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2015年歌舞伎鑑賞

1.「壽初春大歌舞伎」(昼の部)1月20日    **
 : 「金閣寺」染五郎、七之助男女蔵、廣太郎、笑也、門之助、勘九郎、「蜘蛛の拍子舞」(花山院空御所の場)玉三郎、勘九郎、七之助、染五郎、「一本刀土俵入」幸四郎、歌六、錦之助、由次郎、綿吾、宗之助、廣太郎、歌江、桂三、高麗蔵、友右衛門、魁春
 三幕とも力が入っており見ごたえがあった。その中での圧巻は何といっても「蜘蛛の拍子舞」の玉三郎。前半は、妖麗な美女を演じ、後半はその正体を現した女郎蜘蛛の妖怪を見事に演じ分け、大立ち回りで蜘蛛の絲をまき散らしての大熱演で歌舞伎の醍醐味を堪能させてくれた。
2.「壽初春大歌舞伎」(夜の部)1月23日    **
 : 「番町皿屋敷」吉右衛門、芝雀、桂三、吉之助、橋三郎、染五郎、東蔵、「女暫」玉三郎、歌六、錦之助、七之助、團子、弘太郎、梅丸、橘三郎、笑也、男女蔵、又五郎、吉右衛門
 : 「番町皿屋敷」は岡本綺堂作の新しいストーリー。お菊の幽霊ではなく、生きているお菊が「一枚二枚」と皿の数を数えるのが新鮮。「女暫」は玉三郎の巴御前の独壇場。ストーリーに大きな起伏がある訳ではないので、見た目の変化、登場者のグループの多様さ・衣装の豪華さと見栄え、そしてアドリブを多用しての目新しさ、そしてなによりも玉三郎の存在感で圧巻のエンターテインメントに仕上がっている。

3.「二月大歌舞伎」(昼の部)2月16日    *
 : 「吉例寿曽我」(鶴岡石段の場、大磯曲輪外の場)、又五郎、錦之助、梅枝、歌昇、萬太郎、巳之助、児太郎、国生、橘三郎、枝雀、歌六、「彦山権現誓助劔」(毛谷村)菊五郎、時蔵、團蔵、東蔵、左團次、「積恋雪関扉」幸四郎、菊之助、錦之助
 : ここ半年で一番空席が目立った舞台だった。11月、12月、1月は、演目、配役、演出、役者の演技、謡・音曲全てにわたって非常に充実していたので、一休みかなとの印象を受けたが、芝居が始まってみると、幕が進むごとに物語の世界に引き込まれていき、現在の歌舞伎界の充実度を改めて感じさせられた。
4.「三月大歌舞伎」(昼の部)菅原伝授手習鑑(序幕:賀茂堤)菊之助、梅枝、萬太郎、壱太郎、亀寿(二幕目:筆法伝授)仁左衛門、染五郎、愛之助、梅枝、橘太郎、宗之助、亀寿、亀三郎、家橘、魁春(三幕目:道明寺)仁左衛門、芝雀、菊之助、愛之助、壱太郎、松之助、彌十郎、歌六、秀太郎
 : 三月公演は「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」と並ぶ歌舞伎の三代名作の一つ「菅原伝授手習鑑」を昼の部・夜の部にわたる通しで全六幕を上演するという珍しい公演。演出・役者共に力のこもった舞台だった。
5.「三月大歌舞伎」(夜の部)菅原伝授手習鑑(四幕目:車引)愛之助、染五郎、菊之助、萬太郎、彌十郎、(賀の祝)菊之助、染五郎、愛之助、新吾、梅枝、孝太郎、左團次
 : 最終幕(六幕目)「寺小屋}は昨年(10月)の公演で観ているので今回は省略。
