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2016年01月02日

「2016年映画鑑賞」

1.「消えた声が、その名を呼ぶ」1月2日  ***
 : 1915年オスマン帝国はドイツと組み失われた領土回復を目指しイギリスとの戦いを始める。これにともない少数民族のアルメリア人(キリスト教徒)への迫害が強まる。主人公は喉を切られ、殺されかけるが、運よく一命をとりとめる。しかし声を失う。妻と双子の娘はキャンプに連れ去られ、そこで全員死んだと知らされる。オスマン帝国(トルコ)がイギリスに負けた後、娘は生きていると聞き、必死に娘を探す。トルコから、レバノン、キュウ―バ、ミネアポリス・ノースダコダ(アメリカ)への苦難の旅を描く。家族を思う父親の愛情と何としても再会を果たしたいという強い執念をよく描いている。
2.「マイ・ファニー・レデイ」1月2日   ***
 : 若い娼婦がちょっとしたきっかけで、俳優として成功するという、「マイ・フェアー・レデイ」をパロディー化した喜劇。なかなか入り組んだストーリー設定にしてあり、洒落たエンターテインメント映画に仕上がっている。

3.「ローマに消えた男」1月3日   ***
 : 原題は直訳すれば「自由万歳!」。ノリを入れた意訳は「自由気ままが最高!」といったところか。イタリア最大野党の書記長が主人公。総選挙間近で政権獲得が期待されているが、党勢は低迷し、世論調査での支持率も落ちる一方。局面を打開する決めてもなく、夫婦関係も生き詰まっている。そこで、突然身を隠し、25年前の元恋人のところに姿を現す。野党の秘書は、書記長の不在を埋めるため、双子の弟を探し出し、代役に立てる。この代役は、しがらみに捉われない自由な発想の演説・マスコミとのインタビューのやり取りで、一気に支持率を高め、総選挙の勝利間違いなし、というところまで党勢を挽回する。この弟は、精神病を病み、入院していたという経歴の持ち主。「世間的には正常とされた政治家には、課題が見えず、解決策も提案できないが、課題を直視し、向かうべき方向を示すことが出来る人間は狂人と呼ばれている」。痛烈な皮肉を込めた、イタリア的な洒落た会話に満ちた、大人の映画。
4.「クリード、チャンプを継ぐ男」1月8日  ***
 : ロッキーのライバルのアポロに息子(クリード)がいたという設定。父親から受け継いだ血が騒ぎ、チャンピオンをめざし、今はボクシングから離れ、レストランをやっている老いたロッキーに指導を仰ぎに行くところから物語は始まる。無理のないストーリー展開で、観ていられる作品。
5.「夏をゆく人々」1月11日  ***
 : 2014年カンヌ映画祭グランプリ受賞。イタリア中部トスカーナ周辺の古代エルとリア遺跡の多い人里離れた土地で養蜂業を営む一家を中心に描いた作品。一家は両親と4人姉妹、物語は長女ジェルソミーナの視点で描かれる。父親は家族への愛情は強いものの頑固で人の意見を聞かない古いタイプの家長。家族は小さい子供をふくめて仕事をよく手伝い、ティ―ンエイジャーの長女はいまや養蜂にも精通し、父親もその手伝いなしではやっていけないし、妹たちの面倒も良く見る。一家の生活を淡々と描いたあとで、一家がドイツ人の少年を預かり、またテレビが村の取材にやってきてから物語は動き始める。外の世界にも目を向け始めた長女とそれを理解しない父親とのやり取り、父親と母親との齟齬も描きながら、美しく静かな自然に恵まれた土地での暮らしを愛し、また家族を思いやるお互いの気持ちを上手く描いているので、観客はゆったりと明るい気分で観ていられる力作。
6.「ブリッジ・オブ・スパイ」1月12日  ***
 : 米ソの冷戦時代初期、核開発技術を始めとする重要情報取得のため米ソ間で激しいスパイ合戦が行われる。アメリカで逮捕されたソ連スパイの裁判の弁護士を依頼された主人公を中心とする事実に基づいた物語。当時のアメリカの時代背景として、自由の国を誇示するため、スパイといえども公平な裁判で裁くという建前は示すが、裁判長もスパイはアメリカ人でないし、アメリカ人と同等の権利は有していない(有罪は決定事項)という考えだし、国民はスパイを憎悪し、その弁護をする主人公にも冷たい目を向け、自宅に銃弾を撃ち込む住民も現れ、家族の生命も危険にさらされるという始末。そうした中で孤軍奮闘して、死刑を免れさせて、懲役刑に持ち込む。そうした折に、アメリカのスパイ機が撃墜されパイロットが捕虜になるという事件が発生する。ある日、ソ連のスパイの妻から弁護士あてに、弁護を感謝する礼状が届く。アメリカ政府はこれを、ソ連側の捕虜交換を求めての接触だと判断し、政府を代表しての交渉はお互いにできないので、民間人として交渉に当たることを要請する。この困難な任務を見事に果たす主人公をトム・ハンクスが熱演。映画の特性を知り尽くしたスピルバーグ監督の緻密な計算による組み立てにより、見ごたえのある作品に仕上がっている。
7.「白鯨との闘い」1月18日  ***
 : メルヴィルの名作「白鯨」がどのようにして書かれたかをたどるというストーリーで作られた映画。捕鯨(鯨油を取るのが目的)がピークをこえ、乱獲により鯨が少なくなったころの航海を背景に「白鯨」との遭遇と闘いにより船を大破され漂流し、やっと助けられるまでの経過を描いている。唯一の生存者とのメルヴィルの出会い、あまりにも悲惨な事実を語ることへの生存者のためらい、捕鯨船内での良家の後継者であるがゆえに未経験であるにもかかわらず船長になった若者と経験豊富で有能な一等航海士との確執を軸に物語を展開させるという組み立てで映画の厚みを増すことに成功している。
8.「人生の約束」1月19日  **
 : 観客の間で評価が二分した作品。一方は「感動した」、他方は「茶番だ」。双方の評価とも当たっている。「感動的」との評価は、亡くなった親友の最後の願いである地元の祭りで伝統の町内の鋒山(山車)を守ることを実現していくということを中心に、お涙頂戴の種がいろいろと仕掛けてありそれを素直に受け止めた反応。「茶番」との評価は、学生時代からの親友だった二人が会社を興し、15年で急成長させるが、経営方針の違いから、親友を解雇、死ぬ直前に何度も掛けてきた電話にもでなかった主人公が、なぜ死亡の報に接した時態度を急変させたのかが、充分に納得できるように描き切れていないことを指している。
9.「の・ようなもの」1月19日  **
 : 師匠の家に内弟子として住み込みで修行中の前座の落語家の卵が主人公。几帳面で生真面目でやることが遅いどう見ても落語家向きとは言えないが、大パトロンの要望により15年前に先代の師匠の死とともに消息を絶った先輩を探し出し、「出目金」という創作落語を語らせる役を仰せつかり、結果的に見事にその大役を果たすというストーリー。真面目にやっても、報われにくい今の世の中で、コツコツと努力すれば報われるし、敗者復活をあるという明るいメッセージを送ることを意図した作品。そのメッセージを送ることには、成功したが、作品的には平板でインパクトに欠ける。
10.「あの頃、エッフェル塔の下で」1月20日  ***
 : 主人公が若い頃の3つの思い出を回想して語るというストーリーで、その中心となるのがヒロインとの恋。パリから200キロ離れた地方都市出身の主人公は、パリで大学に通っているが、週末は故郷に戻り恋人と逢うという大学院を含めて6年間を描く。二人が愛し合えば合うほど、恋しさと不安がつのり、頻繁な手紙のやり取りでは、間に合わない。そうした中で、二人は逢えない間の不安と孤独から何度も他の人間と付き合い始め、やはりその関係に満足できずに、よりを戻すということを繰り返している。そうした人間感情ならびに大事なものを失ってからしかその大事さに気づくことのできない人間の不条理を鋭く描いている作品。
11.「ひつじ村の兄弟」1月25日  ***
 : 北欧の寒冷地で牧羊で暮らす兄弟を中心とする物語。二人は隣りどうしで暮らしているが、不仲で40年以上も直接口をきいたことがない。村の羊の品評会で二人の羊が見事に1・2位を獲得する。準優勝となった弟は自分の羊とどこが違うのかを密かに確認に行き、この羊が悪性の伝染病にかかっているのではないかとの疑いを抱き、連絡する。検査の結果伝染病であることが判明し、この村の全部の羊が殺処分される。兄はこれにより弟に対する憎悪をさらに増大させる。弟は自分の手で殺処分を行い、密かにこの村の羊の血統を残すため選りすぐりの数頭を飼い続ける。しかしこれがバレ、殺処分の手が及びそうになり、兄に助けを求め、羊の血統を残そうという共通の思いが二人の兄弟の絆を取り戻させる。単純なストーリだが、自然の厳しさとそこに生きる人々暮らしを鋭く描いている。
12.「シーズンズ、2万年の地球旅行」1月26日  **
 : 最後の氷河期が終った2万年前から現在に至る人間と動物と自然の関係を四季の移り変わりを通じて描くドキュメンタリー風の映画。1万年前までは、陸上では豊かな森で人間・動物・自然が共生していた。しかし、1万年前から人間は森の木を切り倒して農業を始めると同時に、自然を破壊・管理し動物たちの生存を脅かし、自らも自然とのつながりを絶ち、バランスを失っている。現在は、この流れを変え、人間・動物・自然が共生を取り戻す転機である、とのメッセージを送る。四季の繰り返しを重ねながら、この2万年の移り変わりを描こうとしているので、そのメッセージが伝わりにくい。
13.「エヴェレスト」1月31日  ***
 : 事実にもとづく物語。エヴェレスト登山は、限られたトップ・クライマーにのみ可能だったが、近年難所には常設ロープ・足場などが設置され、商業登山が開始され、一般人にも門戸が開かれてきている。そうした中でも一旦自然が猛威を振るうと、人間の力などとるに足らないものであるということを教えてくれる映画。
14.「ザ・ウオーク」1月31日  ***
 : 事実にもとづく物語。クライマックスはニューヨークのツイン・タワー・ビル(9・11テロで崩壊)の間にワイヤーを張り、命綱無しでそれを渡る場面。主人公がいかにして綱渡りの技術を身につけ、ツイン・タワー・ビルで綱渡りをしようと思い立ったかを描く。一番大変だったのは、二つのビルの間にワイヤーを張ることだったということが、良く理解できた。
15.「キャロル」2月11日  ****
 : きわめて完成度の高い秀作。専業主婦の枠に収まり切れない自由・奔放な美貌の中年夫人とカメラマンをめざしデパートの店員として働く若い女性との出会いを描く。全てにわたり神経が行き届き、計算されつく尽くされた映画。シナリオ、キャスティング、衣装、小道具・大道具、背景、演技の全てに。一例をあげると、主人公の金髪に合わせて、ミンクのコート・車の色はベージュでコーディネートなど。人間が相手を理解することの難しさを繊細に描き切っている。
16.「スティーブ・ジョブス」2月12日  ****
 : MAC,i-Padなど数々の革新的商品を世に送り出したスティーブ・ジョブスの人物像に迫る力作。製品そのものはよく知られているので、創業者でありながら、アップル社を首になり、また再度CEOに返り咲いた会社での人間模様・家族との人間関係を中心に描く。ジョブスの創造性が揺るぎない信念(ヴィジョン)とそれへのこだわり、また反面他人の感情を傷つけてもそれに気づかない人格破綻者的側面から成り立っていたことを鋭く描き切っている。
17.「オデッセイ」2月12日  ****
 : 事故で死亡したと思われ、火星に取り残された宇宙飛行士の物語。未来版「ロビンソン・クルーソー物語」。気絶から回復したとき主人公が気づいたのは、次に宇宙船が火星に来るのは4年後、それまで食糧・水が持たないということ。そこで自分の知識と手持ちの資材を総動員して食糧・水を作り出す。次に取り組むのが地球との通信手段の確保。どうしても地球に帰還するという強い意志、それにもとづく生き延びるための知恵と行動、その中で失わないユーモア精神。人間の絆、勇気。「ゼロ・グラビィティ」を大きく超える傑作。
18.「ディーパンの闘い」2月15日  ****
 : 第68回ヴェネツィア映画祭最高賞受賞作品。スリランカで反政府武力闘争を行い、妻と娘を殺された主人公は、妻と娘と偽り赤の他人と家族を装い亡命し、フランスにたどり着く。そこで建物の管理人の仕事と部屋を与えられる。その地区はヤクザ・不良が多い所で、妻も家政婦の仕事をえる。フランスにたどり着いた難民がどんな仕事・学校・生活を送り、異文化に戸惑いながらもにいかにしてそれらに馴染んでいくかが良く描かれている。ヤクザの争いでトラブルに巻き込まれた妻を救出するために武力闘争で培われた主人公の経験が生かされ、本当の家族が誕生する。
19.「サウルの息子」2月16日  ***
 : 今年度アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。第二次世界大戦末期のユダヤ人強制収容所が舞台。ドイツ軍は、大量の死体処理のため収容されたユダヤ人からその任にあたる者を選抜し、数か月後に抹殺する。主人公はその仕事中に息子の死に立ち合い、何とか火葬(ユダヤ教では復活できないと信じられている)ではなく、土葬(正式な埋葬の仕方)でラビ(ユダヤ教の司祭)を探し出し、葬儀を取り行ってもらいたいと奔走する。
20.「影武者」2月22日  ****
 : 黒澤明は偉大なり。30年たっても全く古くないし、素晴らしさに感銘をうける。武田信玄と織田信長・徳川家康との葛藤、信玄と嫡男勝頼との器の違いという幹となる筋をきっちりと踏まえ、影武者が必要となる状況、影武者をやれと言われた主人公の戸惑い(一度はそれを断り認められる)、影武者となってからの数々の試練(ばれそうになる)を重臣たちの事前のアドバイスと己の機転で乗り越えていく場面を丁寧に積み重ねて、不自然さを一切感じさせずに、3時間の大作を一気に楽しませる。
21.「眺めのいい部屋売ります」2月23日  ***
 : ニューヨーク・ブルックリンの眺めのいいアパート(最上階の5階)に40年間住む黒人の夫と白人の妻。その唯一の欠点はエレベーターが無いこと。そこで、アパートを売って、エレベーターのある所に移ろうと考えオープン・ハウスをおこなった2日間を描く。この2日間に夫婦の出会いから数々のエピソード、ニューヨークの住宅事情・世相を上手く折り込み、夫婦の絆の強まりを気持ちよくみせる。
22.「禁じられた歌声」2月25日  ***
 : 2015年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。アフリカのマリ共和国ニジール川流域のテインプクトゥを舞台に物語は展開する。この地域の住民は経済的には決して豊かとはいえなくても、敬虔なイスラム教徒として日々の仕事に励みながら、個人の思いを大切にしながら歌声を絶やさず、楽しみながら幸福に暮らしていた。しかし、ここにイスラム過激派が入り込み、その支配を強めていき、音楽・たばこ・サッカー・外出・自由な結婚などを次々に禁止し、違反した場合はむち打ち・石投げ・銃殺などの厳罰に処していく。同じ敬虔なイスラム教徒でありながら、あまりにも異なる過激派支配層と住民たちの考えをゆったりと描いていく。カリカリしないでゆったりと描くことで、作品の説得力が増し、成功している。
23.「Xミッション」2月25日  **
 : CG/スタントを一切使わずにアクション場面を撮影したというのが売りの作品。そうした意味では迫力あるアクション(モトクロス・サーフィン・人力飛行・ロッククライミング・大落下など)が存分に織り込まれており、その面では成功しているといえるが、ストーリー展開に不自然さが残り評価が下がる。
24.「最愛の子」2月26日  ****
 : 最愛の3歳の息子を誘拐された離婚した両親が、懸命の努力を重ね、3年後に子供を発見、取り戻すまでと、それから親子の絆を取り戻すまでの苦労をつづった映画。これを主軸に、横軸に中国では子供の誘拐が多い事情、また子供を見つけ出すための親の会の活動、里子を認められるための親の資格、一人っ子政策などを取り上げ、深みのある映画にすることに成功している。
25.「ヤクザと憲法」2月29日  ***
 : 大阪の指定暴力団に東海テレビのカメラが入り、ヤクザの実生活に密着する、異色のドキュメンタリー映画。ヤクザとは何か、暴力団対策法・暴力団排除条例成立の歴史を説明し、それには、それなりの理由があったということを納得させる。そして、ヤクザの日常に加え、山口組の顧問弁護士の検察・警察の不当起訴なども紹介する。そして、組長のヤクザではないその家族(子供)が保育園に入れて貰えない、銀行口座を持てない、ローンが組めないなどのヤクザへの人権侵害(憲法14条違反)があるという主張を紹介する。組長の「暴力団をなくすというのも選択肢だが、そのとき誰が組員の面倒を見るのか、誰も面倒を見ない」という言葉と、21歳の部屋住み(見習い)の「日本の社会では学校でも、毛色の変わったものがいると、すぐにいじめて、排除しようとする。自分は相手が嫌い、相手は自分を嫌いでも双方とも生きていける社会が良い社会だと思う」という言葉が、印象的で記憶に残った。
26.「ヘイトフル・エイト」3月1日  ***
 : ここ数作のタランティーノ監督作品のなかでは一番良くできた映画。娯楽作品の原点に徹し、どうストーリが展開していくのかの緊張感、癖のある8人の登場人物の絡み合い、ユーモアとリアルを超えた暴力場面などなど。
27.「マネー・ショート」3月7日  ***
 : 「リーマン・ショック」がなぜ起きたかを取り上げた作品。その中心になるのが「サブプライム・ローン」。3つの投資家グループが、その問題点に気づき、その破たんを見抜き、暴落にかけて大儲けした経過を取り上げて、ストーリー展開をはかっている。「サブプライム・ローン」は、信用度の低い(ローン返却リスクの高い)顧客向けの住宅ローン。これを証券化して売ろうとしても、高リスクのため買い手がいない。したがって、これを売るために、信用度の高い住宅ローンとまぜて、信用度はAAAという最高度をつけて(信用格付け会社は、審査なしでAAAを保証)証券化した商品として販売する(「サブプライム・ローン」が混ざっているとは一言も言わない)。そして不動産販売の現場では、顧客の信用調査など一切しないで(無職だろうが、返済能力がなさそうだろうが)ローンを組んで、家を売るということが常態化している。こうして、住宅ローン会社(銀行)、証券会社(住宅ローンを証券化して販売)、格付け会社、銀行(証券化商品を顧客に販売)、不動産会社が一体となって大儲けしながら、住宅バブルを謳歌していた事実をわかりやすく描いている。そして、明らかな違法行為の積み重ねにより、世界中の実態経済にも破滅的な影響を与えた結末が、税金による銀行の救済であり、逮捕されたのは、わずか一人のみだったと付け加える。
28.「暗殺の森」3月8日  **
 : デジタル復刻版上映。ムッソリーニ統治下のイタリアとドイツ軍統治下のパリを舞台に物語は進行する。映像の美しさは、現代でも違和感なく通用する。しかし、ストーリー展開が現実味を欠き、没入できなかった。
29.「家族はつらいよ」3月14日  ***
 : 「東京物語」のパロディ。3世代同居家族で隠居の身の祖父が妻の誕生日プレゼントに何がほしいかと訊ね、「離婚届に判を押してほしい」といわれ、大騒ぎになるところから物語は始まる。
30.「アーロと少年」3月17日  ***
 : ピクサーのアニメ。今回のテーマは、「子どもから大人への成長=自立」と「家族」。物語は、アーロ(恐竜の子ども)と少年(人間)との出会いと、友情と二人の冒険を軸に展開する。
31.「リリーのすべて」3月21日  ****
 : 画家夫婦の夫があるきっかけで自分の中の女性に目覚めていく(1920~30年代の物語)。医者の診察を受けるがほとんどは精神病(分裂症)との診断。しかし、最後に診てもらった医者が、性同一性障害で女性への性転換施術も可能と判断する。主人公と妻がその事実を見つめ・受け入れていく苦悩の過程が時代背景もふくめて繊細に描かれている。
32.「マリーゴールドホテルー幸せへの第二章」3月22日  ***
 : 柳の下に二匹目の泥鰌はいた。第一作より、人間模様を深堀して豪華キャストの持ち味を十分に生かし、楽しい作品に仕上がっている。
33.「エヴェレスト 神々の嶺」3月22日  ***
 : 伝説の登山家羽生(阿部寛)と写真家深町(岡田准一)との絡みを中心に山の怖さと誰もなしえなかったことにしか意味を見出しえない天才登山家の姿を描く。
34.「愛しき人生のつくりかた」3月24日  ***
 : 時間をかけて観客動員数100万人超えを達成したフランス映画。80歳代の一人暮らしの母親の養老院入居問題、定年危機、息子の恋人探しを主たるテーマに家族模様を織りまぜながら、それぞれの年代に応じた幸せの在り方をフランス流のウイットで笑わせながら見せてくれる佳作。
35.「ハッピーアワー」(第一部)3月28日  ***
 : 4人の女友達の付き合いとそれぞれの家族関係などを中心に人間模様を描いた作品。主テーマは人間の絆・コミュニケーションの微妙さ難しさ。4人の主人公は全員素人を起用し、ロカルノ映画祭(スイス)で4人そろって主演女優賞受賞。
36.「リップバンウインクルの花嫁」3月29日  ***
 : 見終わったあと、不思議な印象が残る映画。前半は、サスペンス調、後半はメルヘン調、エンディングは劇画調。これらがかみ合い、強烈なインパクトを与える。
37.「暗殺教室」(卒業編)3月29日  ***
 : 春休み中で映画に登場する生徒たちと同年齢の学生たちが連れ立って大勢見に来ていた。映画は期待以上の出来栄え。この学生たちを見ていて感じたのは、この映画のような先生と生徒・生徒と生徒の強い絆を求めているのだ、ということ。
38.「ハッピーアワー」(第二部・第三部)3月31日  ****
 : 全部で上映時間317分という長編映画。第一部では「重心を探る」ワークショップ、第三部では「小説の朗読会とトークショー」をそれぞれ約1時間取り込んでいる。この映画のテーマは「人間のつながり、自分の感じていること・考えていることを相手に伝えること、また逆に相手の感じていること・考えていることを理解すること双方の難しさ=コミュニケーションの難しさ」であり、その手段として重要ではあるが、また同時に限界を有する「言語」の役割、その限界を補うものとしての「体」(ボデイランゲエッジ)の役割をうまく伝えている。この映画は、脚本が実に綿密に書かれており、上記に加え、登場人物の一人一人の個性を際立てることに成功している。
39.「母よ」4月4日  **
 : 一見主人公は映画監督をやっている女性。そこで多くのカットは、その撮影風景となっている。あと娘との暮らし、別れた夫との関係などを交えながら、兄と二人で老い始めた母親の介護を描く。最後に分かるのは、この映画は母親の偉大さを描きたかったのだということ。映画撮影のカットの多さがなんのためなのか?
