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2013年12月20日

2013年映画鑑賞

1.「ポピット」1月8日                        *
2.「リベンジ」1月15日
3.「東京家族」1月24日                      *
4.「桃さんの幸せ」1月29日                   **
 : 監督の家族に長年仕えてきた「桃さん」の晩年のドキュメンタリー。買い物・料理などの家事(仕事)に対するこだわり、可愛らしい人柄、家族の一員として「桃さん」を大事にする家族の思いやり、心温まる一作品
5.「駆ける少年」2月5日                     **
 : 全編を通じ駆けまわる少年の印象が鮮やかに残る映画
6.「ムーンライズ・キングダム」2月12日            *
7.「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」2月19日    **
 : インドならびにインド人、イギリス人の個性を的確にとらえた脚本、手堅い演技陣、全く違和感なく楽しめる一級の作品
8.「辺野古・高江・普天間」2月20日               *
9.「カラカラ」2月20日
10.「もうひとりのシェイクスピア」2月26日          **
 : シェイスクピアの手書きの原稿がのこっいないという事実に着目し、シェイクスピアは実際の作品の作者ではなく、真の作者は別の人物だったという大胆な仮説をストーリーとする映画。なかなかの説得力で大いに楽しめた

11.「ゼロ・ダーク・サーティ」2月28日             **
 : オサマビン・ラデインの発見に至る捜索過程とと殺害作戦を描いた映画。こんな事実を撮っていいのという気もする緊迫感のあった映画
12.「アルバート氏の生涯」3月5日
13.「世界に一つのプレイ・ブック」3月5日           *
14.「フライト」3月7日                       *
 : 「映画」で勝って「興業」で負けた映画?墜落必死の状況を奇跡的な状況判断能力と操縦能力で乗り切り、ヒーローとなったパイロットが、その後の事故審判で薬物・アルコール依存が判明し、一転犯罪者として服役するというストーリー。審判の過程では、薬物・アルコール依存を否定すれば「無罪」を勝ち取れるのにそれをしなかった主人公。不思議な「人間という生きもの」をよく描くことには成功したが、観客は娯楽映画にそんなものは期待していないということを、あらためて証明した作品
15.「王になった男」3月7日                   ***
 : 王の影武者になった典型的庶民の男が、王の病気により、国政を執行する場面にたたされ、指示された操り人形の役割を乗り越えて、実際の王よりも「真の王らしい」決断をするというストーリー。王と影武者の最初の姿は似ていても立ち振る舞いのあまりもの違いからくる周囲の違和感、それが影武者が真の王を超える立史ふるまいを示すに至る変化を脚本が丁寧に描いているし、主役もこれを熱演。笑いあり、涙あり、韓国の昨年興行成績首位作品であることがすなおに納得できる
16.「ジャンゴ」3月12日                      *
 : 二人の賞金稼ぎを主人公とする西部劇。一人を黒人とする趣向が新しい。観終わった後の「すっきり」感がタランテイーノ作品の証
17.「愛・アムール」3月22日
18.「菖蒲」3月26日
 ; 「名作」との評判につられて見に行ったが、落胆
19.「オズ」4月2日                          *
20.「ホーリー・モーターズ」4月8日               **
 : 本の世界では色々と趣向を変えた短編を集めて全体としての小説世界をふくらみを持たせて作り上げるという手法があるが、これはその映画版。
21.「塀の中のジュリアス・シーザー」4月8日         **
 : 実話にもとづく映画。服役中の囚人が刑務所の慣例行事である演劇上演に応募・配役決定・稽古・本番上演にいたる経過を描く。素人とは思えないほどの本番の出来栄えが印象的 
22.「天使の分け前」4月16日                   *
23.「羅生門」4月23日                       **
 : ご存じ世界の黒沢の代表作。時代は変わっても「全く古くない」のが名作の名作たる由縁
24.「リンカーン」4月23日                     **
 : 今年の「アカデミー賞」作品賞の呼び声が高かった作品。良くできた映画で、作品賞を獲得しててもおかしくない。当時の議会で「奴隷解放」法案を通過させるために、リンカーンが行った妥協が、「奴隷解放」を可能としたと同時に、現代にいたるまで「黒人差別」を継続させた原因出もあった、という史実をうまく伝えている
25.「ライジング・サン」4月25日                  *
26.「白夜」4月30日                         *
27.「セデック・パレ」5月7日                    ***
 : 日本植民地支配下の台湾で、民俗の誇りをかけて全滅覚悟で反乱を起こした少数民族の戦いを描く5時間の大作。大義と武士道精神は少数民族の側にあったという史実を感動的に伝える
28.「図書館戦争」5月9日                      *
 : 小説の映画化。原作を超える出来栄え、うまくヴィジュアル化している。岡田准一、榮倉奈々が熱演
29.「孤独な天使たち」5月13日
30.「バスタブ島の少女」5月14日                 *