6.「四代目中村鴈治郎襲名披露四月大歌舞伎」(昼の部)4月20日  **
 : 「碁盤太平記」(山科閑居の場)扇雀、染五郎、壱太郎、寿治郎、亀鶴、孝太郎、東蔵、「六歌仙容彩」
(僧正遍照)左團次、魁春、(文屋康秀)仁左衛門、(在原業平・小野小町)梅玉、魁春、(喜撰法師)菊五郎、芝雀、團蔵、萬次郎、権十郎、松江、歌昇、竹松、廣太郎、(大伴黒主)吉右衛門、魁春、「廓文章」(吉田屋)鴈治郎、幸四郎、又五郎、歌六、秀太郎、藤十郎
 : 一番良かったのは「碁盤太平記」。大石内蔵助の遊興と本心を描く作品で、今回は40年ぶりの上演。日本人の心情と行動を知り尽くした演出・演技で感動的な舞台に仕上がっている。「六歌仙容彩」は単調にならないように、演出・舞台装置・衣装にそれぞれ変化・工夫が見え、好感がもてた。「吉田屋」は襲名披露の鴈治郎が主役をはった舞台だが、もう少し「華」がほしいというのが、率直な印象。
7.「四代目中村鴈治郎襲名披露四月大歌舞伎」4月22日  **
 : 「梶原平三誉石切」(星合寺の場)(梶原平三)幸四郎、(俣野景久)錦之助、(梢)壱太郎、(梶原方大名)由次郎、廣太郎、松之助、(六郎太夫)錦吾、(剣菱呑助)桂三、(奴菊平)高麗蔵、(大庭景親)、「成駒屋歌舞伎賑」(木挽町芝居前の場・四代目中村鴈治郎襲名披露口上)鴈治郎、扇雀、虎之助、壱太郎、藤十郎、(木挽町座元)菊五郎、(太夫元)吉右衛門、(芝居茶屋亭主)梅玉、(茶屋女房)秀太郎、(男伊達)左團次、歌六、又五郎、錦之助、染五郎、松江、権十郎、團蔵、彦三郎、(女伊達)魁春、東蔵、芝雀、孝太郎、鶴亀、高麗蔵、萬次郎、友右衛門、(役者寿治郎)寿治郎、(二引屋倅)進之介、(二引屋主人)我當、(道頓堀座元)仁左衛門、(江戸奉行)幸四郎、「心中天綱島」(玩辞楼十二曲の内河庄)(紙屋治兵衛)鴈治郎、(紀の国屋小春)芝雀、(江戸屋太兵衛)染五郎、(五貫屋善六)壱太郎、(丁稚三五郎)虎之助、(芸妓小糸)歌女之丞、(河内屋お庄)秀太郎、(粉屋孫右衛門)梅玉
 : (夜の部)は襲名披露中心の舞台。(昼の部)では芝居の途中で口上を述べるという演出だったが、左右に花道を設け、男伊達と女伊達が次々と工場を述べるという演出。しかし、残念ながら空席が目立った舞台だった。
8.「團菊祭五月大歌舞伎」(昼の部)5月19日  **
 : 「摂州合邦辻」(合邦庵室の場)(玉手御前)菊之助、(俊徳丸)梅枝、(浅香姫)右近、(奴入平)巳之助、(合邦道心)歌六、(母おとく)東蔵、通し狂言「天一坊大岡政談」(大岡越前守)菊五郎、(池田大介)松緑、(山内伊賀亮)海老蔵、(お三)萬次郎、(赤川大膳)秀調、(平石治右衛門)権十郎、(下男久助)亀三郎、(嫡子忠右衛門)萬太郎、(お霜)米吉、(伊賀亮女房おさみ)宗之助、(吉田三五郎)市蔵、(藤井左京)右之助、(名主甚右衛門)家橘、(僧天忠)團蔵、(天一坊)菊之助、(大岡妻小沢)時蔵
 : 今回の演目の共通点は、ほとんど派手な見せ場がなく、セリフと語りで物語が進行していくという点にある。特に「摂州合邦辻}は一幕で場面転換もないため、外人の観客には気の毒だった。
9.「六月大歌舞伎」(昼の部)6月15日  ***