40.「ロブスター」4月6日  ***
 : 昨年度カンヌ映画祭審査員賞受賞作品。両極端な環境・価値観の中で主人公がとった行動を描く。最初の環境は、「独身は悪である」という価値観にもとづき、独身の男女が集められ、45日間のあいだにパートナーを見つけられなければ、希望する動物に変身させられるという罰が与えられる。主人公は、結果的にパートナーと上手くいかず、脱出し、森に逃げ込む。この森には、「結婚(パートナーと暮らす)は悪である」という価値観にもとづき、男女が一人で暮らをするグループが集団で暮らしている。ここでは、恋に落ちたら、罰を与えられ、引き離される。主人公は恋に落ちるが、それが発覚し、、恋人の女性は罰として、視力を奪われる。そこで、二人は森を脱出する。主人公がその後取った行動はーーーー。この映画が一体何を言いたいのか?月並みな「ロマンチック・ラブ」賛美か?多分、単純な賛美ではなく、普通の「ロマンチック・ラブ」は利己主義的な自我追求が主になっているが、相手を自分より慮る利他主義的な関係の重要性なのだろう。
41.「蜜のたわむれ」4月7日  ***
 : 芥川龍之介の友人だったという老作家を主人公とする幻想的映画。室生犀星原作。「人を好きになるのは愉しいことでございます。」飼っている金魚の精の少女との愛人関係がストーリーを引っ張る。12年前に死んだ老作家の恋人が幽霊で登場したりの幻想的な映画だが、この部分には不自然さは感じられず、成功している。しかし、ときおり折り込まれる老作家の文学論などが、心に響かず浮いてしまっていたのが残念。
42.「ルーム」4月9日  ****
 : 本年度アカデミー賞主演女優賞(ブリー・ラーソン)受賞作品。7年前17歳の時に誘拐され、「ルーム=窓のない納屋、天井に天窓がある)」に監禁された主人公を描く。前半は、5歳を迎えた息子との「ルームの内」での生活、後半は「外」に脱出して日常の世界に復帰してからの生活を描く。前半は、ルームで生まれ育ち「外」を知らない息子に、唯一の情報入手手段であるテレビから伝えられる知識が「リアル」なものか、「偽物」かを教えていく生活。後半は、脱出に成功し、憧れだった自由の身になって、万々歳のはずだった生活がそれだけではなかったこと。両者の対比を鮮やかにすることによって、物語に深みを出すことに成功している。親子の絆が母親を救うエンディングもいい。
43.「マジカルガール」4月11日  **
 : 人間の想像力を上手く使ってストーリーを展開するという意味では、よく考えられた映画。しかし、主人公(バーバラ)が何を考えて行動しているかが、本質的な部分で描き切れていないため、空回りしている、との印象が残った。
44.「あやしい彼女」4月12日  ***
 : 同名の韓国映画のリメイク版。基本的なストーリーは原作に忠実、細部で随所に日本的味付けが加えられており、それが成功している。
45.「孤独のススメ」4月12日  **
 : 日曜日には住民の全員が教会に行き、いつもの席に座るというような、オランダの田舎町を舞台とするストーリー。妻を事故で失い、毎晩6時を時計が告げると夕食を始める主人公のもとに事故で記憶を失い、徘徊癖のある男が迷い込んでくる。そして、その男は居ついて、2人は一緒に暮らし始め、信頼を深めていく。この作品で何を訴えたいのか、今一つ分かりにくい作品。
46.「さざなみ」4月13日  ***
 : 結婚45周年記念パーティの直前に老夫婦の夫に手紙が届く。その内容は、夫婦が出会う前に夫が付き合っていて、スイス旅行中に岩の割れ目に落ち行方不明になった女性が発見されたという知らせだった。それをきっかけに、妻は今でも夫の心の中にその女性が影を落としていることに気付く。45周年記念パーティの最後の挨拶で夫は、妻と出会い結婚したことが、人生で最大かつ最良の選択だったと述べる。参加者の誰からから見ても、最良の結婚生活を送っている非の打ちどころのないカップルに見えるが、妻の心に生じた「さざなみ」はおさまるところを知らない。シャーロット・ランプリングはヒロインの複雑な思いを見事に演じている。今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた繊細な演技は見ごたえあり。
47.「スポットライト」4月15日  ****
 : 今年度アカデミー賞作品賞受賞作品。作品賞候補作8本の内6本を観た現時点での印象。この作品以外では、「ルーム」「マッドマックス」が良かったが、総合的にはこの作品が上で、妥当な判断。地道な取材・資料収集分析の積み上げ、そして何よりも重要なのは報道により何を目指すのか(今回は子どもに対して性的虐待を行った個々の神父の糾弾ではなく、それを引き起こしたカトリック教会の組織・システムの糾弾)の重要性に焦点を当てて取材報道するのが「マスコミの使命」であるとの信念が的確に伝えられている。
48.「グランド・フィナーレ」4月19日  ***
 : 原題「YOUTH」。60年来の親友である引退した音楽家(作曲・指揮)といまだ現役の映画監督が夏のバカンスをスイスの高級リゾートで過ごすという設定。二人の現在と過去を、残り少なくなった老年の視点から描いている。原題は、そうした二人が失ったものを取り上げ、老いを生きる二人の生きざまの違いを鋭く描いている。ゆったりとしてペースでストーリーを展開させて、独特の世界をつくることに成功している。
49.「火の山のマリア」4月22日  ***
 : 昨年のベルリン映画祭銀熊賞受賞作品。メキシコの国境に近い火の山(火山)の麓のガテマラの農村地帯を舞台とする物語。主人公一家は仕事を求めて農村を渡り歩く先住民。ガテマラの自然・先住民への差別、押し寄せる近代化の波、ガテマラの現在を上手く切り取りながら、先住民の伝統を受け継ぎ、娘と娘を守る母親のやさしさと強さを生き生きと描くことに成功している。
50.「断食芸人」4月22日  **
 : ある街の商店街で、一人の男が、断食を始める。男は、一言も言葉を発しない。しかし、やじ馬がだんだん集まりだして、マスコミも大挙おしよせて、断食の様子を報道、全国的トピックとなる。断食の目的について、周りがそれぞれの立場から、勝手な憶測を述べる。そこで取り上げられるのは、「現代人の自由は、監獄の自由」「国家権力の無節操さ」「宗教の無力化」などなど。断食が40日間というギネス新記録を達成したのをピークに、やじ馬もマスコミも関心を失い、潮が引くようにいなくなる。50日目に男は言葉を発し、警備していた自衛隊員に、「好きな食べ物が見つからなかったから、食べなかっただけだ」といい、射殺されてしまう。映画のエンディングでオチを付けなければいけないという監督の性だろう。これで、この映画のインパクトは失われてしまった。断食の目的は、それぞれの観客の想像力にゆだねるほうが、インパクトが大きかったのではないだろうか?
51.「レヴェナント」4月24日  ***
 : 今年度アカデミー賞監督賞・主演男優賞受賞作品。2時間半に近い映画。そのうちの約2時間が主人公が瀕死の重傷を負い、回復していく過程、そして回復しかけたらまた重傷を負うという場面。最後の30分が息子を殺した男を追い、敵を討つという場面。自然の雄大さと過酷さを、素晴らしいカメラワークで見事にとらえており、デカプリオの熱演も光る。今年のアカデミー賞は妥当な判断。
52.「最高の花婿」4月25日  ***
 : フランス人の5人に1人が見たという人気映画。4人娘の家族で、年上の3人の娘が結婚相手に選んだのは、アラブ系・ユダヤ系・中国系のフランス人。両親は末娘の結婚式だけはカトリック教会で式を挙げさせたいと願っている。そして、末娘が相手に選んだのはカトリック教徒だが、なんとアフリカ系。一旦喜んだ両親はーーーーー。フランスの現在の移民問題を抑えつつ、フランス流ウイット満載で、笑わせながら異文化交流を見事に描いている。
53.「俳優亀岡拓次」4月25日  ***
 : 泥棒・流れ弾に当たって死ぬ役など脇役をやらせたら欠かせない役者。声がかかり、日本中を仕事で飛び回るが、決して主役は回ってこない。そうした、役者の意地と独身の寂しさを鮮やかに切り取ってまとめた映画。
54.「ズートピア」4月27日  ***
 : 現代の大事なテーマに正面から取り組み成功している。人種(映画では肉食動物と草食動物)、の共存、誰でもが自分のなりたいものになれる開かれた社会、個人の夢の実現、正義と悪、人間関係(信頼と裏切り)など。最近のディズニー映画では、最も良くできている。
55.「アイ・アム・ア・ヒーロー」5月3日  ***
 : 新型感染症が突如大流行、感染は噛みつかれることによる血液感染。高所ではその菌が死ぬとの情報により、富士山を目指す人たちが殺到する。うだつの上がらない漫画家助手が、避難途中で出会った女子高生と行動を共にするうちに、普通の人から最後にヒーローになっていくという、エンターテインメント映画。かなり無理のあるストーリーなのだが、あまり不自然さを感じさせないように仕上げているところが評価できる。
56.「スキャナー」5月5日  ***
 : 「モノ」に残された「思念」を読み取る能力を持つ主人公が、その力を用いて連続殺人事件を解決に導くというエンターテインメント映画。主人公は、その能力により一時期、その能力を使う芸人として活躍していたが、人間の「汚い面」を見すぎて引退する。その引きこもり状態から引っ張り出し、事件解決に協力させる、そして、最後に「人間は美しい。」という台詞で終わるのが、見どころ。野村萬斎はさすがに達者。
57.「追憶の森」5月9日  ***
 : 原題は「The sea of trees(樹海)」。アメリカから死に場所を求めて青木ヶ原の樹海にやってきた主人公が、樹海で渡辺謙扮する日本人に出会い、生きて樹海を出たいという彼を助けるために努力する内に生きる望みを取り戻す。その合間に何故主人公が日本にやってきたかを回想場面で織り交ぜてストーリーが展開していく。日本人の「死後の世界観」=「死んだ人は霊となって死んだ後も身近な人のそばにいる」が主人公に生きる希望を与える。
58.「世紀の光」5月11日  ***
 : カンヌ映画祭大賞受賞監督作品(2006年製作)。バンコクの近代的な大病院を舞台に現代のタイの姿を描く。病院・医師は基本的には西洋的な医療を行っているが、しかし、医師・患者・家族の間では、東洋医療(気功・漢方・ヨーガなど)も当然のように取り入れられており、また東洋的霊性を持っている。西欧的な現代とアジア的な伝統を併せ持つタイ人の今をうまく切り取った作品。
59.「光の墓」5月11日  ***
 : 「世紀の光」の延長線上にある作品。舞台はタイの地方都市にある廃校を活用とした小さな病院。ここにボランティアとして活動する老婦人・霊と交流する能力を持つ少女と大半の時間を眠って過ごしている軍人の入院患者の交流を描く。眠っている人間や死者との交流は、交流したいという感性と想像力があれば誰にでも可能とする東洋的伝統を映像で描く。
60.「殿、利息でござる」5月16日  ***
 : 思っていた以上に楽しめた。その理由は、脚本がよく練りこまれたものに仕上げられていたから。
61.「山河ノスタルジア」5月18日  ***
 : 中国映画。1999年、2014年、2025年という3つの場面設定で、ストーリーは展開する。最初は、広東省の地方都市で25歳に育ったヒロインと仲良しの2人の男友達。ヒロインは、2人と等しく距離を置こうとするが、2人とも男と女の関係を求める。ヒロインは、事業で成功している友人を結婚相手として選び、男の子を産み、もう一人の友人は街を去る。2014年、ヒロインは、離婚し町に残ってガソリンスタンド経営、元夫は事業の拡大に成功し、上海で再婚、男の子を引き取って育てている。そこへ、今は結婚し子どもも生まれたもう一人の友人が、体を壊し、街に戻ってくる。ヒロインは、その友人の治療費を用立てる。ヒロインの父が死に、7歳の息子が葬儀に出席、久しぶりの再会を果たす。2025年、舞台の中心はオーストラリアに移る。息子は、中国に居られなくなった父と暮らし、大学に通っている。自分のやりたいことを見つけられず、父とも対立し、家を出ようとする。故郷に残る母に逢いに行くか迷いながら。故郷とそれが個々人にとって持つ意味を、3つの時間で切り取ることにより、鮮やかに描き出すことに成功している。
62.「ヘイル・シーザー」5月23日  ***
 : ハリウッド映画の舞台裏を織り交ぜながら、映画の楽しさを訴える娯楽作品。ハリウッドのスタジオを背景とすることで、無理なくいろいろな映画の撮影風景を取り入れ、作品の幅を広げることに成功している。
63.「ディストラクション・ベービーズ」5月24日  ***
 : 現代の時代を切り取る一風変わった青春映画。主人公は、18歳の高校生。両親が早死にし、16歳の弟と暮らしている。高校の友達と喧嘩をすることが、日々の暮らし。しかし、ある日、家を飛び出し、行方不明となる。そして、松山の繁華街で、ヤンキー・ヤクザに喧嘩を吹っ掛けている。喧嘩の特徴は、相手が何人いても一人で、やられてもやられても、相手に立ち向かっていく。そして、相手に会うたびに、また、立ち向かっていき、最後には、やっつけるという執拗さを持っている。最後には、主人公に心酔したヤンキーの一人と、繁華街で通行人を無差別に襲うという事件を起こし、逃亡を余儀なくされる。この主人公は、ほとんど喋らず、黙々と喧嘩に集中する。それだけが、生きる証と楽しみであるかのように。この映画の多くの場面が、喧嘩であるが、暴力賛美とは受け取れないのは、主人公も喧嘩相手も武器を使わないで素手で戦うという暗黙のルールが設けられているため。
64.「海よりもまだ深く」5月24日  ***
 : 脚本も是枝監督が担当。阿部寛演じる主人公は、小説家志望だが、その志も半ば忘れ、生活のため、探偵家業をやっているが、離婚され、月に一度の一人息子との再会だけが楽しみだが、養育料・家賃の支払いにも事欠くという、うだつの上がらない暮らしを送っている。その3人に母親・姉との関係を絡めて、家族の微妙な関係・人間の機微を絶妙なタッチで描く。格差社会の負け組(庶民)の幸せとは、というテーマを軽快なタッチで描く。
65.「風の波紋」5月25日  ***
 : 越後妻有の里山の暮らしを描いたドキュメンタリー映画。登場人物の一人木暮さんは10年前に村に移住してきた。藁ぶき屋根の家と田んぼを借りて農業をしながら暮らしている。大地震でこの家が大きく傾いてしまうが、修復を決意し、村の仲間の手助けをもらい、それを成し遂げる。昔からの村人が、新来の移住者組を支えながら村を守っている姿を、自然の厳しさ(大雪)・美しさ・めぐみを交えて描いている。
66.「ひそひそ星」5月25日  **
 : 人類が20%、アンドロイドが80%という未来社会が舞台。ヒロインは宇宙間で宅配便を配達するアンドロイド。モノをトランスポーテイションで送る手段ができてから、宅配便でモノを送るという習慣はなくなってしまった。「時間と距離にこだわる人間の最後のプライド」が宅配便使用を続けさせている。荒廃した星を描写するために東日本大地震で破壊された三陸海岸を使用、またこれにマッチさせるためにか、ヒロインの使用している宇宙船は、昭和30~40年代のアナログのレトロな雰囲気でまとめている。人間の未来がどうなるかという問いに太する一つの答えとして、この映画が製作されたのだろうが、インパクトは今一つ。
67.「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」5月31日  ****
 : 従来とアプローチを変えた制作方法が成功した作品。これまでは、「これが問題だ」として、それを徹底的に掘り下げるというやり方が主流。今回は、約10カ国を訪れ、そこで行われている素晴らしい実践(企業利益と労働者福祉の両立、フルコースの学校給食、労働者の経営参加、宿題がないのに学力世界一、無料の大学教育などなど)を紹介し、それをアメリカに持ち帰るというアプローチ。この映画のオチは、それらのほとんどが、実はアメリカで最初に考えられたものであるとの指摘。否定主体のアプローチのディメリットは、それではどうするのがいいのかということが分かりにくいこと。理想の姿を示して、それとアメリカの現状と対比することで、より鋭い現状批判になっている。
68.「ヒメノワール」5月31日  ***
 : 現代の下層の若者の生活・感情をふくめた世相を上手く切り取った作品。非正規雇用・恋人不在(恋愛願望)・ストーカー・いじめ・暴力(殺人)などを絡めてストーリーを組み立てている。若者の共感が得られる出来栄え。
69.「すれ違いのダイアリーズ」6月3日  ***
