブタイトル「人生論」。アリストテレスの人生の三つの財宝「人のあり方(人品・人柄)、人の有する者(所有物)、人の印象の与え方(名誉・位階・名声)」を取り上げ、人の幸福にとって最も重要なのは{人のあり方」であり、最も頼りにならないのは「人の印象の与え方」であるという
1064.「ボデイ・クリティシズム」バーバラ・M・スタフォード、国書刊行会、10月16日  **
 : 不可視なものを可視化しようとした18世紀に現れた視覚の戦略と理論には様々なものがあり、それをどう解釈すればいいかを提示
1065.「視覚言語の世界」斉藤くるみ、彩流社、10月16日  *
 : 聾者の手話は独立した一言語であり、母語として使われる音声言語と同様の表現能力を持つ。また、代替手話(修道院、製材所などで使用された)は音声言語を聞くことのできる人たちの間で用いられた
1066.「小鳥の歌からヒトの言葉へ」岡ノ谷一夫、岩波、10月16日
 : ジュウシマツの歌に文法があることを発見。四つの質問=行動のメカニズム、発達、機能、進化でジュウシマツの歌を分析
1067.「ヒューマン・エコロジーの世界」ポール&アン・エールリッヒ、講談社、10月16日
 : 原書は1970年発行。迫りくる人口・食糧・環境危機に警鐘をならし、危機回避のための行動を呼びかける
1068.「犬の記憶」森山大道、河出文庫、10月16日
 : 1984年朝日新聞より発行された著者の初エッセイの文庫化
1069.「読書のすすめ」第10集、岩波、10月16日  *
 : 8人の作家の自分の読書体験にもとづいた「読書のすすめ」
1070.「正気の社会」エーリッヒ・フロム、社会思想社、10月16日  (14)
 : 原書は1955年発行で「自由からの逃走」の続編。正気の社会を形作るための具体的提案により重きを置いた。ロボット化を否定し、人間的共同主義的社会の構築を提案
1071.「デッサンする身体」赤岡啓之、春秋社、10月16日  (6)
 : 「デッサンとは、サイエンスとアートを媒介するもの」という。デッサンだけが二項対立間の逆転性や否定性を免れている
1072.「真夜中の子供たち」上・下、サルマン・ラシュディ、早川書房、10月16日  **
 : インド独立の瞬間に生まれた語り手が語るインド独立前後、印パ戦争、バングラディシュ独立などを背景とする小説
1073.「漫画原論」四方田犬彦、筑摩、10月16日
 : 1)漫画に固有の表象システム(手描きの絵と文字言語)、2)特定の主題をいかに異なった描いてきたかを中心に論じる
1074.「薔薇十字の覚醒」フランセス・イエイツ、工作舎、10月17日  *  (4)
 : 17世紀初頭に絞り、「薔薇十字啓蒙運動」が存在し、この「薔薇十字」はヨーロッパ文化史の中でルネサンスと17世紀科学革命をつなぐ一つの段階であったという
1075.「希望の革命」エーリッヒ・フロム、紀伊国屋、10月17日  *  (16)
 : 1968年出版、わたしたちは分かれ道に来ている。一つは人間が機械の中の一つの歯車になる道であり、もう一つは人間主義と希望の復活につながる道である。問題点をはっきりさせ、行動に踏み切ることの重要性を訴える
1076.「悲しき熱帯」上・下、レヴィ=ストロース、中央公論、10月17日  **
 : 1930年代のブラジル奥地での経験を15年かけて熟成、生い立ち(少・青年期、第一次大戦時のアメリカへの脱出、インド・パキスタン訪問)を交えながら一気に書かれた本。レヴィ=ストロースの文化人類学者としての自己形成の過程と、その学問の性格をありありと見せる歴史的名著
1077.「世界を映す鏡」ジョン・J・マカレーン編、平凡社、10月17日  *  (10)
 : 原題「儀礼・演劇・祝祭・スペクタクル」。序説「文化的パフォーマンス文化理論」全体をうまくまとめるすぐれた要約になっている。10人の著者が様々な角度から論じている
1078.「日本幻想文学史」須永朝彦、白水社、10月17日  *
 : 「古事記」から始まり1971年に至るまでの幻想文学を網羅・紹介する
1079.「「西遊記」XYZ]中野美代子、講談社、10月17日  *
 : 三蔵法師のインドへの取経の旅の史実から始め、中国でどのようにしてフィクションとしての「西遊記」が成立していったかに迫る
1080.「闇の奥」コンラッド、岩波文庫、10月17日
 : アフリカの奥地を舞台とするコンラッドの代表作
1081.「はじまりの物語」松田行正、紀伊国屋、10月18日  *
 : さまざまな「概念」「形」「方法」のはじまりの軌跡をたどりながら、その奇跡のジャンプ・終わりによる飛躍が生まれると指摘
1082.「南のポリティカ」上野清士、ラティーナ、10月18日  **
 : 主として中南米・カリブ海の国々の政治状況を報告しながら、北の富裕国に向けた南の人々の必死の「誇り」と「抵抗」を映し出す
1083.「アルファベットの傷口」多和田葉子、河出書房、10月18日
1084.「モブツ・セセ・セコ物語」井上信一、新風社、10月18日  *
 : 本書はモブツ自身とその時代の出来事をのべることによって、コンゴ現代史の副読本となることを目的に書かれた。モブツ独裁体制(1960~1997年)、反体制派の人々の命を奪い、国家を私物化し、破産に追い込み、国民に塗炭の苦しみを与えた。モブツ独裁体制を生み出したのは、コンゴ自身の問題であると同時に、国際社会の問題でもあると指摘する
1085.「ヒトの発達とは何か」榊原洋一、ちくま新書、10月18日
 : 発達の過程での乳幼児の行動を記述しながら、それを支える神経機能について説明する。歩けるようになるまでと言葉の習得を中心に取り上げる
1086.「洛陽田楽記」大江匡房、岩波、10月19日
 : 永長5年(1096)平安京での大田楽についての記述
1087.「等伯画説」日通上人、岩波、10月19日
 : 等伯独自の芸術観を伝える貴重な資料
1088.「撰集抄」桜楓社、10月19日
 : 仏教説話集の末期に位置、語り手を西行になぞらえて諸国を行脚する途上に見聞きしたことを記す。約120話を収録する
1089.「古今著聞集」上・下、橘成季、10月19日  *
 : 建長6年(1254)出版の726話収録の百科全書的説話集。鎌倉期の事件的・行動的・報道的描写。神話・政道・文学・管弦・歌舞・術道・武勇・画図・博奕・祝言・怪異・飲食・草木・魚虫禽獣を網羅
1090.「屋久島民俗誌」宮本常一、未来社、10月19日
 : 昭和15(1940)年調査の報告
1091.「空からの民俗学」宮本常一、岩波現代文庫、10月19日
 : 宮本常一が写真から読み解く人々の暮らし。現代文庫のために新たに編集されたエッセイ集
1092.「隣のアポリジニ」上橋菜穂子、筑摩、10月19日  *
 : オーストラリアの「小さな町に暮らす先住民」は、白人社会(多文化主義という理想と白人優位主義との間で揺れ動く)と伝統集団社会の間で揺れ動くアポリジニ集団の姿を描く
1093.「新猿楽記」藤原明衡、東洋文庫、10月19日  **
 : 11世紀中頃、王朝斜陽期の京の庶民生活を映し出す万華鏡
1094.「美術の始源」木村重信、新潮社、10月20日  *  (9)
 : 美術の始源を考察することによって、芸術の本質・構造を解明したいということを目指して書かれた本。旧石器時代、ラスコー、大サハラ、南部アフリカを取り上げて分析
1095.「独りの時間 山口薫詩画集」山口薫、求龍堂、10月20日  *
 : 「花の像」(絵画)をふくむ絵と詩
1096.「文学とテクノロジー」ワイリー・サイファー、白水社、10月20日  *  (6)
 : 19世紀にテクノロジーが科学と芸術の双方を毒し、距離・疎外を生み出した。その克服のためには「メクセシス(参加)」と技芸の伝統に立ち返ることが必要と説く
1097.「ぼくの東京案内」植草甚一、晶文社、10月20日  *
1098.「暗黒日記」清澤冽、東洋経済、10月20日  **
 : 大戦中の昭和17年12月から20年5月までの日記の一部の単行本化。「真実のリベラリスト」として政府・軍部・マスコミ・学者を鋭く批判
1099.「磯崎新の思考力」磯崎新、王国社、10月20日  *
 : 磯崎新の第六エッセイ集
1100.「緑は危険」クリスチアナ・ブランド、ハヤカワ、10月20日  *
 : 第二次大戦中の陸軍病院を舞台とした殺人事件をあつかうミステリー
1101.「はなれわざ」クリスチアナ・ブランド、早川、10月20日  *
 : 地中海の架空の島を訪れたイギリス人のパックツアー客の中の事件をあつかうミステリー
1102.「殺意の迷宮」パトリシア・ハイスミス、創元推理文庫、10月20日  *
 : アテネとクレタ島を舞台としたミステリー
1103.「秘密の知識」デイヴィッド・ホックニー、青幻社、10月21日  ***
 : サブタイトル「巨匠も用いた知られざる技術の解明」。15世紀以降の数々の名画を分析、鏡やレンズを使用して数々の傑作が生まれたことを実証し、世界中で一大センセーションを巻き起こした話題作
1104.「幻想の東洋」彌永信美、青土社、10月21日  *
 : サブタイトル「オリエンタリズムの系譜」。16世紀フランス人ポステルは西洋に発見されたばかりの日本で聖人として崇められている「シアカ」とは「イエス・キリスト」であると主張。この奇怪な説は一体どこから生まれたのかという疑問からこの本は始まる。「幻想の東洋」の歴史を古代からたどる