31.「藁の楯」5月14日                        **
 : 脚本がしっかりしているので、エンターテインメントとして成功している。孫を誘拐し殺した犯人の殺害に祖父が1億円の懸賞金を掛けたため、地方で逮捕された犯人を東京に護送する途中、懸賞金目当てで犯人殺害のための襲撃が相次ぎ、SPが命を落とした仲間を乗り越えて任務を果たす、というストーリー。逮捕・裁判中(死刑判決)も一切反省しないという犯人像が一貫し、「こんな人間を、命を懸けて護る必要があるのか」という疑問、「懸賞金は警察官にも支払う」という誘惑、を乗り越えて任務を遂行するSPの正義を効果的に印象付けている
32.「クロユリ団地」5月21日
33.「リアル」6月4日
34.「グランド・マスター」6月11日                  *
 : 時代背景、拳法会の頂点をめざす誇りと意地、そして高みを極めた同士のふれあいをうまく描けた佳作
35.「八月の鯨」6月21日                      **
 : 復刻版。古き良き時代を伝える名作、決して古いという印象はない
36.「さよなら渓谷」6月25日                     *
37.「海と大陸」7月2日                        *
 : アフリカからの違法移民が大量におしよせる、イタリアノ島を舞台に、不法移民の逮捕・本国送還に躍起となる警備当局と海で溺れているものを救うのは海で生きる者の掟であるとする漁師の生き様を描く
38.「嘆きのピエタ」7月2日                      *
39.「欲望のヴァージニア」7月9日                 *
 : 禁酒法時代のヴァージニアを舞台に、同業者とも群れず、賄賂を要求する悪徳取締官にも靡かず、密造酒業者として生き延びた家族を描く。時代そのものと、独立心に富んだ家族像がよく伝わってくる
40・「ハーブ&ドロシー」7月16日                  **
 : 普通の庶民ハーブとドロシーの夫婦がコンテンポラリーアートの一大コレクションを収集し、最期にそれを全米の美術館に寄贈するという大富豪もなしえぬ快挙を成し遂げた経過を描いたドキュメンタリー作品。ただただ二人の情熱と行動力に圧倒され、感動させられた
41.「三人のアンヌ」7月16日
42.「コンティキ」7月19日                      **
 : 「コンテイキ号漂流記」の映画化。「本の映画化がどのレベルでできているか」に興味があって観たが、期待以上の出来栄え
43.「華麗なるギャツピイ」7月19日                **
 : 「ギャツピイ」の華麗さと危うさをうまく描くことに成功した佳作
44.「風立ぬ」7月25日                        *
 : ゼロ戦の設計者をモデルとしたジブリの作品。ストーリーの二本柱が、1)ゼロ戦を生み出した「モノ作り」の苦労話、2)ヒロインとの純愛物語。世界的名機「ゼロ戦」の凄さを具体的に描けていないため、インパクトの小さい、締まりのない映画になってしまっている
45.「フィギアなあなた」7月30日                  **
 : フィギア・オタク的世界をうまく映像化することに成功している
46.「パシフィック・リム」8月20日                  **
 : 特撮の出来栄えが素晴らしいエンターテインメント映画
47.「ホワイハハウス・ダウン」8月27日              **
 : ホワイトハウスと大統領の危機を休暇中のシークレット・サービス隊員とそのホワイトハウス・マニアの娘が救うという良くできた愛国娯楽映画
48.「三姉妹」9月3日                         *
49.「大統領の料理人」9月10日                  **
 : 田舎風の伝統家庭料理を好むフランス大統領の料理人になった主人公の生活とその後の南極越冬隊料理人としての生活を描く
50.「共喰い」9月17日                        *
51.「オン・ザ・ロード」9月25日                   *
52.「凶悪」9月26日                         ***
 : 事実にもとづくストリー化。「先生」と呼ばれる主人公の「凶悪」さが迫力をもって伝わってくる。従来の悪人がかわいらしく見えてしまうほどの悪人は、一見悪人らしくなく、淡々と楽しみながら悪事を行うという、悪人観を提示
53.「ティファニーで朝食を」10月1日               ***
 : オードリーヘップバーンがとにかく綺麗で粋である
54.「そして父になる」10月1日                   **
 : 病院のミスで赤ん坊が取り違えられたことが伝えられた2家族の戸惑いと今後の選択についての迷いを描く佳作
55.「秋のソナタ」10月9日                      **
 : 老いの目立ち始めたイングリッド・バーグマン主演作品。ピアニストとしての名声を確立し、夫と娘を残し演奏旅行に明け暮れた主人公の晩年を描く。主人公の見方と娘・夫の見方を交えて家族の来し方と行く末が深い人間理解にもとづいて示される
56.「ケサル大王」10月15日                    **
57.「ビル・ハニンガム&ニューヨーク」10月23日       ***
 : 「ビル・ハニンガムが撮る写真が即ちニューヨークのトレンドである」をメッセージとしてつくられた映画。ビル・ハニンガムに密着してその哲学・撮影現場・編集場面を紹介する。
58.「危険なプロット」10月25日                  **