 : 2014年タイ代表アカデミー賞参加作品。タイの辺鄙な湖にある水上学校(分校)に赴任してきた新米教師が、前任者の残した日記を見つけ、自分と同じ苦労をしたことを知り、励ましを受けると同時に、いつしか見たこともない恋心を抱くようになる。映画の全体に構想と細部がよく考えられた完成度の高い作品。教師(教育)の役割とは何かというテーマに真正面から取り組み、子どもらしさも的確にとらえ、美しい自然も描いている。
70.「ヴィクトリア」6月6日  ***
 : マドリードでピアニストの夢が絶たれ、ベルリンにきて半年、カフェでアルバイトをしているヒロインが、深夜にベルリン子の4人組と出会い、話を交わしたことから、銀行強盗に巻き込まれていくというストーリー。この作品の特徴は、その数時間の出来事を、140分ワンカットのように編集していること。これは、大成功で、独特の臨場感を出している。
71.「デス・プール」6月7日  ***
 : 「スーパー・ヒーロー」になりたがらなかった「スーパー・ヒーロー」の物語。「スーパー・ヒーロー」物は、キャラが単調になりやすいという欠点がありがちだが、キャラを新しくし、コミック仕立てに味付けすることでこの作品は成功している。
72.「ノック・ノック」6月14日  ***
 : 若い二人連れの女の子が豪雨の中、ずぶぬれになって、妻と子供を泊りがけの旅行に送り出した男の家の扉を叩く(ノック・ノック)。家に入れるべきか一瞬迷うが、家に入れる。タクシーを呼ぶが1時間以上かかる間に、服を乾かして欲しいといわれ、バスローブを出してやり、乾燥機にかける。車が来たので、声をかけるが、二人はシャワーを浴びており、出てこないため、催促すると、男を引っ張り込み、セックスに持ち込む。朝目が覚めると、二人は大騒ぎしながら、台所でめちゃめちゃに散らかしながら食べている。ここからストーリーは一転し、二人のやりたい放題が始まる。あまりのことに、男は警察を呼ぼうとするが、二人は、未成年者とセックスしたと警察に訴える(懲役15年)、家族・隣人にも知らせると伝え、やりたい放題を続ける。一瞬のスキをつかれ、その結果の恐ろしさ(=一日にして家族・隣人・仕事場で築いてきた関係が崩壊する)を鋭く描いた作品。
73.「つむぐもの」6月20日  ***
 : 頑固で紙漉き一筋の職人が、脳梗塞で左半身にマヒが生じ、介護が必要になる。家族は老人ホームに入れようとするが、元気な時でも人と上手く付き合えない人嫌いであるが、自宅で暮らすと言い張る。韓国で大学を出て博物館に勤めるヒロインが、仕事に興味が持てず、投げやりな態度で首になる。そこで、日本で介護の仕事がると聞き、日本にやってくる。日本語も分からず、介護の知識もないヒロイン。出会ったとたん、職人が発したのは、「韓国人は国に帰れ」の一言。ここから二人の付き合いが始まり、最後には深い絆が生まれる。介護・日韓の感情問題も絡めて、地味だが見ごたえのある作品に仕上がっている。
74.「バペットの晩餐会」6月20日  ***
 : 1987年アカデミー賞外国語映画賞受賞作品のデジタル・りマスター版。デンマークの海沿いの辺鄙な村に住む牧師と美人で評判の二人娘を中心とする物語。牧師の死後、二人を頼って、フランス革命で夫と子供を殺され、国外追放になった女(バベット)がやってくる。そして、家事を担当し、地味に存在感を示す。それから14年後、牧師の生誕100年を祝う食事会を二人娘は計画する。そのときバペットに手紙が届き、宝くじで当たった1万フランが送られてくる。そこでバペットは、晩餐会を自分持ちでやらせてほしいと提案する。フランス料理でもてなすため、材料をフランスから取り寄せる。そんな材料を見たこともない村人たちはーーーーー。
75.「永遠のヨギー」6月20日  ***
 : 1920~40年代を中心にアメリカを中心とした西欧社会に「ヒンドゥ教の神髄」を伝え、大きな影響を与えたヨガナンダの生涯をドキュメンタリー風に紹介した映画。心身二元論の西欧的思考を否定し、心身一元論の東洋的思考を説いたヨガナンダの生き方を的確に描いている。
76.「クリーピー 偽りの隣人」6月21日  ***
 : 今まであまりなかったタイプのエンターテインメント映画。観ていてだんだん怖くなってくる。それを生み出しているのは、良く練られた脚本と香川照之の演技力。
77.「教授のおかしな妄想殺人」6月21日  **
 : 変わり者と評判の新任哲学教授が主役のエンターテインメント映画。鬱気味の教授は、人生の目的を見失い、感動のない生活を送っている。ある日、偶然悪徳判事が善良な市民を苦しめていることを知り、殺せば市民が助かり、社会に正義が戻ると考え、完全犯罪を計画・実行する。それと同時に、人生の目的を得たことで、人生は再び輝きだし、生きる喜びが戻る。しかし、それに気づいたガールフレンドは自首を勧め、もし自首しないなら、警察に通報すると告げられる。そしてーーーー。日本語のタイトルは、「Irrational
man」という現代のニュアンスを上手く伝えていない。
78.「エクス・マキア」6月21日  ****
 : 今年度アカデミー賞視覚効果賞受賞(脚本賞ノミネート)作品。確かに見事な映像であるが、それとともに、この映画を成功させているのは、よくできた脚本。AIの未来がどうなるのか、いずれは人間はAIの淘汰されるのか。それを判断するためには、チューリング・テスト(AIとの対話を通じて違和感を感じないかを判断するテスト)を行い、AIがどの程度自分で考え・感情を持つかを含めて結論を出す必要がある。このプロセスが実に見事に描かれており、必見出来栄えに仕上がった。
79.「オマールの壁」6月22日  ***
 : アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。イスラエルが建設した巨大な分離壁に囲まれたパレスチナ自治区に暮らす主人公のオマール。幼なじみと3人で検問所のイスラエル兵を狙撃・射殺する。イスラエル秘密警察に逮捕されたオマールは、一生を監獄で暮らすか・スパイ(協力者)になるかを迫られ、余儀なくスパイになるといい、出所する。そして、オマールが悩んだ末に取った行動はーーーーー。「オマールの壁」の「壁」は、第一義的には、巨大な分離壁の「壁」(イスラエルとパレスチナ自治区の壁)を指すが、そのほかにも、社会との断絶を意味する「監獄の壁」、出所後、彼を裏切り者とみる「パレスチナ人の壁」、「幼馴染3人の間の壁」、「恋人との間の壁」も省庁している。
80.「シテイズンフォー スノーデンの暴露」6月24日  ****
 : 本年度アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞受賞作品。現在アメリカでは、明らかな憲法違反であるアメリカ人全員(犯罪容疑者ではない)並びに海外の外国人に関する監視・情報収集が各種ソーシャルネットワーク・スマートフォンをも活用して体系的に行われているかをヴィヴィッドに描く。その意味するところは、プラーバシー=自由の喪失。その意味するところの重大さを告発するために立ち上がったスノードンの確固たる信念が鮮やか・かつ爽やかに光る。
81.「木靴の樹」6月27日  ****
 : 1978年カンヌ映画祭大賞受賞作品。北イタリアの寒村で小作人としてくらす4家族の姿を中心に描く。小作人は、地主から農地・家と一部の家畜・樹などを借りて農業を行い、収穫の3分の2は地主に収め、残りの3分の1で子だくさんの家族を養うためつつましく暮らしている。季節の移り変わりに合わせた、農作業、牛・馬・豚・アヒル・鶏などの家畜とのかかわり、キリスト教(神)が暮らしの中に息づく生活など農民の生活を丹念に描く。地主の樹を無断で切り、子どもの木靴を作った家族が追い出される場面で、不条理なやるせなさを残して映画は終わる。
82.「緑はよみがえる」6月27日  ***
 : 舞台は1917年第一次世界大戦中のイタリア・アルプス山中にある雪に埋もれた塹壕陣地。目と鼻の先に敵の塹壕が迫っており、兵隊は戦争が終わり家族のもとに帰る日だけを楽しみに任務に耐えている。画面に映るのは、最初から最後まで白一色の雪山と雪に埋もれた塹壕。敵の砲撃の照準が合いだし、多数の死傷者を出し、撤退命令がでる、敗色濃い戦況の中で戦う兵士の姿を丁寧に描いている。タイトルは、この戦争もいつか終わり、忘れられということの「象徴」として使われている。
83.「ダーク・プレイス」6月28日  ***
 : ヒロインは、28年前の8歳の時に、母親と2人の姉妹を惨殺され唯一生き残った末っ子。ヒロインが、兄が3人を殺すところを目撃したと証言し、兄もそれを否定しなかったため、現在も刑務所に服役中。ヒロインがある会合への出席を求められ、参加したところから、物語は動き出す。鍵を握る関係者に会っていくうちに、事件の謎が徐々に解きほぐされていく。脚本が、よくできており、安心して楽しめた。
84.「マネーモンスター」6月29日  ***
 : 財テクの人気番組「マネーモンスター」が生放送中に一人の男に乗っ取られる。犯人は、司会者に爆弾を装着したチョッキを着せ、ピストルで脅しながら番組の生放送を続けるように指示する。犯人はこの番組が絶対に安全に儲かると強く推奨した株が、急騰後一日にして急落(90%)、全財産6万ドルを市場全体では8億ドル(800億円)が失われた原因の説明と謝罪を会社と番組に要求する。会社側の説明は、「超高速取引のプログラムのバグが問題を引き起こした」の一点張り。犯人はそれは説明になっていないと激怒し、真の理由を解明するように番組に求める。生放送で視聴者の目の前で事態が解明されていくという設定が、緊張と臨場感を増し、この映画成功の要因になっている。
85.「裸足の季節」7月1日  **
 : イスタンブールから1000キロ離れた海べりの町に住む5人の姉妹を描く物語」。姉妹は8年前に両親を事故で亡くし、叔父の家で祖母に育てられている。学校帰りに男子生徒とふざけていたことを心配し、叔父は姉妹を学校に行くことも禁じ自宅に閉じ込め、次々に年上の3人の姉妹を結婚させる。4人目の姉妹も望まぬ結婚をさせられそうになるが、末っ子が一緒に家出をはかる。イスラム国の中では最も自由に見えるトルコでも結婚は親が決め、結婚前に傷物になったら結婚はできないということが一般的であることを紹介。
86.「ブルックリン」7月4日  ***
 : 今年度アカデミー賞作品賞ノミネートされ日本で公開される最後の作品。父を亡くし、母と姉と暮らすヒロインが、アイルランドでは碌な仕事もなく、姉の知り合いの神父の紹介で知り合いの一人もいないアメリカにわたり、自分の人生を切り開いていく物語。日本人には、ある程度の基礎知識がないと、物語の世界が深くは理解できないのではないか。アイルランドがいかに土地に恵まれず貧しいか、アメリカ社会で成功を収めているのは、WASP(アングロサクソンの白人でプロテスタント)で、アングロサクソンでない白人、カトリック教徒は下層を構成することが多い、ということ。姉が急死し、アイルランドに一時帰国する直前に結婚し、アイルランドで地元のエリートと恋に落ちかけるというストーリーは不自然で気になった。
87.「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」7月7日  ***
 : 第一作「不思議の国のアリス」と比較すると劣るものの、良くできている。人間にとって何が大切か、信頼関係・家族・時間への対し方などルイス・キャロル一流の見方を示す。
88.「シネマ歌舞伎 アテルイ」7月12日  ****
 : 歌舞伎を基本としながら、映画の良さ(クローズアップ・効果音の活用など)をうまく取り入れ、染五郎・勘九郎・七之助の魅力・実力をまんべんなく引き出した力作。その成功の最大の要因は3人の熱演を引き出し・生かした中島かづきの脚本。大和朝廷の蝦夷征伐というテーマを、国家・天皇・神と人間という根源的なテーマと絡ませて描くことにより、この物語を骨太でスケールの大きな作品に仕立て上げrている。
89.「インディペンデンスデイ:リサージェンス」7月12日  **
 : 多少期待して観たが落胆した。「アテルイ」と反対に脚本の薄っぺらさが失敗の原因。
90.「生きうつしのプリマ」7月19日  **
 : 話が分かりにくく、楽しめなかった。ヒロインの父親が、ネットで一年前に死んだ母親に「生き写しのプリマ」(ニューヨークで活躍中)を見つけたことから、物語が始まる。父親の頼みで、NYにプリマに会いに行き、このプリマが何者なのかの謎解きをミステリー仕立てで行うというのがストーリー。ストーリーを分かりにくくした最大の原因は、プリマを母親にも見える年配の女優を起用したこと。これが謎解きの結論、「プリマはヒロインの姉妹だった」と違和感が埋まらなかった。
91.「ファインデイング・ドリー」7月19日  ***
 : 海の中の美しさを満喫させてくれる映画。この映画のテーマは、「家族愛」。なんでもすぐ忘れてしまうドリーが忘れなかったのが「家族」。そして、伝えるメッセージは、「どんな問題に出会っても、あきらめてはいけない。状況をよく観察して、一生懸命考えれば、解決策が浮かんでくるし、勇気をもってそれを実行すれば、必ず問題は解決できる」。
92.「団地」7月21日  ***
 : シネコンでの上映がないため、ジャック&ベッテイーで観たが、連日満員という近年にない客の入り。その理由は?最大の理由は、よく考えられた脚本。大阪の団地を舞台とすることにより、庶民の噂話好きを吉本流の乗り(含む関西弁)でうまく描き、これが日常と非日常(異界)の境を低くする仕掛けにもなっており、異界の存在を観客に不自然さを感じさせないで物語の世界に引き込むことに成功している。藤原直美をはじめとする俳優陣の好演も光る。全体として良くできているが、なぜこんなに客が入るのかがよくわからない不思議な作品。
93.「トランボ」7月25日  ****
 : 第二次大戦後の冷戦下でアメリカで行われた赤狩り(その中心になったのは下院の非米活動委員会)、で告訴され、映画界から追放され、実名で脚本を書けなくなった主人公が、偽名で脚本を書き、「ローマの休日」「スパルタカス」でアカデミー賞を受賞した実話をもとに作られた作品。思想の自由を毅然として主張し、仲間を守り、家族で支えあって苦難の時期を乗り切った主人公の姿を、繊細に描いている。名セリフが多いのも楽しい。「スポットライト」より出来がいいと感じた力作。
94.「ヤング・アダルト・ニューヨーク」7月25日  **
 : 観終わった後の印象は、「いまいちイケテナイ男の一人芝居」。脚本の底が浅く、観客をいらつかせる映画。
95.「地獄の黙示録」7月26日  ****
 : コッポラ監督の歴史的名作と評判の高い映画(1979年カンヌ映画祭グランプリ受賞)。評判に違わない出来ばえ。ベトナム戦争とは何だったのかに多面的な切り口で迫る。戦争そのものの事実、アメリカにとってのベトナム戦争の矛盾、戦争そのものの本質とは何かetc。この映画の成功の一因は無理のない場面設定にある。小さな哨戒艇で河をさかのぼり目的地に向かうという設定により、場面転換を自然に行える仕掛けができている。
96.「ある終焉」7月26日  **
 : 昨年度カンヌ映画祭脚本賞受賞作品。主に終末期の面倒を見る看護師を主人公とする映画。いろいろなケース、1)患者とも家族とも上手くいく、2)患者とは上手くいくが家族と上手くいかない(セクハラで告訴される)、3)尊厳死に協力させられるを描いていく。エンデイングも唐突でなんともそっけないという印象のみが強く残る映画。
97.「ターザン」8月2日  ***
 : 全く新しいターザン映画。ターザンはイギリス貴族の紳士として登場。コンゴの植民地化・住民の奴隷化を阻止するために育った国に戻り、かっての仲間だった動物たちを動かして、闘うという物語。エンターテインメント映画して、安心して楽しめた。
98.「シン・ゴジラ」8月3日  ***
 : 現在の日本の状況を上手く取り入れた新しいタイプのエンターテインメント映画に仕上がっている。3・11を踏まえ、放射能汚染・政府・官僚・政治家・自衛隊の危機管理能力、アメリカ・国連・中ソの外交と日本外交などを巧みに織り交ぜて期待以上の出来ばえ。観客も多く入り、反応も良かった。
99.「ジャングル・ブック」8月20日  ***
 : 旅の途中でジャングルの洞窟で一夜を過ごした旅人をジャングルの支配者の虎が襲い殺すが、火で傷を受ける。取り残された赤ん坊(主人公)をオオカミがオオカミとして育てている。虎はその恨みを忘れずに、少年に育った主人公を殺そうとする。そこで、オオカミは少年の安全のためには人間の社会に返すほかないと判断し村に戻そうとする。少年と動物が力を合わせて虎と闘いついに打ち倒す。それを通じて、少年は人間として成長し、同時に動物たちを一つにまとめていた。
100.「奇跡の教室 引き継ぐ者たちへ」8月30日  ***