1105.「考える身体」三浦雅士、NTT,10月21日  *
 : エッセイ集。「芸術の身体」「人間の知のメデイア」がいい
1106.「日本語のリズム」別宮貞徳、ちくま学芸文庫、10月21日  *
 : 1965年に「ソフィア」に発表されたものの文庫化。「七五調は四拍子」と主張
1107.「百句燦燦」塚本邦雄、講談社文芸文庫、10月21日  *
 : 百人の俳人の代表作百句を選び解説・批評を加える
1108.「人体 失敗の進化史」遠藤秀紀、光文社新書、10月21日
 : 人類の最大の特徴は二本足歩行。そのためにどのような設計変更が行われ、失敗と成功、それがもたらした成果と無理を分析
1109.「脱領域の知性」G・スタイナー、河出、10月22日
 : 原題「文学言語学革命」。大半は脱領域(エグザイル)作家論「ボルヘス、ベケット、セリーヌ」。後半はチョムスキー言語論と生命科学の対比で<コード化>と<場>の理論が自然科学と人文科学・芸術の共通の概念であると指摘
1110.「独酌余滴」多田富雄、朝日、10月22日  **
 : エッセイ集。能にかんするエッセイが特に秀逸
1111.「変身の恐怖」P・ハイスミス、ちくま文庫、10月22日
1112.「見知らぬ乗客」P・ハイスミス、角川文庫、10月22日
1113.「人間開発報告書」2010、UNDP,10月22日
 : サブタイトル「国家の真の豊かさー人間開発への道筋」。GNP(経済成長)一本から健康(余命)教育(基礎教育)最低限の所得で「豊かさ」を測ることを提案
1114.「文明の交流史観」小林道憲、ミネルヴァ、10月23日  ***  (47)
 : サブタイトル「日本文明のなかの世界文明」。中心文明・周辺文明に加えて新たに媒体文明を提案。いずれの文明も相互に交流し影響を与え合っている。複雑系として文明を捉えることを主張
1115.「宝物集」(九冊本)、古典文庫、10月23日  **
 : 仏教説話集。特徴は、1)体系的に仏教の教えを伝えようとしている、2)和歌を説明の材料として多用(428首)
1116.「閑居友」慶政、古典文庫、10月23日
 : 仏教説話集
1117.「古事談抄 全釈」笠間書院、10月24日  *
 : 「古事談」全6巻の巻第二の記事の取捨選択、要約、記述の明確化を行うことによって、「古事談」とは別といえる作品に仕立てた
1118.「存在の大いなる連鎖」アーサー・O・ラヴジョイ、晶文社、10月24日  *  (6)
 : 「宇宙はあらゆる生物と無生物とで充満する連続した存在の梯子である=存在の大いなる連鎖」。アリストテレス以来の西洋思想=哲学・・天文学・生物学・文学の諸学問の発展、人間の精神の地平を切り開く強力な梃子であり続けたという
1119.「芸術人類学」中沢新一、みすず、10月24日  *  (9)
 : エッセイ集。イントロの2論文が「芸術人類学」の紹介
1120.「水と夢」ガストン・パシュラール、国文社、10月24日
 : <科学的精神の起源の解明から物質的想像力の分析>の転換の要に位置する作品
1121.「鬼坊主の女」池波正太郎、立風書房、10月24日  *
1122.「金太郎蕎麦」池波正太郎、立風書房、10月24日  **
1123.「強請」池波正太郎、立風書房、10月24日  *
1124.「鹿踊りのはじまり」宮沢賢治、偕成社、10月24日  *
1125.「グローバル・デモクラシー」ジャン=フランソワ・レヴェル、青土社、10月25日 * (8)
 : 原題「甦った民主主義」。現在、民主主義は至る所で腐敗し、機能不全に陥っているが、20世紀の歴史からの教訓は、進歩を確実にする唯一の経済システムは資本主義であり、最悪のやりすぎと、最も深刻な過ちを防止し、早急に訂正することができる唯一の政治システムは民主主義であるということ
1126.「宇宙・肉体・悪魔」J・D・バナール、みすず、10月25日
 : 原書の出版は1929年。サブタイトル「理性的精神の三つの敵(=宇宙・肉体・悪魔)」
1127.「ブヴァールとぺキシュ」フローベル、筑摩、10月25日  *
1128.「黒死館殺人事件」小栗虫太郎、桃源社、10月25日  **
 : 江戸川乱歩をして「この作品には、既に書かれた、またこれから書かれるであろう、あらゆる探偵小説の素材が、集大成的に、包含されている」言わしめた
1129.「別世界通信」荒俣宏、イースト・プレス、10月25日  *
 : 第一部でファンタジーの伝統的役割「人間の心の真実」をもとめ、第二部で知のアクロバットとしてのフィクションの機能を追求する
1130.「異文化間交易の世界史」フィリップ・カーティン、NTT,10月26日  *
 : 本書の核となる言葉は、「交易離散共同体(交易ディスポラ)」。5千年にわたる世界各地の歴史から具体例を挙げ、交易離散共同体が異文化間交易の中心であったことを指摘
1131.「神々の沈黙」ジュリアン・ジェィンズ、紀伊国屋、10月26日  **  (22)
 : 人類の意識はわずか3千年前に誕生した、それ以前の古代文明は<二分心>に囁かれる神々の声に従い生み出されたという大胆な仮説を提示、数々の例を挙げて仮説を証明する
1132.「移動の地域史」松本宣郎編、山川出版、
 : 世界史を地域から見る。本巻は人の移動によってどのようにどのように新しい地域が生まれてくるか、それまでの地域はどのように変わってゆくか。1)未知の土地を求めて」、2)「強いられた移動」、3)「地域を結ぶ道」
1133.「文明間の対話」服部英二、麗澤大、10月26日
 : 「文明は必然的に衝突する」VS[文明は他との出会いによって成長する」
1134.「対称性人類学」中沢新一、講談社、10月26日  ***  (24)
 : カイエ・ソヴァージュ・シリーズの最終巻(Ⅴ)。「対称性」の概念を一つの公式にまで発達させようという試み。「無意識」こそが現生人類としての私たちの「心」の本質をなすものであり、非対称性の原理によって作動する能力は、この「無意識」の働きに協力しあうものでこそあれ、それが人類の知的能力の本質であるなどとはとうてい言えない。交換は分離をもたらし、贈与は結合をもたらす
1135.「広場の造形」カミロ・ジッテ、鹿島、10月26日  *
 : 現代は多くの場合、モニュメントや噴水は広場の中央に配されるものであるが、古代においては「広場の中央は自由にしておくこと」が常識だった。「芸術的原理に即した都市計画」の提案
1136.「白蟻」小栗虫太郎、現代教養文庫、10月26日  **
1137.「人魚謎お岩殺し」小栗虫太郎、現代教養文庫、10月26日  *
1138.「内部の真実」日蔭丈吉、、現代教養文庫、10月26日  **
 : 太平洋戦争中の台湾の陸軍部隊で起きた殺人事件をめぐるミステリー
1139.「文明の海洋史観」川勝平太、中公叢書、10月27日  **  (18)
 : 海洋アジアからのインパクトに対するレスポンスとして、日本とヨーロッパに新しい文明が出現した
1140.「東西文明の風土」安田喜憲、朝倉書店、10月27日  *
 : 日本の風土や神話を日本人の歴史認識の中に位置づけ、科学的に研究し、自然と人間の関係の研究から人類と地球の未来を予測する分野を環境考古学として体系化する試み
1141.「交流の考古学」小川英文編、朝倉書店、10月27日
 : これまでの日本の考古学とは異なった枠組みと方法を用い理論的に論旨を展開する論文集
1142.「文明の環境史観」安田喜憲、中公叢書、10月27日  **  (9)
 : 人類文明の発展には「多元的文明世界」の存在が必要不可欠である。「むきだしのエゴと力と闘争の文明」に対し「足るを知る美と慈悲の文明」を提唱
1143.「文明ネットワークの世界史」宮崎正勝、原書房、10月27日
 : 「都市」と「都市を支えるネットワーク」の変容とその変化にともなうシステムの組み換えが「世界史」を作り出してきたとする仮説を基礎とし文明の形成から現代に至る「世界史」を一貫したプロセスとして描き出す試み
1144.「「移動文化」考」片倉もとこ、岩波、10月27日  *  (1)
 : すっかいり<定着型>につかりきった日本人にとって、イスラムの<移動型文化>との出会いにはとまどいもあるが、日本でも飛鳥・奈良時代には遷都が度々行われたし、伊勢神宮の廿年遷宮などの<移動文化>があった。21世紀はハイモビリティ時代であり、<目的地へまっしぐら>からの脱却、回り道をしプロセスを楽しむことが求められている
1145.「言語芸術・言語記号・言語の時間」ロマン・ヤコブソン、法大、10月27日
 : 言語と文学に対する構造主義的アプローチが生まれ展開していくなかで大きな役割を果たしたヤコブソンの著述
1146.「地域史とは何か」濱下武志編、山川出版、10月27日
 : 地域の世界史1
1147.「地域のイメージ」辛島昇編、山川出版、10月27日
 : 地域の世界史2
1148.「地域の成り立ち」辛島昇編、山川出版、10月27日
 : 地域の世界史3
1149.「土の中からでてきたよ」小川忠博、平凡社、10月28日
 : 縄文遺物の写真集
1150.「文明の多系史観」村上泰亮、中公叢書、10月28日  **  (17)
 : サブタイトル「世界史再解釈の試み」。歴史を語るとき、「発展法則定立」対「個性的事実」の二つの路線があるが、著者がめざすのは「新しい歴史主義」=法則定立と個性記述の統合、批判的歴史主義の確立である