 : 「天保遊侠録」(小吉)橋之助、(八重次)枝雀、(茶良吉)児太郎、(松坂庄之助)国生、(唐津藤兵衛)松之助、(井上角兵衛)團蔵、(大久保上野介)友右衛門、(阿茶の局)魁春、「通し狂言 新薄雪物語」<花見>(奴妻平)菊五郎、(秋月大膳)仁左衛門、(園部左衛門)錦之助、(薄雪姫)梅枝、(花山艶之丞)由次郎、(渋川藤馬)松之助、(清水寺住職)錦吾、(来国行)家橘、(来国俊)橋之助、(腰元籬)時蔵、(団九郎)吉右衛門、<詮議>(幸崎伊賀守)幸四郎、(園部兵衛)仁左衛門、(松ヶ枝)枝雀、(園部左衛門)錦之助、(薄雪姫)児太郎、(茶道珍才)隼人、(役僧雲念)桂三、(秋月大学)彦三郎、(葛城民部)菊五郎
 : 「六月大歌舞伎」は、「通し狂言 新薄雪物語」は昼夜にまたがる公演。豪華キャストで、見せ場も多く、華のある観客サービス満点の舞台になっている。(5月公演と好対照)
10.「六月大歌舞伎」(夜の部)6月22日  ***
 : 「通し狂言 新薄雪物語」<広間・合腹>(園部兵衛)仁左衛門、(梅の方)魁春、(忽川平蔵)又五郎、(奴袖平)権十郎、(腰元呉羽)高麗蔵、(薄雪姫)米吉、(園部左衛門)錦之助、(松ヶ枝)枝雀、(幸崎伊賀守)幸四郎、<正宗内>(団九郎)吉右衛門、(おれん)枝雀、(腰元呉羽)高麗蔵、(五人組伊太郎)歌昇、(同仁助)種之助、(同与吉)隼人、(薄雪姫)米吉、(渋川藤馬)桂三、(下男吉介実は来国俊)橋之助、(五郎兵衛正宗)歌六
 : 昼の部から続く通し狂言。歌舞伎を観る楽しみは、1)江戸時代の人々と現代のわれわれの共通点を見出し共感すること、2)その反対にギャップを発見し、江戸時代とはそうゆう時代だったんだとの認識を新たにすること。今回でいえば、1)親子の愛情・友への友情、2)最終幕<正宗内>の最後は、吉右衛門扮する団九郎の大立ち回りとミエで終わる。「新薄雪物語」だから、薄雪姫と園部左衛門が結ばれる場面で終わらないととと思うのは、現代のわれわれのさかしら。派手にかっこよく終わればいいじゃないかというのが江戸っ子。
11.「七月大歌舞伎」(昼の部)7月21日   ***
 : 「南総里見八犬伝」(犬塚信乃)獅童、犬飼現八)市川右近、(犬山道節)梅玉、(犬川荘助)歌昇、(犬江親兵衛)巳之助、(犬村角太郎)種之助、(浜路)笑三郎、(犬田小文吾)猿弥、(網干左母二郎)松江、「与話情浮名横櫛」(与三郎)海老蔵、(蝙蝠安)獅童、(番頭藤八)猿弥、(お岸)歌女之丞、(鳶頭金五郎)九團次、(和泉屋多左衛門)中車、(お富)玉三郎、「蜘蛛絲梓弦」(童熨斗丸、薬売り彦作、番頭新造八重里、座頭亀市、傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精)猿之助、(源頼光)門之助、(坂田金時)市川右近、(渡辺綱)巳之助、(碓井貞光)獅童、(平井保昌)海老蔵
 : 12日の発売と同時に全日全席完売。当日売りの幕見席もこの一年で最長の列。豪華キャストに歌舞伎らしい派手な演出・衣装・舞台装置と全てが揃った昼の部。玉三郎・海老蔵・獅童も期待どうりの華のある舞台。しかし今公演の最大の見せ場は猿之助の六変化。観客の喝采を一身に受けたのも納得の出来。