 : 実話の映画化。パリ郊外の貧困地区にある高校、様々な人種の生徒が集められた落ちこぼれの一年生のクラスが舞台。学級崩壊に近い状態のクラスの担任になったのは、教師歴21年で教えることが大好きな女性。このままでは落第生が何人も出そうなクラスに、「アウシュビッツの子供たち」というテーマの全国歴史コンクールに参加することを提案する。参加したくないという生徒が多い中で、活動がスタート。初めはバラバラで何をやったらいいか分からないという状態から、先生の熱心な指導で、徐々にまとまりが生まれ、生徒たちもやるべきことに目覚め、自主性が生まれてくる。そうして、見事なレポートが完成、コンクールの一等賞を獲得する。ストーリー展開・出演者の熱演ともに素晴らしく見ごたえのある作品に仕上がっている。残念だったのは、ほとんど観客が入っていなかったこと。
101.「君の名は」8月30日  ***
 : 飛騨の山村に住み東京にあこがれる女子高生の三つ葉と東京に住む男子高校生の瀧が夢をきっかけに時々入れ替わるという不思議な体験をする。しかし三つ葉の住む村は、3年前に彗星の隕石が落下して壊滅し三つ葉も死んでいた。逢うはずのない2人がなぜ出会えたのかをめぐってストーリーは展開する。そして2人は求めあい、恋に落ちていた。ジブリの作品のレベルの落ち方が激しいだけに、余計に出来の良さが目立った。この作品は、観客が異例に多く、また中高生の男子の多さにビックリした。
102.「後妻業の女」9月5日  ***
 : 豪華キャスティングで見ごたえのあるエンターテインメント映画に仕上がっている。中でも大竹しのぶと豊川悦司の主役2人の達者な演技で大いに盛り上がっている。
103.「神様の思し召し」9月7日  ***
 : 無神論で花形の心臓外科医(教授)を主人公に家族(妻・娘夫婦・息子)模様を織り交ぜながら、現代のフランスでのキリスト教(カトリック)のありようをコミカルに描く。医者志望の息子がある日医者を断念し、神父になりたいと家族に告げる。父親は、本音は大反対だが、それを言えず、誰の影響で息子がそんなことになったかを探り、ある神父に行き着く。この神父は刑務所帰りだし、色々と怪しげなところが多い。行きがかりから、神父と父親は友達になるが、最後には息子が自分は神父には向いていないと告げる。エンディングが辛口で、全編にわたりフランス流ウイット満載。
104.「アスファルト9月8日  ***
 : 舞台は、フランスの一部に取り壊しが始まっているアパート団地。そこに住むうだつの上がらない中年の独身男と夜勤の看護師との出会い、高校生とこのアパートに越してきた峠を越えた女優との出会い、住人のアラブ系夫人と誤ってアパートの屋上に帰還したNASAのアメリカ人宇宙飛行士との出会い。この三つの出会いで、コミュニケーションが始まり、絆が深まっていく様子を並行して描く佳作。
105.「イレブン・ミニッツ」9月10日  ***
 : いくつかの話が並行して展開する。途中でこれらの話はつながるのか、そのまま並行して終わるのかという疑問が浮かぶ。その答えは、エンディングに用意されていた。このエンディングを撮りたくて監督はこの映画を作ったのかと納得。
106.「キング・オブ・エジプト」9月13日  ***
 : CG技術の進歩がなければ作れなかった作品。エジプト神話の世界を上手く映像化したエンターテインメント映画。神と人間の違い、神話とリアルの世界とのバランスのとり方が難しかったと思われるが、それを違和感なく見れたということは、それが成功しているということ。
107.「超高速参勤交代!リターンズ」9月13日  ***
 : シリーズ2作目。柳の下に泥鰌はいた。1作目よりストーリーも膨らみのあるものになっており、殺陣も充実し、エンターテインメント映画としてパワーアップに成功している。
108.「フラワーショウ」9月19日  ***
 : 実話にもとづく作品。アイルランドの自然の中で育ったヒロインは、人々が自然を破壊し、自然との共生を忘れていることを問題だと感じ、「自然を生かした庭つくり」を仕事とすることを目指す。経験も浅く、後援者も持たないヒロインは、イギリス最大のガーデンショウ「チェルシー・フラワーショウ」に、無謀にも応募する。2000件の応募の中から出品出来るのは8件という狭き門を突破したものの、それは新たな難関の始まりでしかなかった。資金(25万ポンド)・自然の草花・古代技術での塀つくり、どれ一つなかったが、行動力でそれらを突破し、見事金賞を獲得するまでを描く。
109.「グッドバイ・サマー」9月19日  **
 : 14歳という思春期の真っ盛りの2人の少年の一夏の冒険を描く。自我の芽生え・恋(性)へのあこがれ・漠然とした将来への不安。思春期ゆえの悩み・希望・迷い。
110.「聲の形」9月20日  **
 : 注目を浴びているアニメ作品だが、失敗作と判断する。その理由は基本的ストーリーに説得力がないため。制作側の狙いとしては、中学生時代に耳の聞こえない新入生のヒロインをいじめて自分も孤立してしまった主人公が成長してヒロインと再会、一旦上手くいきかけるが、挫折、しかしそれを乗り越えて信頼を構築、他の生徒との友情も取り戻すという物語で観客の受けをとる、ということ。しかし、肝心の最初の出会いで、ヒロインが主人公に、いじめられながらも「友達になって欲しい」といい、また再開した時に主人公がヒロインに「友達になって欲しい」といったのか、全く説明ができていない。作る側の独りよがりだけがどんどん進み、観客は白けて取り残される。
111.「BFG(Big Frendly Giant)」9月20日  **
 : ロアルド・ダールの原作をスピルバーグとディズニーが映画化。ダールの原作は、孤児の女の子、巨人、女王様など子どもの喜ぶストーリーを用意しているが、いまひとつ切れを欠き、スピルバーグもそれを補いきれていない。
112.「レッド・タートル ある島の物語」9月25日  ***
 : セリフの一切ないアニメ映画。竹の群生する無人島に1人の若者が流れ着き、住み始める。青年は竹で筏を作り、何回も島を脱出しようと試みるが、その都度、何者かが海中から突き上げて筏を壊し、失敗する。あるときそれが、レッド・タートルであることを知る。そのレッド・タートルが島に上がってくる。若者は怒り、亀をひっくり返し放置する。亀が弱り、心配した若者は、日よけを作ったり、水を与えたり必死で面倒を見る。ある日亀は美しい少女に変身し、二人は結ばれ、子供が成長していく。息子が青年になったころ、大津波が島を襲い、壊滅状態になるが、息子は海を竹に捕まり海を漂う父を救う。ある日、息子は新天地を求めて島を出る。夫婦は年老い夫は天寿を全うする。そして妻はレッド・タートルに戻り、海に帰っていく。現代版「浦島太郎」の誕生。
113.「ある天文学者の恋文」9月26日  ****
 : 原題「Correspondence」。教え子と恋に落ちた天文学教授が死亡する。教え子は落ち込むが、死んだはずの教授から次々と手紙・ヴィデオレター・プレゼントが届けられる。それがどうして可能なのかというミステリー仕立てで物語は展開していくが、テーマは「恋とは何か」「永遠に恋愛は続くのか」という本源的な問い。その答えはーーー。
114.「歌声に乗った少年」9月27日  ***
 : 事実に基づく作品。パレスチナのガザ地区(イスラエルによる破壊・封鎖により、エジプト・イスラエルという隣国との行き来が厳しく制限されている)主人公は、子供のころから歌が上手く、姉から「有名になって世界を変える」夢を実現することを目指せと励まされる。一旦あきらめかけるが、大学生の時、「アラブ・アイドル」を選ぶコンテストに参加することを決意し、苦労してガザを脱出し、2000人以上の参加者を押しのけ優勝、ガザは誇りを取り戻し喜びに沸く。
115.「ハドソン川の奇跡」9月27日  ***
 : 実話の映画化。ニューヨーク・ラガーディア空港を飛び立った旅客機は上昇中にエンジンにに鳥が飛び込み、2基のエンジンの両方の推力を失う。当初ラガーディア空港に引き返そうとするが、推力不足で無理と判断、ハドソン川に不時着、乗客・乗員の全員155名が無事救出される。事故直後、機長はマスコミに英雄視されるが、航空当局はコンピュータ・シミレーションでラガーディア空港に無事帰還できたというデータを示し、乗客の命をいたずらに危険にされしたとして、査問を受け、一転犯罪者扱いされ、苦境に立たされる。それに対し機長のとった行動はーーーー。心を打つ作品。
116.「ニュースの真相」9月28日  ****
 : ブッシュ大統領の再選をかけた選挙運動中の「兵役義務遂行疑惑問題」の遂行をめぐるテレビのニュース報道を題材とした作品。疑惑の臭いを嗅ぎつけ、それを報道するために、裏付けをとることの重要性と大変さ、そして一旦テレビで放映されたら、それに対し、視聴者・他の報道機関・テレビ局内部でどのような反応が起こるのかが、実に鋭く描かれていた。そして、何より重要なのは、そうした流れを通じ、その報道が提起した最も重要な問題点「ブッシュは兵役義務を遂行しなかったのではないか」という点がないがしろにされ、焦点が些細な報告書の信憑性・報道に関与したジャーナリストの責任問題にすり替えられていくというアメリカ社会(だけではないと思われるが)体質をあぶりだすことに成功したこと。
117.「太陽のめざめ」9月29日  ***
 : カトリーヌ・ドヌーブ演じるところの少年犯罪担当判事(裁判官)と根っからの悪ガキを主人公とした物語。少年は、幼いころから母親も匙を投げる悪ガキぶりで、早くも6~7歳のころから、判事の世話になるし、母親・父親も悪ガキが育つにふさわしいヤンキー。悪さが続き、ついに矯正施設に収容され、新しい指導・監督担当(自分も非行の経験があり、何とか立ち直らせようと懸命の努力を行っている)との付き合いも始まる。この2人の献身的サポートにもかかわらず、少年は全く反省の色もなく、問題を起こし続け、ついには16歳で刑務所に収容される。そして、出会った少女と付き合い、彼女が妊娠したことを知らされる。一旦はその事実に向き合うことを拒否したものの、最終的に少年は父になることを決意し、17歳で父になり、更生の道を歩き始める。判事・指導監督官・母親の忍耐強い努力が報われめでたしめでたしという映画。しかし、何故か見終わったあと、スッキリしないものが残った。
118.「メカニック」10月4日  ***
 : アクション・エンターテインメント映画。主人公の幼馴染(武器商人)が他の3人の有力武器商人を主人公に暗殺させるためカンボジアで人身売買の犠牲になった子供を救うプロジェクトをやっているヒロインを子どもたちを人質に送り込む。近寄りがたい環境で大勢のボデイガードに囲まれたターゲットをいかにして暗殺するかが見どころの作品。前半のイントロがやや長すぎた。
119.「真田十勇士」10月5日  **
 : コミック仕立ての実写版「真田物語」。勘九郎を観にいったが、他の出演者がやっと息を切らしてついて行ってる感じだった。
120.「スクープ」10月7日   ***
 : 福山雅治が中年のパパラッチ・カメラマンを演じるエンターテインメント映画。生き馬の目を抜くような厳しい世界を生きるチャラ男的主人公を福山はうまく演じている。最後がちょっとマジになりすぎ感はあったが。
121.「怒り」10月10日  ***
 : 3つの話が並行して展開する映画。共通するのは、それぞれの話に「やり場のない怒り」があり、登場人物の間での「信じる」と「不信」との感情の揺れが行きかうという状況設定。そして、それぞれに過去の経歴の分からない人物が登場し、1年前の夫婦殺人事件の犯人かもしれないというミステリー仕立てで、3つの話をつなぐ。それぞれの話は、なかなか良くできており、レベルも高いが、見終わって、後味のいい映画ではない。
122.「ジェイソン・ボーン」10月12日  **
 : アクションが売り物であるがゆえに、できる限り静止画面のカットを少なくし、動きのある作品にしようという努力などは見られるものの、全体としてはストーリー展開が単調だった。
123.「少女」10月13日  ***
 : 高校生になった二人の女友達を主人公とする物語。キーワードは「ヨルの綱渡り」。今どきの高校生活によくあるいじめ・援助交際・ヴォランティア活動などを織り交ぜながら、主題である「因果応報(罪と罰)」・「死と生」・「友情」・「家族」などを描いていく。堅固に見えた関係が簡単に崩壊し、修復不可能になるのがいかにたやすくおこるのかを巧みに描く。しかし、それを乗り越えることは可能である。友情・家族の信頼があればという、強いメッセージが伝わって来た。
124.「ケンとカズ」10月14日  ***
 : ケンとカズは古い友達。自動車修理業の看板を掲げ、麻薬売買で利益を上げる小さな暴力団組織の下っ端。ケンは認知症の母を介護施設に入所させるため、カズは恋人が妊娠し堅気として新しい生活をスタートさせるために金を必要としている。このため、よその組織と手を組み、自分たちで麻薬の密売を始める。しかし、組織の知るところとなり、「ケジメをつける」ためカズにケンを刺し殺すよう迫られる。その時カズのとった行動はーーーー。
125.「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」10月16日  ***
 : アメリカ文学史上燦然と輝く「グレート・ギャッピー」「老人と海」「仔鹿物語」などの編集者を主人公(トマス・ウルフ)とする作品。原題は「GENIUS」。ある日一人の若者が、今までどこでも出版してもらえなかった分厚い原稿を持ち込む。一読してその才能を見抜いたパーキンスは、同時にプロの編集者として、そのままでは冗長に過ぎて、売れる本にはならないと判断する。そこで、大幅に手を入れてページ数を減らすことを条件に出版を約束する。そこから2人の共同作業が始まる。激しいやり取りを毎日重ねながら、やっと最終稿にたどり着く。「天使よ故郷を見よ」は好意的な書評にも助けられ、この本は「ベストセラー」となり、ウルフは「天才」との評価をうる。そして、ウルフは、さらに大部の次の原稿を持ち込む。出版に向けて二人は、家に帰らず、長期にわたる夜間作業で準備を進める。パーキンス、ウルフ共に家族と恋人との危機を迎える。そうして出版された「時と川と」も「ベストセラー」になる。しかし、ウルフは、結果的に「ベストセラー」となったものの、パーキンスは「編集という行為により、自分の作品のオリジナリティーを傷つけたのではないか」と疑い始める。二人の関係の行き着く先は?
126.「永い言い訳」10月17日  ***
 : 主人公は46歳の作家。20年暮らした美容師の妻が、親友とスキーツアーに出かけ、バス事故で2人は死んでしまう、というところから物語が始まる。これがきっかけで、主人公(子供がいない)と親友の残された家族(夫、息子、娘)との付き合いが始まる。そして、その過程で、夫婦・家族間のすれ違い(相手の気持ちをおもんばかることの少なさ)が浮き彫りにされていく。この作品は、そのすれ違いを描くことに重点が置かれているために。観ていて疲れた。
127.「ミモザの海へ消えた母」10月18日  ***
 : 原題「ブーメラン」。主人公が10歳の少年時に母が溺死する。その30年後になってもわだかまりが残り、何があったのか、探り始める。その過程がストーリーとなっている。最後には、真実にたどり着くが、
家族の微妙なあや、夫婦・親子・嫁と姑関係が描かれる。前半の展開が冗長なのが気になった。また、人間の感情を描くのにも、左脳を使った言語を用いるフランス人の性が思わず出ていて可笑しかった。
128.「ダゲレオタイプの女」10月19日  ***
 : 黒沢清監督が俳優・スタッフ全て現地スタッフで撮影したフランス映画。ダゲレオタイプとは、世界初の実用的写真撮影法で、銀板写真(銀メッキした銅板などを感光材料として使うが、映画では170年前の技術との紹介がある)と呼ばれる。主人公は定職を求める若者で、ダゲレオタイプ撮影の助手募集に応募し、パリ郊外の再開発対象地区(古い屋敷町)で働き始める。雇い主は、22歳の娘をモデルに等身大の写真撮影を行う父親で、完成度を高めるため、60~120分の露出時間(その間モデルは一瞬たりとも動いてはならない)という過酷な条件下で仕事をしている。物語が進むにつれて、以前はこのモデル役を母親がやっており、自殺したこと、娘も自分の人生設計のため植物園の仕事決まり、家を出ようとしていることが明かされる。主人公は、娘と恋仲になり、新しい土地(娘の仕事地)で一緒に暮らすことを願う。母親が自殺したことを気にやむ雇い主の前に母親の幻影(幽霊)があらわれる描写から自然に(無理なく)、娘が階段から転落する事故が起き、父親には娘が死んだと見え、主人公には生き返ったというみえる、というストーリー展開が続く。そして、その結末はーーーーー?