1151.「ヨーロッパ世界の誕生」アンリ・ピレンヌ、創文社、10月28日  *  (7)
 : 1)ゲルマン民族の侵入はローマ文化の本質的特徴に終止符を打つものではなかった、2)古代の伝統の断絶をもたらしたのは、イスラムの急激な進出であったという
1152.「黒い手帳」久生十蘭、三一書房、10月28日  *
 : ルーレットの出目を当てるシステム開発をめぐる小説
1153.「暗黒公使」夢野久作、三一書房、10月28日  *
 : 夢野久作らしい仕掛たっぷりの独特の探偵小説
1154.「暗黒星」江戸川乱歩、講談社、10月28日  *
 : 名探偵明智小五郎が犯人の仕組んだトリックをいかにして見破るかが読みどころ
1155.「熊から王へ」カイエ・ソバージュⅡ、中沢新一、講談社、10月28日
1156.「水晶内制度」笙野頼子、新潮社、10月29日  *
 : 女性だけの国「ウラズミモ」で建国神話作成を担当する主人公が語る物語
1157.「免疫ネットワークに時代」西山賢一、NHK,10月29日  *  (9)
 : サブタイトル「複雑系で読む現代」。複雑な時代に生きる私たちの基本素養として免疫ネットワークの発想ができることが求められている
1158.「知性のために」蓮實重彦、岩波、10月29日
 : 東大入学式、海外の大学での講演などをまとめて単行本化
1159.「「失われた20年」と日本経済」深尾京司、日経、10月29日
 : バブル崩壊以降の日本経済の停滞の原因を分析し対策を提示する。一般論の範囲に止まっており、突っ込み不足殿印象は否めない
1160.「誰ケ袖屏風」保田與重郎、講談社学術文庫、10月29日  **
 : 桃山・江戸時代に活躍した光悦・宗達・永徳・探幽とそのパトロンだった足利氏・秀吉を描く
1161.「日本の橋」保田與重郎、講談社学術文庫、10月29日  **
 : ローマの石造りの橋と日本の橋の比較を通し、日本の橋の美しさ、歌枕としての橋を描く名作
1162.「普遍の鍵」P・ロッシ、国書刊行会、10月30日  *  (4)
 : 「普遍の鍵」とは、1500~600年代の表面的な現象の陰に、実在の本質を構成する理念の筋書きを把握できるような方法・普遍学をさすものだが、当時の論理学・修辞学・言語問題・記憶・トピカ・分類法・記号・象形文字・象徴・イメージをめぐる問題を徹底的・実証的に論じる
1163.「愛と経済のロゴス」カイエ・ソバージュⅢ、中沢新一、講談社、10月30日  ** (30)
 : 新しい贈与論の探求の試み。交換・贈与・純粋贈与という三つの原理と経済を解き明かす
1164.「神の発明」カイエ・ソバージュⅣ、中沢新一、講談社、10月30日  (15)
 : 主題は「超越性の発生」。スピリットがさまざまなトポロジー変形をおこしていくときに、多神教・唯一神をつくりだすという
1165.「建築の地球学」石井和宏、TOTO,10月30日  *
 : 「地球学」のいちぶとしての「建築学」の実践を多くの写真・図を用い、分かりやすく解説する
1166.「モノの世界史」宮崎正勝、原書房、10月30日  *
 : 1)生きた「生活社会」と論理的に説明される巨大な「現代社会」をつなぎ、イメージ豊かな社会認識をうる、2)十九世紀的な価値認識が色濃くつきまとう「歴史像」を現代のニーズに合うように改めるにはどうしたらよいかことを目指して書かれた本
1167.「生物社会の論理」(復刻版)今西錦司、思索社、10月30日
1168.「環境考古学事始」安田喜憲、洋泉社、10月31日  *
 : 日本の古代文化がいかなる自然環境の変遷を背景として成立発展してきたかを分析することを目的として書かれた本
1169.「対論 対称性と関係性の生態学」小原秀雄、農山漁村文化協会、10月31日 * (9)
 : 女子栄養大学教授定年退官記念シンポジウムの単行本化。小原理論=多様性と関係性の問題・メカニズムの理解と多様性をどう残していくか
1170.「イスラム・ネットワーク」宮崎正勝、講談社、10月31日  *
 : 本書は従来の「東洋史」「西洋史」の枠組みを超えて、グローバルな世界認識に到達するための「世界史」構成理論である「ネットワーク論」を踏まえ、8世紀後半から9世紀を中心にアフロユーラシアの広汎な諸地域を結びつけたイスラム・ネットワークについて、世界史教育の立場から論じることを目的としている
1171.「海の道 海の民」大林太良、小学館、10月31日  (4)
 : 日本民俗文化の形成・発展において海が果たした役割についての考察をまとめたもの
1172.「知識人とは何か」エドワード・W・サイード、平凡社、10月30日  **  (10)
 : 知識人であることとは、「権力に対して真実を語ること、様々な選択肢を慎重に吟味し、正しい選択肢を選び、sれを最善をなしうるところ、また正しい変化をもたらしうるところで、知的に表象することなのである」
1173.「四角形の歴史」赤瀬川源平、毎日、10月31日  *
 : 犬は「物」を見ているが「風景」は見ていない。風景画が現れたのは印象派のころ。自然界にない四角が現れと一致している
1174.「石の来歴」奥泉光、文春、10月31日  **
1175.「氷河鼠の毛皮」宮沢賢治、ミキハウス、10月31日  *
1176.「お好みの本、入荷しました」桜庭一樹、創元社、11月1日  *
1177.「本に埋もれて暮らしたい」桜庭一樹、創元社、11月1日
1178.「いつも読みたい本ばかり」渡辺一枝、講談社、11月1日
1179.「本に読まれて」須賀敦子、中公、11月2日
1180.「ブックセラピー」三浦天紗子、アンドリュース・プレス、11月2日
1181.「生き延びるための読書」岸川真、早美出版、11月2日
1182.「またたび読書録」群ようこ、新潮社、11月2日  *
1183.「はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある」宮田珠己、11月2日  **
1184.「トリストラム・シャンディ」上・中・下、ロレンス・スターン、岩波文庫、11月3日  ***
 : 250年前にこんな人を喰った小説が書かれていたとは!イギリス人のユーモア精神に脱帽
1185.「現代生態学とその周辺」沼田眞編、東海大、11月3日
 : ウェットランド、山岳と森林、哺乳類・鳥類・昆虫類、雑草と草地植生などについての多数の学者の論文を掲載
1186.「表象の迷宮」谷川渥、ありな書房、11月3日
 : サブタイトル「マニエリスムからモダニズムへ」。<表象>をめぐる12篇の論考
1187.「地球倫理へ」松井孝典、岩波、11月3日  (1)
 : 地球は現在11の物質圏に分けられ、それぞれがサブシステムとして有機的につながり、一つのシステムとして機能している。地球の未来とは、これらの物質圏が一つずつ消滅していく過程であり、現在はちょうどその折り返し点にある。そして放置すれば、人間圏の消滅を意味するが、そうなるかどうかは、人間の選択、外的環境の変化に対応し、より安定した新たな地球の創造に向かうかどうかにかかっている
1188.「ペナック先生の愉快な読書法」ダニエル・ペナック、藤原書店、11月3日  *
 : 本書は、「小説のように」物語風に本を読む楽しみについて書いたもの。最後に、「読者の権利10ケ条」を掲げているのが気が利いている
1189.「本を読むわたし」華恵、筑摩、11月3日  *
 : 「大切な思い出は必ず本と結びついている」という著者が、14冊の本との出会いと思い出をつづった
1190.「本を読む日曜日」俵万智、河出書房、11月3日  *
1191.「渡したい本がある、君のために」清水克衛、ゴマブックス、11月4日  *
 : サブタイトル「成功と幸せが集まってくる「読書のすすめ」」。書店「読書のすすめ」店長の読書エッセイ
1192.「こちら本の探偵です」赤城かん子、径書房、11月4日  *
 : 著者が「本の探偵」になることを思い立った経緯から始まり、それが新聞に載り、「探偵依頼」が沢山くるようになった、その依頼内容と調査結果の報告
1193.「クロネコBOOK倶楽部」鷲田小彌太・中田美知子、青弓社、11月4日  *
 : 同じ本の書評を二人が同時に行うという趣向がユニーク
1194.「キャリアに揺れる」上西充子・柳川幸彦、ナカニシヤ、11月4日
 : サブタイトル「迷えるあなたに贈るブックガイド30」
1195.「お金を稼ぐ読書術」中堂登志雄、ビジネス社、11月4日
1196、「模倣の法則」ガブリエル・タルド、河出書房、11月4日  *  (21)
 : 「模倣」という心理的現象を通じて社会現象の動きを解明し、まだ制度化されていなかった社会学の創始者をめざす
1197.「マニフェスト 新しい経済学」村上泰亮ほか、中公、11月4日  **  (5)
 : 「新しい経済学」の基本は、経済学における「進化論的アプローチ」「ネットワーク論的アプローチ」の提唱
1198.「描写の芸術」スヴェトラーナ・ヌルバース、ありな書房、11月4日
 : サブタイトル「17世紀のオランダ絵画」。17世紀オランダ美術は、物語的性格の強いイタリア美術からは区別される描写的な美術であると規定することによってもっともよく理解しうるというのが根本的テーマ
1199.「乱読パラダイス」香山リカ、筑摩、11月4日  *
