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「2018年狂言鑑賞」

1.「横浜狂言堂一月公演」1月14日  ****
 : 「末広」(果報者)山本則秀、(太郎冠者)山本泰太郎、(売り手)山本則俊、「素袍落」(太郎冠者)山本東次郎、(伯父)山本則孝、「解説」山本東次郎
 : 「末広」は代表的なおめでたい出し物。「素袍落」は、山本東次郎が演じる太郎冠者の振る舞いに、会場は大いに沸いた。「解説」の山本東次郎は、「狂言」の奥深さを何としても観客に伝えようという熱意、的確な表現で、いつも感心させられる。今回は、「狂言」は人間の愚かさを描くが、それだけで終わらせず、「末広」では、最後に機嫌を直し、太郎冠者を許し、逆に二人の絆を深めて終わるというところに狂言の本質があると指摘。

2.「横浜狂言堂二月公演」2月11日  ***
 : 「解説」高野和憲、「秀句傘」(大名)石田幸雄、(太郎冠者)岡聡史、(新参の者)中村修一、「鈍太郎」(鈍太郎)高野和憲、(下京の妻)野村大一郎、(上京の女)飯田豪
 : 「解説」は、粗筋に加え意味が現代ではわからないキーワード(秀句、隔夜など)をユーモアを交えて的確に説明、狂言理解に大いに役に立った。「鈍太郎」は最近では一番の盛り上がり立った。
3.「横浜狂言堂三月公演」3月11日  ***
 : 「鱸包丁」(伯父)山本東次郎、(甥)山本則重、「伊文字」(女・通りの者)山本凛太郎、(主)山本則秀、(山本泰太郎)、「解説」山本東次郎
 : この二曲は他流派ではあまり演じられないが、山本東次郎が好きな演目ということで取り上げたという。大笑いをするような曲ではないが、そこはかとしたおかしさがあり、受けていた。山本東次郎の「解説」は行き届いたもので、「鱸包丁」の時代背景・台詞の詳細説明でこの曲の理解が一気に深まった。
4.「横浜狂言堂六月公演」6月10日 ***
 : 「解説」深田博治、「謀生種」(甥)中村修、(伯父)高野和憲、「千鳥」(太郎冠者)深田博治、(主)月崎晴夫、(酒屋)内藤連
 : 「解説」は曲の粗筋と分かりにくいセリフの説明が中心。9割以上の観客がレピーターという状況を考えると一工夫が必要では?「千草」は掛けがたまり、支払いが済まなければ酒は売れないという酒屋を、何とかごまかして酒樽を持ち帰ろうとする太郎冠者のやり取りが上手く表現された曲。
5.「横浜狂言堂十二月公演」12月9日 ***
 : 「解説」茂山千五郎、「寝音曲」(太郎冠者)茂山千作、(主)島田洋海、「鱸包丁」(伯父)茂山千五郎、(甥)茂山童司
 : 「解説」は物語の筋を中心に。「寝音曲」はストーリーの面白さ=「客が来るたびに謡をやらされてはかなわないと考えて、1)酒を飲まないと謡えない、2)酒を飲んでも座っては謡えない、女房の膝枕でないと、と条件を付ける太郎冠者の台詞の面白さ」と、見て(演技)の面白さ=「膝枕をさせた主が太郎冠者を座っている姿勢に戻そうとすると、声が出なくなるのが、途中からそれが逆になる」が上手く組み合わされて、笑わせてくれるよくできた一曲。

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