129.「淵に立つ」10月20日  **
 : ある日小さな町工場に1人の男が訪ねてくる。物語が進むにつれて、あることから人を殺し、10年間の刑期を終えて出所したところだと分かる。男は、この工場で住み込みで働きだす。この家族の妻・娘と関係が深まるが、ある時ーーーー。ストーリー展開が安易すぎるて、作品の世界に入り込めなかった。最近の浅野忠信主演作品で一番出来の悪い映画。
130.「人間の値打ち」10月23日  ***
 : イタリア・アカデミー賞で作品賞をはじめ7冠を達成した映画。クリスマスイブの前夜自転車に乗っていた男が、車と接触、車はそのまま立ち去り、搬送された病院で死亡する。この事故の真相を3家族の家族関係・欲望に焦点を当てながら解き明かしていくというミステリー仕立てで解き明かす。入念に作られた脚本・演出で完成度の高い、楽しめる作品に仕上がっている。最近観た映画の中では、一番良くできていた。
131.「われらが背きし者」10月25日  ***
 : モロッコを夫婦で訪れたイギリスの大学教授にロシアン・マフィアの資金洗浄係が近づき、提供する情報と引き換えに、自分と家族を英国に亡命させることを求める、ことをMI6に取り次ぐことを依頼する。主人公はこの頼みを引き受けるか迷うが、結局引き受ける、ことから物語は転がり始める。一応合格レベルに達しているエンターテインメント映画。
132.「スタートレック」10月25日  ***
 : お馴染みのシリーズ。未来の先端技術とレトロな世界の組み合わせという定番のストーリー。
133.「バースデイカード」10月28日  ***
 : ヒロインの少女が10歳の時に、母は病に倒れ、大人(20歳)になるまで毎年バースデイカードを贈ると約束して死んでしまう。それ以降のバースデイカードに書かれていた内容を中心に物語は展開する。主人公は、どこにでもいるような、引っ込み思案で、主役でなく脇役でいいと考え、いじめにあい泣く普通の女の子。母親の愛情と少女の成長を、最後に自分の人生の主役になるために、挑戦をする姿を描く。基本的には明るいストーリーではないので、できるだけ軽いタッチで、笑いを交えながらという演出方針が成功して、あるレベルの作品に仕上がっている。
134.「湯を沸かすほどの熱い愛」10月30日  **
 : ヒロインは、1年前に風呂屋を放り出して蒸発した夫と学校でいじめにあい引きこもり寸前の一人娘を抱えている主婦。倒れて病院で検査を受けたところ余命3~4か月と宣告される。そこで、彼女が選んだのは、延命治療を拒否し、やり残しの無いようにして悔いの残らない人生を送ること。夫を見つけ出して風呂屋を再開する、いじめに立ち向かえる娘にすること、それからーーーーーー。宮沢りえの熱演は光ものの、ストーリーの底が浅いのが気になった作品。
135.「インフェルノ(地獄)」10月31日  ***
 : 人口爆発により環境破壊・食料等の資源不足などにより、放置すれば人類は滅亡する。将来にわたり人類が存続するためには過去ペストが果たしたように、伝染病により一旦人口を減少させるしかないと考えた人間が、新しい生物兵器(4~7日間で人類の95%が感染する)を開発し散布する計画を遂行途中で追い詰められて自殺する。生物兵器の隠し場所を解読するため、主人公の大学教授が巻き込まれる。隠し場所の謎解きと敵味方入り乱れての争奪戦を軸にストーリーは展開する。思わぬどんでん返しもあり、楽しめた。
136.「手紙は憶えている」10月31日  ***
 : 90歳の認知症の主人公が妻を亡くした後、アウシュビッツで家族を殺し、他人に成りすましてアメリカに移民して暮らしているナチ殺害(復讐)の旅に出る。妻が死んだことも忘れてしまうほど認知症が進んだ主人公が頼るのは、養老院で再開したアウシュビッツの生き残りの友人。その友人は寝たきりだが頭はハッキリしており、やるべきことを全て手紙に書いて主人公に渡し、手紙を読みながら行動するように指示する。自分がだれで、何のためにそこにいるのか、何度も忘れながら旅を続ける。そして最後には思わぬどんでん返しが待っている。
137.「シネマ歌舞伎ワンピース」11月1日  ***
 : コミック「ワンピース」を歌舞伎仕立てで猿之助主演で映画化するというチャレンジングな作品。結論を先に言えば、「成功」。その裏には、「原作の目指すものの本質は何か」の突き詰めがまずあり、次に歌舞伎の特色・コミックを演ずる上での強み、舞台を実写した後で画面の加工もできるという映画の強みなどを十分に分析したうえでの構成・演出・舞台装置・衣装などの緻密な計算に基づく映画化の取り組みがあったこと。
138.「P.K.」11月1日  ****
 : インド映画ならではの笑いあり・涙ありの作品。ストーリーは、地球から遠く離れた人間が住む星が危機に陥り、地球への移住の可能性を調査に来た主人公(P.K.)が地球に住む人間との常識との違いから様々な騒ぎを巻き起こすというもの。物語を流れる本質的テーマは、「常識」というものの危うさ(具体的には宗教が取り上げられる)と「愛」。
139.「暗殺」11月3日  ***
 : 韓国が日本の植民地下にあり、日中戦争が始まっていた時期を舞台にストーリーが展開する韓国映画。韓国の独立を目指す反政府組織が日本軍中将と親日派の韓国人有力実業家を暗殺するため3人の刺客を送り込む。二重スパイ・裏切りなどの波乱を織り混ぜ、この暗殺が成功するのかーーーーー?脚本がよく練りこまれており、登場人物のキャラクターもたっており、レベルの高いエンターテインメント映画し仕上がっている。
140.「エル・クラン」11月3日  ***
 : 1980年代のアルゼンチン(長かった独裁政権が倒れ民主主義になったものの不安定な政治情勢下にある)を背景とする映画。人民解放戦線を名乗り家族で金持ちの家族を誘拐し、身代金をとるという仕事をしているファミリーを中心とする物語。
141.「僕のおじさん」11月7日  **
 : 松田龍平演じる大学で哲学を教える独身のおじさん(兄の家に居候をしている)を小学校4年生の甥が観察した記録、という作品。前半は新しいキャラが珍しく引き込まれるが、ハワイにこの二人が出かける後半は、テンポも落ち、ストーリーも単調になり物足りない。
142.「イングリッド・バーグマン」11月8日  ****
 : イングリッド・バーグマンの一生を彼女が残したホーム・ムービー、写真、手紙と家族並びに関係者とのインタビューで伝えるドキュメンタリー風映画。母国デンマークで俳優を志し、演劇学校に通い、世界で活躍するという夢の実現のためにニューヨークの演劇学校に移り、ついにハリウッドから声がかかりスター女優としての地位を確立する。この間デンマークの恋人と結婚、夫もアメリカに移住し一子を設ける。その後ほぼ10年ごとにイタリア、パリ(その後ロンドン)へと移住しパートナー変えて全く新しい生活を始める。最初の結婚の後半の有名な写真家キャパとの恋愛、イタリーの映画監督との恋愛と妊娠(後に結婚)を全く隠さず、アメリカのマスコミ・世論のバッシングを受けても平然とした態度で臨む。そして、パリでは、有力な演劇興行主と3回目の結婚をする。この間、最初と2回目の結婚で設けた普段は別居している子供たちと仕事の合間を縫ってふれあいを保つ。女優(仕事)・女(恋愛)・母(家庭)の三つの人生を何一つ妥協することなく生きた多面的に生きた魅力的な人間の生きざまが見事に描かれている。
143.「オーバー・フェンス」11月9日  ***
 : 「海炭市叙景」「そこのみにて光り輝く」に続く佐藤康志原作函館三部作の最終章。主人公は、3年前に妻に赤子を託して離婚し、最近東京から故郷の函館に戻り、失業保険をもらいながら職業訓練校に通っている。学校とアパートの間を通うだけの毎日。仕事を黙々とやり、何の変化も楽しみもない生活が一生続くと思っている主人公。ある日学校の友人に誘われて行ったキャバクラで鳥の真似が好きな変わった女に出会う。惹かれあう二人。しかし、二人が付き合う中で、それぞれの抱える闇が見え、その壁を乗り越える難しさもわかってくる。学校のソフトボール大会に応援に来た女の前で、張り切った主人公がホームラン(オーバー・フェンス)を打ったところで映画は終わる。これは二人の間の壁(フェンス)が乗り越えられたことも象徴している。佐藤康志のストーリーは、人間の闇を鋭くえぐるため、暗い印象が強く残るが、エンディングに一筋の光を描くことで暗い印象を打ち消すことに成功している。
144.「ジュリエッタ」11月10日  ***
 : キリスト教(カトリック)国ならではの作品。ジュリエッタ(主人公)は短期間の古典文学の授業を依頼され、赴任地に向かう途中に知り合った漁師と関係を結ぶ。そして、約束の期間が終わって、漁師に会いに行き、そのまま住み着く。娘が生まれ、9歳の時、夫婦喧嘩の後で漁に出た夫が嵐の海で遭難死する。娘が18歳になったある日、ピレネーに瞑想に行くといって家を出、そのまま音信不通になる。その13年後娘から近況を知らせる手紙が届く。この間のジュリエッタの夫と娘を失った喪失感と自分を責める(現在)意識、また娘にも喪失感と罪の意識があったことが描かれていく。
145.「ラサへの歩き方 祈りの2400キロ」11月14日  ****
 : ドキュメタリー風映画」。チベットの人々の熱心な仏教徒ぶりはつとに有名。ラサ(ボゴタ宮)に巡礼するのは、ラサから1200キロ離れた小さな村に住む人々にとっては一生の夢。村人11人が念願の巡礼の旅にでる。この様子を描いた作品。一行はトラクターにテント・寝具・ストーブ(暖房・調理用)・食料などの生活用具一式を積み込み巡礼を始める。この巡礼の一番の凄さは、五体投地(仏教で最も敬虔な礼拝の仕方で、数歩ごとに全身を道路に投げ出し合掌する)をしながら1200キロを進むため、一年間かかること。冬は雪が降り凍結した道路を、夏は浅瀬を五体投地で進んでいく。妊婦も参加していたため、途中で子供が生まれ、それでも巡礼を続け、赤ん坊の成長も描かれる。現代人の生き方の反対にある生き方が、眩しく感じられる。
146.「溺れるナイフ」11月15日  ****
 : 青春期特有の全能(キラキラ)感とその対極にある無力(失意)感を見事に描き切っている。この映画の最大の成功要因は、観客の想像力を働かせ引き出す作品になっていること。映画によらず、演劇・小説などに共通に言えることである。
147.「ジャック・リーチャー」11月16日  ***
 : 結果的にこの映画は成功している。アクションがらみのストーリーは斬新なものはないが、筋に無理がないし、大きなウエイトを主人公と一緒に戦うヒロインと自称娘との絆に置いており、それが上手くいっているので、総合的に楽しめる作品に仕上がっている。
148.「この世界の片隅に」11月17日  ****
 : 数々の賞を受賞したこうの史代の原作漫画の映画化。時代は昭和8年から終戦直後まで、舞台は広島と呉。ヒロインの子供時代から描くことにより、ヒロインのおっとりした性格、しかし絵を描くことが好きで上手、そして戦前の暮らしがどんな様子だったかがわかる仕掛けになっている。そして、昭和19年に嫁にもらいたいという話がきて、呉に嫁いでいく。戦争の影響で食料を含めて物資が無くなっていく中で、知らない家族の中に一人で入り、溶け込んでいくヒロインを温かく・淡々と描いていく。この映画が、成功しているのは、ヒロインの性格設定がよく、かつ庶民の暮らしに焦点を当てているため、イデオロギー色なく戦争下での生活が分かりやす描けている点。原作者は、現代の日本の世相に強烈な批判を投げかけているように思えた。恋愛結婚でなくても幸せな夫婦になれるし、家族はみんなで努力していくことによって家族になっていくのだ、血のつながりがなくても受け入れる気があれば、新たなメンバーを加えることも出来るのだ、と。平日の昼間なのに、満員だったのには、驚いた。
149.「ブルゴーニュで会いましょう」11月22日  **
 : ワイン好きとしては見なければいけないかなという乗りで観た映画。ブルゴーニュ地方の葡萄畑の美しさ、ワインを作る家族の生き方などはうまく伝わって来た。しかし、ワインつくりの経験の全くない主人公が、ローマ時代のワイン製法(足でブドウを踏みつぶし、樽ではなく壺で熟成させる)でワインをつくり、初年度で素晴らしいワインを作ったというストーリーは噴飯もの。
150.「マイベストフレンド」11月23日  ***
 : 総合的にみて良くできた作品。特に優れているのは、1)ユーモアにあふれた洒落た会話、2)幼子を残して癌で死んでいくヒロインの見事な態度価値。違和感があったのは、ロンドンのワーカークラスの主人公がしゃべっているのがコクニーでなかったこと、この洒落た台詞はインテリの創作ではないかということ。
151.「聖の青春」11月24日  ***
 : 羽生善治と同世代で生涯対戦成績6勝8敗(内1不戦敗)、29歳で夭折した天才棋士村山聖の生きざまを描いた物語。この原作に感動した松山ケンイチが自ら手をあげて村山聖を演じている。20キロ体重を増やしての熱演。主人公は子供の頃ネフローゼという腎臓病にかかり入退院を繰り返す人生を余儀なくされる。そういう中で将棋に出会い、熱中し、中学にも高校にもいかず将棋の名人になるという夢を得る。14歳の時、そのため実家の広島を離れ、大阪にでてプロ棋士を目指した生活を始める。24歳の時、同世代の羽生が次々とタイトルを獲得、羽生のいる東京にでて名人位を目指すことにする。27歳で、膀胱がんを発症、名人位に挑戦できるまで活躍するが、惜しくも羽生に敗れる。村山聖の生きざまの爽やかさは、「ネフローゼという病気があったから将棋に出会えた、だから自分にとって病気と将棋とは一緒のものだ」、したがって病気を恨むようなことは言っていないこと。
152.「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」11月29日  ***
 : 「ハリーポッター」シリーズの著者J・K・ローリングスの新魔法使いシリーズ第一作。イギリスの魔法使いがアメリカに持ち込んだ魔法動物がトランクから逃げ出しての大騒ぎとアメリカ魔法界での陰謀が入り混じり人間界との戦争が起こりそうになるというストーリー。今一つストーリーがスッキリしていない感が残った。
153.「疾風ロンド」12月4日  ***
 : 東野圭吾原作阿部寛主演。最初の1時間半は冗長な展開、最後の30分で2転3転やっと東野作品らしい展開となる。
154.「神聖なる一族 24人の娘たち」12月5日  ***
 : ロシア西部ヴォルガ河流域にあるマリエル共和国を舞台とする物語。ここに住むのは少数民族で独自の言語・文化・宗教を持つ。宗教は自然崇拝で日々の暮らしの中に自然の神々(地霊)が溶け込んでおり、おおらかに生の営みを愉しんでもいる。物語は24人の娘を登場させ、24の物語を紡ぐことにより、不思議な世界を描くことに成功している。
155.「アズミ・ハルコは行方不明」11月8日  **
 : 現代の若者の気質・暮らしを切り取る作品。地方都市を舞台に、高校学校を卒業して約10年(蒼井優)の世代、高校卒業したての世代(高畑充希)、男狩りをする高校生女子の世代の気質・暮らしを世代内交流を中心に描く。セックスすら確かな絆になりえない、希薄な若者の微妙なつながりを描いている。
156.「海賊と呼ばれた男」12月13日  ***
 : 出光石油の創業者を主人公とする作品。石炭の時代に石油の将来性に賭けて会社を興し、長いものに巻かれることを嫌い、あくまで独立を保ち、自力で、家族と思う従業員と共に立ち向かい、何度も倒産の危機に遭いながら、難局に立ち向かい、出光石油を育てた男の一生を岡田准一が熱演。
157.「弁護人」12月16日  ****
 : 韓国で1100万人以上が観た大ヒット作。舞台は軍事クーデター政権が統治する釜山。政権の意義・北の脅威を国民に訴えるため、「アカ」の関与した国家反逆罪事件をでっち上げ、拷問により自白を引き出し裁判に持ち込み、実際に事件があったように見せようとする。主人公は、弁護士だが金儲けにかけ、不動産登記・税務など弁護士業務の本流から外れた実入りのいい仕事だけをやっている。しかし、なじみの食堂の大学生が事件に巻き込まれ、弁護人を買って出る。裁判が始まって、検察・警察のあまりの理不尽さが、弁護人の正義感に火を付ける。見事な弁護ぶりが、観客の感動を誘う。
158.「男と女」12月19日  ****
 : 往年の名作のデジタル復刻版。映画を構成する要素は何かを徹底的に突き詰めて作られた成功作。
まず脚本。イントロ、ストーリー展開、エンディングのどんでん返し、どれをとっても見事。次に、画面の美しさと、音響効果。特に見事だったのは、イントロ。いきなり、約5分間の長いワンカット。早朝のパリを爆走する車の運転席から見た映像。青信号だけではなく、赤信号でも一切止まらずに突進、アクセルを踏んで加速する・あるいはシフト・ダウンして上がる乾いたエンジン音の組み合わせ。これで、何故運転者がこれだけ急ぐのか、そしてその仕事であるレーシングドライバーを暗示。また、一世を風靡した主題歌のメロディーを要所要所で効果的に使っている。
159.「ローグ・ワン」12月20日  ***
 : シリーズの中でも出来のいい作品。ストーリーの流れも無理がない。ハイテクとアナログのバランスもよく、全体として良くまとまった作品。
160.「バイオハザード ファイナル」12月27日  **
 : シリーズ完結編。基本的には、単純なストーリーなので、アクション場面でどう見せるかという作品。それなりに健闘していて楽しめるが、それ以上でもない。
161.「ピートと秘密の友達」12月29日  **
 : 実写とCGの合成作品。最近のディズニーの映画は、子供も大人も楽しめるように工夫されたものが多いが、この作品は、大人の鑑賞に堪えうるレベルには未達。ストーリーが単調すぎる。
162.「土竜の唄香港狂騒曲」11月30日  ***
 : 漫画チックな演出を上手く活かして楽しいエンターテインメント映画に仕上げている。エログロも度を超えないように節度を持たしているのも楽しく見れる要因。
163.「ミス・シェパードをお手本に」11月31日  ***
 : ロンドンのカムデンの住宅地の路上駐車のバンで生活する老婦人(ミス・シェパード)の謎の人生と近所の住人達との触れ合いを中心にストーリーが展開する。いかにもイギリスというところが随所に描かれており楽しめた。

2016年01月11日

「2016年狂言鑑賞」

1.「横浜狂言堂1月公演」1月10日  **
 : 「解説」野村万禄、「二人大名」(大名)能村晶人、(大名)野村虎之助、(使いの者)野村万蔵、「宝の槌」(太郎冠者)野村万禄、(主)野村万蔵、(すっぱ)河野佑紀
 : 野村万禄の「解説」は粗筋に加え、分かりにくい台詞の説明をするという親切なものだったが、面白みがなかった。その理由の一つは、「芸談」的な要素がなかったからか?狂言は2曲とも良く知られた演目だが、今ひとつ盛り上がりに欠け、観客の反応もあまりよくなかった。
2.「萬狂言冬公演」1月24日  ***
 : 「解説」能村晶人、「二人袴」(聟)野村眞之介、(親)野村万禄、(舅)小笠原匡、(太郎冠者)野村虎之助、「素囃子」、「節分」(鬼)野村万蔵、(女)山本則孝、「木六駄」(太郎冠者)野村萬、(茶屋)善竹十郎、(主)能村晶人、(伯父)野村万蔵