 : 「何らかの意味で私に「すばらしい」と思わせたたくさんの本について、その”すばらしさ”を無理やり日常の言葉の中で説明しようとした苦しい闘いの記録」
1200.「自分をとり戻すための読書術」中山庸子、講談社、11月4日  *
 : サブタイトル「本と対話する生き方」。読書についていろいろな角度から提言
1201.「この本を読んで暮らしを変える」ほんコミュニケート編集室、三一書房、11月4日
 : 私たちの日常の生活や暮らしを根っこから考え直し変えるために、参考になり役に立つ読書ガイドが目標。キーワードは「シンプル・ヘルシー・エコロジカル」
1202.「マンガ 日本の歴史」45~48巻、石ノ森章太郎、11月6日  *
1203.「日本建築の再生」石井和宏、中公新書、11月7日  **  (11)
1204.「なまけ者のさとり方」タデウス・ゴラス、地湧社、11月8日  *  (10)
 : 「私たちはみな平等。さからわないこと。あるがままを愛すること。すべての意識のレベルは、この瞬間にあなたに用意されている。」
1205.「白檀の刑上・下、」莫言、中公、11月8日  **
 : 清朝末期を背景とする時代小説。処刑場面の迫力が圧巻
1206.「日本史を海から洗う」川勝平太ほか、南風社、11月10日  **  (9)
 : 日本社会の歩みは列島の中に閉じられたものではない。本書のタイトルは、開かれた日本史への一歩を期して付けられている
1207.「<神道>のこころ」葉室頼昭、春秋社、11月10日
 : 形成外科の草分けを医者として行い、神官に転身し春日大社の宮司を務める著者の説く「神道」とは何か
1208.「人<ヒト>になる」小原秀雄、大月書店、11月11日
1209.「森に蘇える日本文化」青木宏一郎、三一書房、11月12日
 : サブタイトル「過疎化する山村に、高齢者の力を借りて郷土の文化と社会の再構築をするための提案書」
1210.「生物界における共生と多様性」川那部浩哉、人文書院、11月12日
 : 生物多様性、生物の性質は関係によって決まる、地球共生系について語る
1211.「曖昧の生態学」川那部浩哉、農山漁村文化協会、11月13日
1212.「呪術の実践」カルロス・カスタネダ、二見書房、11月14日  *
 : カスタネダの「呪師」シリーズ第9巻。今回は「マジカル・パス」がテーマ
1213.「動物のこころを探る」小原秀雄、埼玉福祉会、11月14日  *
 : 人間は動物界で進化の頂点にある。しかし、自然・環境破壊などをおこない自滅への道を進みつつある。野生動物の性質、本姓に気づくことによって、人間は自分たちを補正することができるのではないか
1214.「びんぼう神様さま」高草洋子、地湧社、11月14日  ***
 : 松吉の家に貧乏神が住みつき、家はみるみる貧しくなっていく。ところが松吉は悲しむどこらか、なんと神棚を作って貧乏神に感謝の祈りを奉げだす
1215.「蒼穹の昴」上・下、浅田次郎、講談社、11月14日  **
1216.「契丹伝奇集」中野美代子、日本文芸社、11月14日  *
1217.「応為坦坦録」山本昌代、埼玉福祉会、11月14日  **
1218.「だいこん」山本一力、光文社、11月15日  **
1219.「わが精神の故郷」山田無文、禅文化研究所、11月15日  *
 : 前半は自伝、後半は講話=禅・仏とは何か、「空」について
1220.「「国語」という思想」イ・ヨンスク、岩波現代文庫、11月16日  **  (7)
 : サブタイトル「近代日本の言語認識」。過去を語るときに人間の犯しやすい過ちは、現在の常識で過去をみること。「日本語」という概念の歴史的起源を明らかにしていく過程で、「日本語」をめぐる論争のなかで犯された過ちを指摘。そして、結論として「「国語」とは、はじめから存在している事物ではなく、近代国家に適合する言語規範をもとめる意志が作り出した価値対象なのである」という
1221.「フレンズ」森谷今日子、青弓社、11月16日
1222.「写楽まぼろし」上・下、杉本章子、埼玉福祉会、11月16日
 : 江戸出版会の風雲児蔦屋重三郎を主人公に「写楽とは誰か」謎解きを、蔦屋の父親とするフィクション
1223.「心の底をのぞいたら」なだいなだ、筑摩、11月16日
 : 子供向けに書かれた「「心」の働きとは何か」。フロイト心理学を中心に説明する
1224.「西岡常一と語る 木の家は三百年」原田紀子、農山漁村文化協会、11月16日 *
 : 設計・基礎・構造・材木・瓦・茅葺・土壁・釘・道具を巡って西岡常一と職人が呼応する職人の世界
1225.「ただ一人の個性を創るために」曽野綾子、PHP,11月16日
1226.「落語的学問のすすめ」桂文珍、潮出版、11月16日
 : 関西大学での講義の単行本化
1227.「海から見た日本文化」海と列島文化10、大林太良ほか、小学館、11月17日
 : 海洋文化・考古学・漁撈・歴史について
1228.「瀬戸内の海人文化」海と列島文化9、大林太良はか、小学館、11月17日
 : 内海の文化、生態学と古代史、信仰と芸能、水運と港町、漁撈と海民の世界
1229.「海神の贈物」谷川健一、小学館、11月17日  *
 : 「南島へのまなざし」「地名伝承を求めて」「異界への招待状」「民俗の思想」
1230.「聖玻璃の山」夢枕莫、早川書房、11月17日  *
 : 「摩訶般若波羅蜜多心経」を漢字・日本語・戯曲脚本と多角的に捉える
1231.「夢魔子」藤子不二雄A,11月17日
1232.「島の精神誌」岡谷公二、思索社、11月18日  *
 : 島についてのさまざまなエッセイ集。自分自身の南島へのあこがれ、南島に再生の場を求めた西洋人たち、柳田国男「海上の道」論
1233.「素朴な女」フローベル、新日本出版、11月18日
1234.「知られざる傑作」バルザック、新日本出版、11月18日  *
1235.「澪木」朴重高、青弓社、11月18日
1236.「ロッパの悲食記」古川緑波、六興出版、11月18日
1237.「落語的学問のすすめ」Part2,桂文珍、新潮文庫、11月18日
1238.「学校の幻想教育の幻想」山本哲士、ちくま学芸文庫、11月19日  **  (47)
 : 著者の著書の中から教育・学校論にかかわるものを集め直し、加筆修正したもので、学校教育理論の一大集成。イリイチ、フーコーの「脱学校化社会」を基調としている
1239.「苦の世界」宇野浩二、岩波文庫、11月19日
1240.「読書癖」1・2、池澤夏樹、みすず、11月19日  *
1241.「言葉は静かに躍る」柳美里、新潮社、11月19日
 : 読書エッセイ集
1242.「塩一トンの読書」須賀敦子、河出、11月19日
 : 読書エッセイ集
1243.「ことばのポトラック」大竹昭子編、春風社、11月20日  *
 : 東日本大震災後、作家や詩人が自作を持ち寄り朗読した一年間七回のイベント。そこで読まれた作品を収録。
1244.「奇景の図象学」中野美代子、角川春樹事務所、11月20日  *
 : 1990年に執筆した空間論的・図象論的エッセイを集めたもの
1245.「アブサン物語」村松友視、河出、11月20日
 : 21年間飼った猫「アブサン」の追憶と感謝のエッセイ
1246.「読書癖」3、池澤夏樹、みすず、11月20日  *
1247.「容疑者Xno献身」東野圭吾、文春、11月20日  **
1248.「ぼくたちの近代史」橋本治、河出文庫、11月21日
 : 1987年に行われた6時間の講演の単行本化。眼目は、「一人で論理を徹底させる近代自我なんてやだーや、だから泣いてやる」ということ
1249.「信念をつらぬく」B・スイートランド、創元社、11月21日
 : 成功の三要素=1)私は成功者になることができることを知る、2)私は成功者になることを決意する、3)あなたとあなたの目標との間に横たわっている障害の理解に基づいた行動計画を立てる
1250.「読書癖」4、池澤夏樹、みすず、11月21日  *
1251.「ハザール事典」ミロラド・パヴィチ、創元社、11月21日
 : 6世紀半ば南ロシア草原に姿を現し、7世紀に王国を築き、やがてクリミア半島の大半に君臨した半遊牧の民。10世紀に首都は滅び歴史の舞台から消していった。奇妙なのは、君主の命により、9世紀はじめ、ユダヤ教その後イスラム教、キリスト教へと改宗したこと
1252.「森の旅、森の人」稲本正、世界文化社、11月21日  *
 : 一年間日本中の森を訪ね、進むべき方向として「自然の森を大切にしながら、森が育んだ伝統を生かし、未来を開く創造的な森林文化をつくろう」と提案
1253.「アメリカ・インデイアンの神話 ナバホの創世物語」P・G・ゾルブロッド、大修館、11月21日 *
 : アメリカ・インデイアン・ナバホ族の間に伝わる<創世神話>をワシントン・マシュウズが収集記録したものを著者がまとめなおしたもの
1254.「天狗」大坪砂男、国書刊行会、11月21日  *
 : 短編小説集
1255.「インド夜想曲」アントニオ・タブツキ、白水社、11月22日  **
 : 一度読み始めると読者を捉えてはなさない不思議な魅力をもつ作品
1256.「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ、白水社、11月22日  **
 : 「まっぷたつの子爵」(1952年)「不在の騎士」(1960年)とともに三部作「われわれの祖先」を構成する