12.「七月大歌舞伎」(夜の部)7月23日   ***
 : 通し狂言「怪談 牡丹燈籠」(お峰)玉三郎、(お米)吉弥、(お六)歌女之丞、(萩原新三郎)九團次、(山本志丈)市蔵、(馬子久蔵)海老蔵、(お国)春猿、(定吉)弘太郎、(三遊亭円朝)猿之助、(伴蔵)中車
 : 昼の部に引き続いての大入り満員。一幕は怪談にふさわしく照明を落した舞台だが、それだけでは舞台が盛り上がらないので、台詞が良く練りこまれ、観客の笑いをとるように演出されている。舞台装置もハイテクを取り入れた新しい工夫もされており、また役者の気合の入った演技と相まって熱気のこもった好舞台となっている。
13.「八月納涼大歌舞伎」(第三部)8月24日  ***
 : 「芋堀長者」(芋堀籐五郎)橋之助、、(友達治六郎)巳之助、(腰元松葉)新悟、(魁兵馬)国生、(免原佐内)鶴松、(松ヶ枝屋後室)秀調、(緑御前)七之助、「祇園恋づくし」(大津屋治郎八、女房おつぎ)扇雀、(指物師留五郎)勘九郎、(芸妓染香)七之助、(手代文吉)巳之助、(おつぎ妹おその)鶴松、(持丸屋女房おげん)歌女之丞、、(岩本楼女将お筆)高麗蔵、(持丸屋太兵衛)彌十郎
 : 「祇園恋づくし」が圧巻の出来栄え。科白が磨きに磨かれており、上質の喜劇に仕上がっている。
14.「秀山祭九月大歌舞伎」(昼の部)9月16日 **
 : 「双蝶々曲輪日記」(新清水浮無瀬の場)(南与兵衛)梅玉、(藤屋吾妻)芝雀、(平岡郷左衛門)松江、(太鼓持佐渡七)宗之助、(堤藤内)隼人、(井筒屋お松)歌女之丞、(番頭権九郎)松之助、(三原有右衛門)錦吾、(山崎屋与五郎)錦之助、(藤屋都)魁春、「紅葉狩」(更科姫、実は戸隠山の鬼女)染五郎、(局田梅)高麗蔵、(侍女野菊)米吉、(山神)金太郎、(腰元岩橋)吉之助、(従者左源太)廣太郎、(従者右源太)亀寿、(平維茂)松緑、「競伊勢物語」(紀有常)吉右衛門、(絹売豆四郎、在原業平)染五郎、(娘信夫、井筒姫)菊之助、(絹売お崎)米吉、(絹売お谷)児太郎、(旅人倅春太郎)井上公春、(およね)歌女之丞、(川島典膳)橘三郎、(茶亭五作)桂三、(銅鑼の鏡八)又五郎、(母小由)東蔵
 : 全体の印象はここ数か月で最も盛り上がりを欠いた舞台だった。その最大の理由は出し物の取り合わせ。3幕とも前半はおおきな動きのない、盛り上がりにくいものを選んだこと。最も盛り上がったのは、「紅葉狩」の染五郎親子。長男金太郎(10歳)は山神を見事に演じ、大きな拍手をもらっており、役者魂とポテンシャルを見せつけ、これからの成長が楽しみな役者である。染五郎は、前半の更科姫役ではあでやかに舞い、終幕の鬼女の荒々しい振舞いと見事なコントラストを見事に演じきっていた。
15.「秀山祭九月大歌舞伎」9月25日  ***
 : 通し狂言「伽羅先代萩」<花水橋>(足利頼兼)梅玉、(絹川谷蔵)又五郎、<竹の間>(乳人政岡)玉三郎、(冲の井)菊之助、(鳶の嘉藤太)吉之助、(小槙)児太郎、(八汐)歌六、<御殿>(乳人政岡)玉三郎、(冲の井)菊之助、(小槙)児太郎、(榮御前)吉弥、(八汐)歌六、<床下>(仁木弾正)吉右衛門、(荒獅子男之助)松緑、<対決・刃傷>(仁木弾正)吉右衛門、(細川勝元)染五郎、(渡辺民部)歌昇、(山中鹿之助)種之助、(大江鬼貫)由次郎、(山名宗全)友右衛門、(渡辺外記左衛門)歌六