 : 「解説」は、今回の特色である「大蔵流・和泉流異流共演」と演目の粗筋を中心としたもので、無難。「二人袴」は観客も大いに盛り上がった。その要因の大半は、野村眞之介(野村万蔵三男)を聟役に起用したこと。見るからに子どもなので、親に同行を頼む聟の心細さ・ぎこちなさ、しかし聟なので太郎冠者には主人的立場での物言いをするというギャップが演じなくても出ていた。「節分」は野村万蔵・山本則孝が力を入れて演じたが、今ひとつ盛り上がりに欠けた。「木六駄」は、野村萬の熱演に観客が素直に反応し、大いに盛り上がった。特に大雪の中12頭の牛を追って峠を越えるという設定をその姿が目に浮かぶように演じる力量は見どころがあった。和泉流・大蔵流二流交流という異色の企画も良かった。

3.「横浜狂言堂二月公演」2月14日  ***
 : 「解説」高野和憲、「痩松」(山賊)月崎晴夫、(女)岡聡史、「泣尼」(僧)野村萬斎、(施主)竹山悠樹、
   (尼)高野和憲
 : 何といっても今公演の圧巻は、「泣尼」。舞台全体を大きく使い演技を大きくみせる考え抜かれた演出、野村萬斎の切れのあるカリスマ性のあふれる演技。会場も敏感に反応し、大いに盛り上がった。
4.「萬狂言春公演」4月10日  ***
 : 「解説」小笠原匡、「入間川」(大名)野村万蔵、(太郎冠者)の村拳之介、(入間の何某)の村又三郎、「川上」(男)野村萬、(妻)野村万禄、「素囃子 獅子」、「猿聟」(猿聟)野村虎之介、(舅猿)野村万蔵、(太郎冠者猿)野村眞之介、(姫猿)野村晶人、(供猿)小笠原匡・河野佑紀・吉住講・野村万禄
 : 「川上」は、盲目の男が霊験あらたかな地蔵に願をかけ、見事それが成就し目が明くが、悪縁である妻と別れるという条件をつけられる。その条件を破ればまた盲目に戻るといわれる。男はそれを妻に伝えるが妻は納得しない。そこで、男は盲目に戻っても、今までと変わらないと考え、妻と暮らすことを選ぶという狂言。野村萬の熱演が見事だったが、筋が地味で、大半が萬の独白であるため、動きに乏しいため、寝ている観客が多く、気の毒だった。
 「猿聟」は、8人と役者を猿の面をつけて登場させ、台詞の半分は「キャアキャア」という猿の鳴き声という賑やかな狂言。ストーリー性は乏しいが、華やかさを十分に味あわせてくれた。
 「川上」と「猿聟」を組み合わせたところに、今公演の工夫が感じられた。
5.「横浜能楽堂100回記念公演」(昼の部)、4月29日  ***
 : 「素袍落」(太郎冠者)茂山千五郎、(主人)茂山正邦、(伯父)茂山千三郎、「川上」(盲目の夫)野村
万作、(妻)高野和憲
 : 今回の公演は、「横浜能楽堂普及公演」の100回を祝い、(昼の部)と(夜の部)の特別公演として企画されたもので、狂言界の人間国宝クラスの重鎮が総出演という豪華版。
6.「横浜能楽堂100回記念公演」(夜の部)4月29日  ***
 : 「入間川」(大名)野村萬、(太郎冠者)能村晶人、(入間の某)野村万蔵、「通円」(通円の霊)山本東次郎、(旅僧)山本凛太郎、(所の者)若松隆
7.「横浜狂言堂六月公演」6月12日  **
 : 「解説」深田博治、「隠狸」(太郎冠者)高野和憲、(主)中村修一、「筑紫奥」(丹波国の百姓)深田博治、(筑紫奥の百姓)月崎晴夫、(奏者)石田幸雄
 : 2曲とも熱演ではあるが、今一つ盛り上がりに欠けた。和泉流の公演にそうした印象が多いと、なぜか思える。
8.「横浜狂言堂七月公演」7月10日  ***
 : 「寝音曲」(太郎冠者)山本則俊、(主)山本則重、「蜘盗人」(盗人)山本泰太郎、(有徳人)山本東次郎、(太郎冠者)山本則秀、(次郎冠者)山本凛太郎、「解説」山本東次郎
 : 「寝音曲」はいかにも「狂言らしい」一曲。(太郎冠者)山本則俊がいい味を出して、大いに笑わせてくれた。「蜘盗人」は「連歌」の「徳」をたたえる狂言。「連歌の当番」に当たった男が、貧乏でお金がなくて、その費用を稼ぐために泥棒に入るが、蜘蛛の巣にひっかかり捕らえられる。殺されても仕方がないところだが、その盗人の連歌に感じた主人は、命を助けるだけではなく、客としてもてなすだけではなく、「連歌会」の費用も与えて返す。「解説」の山本東次郎のサービス精神にはいつも感心されられる。いろいろな人の「解説」を聞くが、一番充実している。今回の小舞は横浜市歌(森鴎外作詞)に謡(曲)をつけて踊るという大サービス。
9.「横浜狂言堂九月公演」9月11日  ***
 : 「解説」小笠原匡、「柿山伏」(山伏)野村拳之介、(畑主)野村万蔵、「蚊相撲」(大名)小笠原匡、(太郎冠者)河野佑紀、(蚊の精)炭光太郎
 : 「解説」は、「萬狂言」流に粗筋以外に触れないという内容であったが、分かりやすくユーモアも交え、最近の「萬狂言」の解説では、一番良かった。「柿山伏」「蚊相撲」とも、面白く見せようとする努力が垣間見えた。「萬狂言」の演じる狂言は、「演技技術は高いが、面白くない」という特徴が顕著だが、新しい方向を目指しているのか、今後を見守っていきたい。
10.「横浜狂言堂十月公演」10月9日  ***
 : 「解説」石田幸雄、「文荷」(太郎冠者)竹山悠樹、(主)岡聡史、(次郎冠者)高野和憲、「舟渡婿」(舅・船頭)石田幸雄、(婿)内藤連、(姑)深田博治
 : 石田幸雄の番組紹介は、分かりやすく、ポイントをついており良かった。「文荷」「舟渡婿」は有名な曲を無難に演じていた。「舟渡婿」は船に乗り込むところ、乗った後の揺れの表現に狂言独特の演技がみられるが、「京劇」の洗練された表現とはまた違い面白かった。
11.「萬狂言秋公演」10月10日  ***
 : 「解説」野村万蔵、「樋の酒」(太郎冠者)野村萬、(主人)野村拳之介)、(次郎冠者)能村晶人、「茶壷」(すっぱ)野村万蔵、(中国の者)大藏彌太郎、(目代)山本泰太郎、「奈須与市語」河野佑紀、「釣針」太郎冠者)野村万禄、(主人)野村虎之介、(奥様)野村眞之介、(腰元)能村晶人、吉住講、山下浩一郎、泉愼也、炭光太郎、(妻)小笠原匡
 : 野村万蔵の「解説」は、10分で4曲を簡潔に紹介。「茶壷」は和泉流と大蔵流の異流公演。敢えてどちらかの演じ方に統一することなく、両派の違いを見せたのは良かった。「奈須与市語」は、河野佑紀が野村万蔵に弟子入りして5年を終え、一人前の狂言師としてのデビューの初演。一人四役を演じる難しい語り。後見(野村万蔵)に出番をつくる(台詞を3回教えてもらう)という愛嬌ある舞台だった。「釣針」は台詞・演技が分かりやすい曲でこの日一番の笑いを取っていた。
12.「横浜狂言堂11月公演」11月13日  ***
 : 「解説」能村晶人、「清水」(太郎冠者)野村万蔵、(主)河野佑紀、「萩大名」(大名)野村万蔵、(太郎冠者)野村虎之助、(茶屋)能村晶人
 : 「解説」は、「萬狂言」流の粗筋中心。「清水」「萩大名」観客から若干の笑いがこぼれ、演者がほっとしている雰囲気が伝わって来た。
13.「横浜の能」11月26日  ***
 : 「放下僧」(小次郎の兄)佐々木多門、(牧野小次郎)大島輝久、(利根信俊)館田善博、(信俊の従者)石田幸雄、「猿聟」<狂言>(聟猿)野村萬斎、(舅猿)深田博治、(太郎冠者猿)月崎晴夫、(姫猿)高野和憲、(伴猿)中村修一、内藤連、飯田豪、「六浦」(里の女、楓の精)野村四郎、(旅僧)殿田謙吉、(従僧)大日方寛、梅村昌功、(里人)竹山悠樹
 : 「放下僧」「六浦」能は、観ても良く分からない。直感的にこのままでは、ダメではないかという印象のみが残る。「猿聟」は台詞が少なく、動きの大きさ・面白さを愉しむ一曲。野村萬斎の舞台は、いつも工夫がみられ、楽しみが大きい。

「2016年読書目録」(1~3月)

1.「今ここに生きる子ども ボクシングに賭ける」脇浜茂明、岩波(1996)、1月2日 **
 : サブタイトル「アカンタレと夜学教師の日々」
2.「心の治癒力」トウルク・トンドゥップ、地湧社(2000)、1月3日 * (4)
 : サブタイトル「チベット仏教の叡智」
3.「校長先生になろう!」藤原和博、日経BP(2007)、”  ”  **
4.「王子さまになったカエル」リチャード・バンドグ他、東京図書(1987)、”  ”
 : サブタイトル「神経言語プログラミング」=NLP(Neuro Linguistic Programming)
5.「ゴールデン・ライラック」萩尾望都、小学館(1982)、”  ”
6.「訪問者」萩尾望都、小学館(1981)、”  ”

7.「「殺し合う」世界の読み方」佐藤優・宮崎学、アスコム(2015)、1月4日 ** (4)
8.「女の哲学」女性哲学研究会、PHP(2014)、”  ”  *
9.「ココロの美容液」香山リカ、文春(2013)、”  ”
 : NHKラジオ第一放送「香山リカのココロの美容液」(2012.4.6~2013.1.25)を再編集・加筆して単行本化。
10.「世界婚活」中村綾花、朝日出版(2012)、”  ”
11.「まちの幸福論 コミュニティデザインから考える」山崎亮、NHK(2012),”  ” *
12.「多縁社会 自分で選んだ縁で生きていく」篠原聡子他、東洋経済(2015)、”  ”** (4)
13.「中島ハルコの恋愛相談室」林真理子、文春(2015)、”  ”
14.「MINERVA人文・社会科学叢書61 近代日本のアイデンティティと政治」米原謙、”  ”
15.「          ”         81 グローバル化と政治のイノベーション」高木郁郎他、”  ”
16.「          ”         85 グロティウスの国際政治思想」太田義器,”  ”
17.「明治劇談 ランプの下にて」岡本綺堂、岡倉書房(1935)、”  ”
18.「悪魔に委ねよ」大和屋、ワイズ出版(1994)、”  ”
19.「美女と犯罪 映画的なあまりに映画的な」山田紘一、早川書房(1984)、”  ” *
20.「別れのあとさき」北上次郎、毎日(2001)、”  ” *
21.「とくとく歌仙」丸谷才一・井上ひさし・高橋治、文春、”  ”
22.「映画はどこへ行くか」山根貞男、筑摩書房(1993)、”  ”
 : サブタイトル「日本映画時評1989-1992」
23.「ラグビー特別便 1986-1996」藤島大、スキージャーナル(1996)、”  ”
24.「能 研究と発見」野上豊一郎、岩波(1930)、 ”  ”  ** (3)
25.「喝食抄」堂本正樹能劇評論集、ぺりかん(1993)、”  ”
26.「俳優探検」渡辺保他、駿駿堂(1991)、”  ”
27.「生活の貧しさと心の貧しさ」大塚久雄、みすず(1978)、1月5日
28.「歌舞伎という宇宙」渡辺保、筑摩(1991)、”  ”    **
29.「わが父草田男」中村弓子、みすず(1996)、”  ”
30.「聴く歓び」柴田南雄、新潮社(1983)、”  ”
31.「ぼくのシネマ・グラフティ」田中小実昌、新潮(1983)、”  ”  *
32.「映画の友人」中野翠、筑摩(1992)、”  ”
33.「私の舞踏家手帖」淀川長治、新書館(1996)、”  ”  *
34.「現代詩大要」篠田一士、小澤書店(1987)、”  ”  *
 : 明治以降の5人の代表的詩人を著者の好みにまかせて選び(久保田万太郎・折口信夫・佐藤春夫・堀口大学・西脇順三郎)、その作品を紹介・批評する。
35.「教育社歴史新書<日本史>81 茶の湯」熊倉功夫、(1977)、”  ”
36.「波の跫音 巌谷小波伝」巌谷大四、文春文庫(1993)、”  ”
37.「秋日和・彼岸花」里見淳、夏目書房(1995)、”  ”
38.「魚づくし」続々、別所実、平凡社(1989)、”  ”
39.「境港攘夷始末」大岡昇平、中公(1989)、”  ”
40.「大きな時計」船越保武、すえもりブックス(1992)、”  ”
41.「村の名前」辻原登、文春(1990)、”  ”
42.「夜はいま」古井由吉、福武書店(1987)、”  ”
43.「仕立屋銀二隠し台帳」結城昌治、講談社(1978)、”  ”  *
44.「古典とその時代Ⅴ 説話文学と絵巻」益田勝美、三一書房(1980)、” 6日  **
45.「イッセー尾形の都市生活カタログ」1・2、早川書房(1981,1982)、”  ”
46.「スカイ・クロラ」森博嗣、中公(2001)、”  ”
47.「元首の謀反」中村正軌、文春(1980)、”  ”  **
48.「人間選書22・23・24・30 人間の土地」第一部1~4、吉田十四雄、農文協(1978,1979)、””
49.「   ”  36・42・44 人間の土地」第二部1~3、 ”  ”  、  ”  (1980、”  ”
50.「新・資本主義宣言」水野和夫他、毎日(2013)、”7日  **  (38)
51.「宗教を生み出す本能」ニコラス・ウエイド、NTT(2011),”  ”
 : サブタイトル「進化論からみたヒトよ信仰」
52.「教育社歴史新書<日本史>57 東山文化」涌井清、(1979)、”  ”
53.「私の万葉集」1、大岡信、講談社文芸文庫(1973)、1月8日  *
54.「船越保武画文集巨岩と花びら」ちくま(1982)、”  ”  *
55.「友達のつくり方」高橋睦郎、マガジンハウス(1993)、”  ”
56.「扇さばき」須永朝彦、西澤書店(1982)、”  ”  *
57.「福壽草」小沼丹、みすず(1998)、”  ”
58.「ワトソン氏を殺す」ピーター・マシーせン、早川書房(1992)、”  ”
59.「夢野久作著作集4 梅津只園翁伝」葦書房(1979)、”  ”
60.「丸ごと魚柄仁之助」ビブロス(1998)、”  ”
61.「サハラ物語」三毛、ちくま、”  ”
62.「「ただの人」の人生」関川真央、文春(1993)、”  ”  *
63.「ミラノ霧の風景」須賀敦子、白水社(!990)、”  ”  *
64.「森の世界爺」多田智満子、人文書院(1997)、”  ”  *
65.「目に見えない資本主義」田坂弘志、東洋経済(2009)、1月9日  ***  (50)
 : 現代の「グローバル資本主義」の行き詰まりの根本原因を「貨幣経済」というパラダイムのみに依拠するところにあると分析し、資本主義の「経済原理」に5つのパラダイム転換1)「操作主義経済」から「複雑系経済」、2)「知識経済」から「共感経済」、3)「貨幣経済」から「自発経済」、4)「享受型経済「から「参加型経済」、5)「無限成長経済」から「地球環境経済」へが不可欠という。「目に見える経済」から「目に見えない経済」への変化を促す。日本的経営の本来の良さは、これらを全て実践していたこと。日本が先頭に立って世界中でこの変化をおこし、行き詰まりを打破すること。
66.「感情の法則」北上次郎、早川書房(1999)、”  ”
 : エッセイ集
67.「すべてうまくゆく」W・L・ケイ他、角川書店(2014)、”  ”
 : サブタイトル「思考で治すヒーリングメッソド」
68.「今、話したい「学校」のこと」藤原和博、ポプラ社(2013)、”  ”  * 
 : サブタイトル「15歳からの複眼思考」
69.「不詳の孫」夏目房之助、筑摩(1996)、”  ”  *
70.「チェーホフ 短編と手紙」山田稔編、みすず(2002)、”  ”  *
71.「教育社歴史新書<日本史>18 古代国家と地方豪族」米田雄介、(1979)、”  ”
72.「        ”         19 日本書紀」山田英雄、(1979)、”  ”
73.「        ”         20 王朝政治」森田悌、(  ”  )、”  ”
74.「        ”         29 満州武装移民」桑島節郎、( ” )、”  ”
75.「        ”        145 三池炭鉱史」上妻幸秀、(1980)、”  ”
76.「        ”        173 最澄と天台教団」木内姜夫、(1978)、”  ”
77.「        ” <西洋史>A18 コサック」阿部重雄、(1981)、”  ”
78.「        ” <東洋史>B4 インド民族運動史」山田晋、(1980)、”  ”
79.「燈台へ」ヴァージニア・ウルフ、新潮文庫(1956)、”  ”
80.「今ここを生きる子ども ありのままを生きる」浜田寿美男、岩波(1997)、1月10日  *
 : サブタイトル「障害と子どもの世界」
81.「傷だらけの映画史」蓮見實彦、中公文庫(2001)、”  ”
82.「教育社歴史新書<日本史>21 風土記の世界」志田諄一、(1979)、”  ”
83.「         ”        22 魏志倭人伝の世界」山田宗睦、( ” )、”  ”
84.「         ”        23 保元平治の乱」飯田悠紀子、(  ” )、”  ”
85.「         ”        24 古代王権と語部」井上辰雄、(  ” )、”  ”
86.「         ”        25 大宰府」倉住晴彦、(1979)、”  ”
87.「         ”        26 防人と衛士」野田嶺志、(1980)、”  ”
88.「         ”        95 北前舩の時代」牧野隆信、(1979)、”  ”
89.「         ”        96 安土桃山文化」今泉俶夫、(  ” )、”  ”
90.「         ”        97 城と城下町」小和田哲男、(  ” )、”  ”
91.「         ”        98 近世上方の民衆」小林茂、(  ” )、”  ”
92.「         ”       134 繭と生糸の近代史」滝沢秀樹、( ” )、”  ”
93.「         ”       137 「金」の近代史」大塚力、(1979)、”  ”
94.「         ”       139 円の歴史」荒木信義、”(  ” )、”  ”
95.「         ”       178 生きざま死にざま」笠原一男他(1979)、1月11日
 : サブタイトル「日本民衆信仰史」
96.「         ”        93 ええじゃないか」高木俊輔、(1979)、”  ”
97.「         ”       138 大本営」森松俊夫、(1980)、”  ”
98.「         ”<西洋史>A1 フランス革命」小栗了之、(1979)、”  ”
99.「         ”       A4 ヒトラーとミュンヘン協定」網川正則、(1979)、”  ”
100.「       ” <東洋史>B1 漢の武帝」影山剛、(1979)、”  ”
101.「       ”        B2 砂漠の文化」堀内勝、( ” )、”  ”
102.「柳田国男の光と影」山田野理夫、農文協(1977)、”  ”
103.「続 物理の散歩道」ロゲルギスト、岩波(2009)、”  ”  *
104.「孤独」アンソニーストー、創元社(1999)、”  ”  *  (3)
105.「教育社歴史新書<日本史>12 万葉集の時代」渡辺守順、(1978)、”  ”
106.「         ”        14 奈良朝政争史」中川収、(1979)、”  ”
107.「         ”        15 菅原道真」阿部猛、(1979)、”  ”
108.「         ”        16 古代の王者と国造」原島礼二、(1979)、”  ”  *
 : 従来説=「倭王権による古代の王者の征服と支配がすすみ古墳が拡大した」を否定し、「古墳は諸部族の連合組織の象徴であった。動乱の時代を経て大王に臣従し、6世紀になって国造に任命された」との見解を提示。
109.「         ”        55 戦国大名」小和田哲男、(1978)、”  ”  *
110.「         ”        56 鎌倉執権政治」安田元久、(1979)、”  ”