1257.「蛇の歌」石川淳、筑摩、11月23日  *
1258.「アラスカ原野行」ジョン・マクフィー、平河出版社、11月23日  *
 : 3部構成:アラスカの川めぐり、アラスカの州都争い、ザ・カントリー入り(アラスカに住む個人の紹介)
1259.「何がおかしい」中島らも、白夜書房、11月23日
 : 中島らも追悼「笑いの評論とコント・対談集
1260.「ヘヤー・インデイアンとその世界」原ひろ子、平凡社、11月23日  *
 : 1961~3年にかけてカナダのノース・ウエスト・テリトリーに住むヘヤー・インデイアンの狩猟採集民を対象にしたフィールド・ワークの報告
1261.「都会の幸福」曽野綾子、ワック、11月23日  *
 : 田舎に住まず、都会に住む幸福を様々な観点で分析
1262.「老いの才覚」曽野綾子、KKベストセラーズ、11月24日  (3)
 : 自立した老人になるために老いの才覚=老いる力を持つことが重要であると説く
1263.「静かな大地」花崎亨平、岩波、11月24日  **
 : サブタイトル「松浦武四郎とアイヌ民族」。稀有の記録者である松浦武四郎の眼と筆を通して幕末期蝦夷地でのアイヌ民族に対する和人支配の実態を見つめる
1264.「アイヌ民譚集」知里真志保編訳、岩波文庫、11月24日  *
 : イ・ナンぺ説話13篇、えぞおばけ列伝20篇、アイヌ艶笑談7篇を収録
1265.「突飛なるものの歴史」ロミ、作品社、11月24日  *
 : 慣習という良識の抑圧を食い破って出現する精神のサーカス、冒険の夢心地にさそう寄席芸、もういい加減うんざりの昼の日常を裏返してにぎやかに躍り出たキャバレの演目
1266.「へんこつ」上・下、平岩弓枝、文春、11月24日  *
 : 偏屈と反骨の人滝沢馬琴とその生きた時代を描きたいという著者の長年の希望を実現した作品
1267.「アラン島」J・M・シング、みすず、11月24日  *
 : 著者が1898~1902年にかけ毎年訪れたアイルランドの三つの島からなるアラン島の思い出を綴る
1268.「宇宙の約束」山元加津子、三五館、11月25日  **
 : 「宇宙の約束」とは、著者の訳した般若心経につけた題。
1269.「抱きしめる東京」森まゆみ、講談社、11月25日
1270.「鬼麿斬人剣」隆慶一郎、新潮社、11月25日  **
1271.「パリ空中散歩」サリンジャー、ロバート・キャメロン、朝日,11月25日  **
 : ロバート・キャメロンの写真が素晴らしい
1272.「カムイユカラと昔話」萱野茂、小学館、11月25日  *
 : 昔話(ウウェぺケル)、言伝え(ウバシクマ)、神謡(カムイユカラ)、英雄叙事詩(ユカラ)女が語る叙事詩(メノコユカラ)、イヨンノッカ)を収録
1273.「重力の虹」Ⅰ・Ⅱ、トマス・ピンチョン、国書刊行会、11月25日
1274.「地図を作った人びと」ジョン・ノーブル・ウィルフォード、河出、11月26日  *
 : サブタイトル「古代から観測衛星にいたる地図製作の歴史」
1275.「港湾ニュース」E・アニー・ブルー、集英社、11月26日  *
 : ニューファンドランドを舞台とした小説
1276.「ソロモンの歌」トニ・モリソン、早川書房、11月26日  *
 : アメリカの黒人として初のノーベル文学賞を受賞した著者の代表作。自分のルーツ探しを行う黒人青年を主人公にした小説
1277.「ピエール・プルデューの世界」山本哲士、三交社、11月27日  **  (38)
 : ミシェル・フーコーと並んで、マルクス主義・構造主義を超える思想的理論的な可能性を切り開いた「プルデューの世界」を紹介
1278.「綺想迷画大全」中野美代子、飛鳥新社、11月27日  *
 : 「交錯する異形」「空間のあそび」「動物たちの旅」「いつものできごと」で構成
1279.「都市の誘惑」佐々木幹郎、TBSブリタニカ、11月27日  *
 : 8ッつのテーマを選び、そのテーマにそって、東京と大阪に住んでいる人々の声を聞きながら、二つの都市のデイーテールを比較
1280.「インドの不思議」ブズルク・B・シャフリヤール、関西大、11月27日  *
 : 10世紀後半に書かれた135の物語・奇談を紹介
1281.「<私>の存在の比類なさ」永井均、勁草書房、11月27日
 : 「他者」と「独我論」をめぐる哲学的考察
1282.「大貧帳」内田百閒、六興出版、11月28日  *
1283.「リプリー」パトリシア・ハイスミス、河出文庫、11月28日  *
 : ハイスミスの代表作の一つ
1284.「メキシコの夢」ル・クレシオ、新潮社、11月28日  **  (3)
 : アメリカ大陸とヨーロッパ、神々と黄金の対決のなかで、どちらが文明人でどちらが野蛮人であったのか?文明を保持したのはアステカ人であった、という
1285.「ギリシャ案内記」上・下、パウサリアス、岩波文庫、11月28日  *
 : 2世紀後半ギリシャ全土、山間僻地までをふくめて、実際に訪ねて記録した旅行案内記。巧みな順路設定、行事・宝物・ゆかりの神話など盛りだくさんに伝える
1286.「はじめての現代数学」瀬山士郎、早川文庫,11月28日  *
1287.「命」柳美里、小学館、11月29日  **
 : 生まれてくる命と失われていく命、二つの命をめぐる作者のドキュメンタリー的物語
1288.「フーコーの<方法>を読む」山本哲士、日本エデイター・スクール、11月29日 ** (46)
1289.「ダンセイニ幻想小説集」創土社、11月29日  *
 : 神々の物語、人間の物語、都市の物語の三部からなる英国的な想像力にあふれた幻想小説集
1290.「中世賤民の宇宙」阿部謹也、筑摩、11月30日  **  (11)
 : ヨーロッパ中世を近代の時間空間感覚、モノとの関係、死生観との比較をしながら分析する
1291.「愛の話幸福の話」美輪明宏、集英社、11月30日  *  (11)
 : 著者の「人間の本質」把握がしっかりしているので、単なる人生相談の域を超える出来栄えに仕上がっている
1292.「仙境異聞・勝五郎再生記聞」平田篤胤、岩波文庫、11月30日  *
 : 1820年江戸に天狗小僧寅吉が出現。異界に興味を持つ著者は早速会いに行き、ついには自宅に引き取って、聞き出した様々な情報を記したもの
1293.「生と死の幻想」鈴木光司、幻冬舎文庫、11月30日
 : 短編集
1294.「まっぷたつの子爵」イタロ・カルヴィーノ、晶文社、11月30日  *
 : 三部作「われらが祖先」の第一作
1295.「西洋中世の男と女」阿部謹也、筑摩、12月3日  **  (4)
 : 古代末期に成立した聖性への憧れが、中世を通して徐々に解体されていく過程が中世。境界が聖性を独占。近代ヨーロッパはこの独占に対する闘いの中で生まれた。聖なるものを個人個人が取り戻す闘い。アベラールとエロイーズはその闘いを代表する人物でもあった
1296.「チチメカ神話ーミチョアカン報告書」ル・クレジオ原訳、新潮社、12月1日  *
 : チチメカ・ボレペチャ族の神々の創世から人間とのかかわりの物語。スペイン人到来の夢と現実
1297.「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ、松籟社、12月1日  **
 : 三部作「われらが祖先」の第三作。「存在しない騎士アジルルフォは現代社会のいたるところに遍在する人間の典型である」という
1298.「夢想の秘密」J・B・キャベル、国書刊行会、12月1日  *
 : 1917年初版。リアリズム全盛の中に出現したロマンサーの代表作の一つ
1299.「ヨーロッパとは何か」クシミトフ・ポミアン、平凡社、12月3日  *  (24)
 : 本書は、ヨーロッパ史を文化と政治に分離させずに概観し、この視点にたった上で、ヨーロッパ史の本質をなすものを明らかにしようとした著作
1300.「章魚木の下で」中島敦、筑摩、12月2日
1301.「南島譚」中島敦、筑摩、12月2日  *
 : パラオ諸島の民話
1302.「環礁」中島敦、筑摩、12月2日
 : サブタイトル「ミクロネシア巡島記抄」
1303.「魅せられた旅人」レスコフ、12月2日
 : ストーリー・テラーとしてのレスコフの代表作
1304.「植物怪奇伝説新考」日野巌、有明書房、12月2日
 : 119項目にわたる植物の怪異
1305.「スナーク狩り」ルイス・キャロル、新書館、12月2日  *
 : 数学の四色理論に対し、スナークとはそれが出来ない平面グラフを指すが、四色定理によりそれが存在しないことを証明されている
1306.「はれときどきぶた」矢玉四郎、岩崎書店、12月3日  **
 : 明日の日記を書いたら、それが次々と実際に起こるという童話
1307.「もの喰う女」武田泰淳、笠間書院、12月3日
1308.「転生夢現」上・下、莫言、中公、12月3日  *
 : 毛沢東時代から現在の改革解放期にかけての半世紀にわたる愛憎の物語、「鳥獣動物戯画」仕立て
1309.「西洋中世の愛と人格」阿部謹也、朝日、12月3日  *
1310.「十八世紀イギリス思想史」上・中・下、L・ステイーブン、筑摩叢書、12月4日  *
 : 思想はその国の地理・風土・文化と切っても切り離せないという著者の思想を実践したイギリス思想史
1311.「緑雨警語」斉藤緑雨、冨山房、12月5日  *
 : 江戸的成熟を身に着けた緑雨の明るく、伸びやかで、遊び心に満ちた警語集