 : 人気歌舞伎の通し狂言。今公演で特に感じたのは2点。玉三郎の政岡。茶の湯のお点前をする場面の見事さ、いつ見ても玉三郎は「凄い」。あとは、染五郎の細川勝元。昼の部(紅葉狩)の更科姫・戸隠山の鬼女の演じ分けと合わせて、見事な舞台で、何を演じても「華」がある。
16.「芸術祭十月大歌舞伎」(夜の部)10月15日  ***
 : 「檀浦兜軍記<阿古屋>」(遊君阿古屋)玉三郎、(岩永左衛門)亀三郎、(榛沢六郎)功一、(秩父庄司重忠)菊之助、「梅雨小袖昔八丈」<髪結新三>、(髪結新三)松緑、(白子屋手代忠七)時蔵、(下剃勝奴)亀寿、(お熊)梅枝、(丁稚長松)左近、(家主女房おかく)右之助、(車力善八)秀調、(弥太五郎源七)團蔵、(後家お常)秀太郎、(家主長兵衛)左團次、(加賀屋藤兵衛)仁左衛門、(肴売新吉)菊五郎
 : <阿古屋>は芸術祭参加作品。女形の大役。琴・三味線・胡弓の三楽器を約10分ずつ演奏するのが見せ場。玉三郎はこの大役をさすがに見事にこなしていた。
17.「芸術祭十月大歌舞伎」(昼の部)10月20日   ***
 : 「音羽嶽だんまり」(音羽夜叉五郎)松也、(七綾姫)梅枝、(源頼信)萬太郎、(鬼童丸)尾上右近、(保昌娘小式部)児太郎、(将軍太郎良門)権十郎、「矢の根」(曽我五郎)松緑、(大薩摩主膳太夫)彦三郎、(馬士畑右衛門)権十郎、(曽我十郎)藤十郎、「一篠大蔵譚」(一篠大蔵長成)仁左衛門、(お京)孝太郎、(鳴瀬)家橘、(八剣勘解由)松之助、(吉岡鬼次郎)菊之助、(常盤御前)時蔵、「人情噺文七元結」(左官長兵衛)菊五郎、(女房お兼)時蔵、(鳶頭伊兵衛)松緑、(和泉屋手代文七)梅枝、(娘お久)尾上右近、(角海老手代藤助)團蔵、(和泉屋清兵衛)左團次、(角海老女将お駒)玉三郎
 : (昼の部)は出し物のバランス(荒物、世話物、踊り主体、台詞主体など)をよく考慮し、また良く演じられるものを集めた公演で楽しめた。
18.「吉例顔見世大歌舞伎」(夜の部)11月5日  ***
 : 「江戸花成田面影」(芸者お藤)藤十郎、(鳶頭梅吉)梅玉、(鳶頭染吉)染五郎、(鳶頭松吉)松緑、海老蔵、堀越勧玄、家橘、市蔵、九團次、右之助、仁左衛門、菊五郎、「元禄忠臣蔵」<仙石屋敷>(大石内蔵助)仁左衛門、(堀部安兵衛)権十郎、(間十次郎)松江、(富森助右衛門)亀寿、(大高源吾)亀鶴、(磯貝十郎左衛門)児太郎、(大石主税)千之助、(伴得介)梅丸、(谷土源七)橘太郎、(不破数右衛門)松之助、(吉田忠左衛門)市蔵、(桑名武右衛門)秀調、(鈴木源五右衛門)家橘、(仙石伯耆守)梅玉、「勧進帳」(武蔵坊弁慶)幸四郎、(源義経)松緑、(亀井六郎)友右衛門、(片岡八郎)高麗蔵、(駿河次郎)宗之助、(常陸坊海尊)錦吾、(太刀持音若)左近、(富樫左衛門)染五郎、「河内山」(河内山宗俊)海老蔵、(高木小左衛門)左團次、(宮崎数馬)久團次、(腰元浪路)梅丸、(北村大膳)市蔵、(松江出雲守)梅玉