111.「         ”        90 東北戦争」山田野理夫、(1978)、1月12日
112.「         ”       126 三菱財閥史明治編」三島康雄、(1979)、”  ”
113.「         ”       128 住友財閥史」作道洋太郎、(1979)、”  ”
114.「         ”       130 治安維持法と特高警察」松尾洋、(1979)、”  ”
115.「         ”       141 日本金融制度発達史」後藤新一、(1980)、”  ”
116.「         ”       176 時間の思想」永藤靖、(1979)、”  ”
 : サブタイトル「古代人の生活感情」
117.「         ”       177 寺檀の思想」大森斉、(  ” )、”  ”
118.「未来を予見する5つの法則」田坂弘志、光文社(2008)、1月14日  *  (1)
119.「中学生までに読んでおきたい哲学1 愛のうらおもて」松田哲夫編、あすなろ書房(2012)、”**
120.「今ここに生きる子ども 子どもの笑いは変わったのか」村瀬学、岩波(1996)、”  ”  *
121.「     ”         交換日記」本田和子、」岩波(1996)、”  ”
122.「権力と人間」ロゴジンスキー、雄渾社(1970)、”  ”
123.「人間選書5 石油文明と人間」農文協文化部、(1977)、”  ”
124.「   ”  6 医学の不安」沼田勇、農文協(1977)、”  ”
125.「人間をとらえる」谷岡武郎、(1975)、”  ”
126.「教育社歴史新書<日本史>124 天皇の軍隊」大濱徹也、(1978)、”  ”
127.「        ”         127 三菱財閥史大正昭和編」三島泰雄、(1980)、”  ”
128.「        ”         140 日本陸軍史」生田惇、(1980)、”  ”
129.「        ”  <西洋史>A7 パナマ運河史」河合恒生、(”)、”  ”
130.「        ”         A8 石器時代の世界」藤本強、(”)、”  ”
131.「        ”  <日本史>33 白村江」鬼藤清明、(1981)、1月16日
132.「        ”         34 古代の集落」石井則孝、(1982)、”  ”
133.「        ”         35 宮座と祭」高牧實、(1982)、”  ”  *  (1)
134.「        ”         65 瀬戸内水軍」宇田川武久、(1981)、”  ”
135.「        ”         66 和寇」田中建夫、(1982)、”  ”
136.「        ”        106 近江商人」渡辺守順、(1982)、”  ”
137.「        ”        144 明治維新と領土問題」安岡昭男、(1980)、”  ”
138.「        ”        149 昭和史と新興財閥」宇田川勝、(1982)、”  ”
139.「        ”        180 罪と罰」笠原一男、(1980)、”  ”  *
140.「        ” <西洋史>A12 チャーチスト運動」古賀秀男、(1980)、”  ”  *
141.「        ”        A13 ハンザ同盟」高橋理、(1980)、”  ”    *
142.「        ” <東洋史>B5 古代中国の反乱」福井重雅、(1982)、”  ”
143.「        ” <日本史>148 栄沢幸二、(1981)、”  ”
144.「MINERVA人文・社会科学叢書60 モンロー・ドクトリンとアメリカ外交の基盤」中嶋啓雄(2003)
145.「         ”          68 危機の20年と思想家たち」デーヴィッド・ロング、(2002)
146.「         ”          69 日本的法意識論再考」高橋眞、(2002)、”  ”  *
147.「         ”          71 韓国における権威主義的体制の成立」木村幹、(2003)
148.[         ”          73 アメリカのナショナリズムと市民像」大都留智恵子、(”)  *
149.「         ”          78 法と経済第二版」ハリソン、(2003)、”  ”
150.「         ”          80 アダム・スミスの制度主義経済学」田島慶吾、(2003)
151.「         ”          90 戦後ドイツ社会民主党史研究序説」安野正明、(2004)
152.「今ここに生きる子ども 居場所のない子どもたち」鳥山敏子、岩波(1997)、1月17日  *
153.「人間選書77 「待ち」の子育て」山田圭子、農文協(1986)、”  ”  **
 : 「待ち」とは、子どもの自立を助けるため、保育士が指示をせず、子どもの自主性を重んじる子育てのやり方。
154.「   ”  78 短命化が始まった」農文協文化部(1986)、”  ”
 : サブタイトル「長寿村での「食意識」の変化」。山梨県上野原町相原地区のケーススタディ。そこで起こっていたのは、伝統食の放棄。
155.「   ”  84 地域に学ぶ子どもたち」岩浅、農文協(1986)、”  ”  **
 : サブタイトル「親と教師の課題」。子どものなかに、勉強したいわかりたいという切ないほどの願いがある。
156.「   ”  85 知の転回」上、根井康之、 ” (1986)、”  ”
 : サブタイトル「生活世界の最深部から」
157.「   ”  86    ”  」下、   ”  、 ” (  ” )、”  ”
 : サブタイトル「「社会と歴史」の基盤から」
158.「教育社歴史新書<日本史>15 菅原道真」阿部猛、(1979)、”  ”
159.「        ”        109 キリシタン禁制史」清水紘一、(1981)、”  ”
160.「        ”        123 日本財閥史」森川英正、(1978)、”  ”
161.「        ”        125 三井財閥史大正昭和編」栂井義雄、(1978)、”  ”
162.「        ”        202 検地」神崎彰利、(1983)、”  ”
163.「        ” <西洋史>A23 魔女狩り」浜林正夫、(1983)、”  ”
164.「        ” <東洋史>B7 西大后」濱久夫、(1984)、”  ”
165.「封神演戯」上・中・下、講談社文庫(2000)、”  ”  ***
166.「人間選書88 伊那谷の四季」渋谷甲子男、農文協(1986)、1月18日  *
167.「授業の中の子どもたち」林竹二、NHK(1976),”  ”
168.「教育の再生をもとめて 湊川でおこったこと」林竹二、筑摩書房(1977)、”  ”
169.「学校に教育をとりもどすために 尼工でおこったこと」林竹二、筑摩書房(1980)、”  ”
170.「いま授業を変えなければ子どもは救われない」林竹二、太郎次郎社(1981)、”  ”
171.「授業を追求するということ 城南小でおこったこと」林竹二、風土社(1982)、”  ”
172.「人間がすべて 教育改革への十一の提言」林竹二、太郎次郎社(1983)、”  ”  *
173.「現代教育101選2 教えるということ」林竹二、風土社(1990)、”  ”
174.「     ”    12 学ぶということ」   ”  、  ” (  ”  )、”  ”
175.「     ”    28 授業・人間について」” 、  ” (  ”  )、”  ”
176.「人間選書90 魚」河井智康、農文協(1986)、”  ”
177.「   ”  91 百億人を養えるか」ジョセフ・グッツマン、” (1986)、”  ”
178.「   ”  92 人間エコロジーと環境汚染病」ランドルフ、”(  ” )、”  ”
179.「   ”  93 農法」守田志郎、 ” (1972)、”  ”
180.「   ”  95 仕事が暮らしをこわす」渡植彦太郎、” (1986)、1月19日
181.「   ”  96 農業は農業である」守田志郎、 ” (1971)、”  ”  **
182.「   ”  98 傍受の生態学」川那部裕哉、  ” (1987)、”  ”
183.「   ”  82 自然と食と農耕」岩城英夫他、 ” (1979)、”  ”
184.「   ”  89 般若心経 私の挑戦」佐藤忠三郎、” (1986)、”  ”
185.「今ここを生きる子ども 生きにくい子どもたち」岩宮恵子、岩波(1997)、”  ”
186.「      ”       医療最前線の子どもたち」向井承子、” (1997)、”  ”
187.「人間選書1 共存の諸相」藤井平司、農文協(1977)、1月20日
188.「  ”   2 人間の原点をここにみる」農文協文化部(1977)、”  ”
189.「  ”  80 水と人間の共生」大崎正治、農文協(1987)、”  ”  *
 : サブタイトル「その思想と生活空間」
190.「  ”  87 東京の四季」安藤隆夫、 ”  (1986)、”  ”
191.「社会的人間論」清水幾太郎、目黒書店(1951)、”  ”
192.「人間選書128 奄美の四季」原井一郎、農文協(1988)、1月21日  *
193.「   ”  129 食と健康を地理からみると」島田彰夫、 ” (1988)、”  ”
194.「   ”  130 この国は恐ろしい国」関千枝子、 ” (1988)、”  ”
195.「   ”  131 だから儀式はなくならない」小原秀雄、 ” (1988)、”  ”  *
196.「   ”   10 名瀬だより」鳥尾敏雄、 ” (1977)、1月22日  *
197.「   ”   11 イメージの誕生」佐野三津男、” (1978)、”  ”
198.「   ”   4 日本農民文学史」犬田卯、 ” (1977)、”  ”
199.「   ”   15 安藤昌益の闘い」寺尾五郎、 ” (1978)、”  ”  **  (16)
200「    ”   34 百姓入門記」小松恒夫、 ”  (1979)、”  ”  *
201.「   ”   37 ことばの差別」田中克彦、 ” (1980)、”  ”
202.「   ”   63 地域主義の思想」玉野井芳郎、 ” (1979)、”  ”
203.「今ここに生きる子ども 子どもと悪」河合隼雄、岩波(1997)、”  ”
204.「教育社歴史新書<日本史>36 擦文文化」藤本強、(1982)、”  ”
205.「       ”          37 古代の難波」吉田昌、(1982)、”  ”
206.「       ”          38 伝説の時代」志村有弘、(1984)、”  ”
207.「       ”          40 瓦からみた平安京」近藤喬一、(1985)、”  ”
208.「       ”          41 装飾古墳」森貞次郎、(1985)、”  ”
209.「       ”          58 鎌倉仏教」田中久夫、(1880)、”  ”
210.「       ”          59 蒙古襲来」阿部征寛、(1980)、”  ”
211.「       ”         102 アイヌ考古学」宇田川洋、(1980)、”  ”
212.「       ”         103 佐渡金山」田中圭一、(1980)、”  ”
213.「       ”         104 維新前夜の江戸市民」南和男、(1980)、”  ”
214.「       ”         110 元禄文化・西鶴の世界」谷脇理史、(1982)、1月23日  *
215.「       ”         124 天皇の軍隊」大濱徹也、(1978)、”  ”
216.「       ”         125 三井財閥史大正昭和編」栂井義雄、(1978)、”  ”
217.「       ”         136     ”   近世明治編」安岡重明、(1979)、”  ”
218.「       ”         179 津軽の民間信仰」小館衷三、(1980)、”  ”  *
219.「       ”         183 女人往生」笠原一男、(1983)、”  ”  *  (7)
220.「       ”         201 大名と領民」青野春水、(1983)、1月23日
221.「       ” <世界史>A6 イタリア・ルネサンス」渡辺友一、(1980)、1月24日  *
222.「       ” <東洋史>B6 大都長安」宮永芳三、(1982)、”  ”
223.「       ”    ”   B7 西大后」濱久雄、(1984)、”  ”  *
224.「今ここに生きる子ども 子どものことを子どもにきく」杉山亮、岩波(1996)、”  ”
 : サブタイトル「8年間の親子インタビューから」
225.「人間選書13 奄美女性史」長田須磨、農文協(1978)、”  ”
226.「   ”  14 他者と私」庄幸四郎、” (1978)、”  ”
227.「   ”  16 文化運動論」農文協文化部(1978)、”  ”  *
228.「   ”  21 ゆれる旅」原田津,農文協(1978)、”  ”
229.「   ”  38 子ども学」佐野美津男、 ” (1980)、”  ”  *
230.「   ”  40 マルクスからルソーへ」田中吉六、” (1980)、”  ”
231.「   ”  41 学問の方法」守田志郎、 ” (1980)、”  ”
232.「   ”  43 飛田の夜明け」海野金一郎、 ” (1980)、”  ”
233.「   ” 132 江戸時代の諸稼ぎ」染谷克己他、 ” (1988)、”  ”  *  (4)
234.「   ” 133 霞ケ浦の風土と食」森田美比、 ” (1988)、1月25日
235.「   ” 134 食卓のパロディー」山路健、 ” (1988)、”  ”
236.「生態学研究シリーズ1 池沼の生態学」水野寿彦、築地書館(1971)、”  ”
237.「人間選書101 生きものを教える 基礎編」兼松仁郎、農文協(1987)、”  ”
238.「   ”  105 フィリピン国ボントク村」大崎正治、 ” (1987)、”  ”
239.「   ”  106 地域形成の論理」農文協文化部(1987)、”  ”
240.「   ”  107 台所ともだち」村上昭子、農文協(1987)、”  ”
241.「   ”  108 学問が民衆知をこわす」渡植彦太郎、 ” (1987)、”  ”
242.「   ”  109 高度成長の社会史」管孝行、 ” (1987)、”  ”
243.「   ”  110 休息のエネルギー」大城立裕、 ” (1987)、”  ”
244.「   ”  112 地域を教える」菅原康子、 ” (1987)、”  ”
245.「   ”  113 病のかげに横たわるもの」小崎順子、 ” (1987)、”  ”
246.「   ”  114 技術と人間の哲学のために」中岡哲郎、 ” (1987)、”  ”
247.「   ”  115 「食生活指針」の比較検討」豊川裕之、 ” (1987)、”  ”
248.「   ”  119 サービスとしての医療」中川米造、 ” (1987)、”  ”
249.「   ”  120 生意気少年日記」大西伍一、 ” (1987)、”  ”
250.「   ”  121 マイナス成長の経済学」室田武、 ” (1987)、”  ”
251.「   ”  122 自然を守るとはどういうことか」守山弘、 ” (1988)、”  ”
252.「   ”  123 開発の中の生物たち」小田柿進二、 ” (1988)、”  ”
253.「   ”  124 昭和林業私史」守江敏勝、 ” (1988)、”  ”
254.「   ”  125 対馬の西季」月川雅夫、 ” (1988)、”  ”
255.「   ”  126 学校は地域に何ができるか」渋谷忠男、 ” (1988)、”  ”
256.「   ”  127 続・私の宮沢賢治」内田朝雄、 ” (1988)、”  ”
257.「MINERVA人文・社会科学叢書72 近代日本資本主義史研究」山本義彦、(2003)、”  ”
258.「         ”          74 ユグノーの経済史的研究」金哲雄、(2003)、”  ”
259.「         ”          83 近代イラン金融史研究」水田正史、(2003)、”  ”
260.「         ”          87 プラグマテイズムの展開」ミード、(2003)、”  ”
261.「         ”          63 近代移行期の家族と歴史」速水融、(2002)、”  ”
262.「         ”          77 福祉国家の危機と地域福祉」堀内隆治、(2003)、”  ”
263.「         ”          84 仕事の社会学」石田光男、(2003)、”  ”
264.「食べ物の声を聴け」魚柄仁之助、岩波(2011)、1月26日  **」
265.「人間選書26 医の倫理」村上國男、農文協(1979)、”  ”  *
266.「   ”  45 敗戦 そのとき村は」新山新太郎、 ” (1981)、”  ”
267.「   ”  47 アイヌ人物誌」松浦武四郎、 ” (1981)、”  ”
268.「   ” 102 生きものを教える 小学生編」九州小学校理科サークル、” (1987)、”  ”
269.「   ” 103      ”      中学生編」九州生物学教育研究グループ、”(1987)、” ”
270.「   ” 136 なんでアムネスティ?」阪本和子、 ” 1989)、”  ”
271.「巫と芸能者のアジア」野村伸一、中公新書(1995)、1月26日
272.「人間選書148 ムがいっぱい」やまもとくみこ、農文協(1990)、”  ”  *
 : サブタイトル「タイ少数民族カレンの村で」
273.「   ”  149 ふるさとを忘れた都市への手紙」宮崎日日新聞、” (1990)、”  ”
274.「   ”  150 地域が動きだすとき」広松伝他、 ” (1990)、”  ”
275.「   ”  151 タマネギ畑で涙して」山下惣一、 ” (  ” )、”  ”
 : サブタイトル「タイ農村ふれあい紀行」
276.「   ”  152 海上の人生大正昭和船員群像」海員史話会、”(  ” )、”  ”
277.「   ”  153 多摩川はつらいよ」小菅盛平、 ” (1990)、”  ”
278.「   ”  154 動物としてのヒトを見つめる」島田彰夫、” (1991)、”  ”
279.「   ”  156 小農本論」津野幸人、 ” (1991)、”  ”
280.「   ”  157 内発的発展の道」森友裕一、”(1991)、”  ”
281.「   ”  158 子どもたちの秘密基地」安藤正紀、” (1991)、1月27日
282.「   ”  159 鮭には愛がいっぱい」名取弘文、” (1991)、”  ”  *
