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2006年12月16日

第十一回「女性たちの住まいづくり・暮らしづくりーースリランカの“スラム”改善」

・ 第十一回は、「女性たちの住まいづくり・暮らしづくりーースリランカの“スラム”改善」だった。
・ 「女性銀行について」: 1980年代半ばにスリランカ政府は、「住宅百万戸計画」を掲げ、その本での参加型スラム住環境改善プログラム「支援的政策」を推進した。
 その実施機関である国民住宅開発公社(NHDA)は、対象地域の中から優秀な住民リーダーを選び、彼らに住民組織化の仕事を任せた。
 組織活動の核心は、女性の組合づくりと融資プログラムの導入だった。活動を一年余り続けた後、彼らは自らの組織をつくり「コミュニティ支援者団」と名乗った。
 同時に1989年に、スラムの女性の組織化、貯蓄グループ形成、小口融資活動を行う女性大衆組織(通称「女性銀行」)を成立させた。
・ 講師: 日本福祉大学講師 穂坂光彦         2006年12月12日

・ その後、1998年に、全国展開のために現行の名称「スリランカ女性開発サービス協同組合」に変更された。
・ 組織の構成:
 本部は、スリランカ市内東部のスラム地区に設置されている。本部の下に「支店」が置かれ、多くの組織的決定はここでなされる。平均約250名の会員が一支店を形成する。会員活動が成熟し、拡大すると、通いやすい適切な規模で支店が作られていくので、組織は次々に分節化、意思決定は分権化していくことになる。銀行の運営ルールすら、支店ごとにかなりの程度まで改定できる。
 末端組織は「グループ」である。多くの場合クチコミで関心を持った近隣の女性たち5^~15名(一世帯から一名)が自発的に集まってつくる相互扶助組織である。近傍のグループや支店のアドバイスを受けながら、女性銀行規約に従った活動を開始する。グループは、毎週一回は必ず集会を持ち、5ルピーずつ貯蓄し、融資を受ける。原則として、女性銀行融資は、支店からグループに対して与えられるものである。無担保であるが、グループ構成員が連帯して責任を負う。会員への融資額は、最小250ルピーから、現在では最大30万ルピーまでである。返済率はほぼ100%である。経験を積んだと認定されたグループ約10~40が連携して「支店」を形成するわけである。
・ 災害救援・平和構築
 2004年末の大津波で、女性銀行の会員・準会員約3万家族のうち189家族が被災した。津波被災住民の生活再建を促進するため、まず会員向けに特別低利(月1%、通常は月4%)融資プログラムを定めると同時に、比較的日の浅い準会員が早期に大口融資を受けられるように規約を緩和した。
 これら特別ルールの下で、女性銀行グループは全国の被災地に急速に拡大した。その後、支援金の海外ドナーが、被災者に貸与ではなく贈与することを求めた。これに対して女性銀行グループはは交渉の末、貸与ルールは保つけれども、誰もが10万ルピーまでを直ちに借りられるものとし、かつ無利子とする規約改定を行った。