 : 第一幕は、海老蔵の長男堀越勧玄(3歳)の初お目見得。観客の注目度も高く、幕見席にはそれだけを観て帰る人も多かった。それ以降の幕は「顔見世」にふさわしく、人気役者に十八番を心置きなく演じさせ、それぞれ見ごたえがあり、楽しめた。仁左衛門の(大石内蔵助)、幸四郎の(弁慶)と染五郎の(富樫)お家芸での親子掛け合い、海老蔵の(河内山宗俊)それぞれ力のこもった迫力ある演技が光った。
19.「吉例顔見世大歌舞伎」(昼の部)、11月18日  ***
 : 「源平布引滝 実盛物語」(斎藤実盛)染五郎、(瀬尾十郎)亀鶴、(郎党)廣太郎、(郎党)廣松、(九郎助)松之助、(葵御前)児太郎、(小万)秀太郎、「若き日の信長」(織田上総之介信長)海老蔵、(弥生)孝太郎、(五郎右衛門)亀寿、(監物)九團次、(甚左衛門)廣松、(林美作守)市蔵、(僧覚円)右之助、(木下藤吉郎)松緑、(平手中務政秀)左團次、「曽我繡侠御所染」<御所五郎蔵>(御所五郎蔵)菊五郎、(星影土右衛門)左團次、(傾城逢州)孝太郎、(梶原平蔵)松江、(新貝荒蔵)亀寿、(秩父重介)廣太郎、(二宮太郎次)宗之助、(花形屋吾助)橘太郎、(傾城皐月)魁春、(甲屋与五郎)仁左衛門
 : (昼の部)の圧巻は何といっても、大佛次郎作の新歌舞伎「若き日の信長」。脚本も良くできているし、海老蔵もはまり役を、巧みに演じており、見ごたえのある舞台だった。
20.「十二月大歌舞伎」(昼の部)12月18日  **
 : 「本朝廿四孝」<十種香>(八重垣姫)七之助、(武田勝頼)松也、(腰元濡衣)児太郎、(白須賀六郎)亀寿、(原小文治)亀三郎、(長尾謙信)市川右近、「赤い陣羽織」(お代官)中車、(お代官のこぶん)亀寿、(女房)児太郎、(お代官の女房)吉弥、(おやじ)門之助、「重戀雪関扉」(関守関兵衛実は大伴黒主)松緑、(小野小町姫)七之助、(良峯少将宗貞)松也、(傾城墨染実は小町桜の精)玉三郎
 : 例年十二月公演は、京都南座の顔見世に大半の主力役者が出かけるため、演目に苦労が見える興行になっている。「本朝廿四孝」はほとんどが台詞だけの舞台、「関の扉」は大半が謡と三味線に合わせての踊りの舞台と変化のつけにくい演目。そこでその間に「赤い陣羽織」を入れて、コミカルに笑いを取るという味付け。その狙いはわかるが、全体としてみると、今ひとつ盛り上がりに欠ける公演だった。
21・「十二月大歌舞伎」(夜の部)12月21日  **
 : 「通し狂言 妹背山婦女庭訓」<杉酒屋>(杉酒屋娘お三輪)七之助、(烏帽子折求女実は藤原淡海)松也、(入鹿妹橘姫)児太郎、(丁稚小太郎)團子、(後家お酉)歌女之丞、(家主茂儀兵衛)権十郎、<道行恋芋環>(杉酒屋お三輪)七之助、(入鹿妹橘姫)児太郎、(烏帽子折求女実は藤原淡海)松也、<三笠山御殿>(杉酒屋娘お三輪)玉三郎、(漁師鱶七実は金輪五郎今国)松緑、(宮越玄蕃)亀三郎、(荒巻弥藤次)亀寿、(入鹿妹橘姫)児太郎、(烏帽子折求女実は藤原淡海)松也、(豆腐買いおむら)中車、(曽我入鹿)歌六
 : 夜の部は通し狂言。昼の部に引き続いて全体としての盛り上がりに欠けた舞台だった。

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