« 「ブッダ」(手塚治虫)を読む | メイン | 「風邪の効用」を読む »

第二回「フランス“持たざる者”たちのネットワーク」

 第二回は、「持てる物」と「持たざる者」との格差が広がる社会で、フランスでは、失業者・ホームレス・移民労働者たちが、「住宅占拠」や「雇用占拠」を戦略に新しい社会のあり方を提案しており、その具体的な活動の紹介を行うという内容となっている。
 この運動は、フランスのバブル期に地上げ目的の放火によりアパートを焼かれ住むところのなくなった海外からの移住労働者が、1994年にバブル崩壊により空きビルになっていた建物を占拠し住み始めたことからスタートした。
 90年代後半から大量の失業者を巻き込み、「空家占拠」(住むところの確保)、「スーパーマーケット占拠」(食べ物確保)、「雇用占拠」(スーパーマーケット・郵便局など人員削減により長蛇の列が出来ている窓口で失業者が仕事に従事)、「公共交通占拠」(無賃乗車)などを展開している。
 第二回: 講師: 稲葉奈々子(茨城大学教員)、2006年6月13日

 これらの運動は、今日(今)、食べ物がない、眠る場所がない、という切羽詰った状況を解決し、失業したとたんに食い詰めるという問題を打開するために行われている。
 フランスは社会主義政権下にあるが、これらの人たちから見ると、政府や労働組合が語るのは「十年先に良くなる」という話で、何年待たされるのかわからない、自分たちに必要なのは今日食べる食べ物であり、今夜眠るところであるとなり、両者のギャップは大きい。
 そうした中で運動が継続されているのは、なによりも今日の食べ物・眠るところがないという困窮が、失業者だけでなくパートやアルバイトにも及ぶという現実があり、他方ではこうした状況を理解した国民の支持があるからである。
* 独断と偏見:
 ・ 第三の道: 不勉強でフランスの状況は正確に把握しているわけではないので、あくまで推測であるが、現在フランスで何がおこっているのか?
 「市場対国家」の成功・失敗の反省から、社民政権下でも小さな政府への模索、それを背景にソーシャル・セーフティ・ネットの切り下げが行われているのだろう。
 ヨーロッパでは現在大半の国で社民政権下にあり、大枠としては「市場」でもなく「国家」でもなく「第三の道」を目指すことで合意されている。
 今、フランスで問われているのは、「第三の道」の実現とそれが成功か失敗かの成否を明らかにすることなのだろう。
 ・ PARC事務局へ: 上記の要約は、プレゼン後の質疑ならびに有志参加での飲み会でのヤリトリを含めて得た情報を整理したもの。
 ということは、セミナー参加だけでは、情報が不十分だということ。
 特に不足していたのは、この運動のフランスのなかでの位置付け。社民政党、労働運動との関係、第三の道の中での失業者政策などの情報提供が簡単にでもあれば、この運動の位置付けと意義がより良く理解できたと思う。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://yosim.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/2108

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)