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第三回「“未来バンク”の可能性」

・ 第三回は、「“未来バンク”の可能性ー環境問題を経済活動から考える」だった。
・ 内容は、大別すると、1)温暖化を中心とする環境問題の現情、2)エネルギー問題、3)それらの問題への対応策、4)「“未来バンク”」「apバンク」の活動だった。
・ まず、1)温暖化を中心とする環境問題の現状については、アメリカが温暖化による環境問題は起こっていないと主張していることを踏まえ、事実とデータで温暖化による環境破壊の実態を説明する。
 具体例として、アラスカの氷河(地球上の大半の真水量を占める)の後退、カナダの森林大火災(温度上昇による害虫の生存による枯れ木化が原因)、チリのパタゴニアの氷河後退などをあげる。
 温暖化にともなう海水面の上昇は、1900年~2000年で10cm、2000年~2100年で90cmと予測されており、これまでの延長線上ではなく,急加速していく。
 また、日本の場合は、温暖化ガスの93%がである。主体別排出量は、最大が産業で37%、運輸22%、民生(業務)16%、家庭13%などである。
・ 第三回「“未来バンク”の可能性」 講師:未来バンク事業組合理事長 田中優 ,2006年10月28日
 

・ 2)エネルギー問題:
 現在の主要エネルギー石油の「ピークオイル問題」を取り上げる。ピークオイル問題とは、一つの油田の生産量がピークを迎えると、それ以降急激に生産量が低下し、最終的には技術の壁もあり、埋蔵量の約半分しか生産できない(THE HUBBERT CURVE)ということ。
 ここに着目し、石油の発見量(埋蔵量)、消費量、生産量のそれぞれの合計をグラフに描くと、伸び続ける消費と生産のカーブが交差するところ(それ以降は石油が不足する)がでてくる。
 問題はそれが何時起こるか。学者の意見の大半は2010年ごろ、石油メジャーは30~40年後といっている。
 消費は中国の消費量の急拡大(2002年に日本を追い抜いた)などもあり拡大、埋蔵量は今後増える見通しが少ないことから、石油・天然ガスの資源争奪が戦争を作り出す構図が鮮明になっている。
・ 3)環境・エネルギー問題への対応; 
 温暖化ガス対策では、総花的アプローチをやめ、影響度の大きいものに絞込み、それに焦点を当てて対策を打っていくことが効果的。
 具体的には、フロンガスは温暖化効果がCO2の8000倍、代替フロンでも3400倍であり、これの回収(特に自動車のエアコン)を行うことが費用効率もよく有効。
 また、日本の温暖化ガスの93%を占めるCO2は、167事業所で全排出量の50%、上位49事業所は石炭発電所で25%を排出している。この49事業所で、もっとも効率のいい石炭発電所の方式を採用すると排出量は半分になり、12.5%の削減が実現できる。
 電力: ピーク需要が問題。その9割が産業需要で、夏の平日午後2時~3時、31℃以上におきている。現在、産業用電気料金は使用量が増えるほど料金が下がる設定となっているのが問題。これを逆にする、あるいは、ピーク時使用料金を高く設定することにより、解決できる。
 環境・エネルギー問題の基本は、自然エネルギーへの転換。
・ 4)「未来バンク」「apバンク」の活動: 
 運動論的にいえば、従来のタテ型(政治的アプローチなど)とヨコ型(市民同士の連携など)ではなく、ナナメ型、すなわち、全く別の仕組みを考え、現実に新しいやり方をやってみせることを狙っている。
 未来バンクは、1994年に、7人400万円で始めたが、今では1億7千万円の出資額を持ち、累計7億人を貸し付けた。融資対象は、環境・福祉・市民事業で、金利は3%の固定金利。貸し倒れゼロ。単利なので、成長を前提としなくても、返済できる。
 非営利の銀行を市民事業のために設立する意図は、地域に最初の一撃を与えること。地域にお金を持っていくことにより、地域で需要が発生する→地域で生産→雇用・材料調達→地域にお金が落ちる→そこに向けた供給の発生。経済が回りだすキッカケをつくる。
* 独断と偏見
 ・ 「未来バンク」の目的・方法論ともに的確であると思う。今後の方向性についても、住宅向け融資などは、一軒当りの融資額も大きいため、信金などを「未来バンク」的やり方に引っ張り込むことを目指し、「未来バンク」あくまでも地域密着で、こじんまりとこまごまとした事業を支えるという路線も堅実である。
 「未来バンク」の事業は、現在のやり方を継続すれば、上手くいくと思われるが,上手くいかなるとすれば、次の理由によるのだろう。
 1)一件当りの融資額が大きい案件の比重が高くなったとき、2)融資金利が低いということは、預金金利も低いということであり(いいとこ取りはできない)、自覚した資金提供者が増えない。
 「未来バンク」の事業は、事業そのもののインパクトに加え、そのビジネスの理念・ビジネスモデルで社会変革の起爆剤あるいは触媒の役割を果たすことがその最大の存在意義なのだ。
 ・ 環境・エネルギー問題: 今回のレクチャーで良かったのは二点。一点は、問題認識が具体的・定量的にかつそれが的確に行われたこと。二点目は、対策の提案が効果の大きいものに的を絞り、かつ具体的であり説得力を持っていたこと。(アプローチは、QC七つ道具のパレート図の利用だが、一般的に役人・学者の説く対策は、総花的・焦点ボケが多いことを考えると、特筆もの。)
* 独り言
 ・ レクチャー中、、上記のように論理的に筋は通っているし具体的だしと思いつつ、不思議な違和感が残った。
 ・ 何故かを考えてみたところ、思いあたったのは、講師の言っていること(言葉)と表情などのボディランゲッジがアンマッチという印象を受けたための違和感だった。
 ・ 「世の中にはいろいろな人がいるもんだ」と改めて感じた一日であった。

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