 : フランス語教師が文章の個人指導を始めたポテンシャルを秘めた生徒と教師の関係を描く。文章指導による生徒の文才の伸びと生徒が描く対象とした友人家族のプライバシーへの興味から更なる関係の展開を誘導する教師。そしてついに超えてはいけない一線をーーー
59.「弥勒」10月29日                        **
 : 映画化不可能と言われた稲垣足穂の作品に果敢に挑戦。
60.「世界を変えた男」11月12日                 **
 : 大リーグ初の黒人選手となった主人公が、差別と闘いながら活躍し、42番の背番号が大リーグの永久欠番になったいきさつを描く
61.「ペコロスの母に会いに行く」11月21日           **
 : 認知症になった母と息子(ペコロス)との交流の物語。男やもめの主人公が母親の介護に悪戦苦闘する姿をユーモアを交え暖かく描いている佳作
62.「悪の法則」11月22日                      *
63.「清須会議」11月26日                     **
 : 本能寺の変で信長亡き後の織田家の跡取りを決めるために招集された「清須会議」。秀吉にとっては、「天下人」に向けての大戦であり、この戦にいかに臨んで勝ったかというストーリー。最近の三谷幸喜作品の中ではベスト。脚本も良く練り上げられ、登場人物の個性が際立つ人物のキャラつくりがよくできている。笑いも控えめな「くすっ」という笑いに抑えて逆に成功している。大泉晃が新しい秀吉像を熱演
64.「かぐや姫の物語」11月26日                 ***
 : 原画の絵を尊重した半アニメ的作品で独特の世界を現出させている。「かぐや姫」の物語を縄文的世界観で解釈した新しい「竹取物語」の創出に成功している
65.「レッド・リターンズ」12月3日                 **
 : すでに引退したスパイが「核爆弾」を奪還するため再登場、昔の敵同士が個人の大義のため協力して危機を救うというストーリー。リタイア組を主人公とすることで国に忠義を尽くすスパイ同士の戦いという典型的な流れを乗り越え、物語に膨らみを持たせることに成功している
66.「キャプテン・フィリップス」12月6日              **
 : アフリカ沿岸の海賊によるコンテナ船乗っ取りの実話にもとづく作品。単純なストーリーかと思うとさにあらず、次から次へと息をつかせぬ展開となっている。脚本も良くできているし、主演のトム・ハンクスも熱演
67.「利休にたずねよ」12月12日                 **
 : この映画の基本ストーリーは、「秀吉は何故利休に切腹を命じ」、「利休は頭を下げればすむのに何故自ら切腹を選んだのか」。この問いに対するこの映画の答えは「利休が頭を下げるのは、美に対してだけであって、権力に対してではない」というもの。秀吉利休に切腹を命じた理由も、主な通説をカバーしており、よく行き届いている。しかし、見終わって、「利休を描き切れていない」という印象が強かった。何故だろうと考えてみて思いあったのは、「秀吉を小さく描きすぎたので、利休も小さく見えてしまった」のではないかということ
68.「もうひとりの息子」12月17日                 ***
 : 出産時の病院の取り違えにより、実の息子ではないことが判明した二家族の物語。状況設定は、基本的には「そして父になる」と同じ。ただし違うのは、二家族が住むのは、1)イスラエルとパレスチナ、2)息子が18歳で自分の意志で行動できる年齢に達しているという設定。これにより、物語は格段にその幅と深みを増している。観終わった直後は、ストーリーがあまりにも理想的に展開して、少し物足りない印象を受けたが、そのあと、「では他にどんな描き方があるのか」と自分に問いかけたとき、「あまりにも理想的なストーリーにするしかない程、パレスチナ問題の現実が深刻である」という事実に気付かされた
69.「ゼロ・グラビティ」12月17日                  ***
 : 大好評を博している作品。その理由は、1)事故で宇宙船から投げ出され、宇宙漂流を余儀なくされた女主人公が無事地球に帰還できるかという息をのむストーリー展開、2)宇宙から見る地球の美しさにあるのだろう
70.「楽園からの旅人」12月24日                 *
 : 具体的に取り上げているテーマは、「海と大陸」と同じアフリカからの不法移民を助けるか否か。しかし、切り口は全く異なる。「人間を救える」のは、「神」か「人間」か?「人間」だとすれば、「言葉」(説得)によってか、「行為」(テロ)によってか?この人類にとっての永遠のテーマとそれに対する三つの基本的立場を真正面から取り上げた、遊びしろゼロの、今時珍しい映画
71.「武士の献立」12月24日                    **
 : 「予告編」を観て想像した以上に観客の評価が高いと感じた作品。その秘密は多分、女性の支持の高さにあるのでは、と思った。1)内助の功で夫を一人前の包丁侍に育てる、2)夫の気持ちをおもんばかり、自ら家を出るが、夫が探しに来て妻にとどまることを求める、というストーリーは、女性が感情移入して観れる最高のストーリーだから
72.「永遠の0」12月27日                      **
 : 2人の孫が祖父がゼロ戦の特攻で戦死したことを知り、戦友に会いに行き、祖父がどんな人だったかを突き止めるというストーリー。こうした話の組み立てにより違和感なくストーリーに入って行けるし、最初に会った戦友の祖父評「腕は立つが、海軍一の臆病者」を覆すミステリーの謎解き的なストーリー展開を可能としている。戦闘機の戦闘場面にも撮影の工夫が見える