1312.「生命の樹」ロジャー・クック、平凡社、12月5日  *
 : 「生命の樹」の概念は世界中の多くの民族にみられるが、それは想像力・中心・豊穣・上昇・さかさま・供犠・知恵・歴史・内的必然などを意味する
1313.「マヤ神話 チラム・バラムの予言」ル・クレジオ、新潮社、12月5日  (7)
 : 「チラム・バラムの予言」はマヤ族の最後のかつ最も偉大な預言者チラム・バラムの言葉である
1314.「マオリ神話」アントニー・アルバース編著、サイマル、12月5日
 : 第一部はマオリ人の想像上のホームランドであるハワイキから持ち来った天地創造をふくむ神話、第二部がカヌー(移住)伝説
1315.「ペルー・インカの神話」ハロルド・オズボーン、青土社、12月5日
 : 南アメリカの部族を辺境および半辺境、熱帯雨林地帯、南アンデス地方、中央アンデスの四つに分類し、天地開闢、大洪水、人類のはじまり、文化的英雄、因果関係の神話の五つのカテゴリーの神話に分類し紹介
1316.「科学という考え方」田中三彦、晶文社、12月5日  *
 : トランヴェールに三年間連載したエッセイの単行本化。科学の基本と最先端を分かりやすく紹介。「自然という大きなシステムの根源的要素は、物質ではなく関係性である。」「自然は人間によってコントロールできるという考えは時代遅れである。」という独自の科学観を提示
1317.「オトラント城奇譚」ウォルポール、講談社文庫、12月5日
 : 1764年ロンドンで出版。リアリズム小説が主流であった当時、ゴシック・ロマンスのはしりとなった小説
1318.「てるりん自伝」照屋林助、みすず、12月5日  *
 : チャンプラリズム=遥かな海のかなたより波の間に間に漂いながら流れ着いたる寄り物を神の恵みと拾い上げ暮らしの中に取り入れてごたまぜにして楽しんだ「遊びの文化」の実践の人生を語る
1319.「漂海民」門田修、河出、12月5日  *
 : フィリピンとマレーシアの海上を国境を無視して自由に往来し、家族が一艘の家船に乗り、自給自足に近い生活をしている漂海民の暮らしを紹介
1320.「タイタス・グローン」マーヴィン・ピーク、創元推理文庫、12月6日  *
1321.「ゴーメン・ガースト」  *
1322.「タイタス・アローン」  *
 : 「ゴーメン・ガースト」三部作。1946年出版、その当時はあまり評判にならなかったが、1969年のラジオ放送後世に広がり神格化されていった作品
1323.「巨石」山田英春、早川、12月6日
 : サブタイトル「イギリス・アイルランドの古代を歩く」
1324.「日本石巡礼」須田郡司、日経、12月6日
 : 2003~6年の3年間日本中の石を求め訪ねる旅「日本石巡礼」で出会った石たちを紹介
1325.「世界石巡礼」須田郡司、日経、12月6日
 : 1年間で40か国を石を訪ねての旅
1326.「猫の縁談」出久根達郎、中公、12月7日  *
 : 古本屋稼業にまつわるエッセイ集。表題の「猫の縁談」が秀逸
1327.「脳の人間学」R・M・レスタック、新曜社、12月7日  *
 : 原書は1979年出版。単なる脳の解説書ではなく、脳研究の最先端の知識から現在人類が直面している様々な社会問題を解決する手がかりを求めて書かれた
1328.「電子のゆらぎが宇宙を囁く」武者利光・富田勲、朝日、12月7日  **
 : サブタイトル「1/f(=周波数) ゆらぎ講座」。音の高さ・リズムがあまりにも正確=ゆらぎがないと音楽は聴いても心地よくないということを理論的かつ実践的に証明しようとした本
1329.「大通警語」磐瀬、青裳堂、12月7日
1330.「オニチャ」ル・クレジオ、新潮社、12月7日  *
 : ナイジェリアの古き良き時代への追悼の書
1331.「言葉のレッスン」柳美里、朝日、12月7日  *
 : 「週刊朝日」1995・12~97年8月まで連載エッセイの単行本化
1332.「世界のひびわれと魂の空白を」柳美里、新潮社、12月7日  *
 : 1994~2000年の間に書かれた文章の単行本化。福田和也の著者批判への反論、「石に泳ぐ魚」裁判をめぐる著者の主張に力がこもっている
1333.「死者と生者の市」李恢成、文春、12月7日  *
1334.「敵」筒井康隆、新潮社、12月7日  *
 : 「老い」をテーマとした小説
1335.「解剖の美学」荒俣宏編著、リプロポート、12月7日  *
 : 多数の解剖図(画)を収録
1336.「オオカミに冬なし」リュートゲン、岩波、12月7日  *
 : 1867~94年にかけて起きた三つの事件を一つの話にまとめて書かれた物語
1337.「カブキの日」小林恭二、講談社、12月7日
1338.「日本の歴史」石ノ森章太郎、中公、12月8日  *
1339.「道頓堀の雨に別れて以来なり」上・下、田辺聖子、中公、12月8日  *
 : サブタイトル「川柳作家・岸本水府とその時代」
1340.「むむむの日々」原田宗典、大和書房、12月8日
1341.「水の環境戦略」中西準子、岩波新書、12月8日  (2)
1342.「日本の歴史」石ノ森章太郎、中公、12月9日  *
1343.「フリッパーズ・テレビ」稲増龍夫、筑摩、12月8日
 : 本書はメデイア・テクノロジーの革新がこれからのテレビ文化をどう変容させようとしているのかを探ろうとする試論
1344.「まだ科学が解けない疑問」ジュリア・ライ編、晶文社、12月10日
 : 「なぜ夢をみるのか」「なぜ眠るのか」からはじまる51の「まだ科学が解けない疑問」について語る
1345.「風水 中国人のトポス」三浦國雄、平凡社ライブラリー、12月10日
 : 洞窟イメージによる宇宙解釈論、風水思想にもとづく自然景観論の二つが主題
1346.「ニッポン大改造計画」テリー・伊藤、知恵の森文庫、12月10日  *
1347.「日本の素朴絵」矢島新、ピエ・ブックス、12月10日
 : 素朴絵=「リアリズムのみを目標としないおおらかな具象画」
1348.「あったとさ」出久根達郎、文春、12月10日  *
1349.「ハイテク考古学」坂田俊文、丸善ライブラリー、12月10日
 : X線、赤外線、光ファイバー、衛星観測などの先端技術を活用して考古学の謎解明に取り組む
1350.「芭蕉全句」堀信夫監修、小学館、12月11日  *
 : 袖珍版で句の活字は大きくし、簡単な解釈も載せた使い勝手の良い全句集
1351.「ヘンテコピープルUSA]ルイ・セロー、中公、12月11日
 : テレビのドキュメンタリー取材で知り合い、その後も強く印象に残り続けた10人に再会を果たし、彼らの現在をまとめて単行本化
1352.「韓国」金両基監修、新潮社、12月11日
1353.「文学王」高橋源一郎、ブロンズ新社、12月11日
 : 1986~92年エッセイの単行本化
1354.「読書のデモクラシー」永田弘、岩波、12月11日
 : 読書のデモクラシーをささえるのは、読むこと・聞くこと・考えることの三つだということを、三部構成で書かれた書
1355.「世界一周 道具パズル」小林繁樹、カッパ・サイエンス、12月11日  *
 : サブタイトル「これなんに使うのかな?」。異文化の発想を知るための100問
1356.「魂」柳美里、小学館、12月11日
 :「命」続編
1357.「生」  : 「命」第三編
1358.「声」  : 「命」第四編
1359.「魚が見た夢」柳美里、新潮社、12月11日  *
 : 1992~2000年に書かれた文章の単行本化
1360.「ハゲの哲学」金子勝昭、朝日文庫、12月12日  *
 : さまざまな角度からハゲを分析し、著者の結論として「ハゲは実在するが、ハゲによる実害は存在しない。ハゲの問題はつまるところ、その人の意識の問題である。」ということ
1361.「窓のある書店から」柳美里、角川春樹事務所、12月12日  *
 : 「本書は小説論と書評を集めたものではない。敢えていうなら、作家とその表現に関するエッセイ集である。」と著者はいう
1362.「ニホンゴキトク」久世光彦、講談社、12月12日  **
 : 「<言葉>には匂いがある。温度がある。その組み合わせで、また新しくゆかしい匂いが生まれる。日本語の良さは一つにそこにある。だから、もっと大切にしたいし、愛したい。」
1363.「日本の歴史」7~9、石ノ森章太郎、中公、12月12日
1364.「地中海」Ⅰ~Ⅴ、フェルナン・ブローデル、藤原書店、12月13日  **  (38)
 : 歴史的名著。第Ⅰ部は、ほとんど動かない、人間を取り巻く環境と人間との関係、第Ⅱ部は、緩慢なリズムを持つ<社会>の歴史(社会史)、第Ⅲ部は、伝統的な短く神経質な揺れを持つ出来事の歴史を描く。構造と長期・中期・短期の三つの時間、「地理的な時間・社会的な時間・個人の時間」の組み合わせとして歴史を提示。直線的な時間認識に立つ進歩主義とシュペングラー、トィンビーの循環する時間認識に異を唱え、歴史の重層的な複雑に絡み合った時間・関係を提唱する
1365.「人麻呂の暗号」藤村由加、新潮社、12月13日
 : 万葉最大の歌人人麻呂は、最も多くの枕詞を使用した。枕詞はなぜある特定の言葉にしかかからないのか、その謎はハングル(漢字)で分析すると、同意語として解明できると主張
1366.「盆栽の宇宙誌」ロルフ・スタン、せりか書房、12月13日  *
1367.「夜の果てへの旅」セリーヌ、国書刊行会、12月13日  **
 : セリーヌの代表作。インタビューで「誰もこの小説の真意を分かってくれなかった。あれは、愛の物語なんだ。この地獄で、まだ性懲りもなく愛を説くんだ。」と語っている
1368.「グローバリゼーションの中の江戸」田中優子、岩波ジュニア新書、12月13日  **
 : 「グローバルに考え、グローバルに生きるということは「自前で生きていく」ということなのです。」という。ジュニア向けではあるが、内容のレベルを落とすことなく、教科書で教える「鎖国江戸」のイメージを覆す好著
1369.「ハワーズ・エンド」E・M・フォスター、みすず、12月14日  **
1370.「ファロスとファリン」E・M・フォスター、みすず、12月14日
 : ファロス(=アレクサンドリアを支配した巨大で英雄的な灯台)の名の下に古代の事件を、ファリンの名の下に近代の事件や個人的な印象を記す
1371.「「魔法としての言葉」金関寿夫、思潮社、12月14日  アメリカ・インディアンの口承詩は、知的詩集ではなく、呪い・祈祷などの生活に密着した実用的・機能的なものだった
1372.「風水 気の景観地理学」渡邊欣雄、人文書院、12月14日  *
 : 風水思想を一言でいえば「目に見えざる気の動きを、可視的な地上の現象(風や水など)によって判断し、人間生活に気がもたらす吉福を明らかにする」
1373.「崑崙山への昇仙」曽布川寛、中公新書、12月14日
 : 美術史の側からの図象学的方法による崑崙山の報告
1374.「風土記」武田祐吉編、岩波文庫、11月14日  *
1375.「秘宝のある寺(奈良)」小山和、保育社、12月14日
1376.「ミラー・ストーン」マイケル・パリン、アラン・リー、岩波、12月14日
 : 人間をそっくりそのまま、外側だけでなく内側も映し出す鏡=ミラー・ストーンをめぐる童話
1377.「断層図鑑」戸田ツトム、北宋社、12月14日  *
 : サブタイトル「錯誤のグラフィック・デザイン・断章」
1378.「幸田文の箪笥の引き出し」青木玉、新潮社、12月15日  **
 : 著者が祖父幸田露伴、母幸田文の思い出を着物の話とからめて語る
1379.「小説の精神」ミラン・クンデラ、法大、12月15日  **  (5)
 : 小説でなければできないことは何か?「夢遊病者たち」自作「存在の耐えられない軽さ」「冗談」を主に例として取り上げ、小説技法について語る
1380.「喜びの秘密」アリス・ウオーカー、集英社、12月15日  *
 : 本書が描かれた当時世界で9千万~1億人の女性が性器切除されている、その報告
1381.「メンフィスに帰る」ピーター・テイラー、早川書房、12月15日  **
 : 1987年ピュリツア賞・リッツ=パリ・ヘミングウェィ賞・イタリア国際文学賞受賞作品
1382.「狂人日記」色川武大、講談社文芸文庫、12月15日  **
1383.「八重山生活誌」宮城文、沖縄タイムス、12月16日  ***
 : 明治・大正・昭和にわたって八重山群島の生活文化の全般を住居・衣生活・食生活・人の一生・年中行事の五つの柱を軸に網羅。今は失われてしまった生活文化も収録されており、これだけ体系的に豊富に情報をまとめたののは驚異
1384.「幻想図書館」寺山修二、PHP,12月16日  *
 : 数々の奇想・幻想に満ちた書物を紹介し幻想の翼をはばたかせる
1385.「変体少女文字の研究」山根一眞、講談社、12月16日
 : 昭和50年代から少女に特有の形をした文字が普及してきた。その背景を定性的かつ定量的(66校3021人)的に分析し報告
1386.「眼中の人」小島政二郎、岩波文庫、12月16日  *
 : 菊池寛・芥川龍之介との交流を始めとした自伝的長編小説
1387.「蛙と算術」河野多恵子、新潮社、12月16日
 : 5冊目のエッセイ集
1388.「できごころ」村松友視、実業之日本、12月16日  *
 : 1988~1993年に書かれた、いずれも壮年の主人公のできごころを描いた11篇の短編小説を収録
1389.「日本古典文学大系 42,43 狂言集」上・下、小山弘志校注、岩波、12月17日  *
 : 「末広がり」「三本の柱」「福の神」「毘沙門」「餅酒」「佐渡狐」「松脂」「煎物」「鍋八揆」「福部の神」「入間川」「今参」「粟田口」「蚊相撲」「靱猿」「鬼瓦」「萩大名」「文蔵」「富士松」「茫々頭」「禰宜山伏」「くさびら」「蝸牛」「比丘貞」「枕物狂」「庵の梅」「髭櫓」「法師が母」「通円」「宗論」「腹立てず」「薩摩守1」「呂連」「地蔵舞」「左近三郎」「布施無経」「泣尼」「重喜」「お茶の水」「花折」「金津」「六地蔵」「悪太郎」「伯養」「どぶかっちり」「月見座頭」「瓜盗人」「子盗人」「茶壺」「磁石」「三人片輪」「文山立」「八句連歌」「横座」「いろは」「合柿」「仁王」「業平餅」「花子」「釣狐」「鈍太郎」「箕被」「石神」「右近左近」「鎌腹」「千切木」「塗師」「因幡堂」「伊文字」「二九十八」「釣針」「伯母が酒」「朝比奈」「八尾」「節分」「清水」「神鳴」「蟹山伏」「柿山伏」「二人大名」「武悪」「止動方角」「栗焼」「舟船」「縄綯」「成上り」「あかがり」「狐塚」「千鳥」「棒縛」「附子」「しびり」「柑子」「察化」「真奪」「素袍落」「鐘の音」「寝音曲」「文荷」「木六駄」「鱸庖丁」「居杭」「米市」「夷毘沙門」「鶏婿」「二人袴」「船渡婿」「八幡の前」「水掛婿」
1390.「新篇日本古典文学全集60 狂言集」北川忠彦校注、小学館、12月17日  * : 「この日」
1391.「日本の歴史」6、石ノ森章太郎、中公、12月18日
1392.「日本古典文学全集 狂言集」北川忠彦校注、小学館、12月18日  *  (2)
1393.「沖縄いろいろ事典」ナイチャーズ編、新潮社、12月18日  *
 : 「アイウエオ」順に沖縄の色々なものを紹介
1394.「大蔵虎光本狂言集」1~3、橋本朝生編、古典文庫、12月19日
 : 「蛭子大黒」「土筆」「不聞座頭」
1395.「宇宙船ビーグル号の冒険」A・E・ヴァン・ボークト、創元SF文庫、12月20日  ***
 : SFの代表的古典。雑誌に発表された四つの中編をつなげて長編仕立てにしたもの
1396.「遠近法の精神史」佐藤忠良・中村雄二郎ほか、平凡社、12月20日  *
 : サブタイトル「人間の眼は空間をどうとらえてきたか」。6人がそれぞれの切り口で分析
1397.「遠近法で見る浮世絵」横地清、三省堂、12月20日  *
 : 特に司馬江漢に力を入れて分析。数学的遠近法を、1)左右一杯、2)上下一杯、3)空間一杯、4)手前たっぷり、5)手前びっくり、6)曲り街道先読みなど、大胆・異色の構図を可能にし、鑑賞者に面白みを与える
1398.「運命論者ジャックとその主人」ドニ・ディドロ、白水社、12月20日  **
 : 著者の最晩年の傑作。ミラン・クンデラに「トリストラム・シャンディ」とならぶ二大小説といわせた作品
1399.「大蔵虎光本狂言集」4、橋本朝生編、古典文庫、12月21日
 : 「老武者」「茸山伏」
1400.「高床式建物の源流」若林弘子、弘文堂、12月21日  *
 : 日本建築史にみられる高床式建物は水稲農耕という生産様式にもとずいて考案された建築様式であることを立証することを目的として書かれた本
1401.「江戸の遠近法」岸文和、勁草書房、12月21日
 : 浮絵は伝統的な浮世絵の世界に西洋の遠近法を持ち込み、結果的に明治以降の絵画の近代化に影響を与え、近代につながる<江戸の眼差し>を生み出した
1402.「グロテスクの系譜」アンドレ・シャステル、文彩社、12月21日  *
 : サブタイトル「装飾空間論」。多数の図版を取り入れ、目で見てわかる構成ななっている
1403.「夢遊の人々」ヘルマン・ブロッホ、中央公論、12月21日  ***
 : 「現代においては長編小説だけが人間の体験的可能性をその全体性において描き出しうる唯一の芸術ジャンルだとみなす「全体小説論者」」のブロッホの傑作。第一部「1888年バゼノウまたはロマン主義」、第二部「1903年エッシュまたは無政府主義」、第三部「1918年ユグノオまたは即物主義」
1404.「アコークロー」宮里千里、ボーダーインク、12月21日
 : サブタイトル「我ら偉大なるアジアの小さな民」。「アコー・クロー」=夜と昼の間の一瞬のしじまをさす沖縄言葉。個人誌「アコー・クロー」を単行本化
1405.「森林美学」新島義直・村山醸造、北大、12月22日  *
 : 本書は1918年刊行、1980年復刻。林学は19世紀ドイツにおいて発祥。森林美学はドイツ学者ザリシュが林学の一部門として確立、本書ではその基本は踏襲しつつ、日本に適用するに当たり、人工美だけでなく、自然美も追求するなどの独自の考えも盛り込んでいる
1406.「映画に目が眩んで」蓮實重彦、中央公論、12月22日  *
 : 1983~91年のコラム「映画に目が眩んで」、「世紀末ビデオテーク通信」に連載したものを中心に単行本化
1407.「朝鮮の風水」上・下復刻版韓国併合研究資料、朝鮮総督府、龍渓書舎、12月22日
 : 本書は朝鮮の民間信仰調査、昭和6年出版の復刻版
1408.「望遠鏡をつくる人びと」森本雅樹、岩波、12月22日  *
 : 望遠鏡の歴史から始まり、最新のX線望遠鏡の世界までを紹介
1409.「澄みわたる大地」カルロス・フェンテス、現代企画室、12月22日  *
 : 1960年出版。「都市小説」と「手法的実験」の組み合わせで、ラテン・アメリカ文学の「現代小説」の流れを決定づけ、現在までラテン・アメリカ文学の金字塔とみなされている作品
1410.「当世・商売往来」別所実、岩波新書、12月22日  *
 : 現代の世の中で見られる変わった商売を取り上げ、その背景・成り立ちをユーモアと皮肉たっぷりに描く
1411.「門坂流作品集 風力の学派」門坂流、ぎょうせい、12月23日  **
 : 門坂流の作品集に池澤夏樹・荒俣宏・伊藤俊治が解説を書いたもの
1412.「コシャマイン記」鶴田知也、改造社、12月23日  *
 : 「コシャマイン記」をはじめとする7篇の短編小説を収録
1413.「宇宙経由野辺山の旅」森本雅樹、丸善、12月23日
 : 電波望遠鏡の草創期の話から、電波天文学の将来に至るまでのエッセイ
1414.「ヴェネツィア暮し」矢島翠、朝日、12月23日
 : 1983年11月から8か月のヴェネツィア滞在の経験に基づくヴェネツィア紹介
1415.「宇宙の旅200億年」森本雅樹、岩波、12月23日
 : 宇宙の誕生(火の玉宇宙)からの200億年を紹介
1416.「狂言集成」野々村戒三・安藤常次郎編、能楽書林、12月23日  *  (14)
 : 狂言277曲、能閒290曲を収録: 「悪坊」「麻生」「相相烏帽子」「犬山伏」「岩橋」「家童子」「今神明」「鶯」「内沙汰」「氏結」「夷大黒」「鬼継子」「御冷」「音曲婿」「御田」「柑子俵」「膏薬練」「鏡男」「隠狸」「角水婿」「歌仙」「金岡」「川上」「川原太郎」「雁大名」「雁礫」「雁雁金」「牛馬」「不聞座頭」「清水座頭」「吟三郎」「禁野」「口真似」「杭か人か」「首引」「鞍馬参」「鞍馬婿」「鶏流」「腰祈」「木實争」「塞翁」「犀の目」「財寶」「酒講式」「茶子味梅」「猿座頭」「猿婿」「三人長者」「三人夫」「三本柱」「秀句傘」「二千石」「舎弟」「双六」「政頼」「蝉」「宗八」「太鼓婿」「太子の手鉾」「唐相撲」「大般若」「寶の笠」「寶の槌」「竹の子」「蛸」「太刀奪」「樽婿」「忠喜」「児流鏑馬」「茶籬座頭」「筑紫奥」「筒竹筒」「苞山伏」「天狗の婚」「野老」「鈍根草」「東西離」「飛越」「吃り」「長光」「長刀会釈」「茄子」「名取川」「腥物」「若市」「蛻」「博奕十王」「蛤」「張蛸」「引敷婿」「人馬」「樋の酒」「絹弼」「佛師」「舟ふな」「北條種」「骨皮」「目近米骨」「雪打」「弓矢」「鎧腹巻」「老武者」「楽阿弥」「連歌十徳」「連歌盗人」「連雀」「六人僧」「若菜」「若和布」「餌刺十王」「岡太夫」「折紙婿」「竹生島詣」「法師母」「岩太郎」「浦島」「右流左止」「鬼丸」「鬼が宿」「祖父俵」「孝心竹」「鹿島詣」「清水毘沙門」「蜘の糸」「見物左衛門」「出家狩人」「善意」「二人座頭」「山立婿」「呼聲」「饅頭」「湊川詣」「宮廻り」「小原梅」「阿漕」「蘆刈」「安宅」「安達原」「敦盛」「淡路」「葵上」「海人」「綾鼓」「嵐山」「藍染川」「碇潜」「一角仙人」「岩船」「鵜飼」「浮船」「雨月」「右近」「善知鳥」「采女」「鵜祭」「浦島」「雲林院」「江口」「江の島」「箙」「老松」「落ち葉」「大江山」「大社」「項羽」「高野物狂」「春日龍神」「合甫」「葛城」「鐵輪」「兼平」「加茂」「邯鄲」「咸陽宮」「菊慈童」「木曽」「砧」「祇王」「金札」「國栖」「九世戸」「熊坂」「鞍馬天狗」「車僧」「呉服」「皇帝」「花月」「現在七面」「現在鵺」「源氏供養」「弦上」「源太夫」「小督」「小鍛冶」「小袖曾我」「胡蝶」「戀重荷」「西行櫻」「草子洗小町」「逆鉾」「鷺」「櫻川」「實盛」「佐保山」「志賀」「七騎落」「自然居士」「猩々」「正尊」「石橋」「舎利」「春栄」「俊寛」「俊成忠度」「鍾馗」「白髭」「代主」「須磨源氏」「墨染櫻」「住吉詣」「誓願寺」「西王母」「昭君」「善界」「関原與市」「殺生石」「攝待」「蝉丸」「禅師曾我」「泰山府君」「大佛供養」「大瓶猩々」「當麻」「第六天」「大会」「道成寺」「唐船」「道明寺」「高砂」「竹雪」「忠信」「忠度」「龍田」「玉葛」「玉井」「田村」「檀風」「竹生島」「張良」「土蜘蛛」「土車」「経政」「鶴亀」「定家」「調伏曾我」「天鼓」「藤栄」「東岸居士」「東方朔」「東北」「木賊」「融」「知章」「朝長」「巴」「鳥追船」「仲光」「浪速」「錦木」「錦戸」「鵺」「寝覚」「野宮」「野守」「放下僧」「放生川」「白楽天」「半蔀」「橋弁慶」「芭蕉」「初雪」「班女」「飛雲」「桧垣」「雲雀山」「氷室」「百萬」「富士太鼓」「藤」「藤戸」「二人静」「船橋」「舟弁慶」「佛原」「巻絹」「枕士童」「松風」「松尾」「松蟲」「松山天狗」「道盛」「三山」「水無瀬」「水無月祓」「御裳裾」「三輪」「三井寺」「六浦」「梅枝」「室君」「和布刈」「望月」「求塚」「紅葉狩」「盛久」「楊貴妃」「養老」「八嶋」「山姥」「雪」「遊行柳」「夕顔」「弓八幡」「夜討曾我」「吉野静」「吉野天人」「頼政」「雷電」「羅生門」「龍虎」「輪蔵」「籠太鼓」「井筒」「烏帽子折」「繪馬」「右衛門櫻」「小鹽」「姥捨」「小原御幸」「女郎花」「大蛇」「愛壽」「明石上」「悪源太」「朝顔」「飛鳥寺」「愛宕空也」「熱田」「異国退治」「一來法師」「和泉監将」「稲荷」「岩根山」「空蝉」「鵜羽」「浦壁」「植田」「隠岐物狂」「高祖星」「降魔」「高野敦盛」「影山」「笠卒塔婆」「香椎」「葛城天狗」「鐘巻」「兼元」「河水」「河原太郎」「神有月」「神渡し」「苅萱」「寒山」「巖洞」「帰雁」「貴船」「清重」「清時田村」「空也」「九穴」「國玉」「鞍馬」「会盟」「廓巨」「菅丞相」「堯舜」「現在熊坂」「現在巴」「元服曾我」「碁空蝉」「粉川寺」「木幡」「小林」「伍筆」「恋の松原」「護法」「子守勝手」「維盛」「金剛山」「犀」「西寂」「材施太子」「齋藤五」「櫻間」「狭衣」「貞任」「實方」「佐保川」「志賀忠度」「信貴山」「敷地物狂」「樒天狗」「樒塚」「獅子」「信夫」「正儀世守」「上宮太子」「松鶴西王母」「織女」「書寫山」「鈴落」「薄」「鈴木」「諏訪龍神」「住吉橋姫」「清舜」「千人斬」「孫思邈」「太子」「大世太子」「大般若」「大木」「当願暮頭」「高安」「瀧見小町」「涿鹿」「武文」「橘」「立尾」「七夕」「玉江の橋」「玉嶋川」「玉津島龍神」「玉椿」「陀羅尼落葉」「湛海」「丹後物狂」「千引」「長閑寺」「長兵衛尉」「月乙女」「鼓瀧」「局六代」「露」「鶴若」「泣不動」「鳶窟」「縄鈴木」「鶏龍田」「濡衣」「野口判官」「範頼」「箱崎」「橋立龍神」「花軍」「花櫓」「濱川」「濱鏟」「馬融」「治親」「巴薗橘」「反魂香」「常陸帯」「羊」「比良」「廣基」「伏木曾我」「伏見」「不断櫻」「星」「正成」「松浦梅」「眞名井原」「舞車」「鞠」「身売」「三笠山」「三笠龍神」「身延七面」「宮城野」「三尾」「婿入自然居士」「馬乞佐々木」「村山」「守屋」「文覚」「野干」「安犬」「柳」「幸家」「横山」「義家信夫」「義興」「義経」「吉野」「吉野優婆塞」「吉水」「龍頭太夫」「籠祇王」「和田酒盛」「韋駄天」「岡崎」「苧玉巻」
1417.「イワナの夏」湯川豊、ちくま文庫、12月23日  *
 : 渓流釣りについてのエッセイ集。「イワナの最も堅固な隠れ家は「昔」の中である。私に釣られるはずの幾千のイワナは、「昔」の中へ逃げ込んでしまうのだ」という
1418.「パラダイス・イーター」ジョン・R・ソール、徳間文庫、12月24日  *
 : バンコクの街を描ききるミステリー
1419.「ノヴァ」サミュエル・R・ディレイニー、可や川文庫、12月24日  *
 : ディレイニーの最高傑作SF
1420.「三つの願い」デボラ・エリス、さえら書房、12月24日  **
 : 2002年にカナダ人の著者がパレスチナとイスラエルを訪れ、子どもたちにインタビューした内容をまとめたもの。子供たちのはなしの中から問題に本質と複雑さがが浮かび上がる
1421.「流れのほとり」神沢利子、福音館、12月24日  *
 : 著者が年少期を過ごした樺太の炭鉱町での経験を生かした小説
1422.「鳥屋の梯子と人生はそも短くて糞まみれ」アラン・ダンデス、平凡社、12月24日  *
 : サブタイトル「ドイツ民衆文化再考」。フォークロアの分析から、ドイツの国民性特有の肛門人格的諸特徴を指摘
1423.「クール革命」ローゼンバーグ、早川書房、12月25日  *  (10)
 : サブタイトル「貧困・教育・独裁を解決する「ソーシャル・キュア」」。人々に行動を起こさせるには、論理的説得ではだめ、所属人間集団でのプレッシャー・人間関係をうまく活用することが決め手だという
1424.「唐宋伝奇集」上・下、岩波文庫、12月26日  *
 : 「邯鄲夢の枕」「杜子春」など52篇の短編を収める
1425.「あなた自身の社会」アンネ・リンドスイフト、ヤン・ウエステル、新評論、12月26日  **
 : スウエーデンの中学生の社会科の教科書を翻訳・紹介。7~9年生用に「私たちの社会」「あなた自身の社会」「権力と経済」の一冊
1426.「空中モグラあらわれる」今泉吉春、岩波ジュニア新書、12月27日  **
 : モグラ・ムササビなどの生態のはなし
1427.「文化の否定性」青木保、中央公論、11月27日  *  (8)
 : 「文化多元主義」「反文化多元主義」「反反文化多元主義」と「国民国家」「民族国家」と「ナショナリズム」
1428.「学校・医療・交通の神話」山本哲士、新評論、12月27日  *  (16)
1429.「教育の分水嶺」山本哲士、せんだん書房、11月27日
 : 一部「<学校化>をめぐって」二部「マルクス主義教育学の地平」、三部「教育の象徴権力」

 2012年合計
 1429タイトル、1614冊、メモ4155ページ