283.「   ”  160 語りつぐふるさとの民話」日本民話の会、(1991)、”  ”
284.「   ”  161 核の世紀末」高木仁三郎、 ” (1991)、”  ”
285.「   ”   18 家の歴史」中村吉治、 ”  (1978)、”  ”
286.「   ”   20 木内克の言葉」和田敏文、” (1978)、”  ”
287.「   ”   27 裁判と言語」岡邦俊、 ” (1979)、”  ”
288.「   ”   46 私の宮沢賢治」内田朝雄、” (1981)、”  ”
289.「   ”   48 小説 人間の土地」第二部Ⅳ、吉田十四男、”(1981)、”  ”  *
290.「   ”  135 海と魚と原子力発電所」水口憲哉、”(1989)、”  ”
291.「   ”  137 自然・労働・共同社会の理論」内山節、”(1989)、”  )
292.「下戸は勘定に入れません」西澤保彦、中公(2014)、”  ”  *
293.「今ここに生きる子ども 科学技術時代の子どもたち」中村桂子、岩波(1997)、1月28日  *
294.「マレー諸島」A・R・ウォレス、新思索社(1991)、”  ”  *
295.「人間選書73 管理される野菜」農文協文化部(1985)、”  ”  *  (4)
296.「   ”  74 戦後労働運動への逆照射」中嶋誠、農文協(1985)、”  ”
297.「   ”  75 「労働」の終焉」安永寿延、” (1985)、”  ”
298.「   ”  76 地域をひらく」花崎きょう平、 ” (1985)、”  ”
299.「   ” 85・86 知の転回」上・下、根井康之、”(1986)、”  ”
300.「   ”  99 技術が労働をこわす」渡植彦太郎、” (1987)、”  ”
301.「   ” 100 農文協の「農業白書」」農文協文化部(1987)、”  ”
302.「教育社歴史新書<日本史>44 国府」木下良、(1988)、”  ”
303.「       ”          45 藤原道長」山中裕、(1988)、”  ”
304.「       ”          46 古墳の時代」岩崎卓也、(1990)、”  ”
305.「       ”          94 飢饉」荒川秀俊、(1979)、”  ”
306.「       ”         150 文明開化」井上勲、(1986)、”  ”
307.「人間選書97・111・116 日本農業は生き残れるか」上・中・下、小倉武一,農文協(1987)、
1月29日  **  (79)
308.「   ”  117 農村生活カタログ」伊藤昌治、 ” (1987)、”  ”  **
 : サブタイトル「孫に伝える私の少年時代」。明治36年に川中島に生まれた著者の当時の農村での生活を紹介した好著。
309.「   ”  118 背徳の生命操作」市川茂孝、 ” (1987)、”  ”
310.「   ”   28 1930年代問題の諸相」宮川透、 ” (1979)、”  ”
311.「   ”   29 紛争の研究」加藤秀俊、 ”  (1979)、”  ”
312.「   ”   32 歴史の敷石」桑名靖治、 ” (1979)、”  ”
313.「   ”   49 雪ぐにの人生」山川肇、 ” (1981)、”  ”
314.「   ”   50 わが哲学論争史」田中吉六、 ” (1980)、”  ”
315.「   ”   51 古代史の先駆者喜田貞吉」山田野理夫、 ” (1981)、”  ”
316.「   ”   65 わが内なるエコロジー」高木仁三郎、 ” (1982)、”  ”
317.「   ”   66 ドキュメンタリを創る」松川八洲雄、 ” (1983)、”  ”
318.「   ”   67 間引きと水子」千葉徳爾、 ” (1983)、”  ”  *  (4)
 : 従来の通説=「間引きは人口を減少させた」「貧困原因説」を資料分析にもとづいて否定。
319.「   ”   68 サルを見て人間性を探る」杉山幸丸、 ” (1984)、”  ”
320.「   ”   69 都市と川」三木和郎、 ” (1984)、”  ”
321.「   ”   70 戦後民主主義の決算書」菅孝行、 ” (1985)、”  ”
322.「   ”   71 サケ 多摩川に帰る」馬場錬成、 ” (1985)、1月29日
323.「   ”   72 ある弁護士の昭和史」石井晃、 ” (1985)、”  ”
324.「   ”  138 教育は人間をつくれるか」小原秀雄、” (1989)、”  ”  *  (3)
 : 「教育は人間をつくれない。だが、人間は人間がつくる。それはなぜか。”そしてどうすべきなのか”」を命題として書かれた本。
325.「   ”  140 子どもと話そう原子力発電所」名取弘文、 ” (1989)、”  ”
326.「   ”  141 新軍縮時代がやってくる」小野田猛史、 ” (1989)、”  ”
327.「   ”  143 だれが大地を壊したのか」近藤康年、 ” (1989)、”  ”
 : サブタイトル「幻影の苫小牧開発」
328.「   ”  144・145 自伝 のこぎり一代」上・下、吉川金次、” (1989)、”  ”
329.「   ”  146 サンゴの海に生きる」野地元基、 ” (1990)、”  ”
330.「   ”  147 日本劣等食文化」山路健、 ” (1990)、”  ”
331.「MINERVA人文・社会科学叢書79 日米通商摩擦の政治経済学」中戸裕夫、(2003)、”  ”
332.「精神分析理論と臨床」北山修、誠信書房(2001)、”  ”
333.「教育社歴史新書<日本史>165 近世の村」木村礎、(1980)、”  ”  *
334.「土とふるさとの文学全集」1、2、家の光協会(1976)、1月30日  (3)
335.「理想の村マリナレダ」ダン・ハンコックス、太田出版(2014)、”  ”
336.「海の生態学」時岡隆他、築地書館(1972)、”  ”
337.「今ここを生きる子ども 子どもが熱くなるもう一つの教室」佐伯胖、岩波(1997)、”  ”
338.「      ”       インターネットの子どもたち」三宅なほみ、 ” (1997)、”  ”
339.「古典とその時代Ⅲ 物語文学」南波浩、三一書房(1957)、2月10日  **  (25)
340.「    ”     Ⅳ 平家物語」谷宏、    ”   (1957)、”  ”
341.「    ”     Ⅵ 近松門左衛門」森修、 ”   (1959)、”  ”
342.「    ”     Ⅶ 芭蕉」浅田善二郎他、 ”   (1962)、”  ”
343.「今ここを生きる子ども ポケットの中の野生」中沢新一、岩波(1997)、2月11日  *
 : ポケモンは子どもたちの持つ「野生の思考」をうまく現代において引き出す機能を果たしている。
344.「人間選書81 教育にとって自然とは」渋谷寿夫、農文協(1979)、”  ”  *  (5)
345.「   ”  83 稲のもつ教育力」熊谷農業高校作物教室、”(1979)、”  ”  *  (2)
346.「消費をやめる」平川克美、ミシマ社(2014)、”  ”  *  (4)
347.「ウは宇宙のウ」萩尾望都、小学館文庫(1997)、”  ”
348.「語り・物語・精神療法」北山修、日本評論社(2004)、2月13日
349.「最後の授業」北山修、みすず(2010)、”  ”
350.「評価の分かれるところに」北山修、誠信書房(2013)、”  ”
 : サブタイトル「「私」の精神分析的精神療法」
351.「歴史文化ライブラリー300 近世の仏教」末木文美士、吉川弘文館(2010)、”  ”
352.「      ”       318 四国遍路」星野英紀他、    ”    (2011)、”  ”
353.「      ”       329 <新>弥生時代」藤尾慎一郎、 ”   (2011)、”  ”  *
 : サブタイトル「500年早かった水田稲作」。弥生時代の始まりの定説を否定し、紀元前10世紀を主張。
354.「      ”       331 江戸大名の本家と分家」野口朋隆、” (2011)、”  ”
355.「      ”       338 江戸時代の遊行聖」圭室文雄、 ”   (2012)、”  ”
356.「      ”       339 聖武天皇の造った都」小笠原良彦、 ” (2012)、”  ”
357.「      ”       346 荒ぶるスサノオ、七変化」斎藤英喜、 ”(2012)、”  ”
 : サブタイトル「<中世神話>の世界」
358.「      ”       347 武士という身分」森下徹、   ”  (2012)、”  ”
 : サブタイトル「城下町萩の大名家臣団」
359.「      ”       150 水戸家と明治維新」吉田俊純、 ” (2003)、”  ”
360.「教育社歴史新書<日本史>6 東大寺」平岡定海、(1977)、”  ”
361.「      ”           27 古代の美濃」野村忠夫、(1980)、”  ”
362.「      ”           54 中世の九州」外山幹夫、(1979)、”  ”
363.「      ”              加賀百万石」田中善夫、(1980)、”  ”
364.「      ”    <東洋史>B3 諸子百家」大塚伴鹿、(1980)、”  ”
365.「生態学研究シリーズ2 河川の生態学」水野信彦他、築地書館(1972)、2月14日
366.「      ”      5 草地の生態学」島田蟯他,   ”    (1973)、”  ”
367.「      ”      7 耕地の生態学」小里桂三郎他、 ”   (1972)、”  ”
368.「女たちのロングライフ物語」古庄弘枝、鳥影社(2015)、2月15日   *
 : サブタイトル「老人ホームではなく大家族をつくる」
369.「日本の大課題 子どもの貧困」池上彰編、ちくま新書(2015)、”  ”  *
 : サブタイトル「社会的養護の現場から考える」
370.「欧米に寝たきり老人はいない」宮本顕二他、中公(2015)、”  ”  *
371.「コンテンツツーリズムの研究」岡本健、福村出版、”  ”
 : サブタイトル「情報社会の観光行動と地域振興」
372.「土とふるさとの文学全集」3・4、家の光協会(1976)、2月16日
373.「遠い崖 アーネスト・サトウ日記抄」1、萩原延寿、朝日文庫(2007)、”  ”
374.「日本人のための憲法言論」小室直樹、(2006)、2月17日  ***  (4)
375.「古典とその時代1 古事記・日本書紀」藤沢伊勢三、三一書房(1957)、”  ”  ** (12)
376.「    ”     2 万葉集」吉永登、三一書房(1957)、”  ”
377.「    ”     8 西鶴」野田寿雄、   ”  (1958)、”  ”
378.「昭和史」上・下、中村隆英、東洋経済文庫(2012)、”  ”
379.「男おひとりさま術」中澤まゆみ、法研(2010)、”  ”
380.「土とふるさとの文学全集」5・6、家の光協会(1976)、”  ”
381.「人間選書162 牛肉と日本人」吉田忠、農文協(1992)、2月18日
382.「   ”  166 母権と父権の文化史」市川茂孝、” (1993)、”  ”
383.「   ”  168 kとばのエコロジー」田中克彦、” (1993)、”  ”
384.「   ”  233 日本農法の天道」徳永光俊、”  (2009)、”  ”
 : サブタイトル「現代の農業と江戸期の農書」
385.「   ”  164 手さぐりのタイ」やまもとくみこ、 ”(1992)、”  ”
386.「   ”  165 賢治精神の実践」安藤玉治、”  (1992)、”  ”
 : サブタイトル「松田甚次郎の共働村塾」
387.「   ”  167 日本的自然観の方法」丹羽文夫、” (1993)、”  ”
 : サブタイトル「今日生態学の意味するもの」
388.「   ”  169 日本近現代思想の諸相」鈴木正、” (1993)、”  ”
389.「   ”  170 消されたポットウ」田中典子,  ”  (1993)、”  ”
 : サブタイトル「スリランカ少数民族の女たち」
390.「   ”  174 夢破れる国日本」唐凛、  ”  (1994)、”  ”
391.「   ”  182 日本近現代思想の群像」鈴木正、” (1994)、”  ”
392.「   ”  183 肉食文化と魚食文化」長崎福三、” (1994)、”  ”
393.「   ”  184 いなかに移り住むということ」寺田瑛子、”(1995)、”  ”
394.「   ”  185 本 森に帰る」吉津耕一、  ”  (1995)、”  ”
 : サブタイトル「本の力で町づくり」
395.「   ”  187 いま迎える第二の創世記」小野田猛史、”(1995)、”  ”
 : サブタイトル「「記紀」に学ぶ末世からの脱出」
396.「   ”  188 聞き書 ふるさとの戦争」青木暢之他、 ” (1996)、”  ”
397.「   ”  173 農業にとって技術とはなにか」守田志郎、” (1994)、2月19日  *
398.「   ”  188 小さい農業」津野幸人、 ” (1995)、”  ”
 : サブタイトル「山間地農村からの探求」
399.「   ”  176 農業高校ってすごい」永田永一、 ” (1994)、”  ”  *
400.「   ”  189 農業を考える時代」渡部忠世、 ” (1995)、”  ”
401.「   ”  190 西岡常一と語る 木の家は百年」原田紀子、”(1995)、”  ”  *
402.「   ”  192 猪・鉄砲・安藤昌益」いいだもも、 ” (1996)、”  ”
403.「   ”  197 タイの田舎から日本が見える」山下惣一、”(1996)、”  ”
404.「   ”  198 エンジニア百姓事始」岡田幸夫、 ” (1997)、”  ”
405.「   ”  199 食の原理 農の原理」原田律、 ” (1997)、”  ”
406.「   ”  202 憲法を愛していますか」鈴木正、” (1997)、”  ”
 : サブタイトル「金森徳次郎憲法論集」
407.「   ”  203 磯焼けの海を救う」境一郎、 ”  (1997)、”  ”
408.「   ”  204 水田を守るとはどういうことか」守山弘、” (1997)、”  ”
409.「   ”  205 木々のうた」岡宮芳生、 ”  (1997)、”  ”
 : サブタイトル「唱うエコロジーの試み」
410.「   ”  207 子どもが見つめる家族の未来」濱崎タマエ、” (1997)、”  ”
411.「   ”  172 男と女の未来学」桑畑美沙子、” (1994)、”  ”  *
412.「   ”  178 日本の焼き肉韓国の刺身」朝倉敏夫、” (1994)、”  ”
 : サブタイトル「食文化が”ナイズ”されたとき」
413.「   ”  194 日本農法の水脈」徳永光俊、 ” (1996)、”  ”  *
414.「   ”  200 むらの原理都市の原理」原田律、” (1997)、”  ”
415.「   ”  236 農家と語る農業論」守田志郎、 ” (2001)、”  ”
416.「   ”  239 対話学習 日本の農耕」 ” 、 ” (2002)、”  ”
417.「   ”  241 多文明共存時代の農業」高谷好一、” (2002)、”  ”  *  (4)
418.「   ”  234 市場経済廃絶への道」千葉靖雄、 ” (2001)、”  ”  **  (4)
419.「   ”  240 復刻昭和20年8月食生活指針」静岡県、” (2002)、2月21日
420.「   ”  270 伝統技法で茅葺き小屋を建ててみた」原田紀子、” (2008)、”  ”
 : 「西岡常一と語る木の家は300年」続編
421.「   ”  264 子どもたちの建築デザイン」鈴木賢一、 ” (2006)、”  ”
422.「遠い崖」3・5・6・7、萩原延寿、朝日文庫(2007~8)、”  ”
423.「土とふるさとの文学全集」7・8、家の光協会(1976~7)、”  ”
424.「人間選書242 昭和農業技術史への証言」第一集、西尾敏彦、” (2002)、”  ”
425.「   ”  251        ”         」第二集、   ”  、” (2003)、”  ”
426.「   ”  257        ”         」第三集、   ”  、” (2004)、”  ”
427.「   ”  262        ”         」第四集、   ”  、” (2005)、”  ”
428.「   ”  267 聞き書き紀州備長炭に生きる」阪本保喜、 ” (2007)、2月22日
429.「   ”  268 生態学の大きな話」川那部浩哉、 ” (2007)、”  ”
430.「   ”  151 核の世紀末」高木仁三郎、 ” (1991)、”  ”
431.「   ”  179 村があって農協がある」守田志郎、” (1994)、”  ”
432.「   ”  171 ノモンハン孤立兵の遺書」富永信、 ”(1993)、”  ”
433.「   ”  175 食とからだのエコロジー」島田彰夫、” (1994)、”  ”
434.「   ”  177 サルはどのように冬を越すのか」和田一雄、” (1994)、”  ”
435.「   ”  181 構造薬害」片平洌彦、 ” (1994)、”  ”
436.「遠い崖」9、萩原延寿、朝日文庫(2008)、”  ”
437.「歴史文化ライブラリー315 変貌する清盛」樋口大祐、吉川弘文館(2011)、2月23日
438.「      ”       343 古代の琉球弧と東アジア」山室純一、 ” (2012)、”  ”
439.「MINERVA歴史文化ライブラリー20 独立宣言の世界史」デイヴィッド・アーミテージ、(2012)
440.「土とふるさとの文学全集」9、家の光協会(1976)、”  ”  (1)
441.「人間選書244・5 ハワードの有機農業」上・下、A・ハワード、農文協(2002)、”  ”  **
442.「   ”  247 二宮尊徳」守田志郎、  ”  (2003)、”  ”
443.「   ”  252 村の遊び日」古川貞雄、 ” (2003)、”  ”
444.「   ”  196 知りたがり屋のガン患者」種村エイ子、 ” (1996)、”  ”
445.「教育社歴史新書<日本史>39 清和源氏」朧谷寿、(1984)、”  ”
446.「     ”     <西洋史>A14 ボーア戦争」岡倉登志、(1980)、”  ”  *
447.「魂の殺人」A・ミラー、新曜社(1983)、2月24日
448.「人間選書265・269・271 昭和農業技術史への証言」5~7、西尾敏彦、農文協、”  ”
449.「   ”  213 都市にとって自然とは何か」赤瀬川源平他、 ” (1998)、”  ”
450.「   ”  214 旅芸人のフォークロア」川本祥一、 ” (1998)、”  ”
451.「   ”  250 カマキリは大雪を知っていた」酒井與喜夫、 ” (2003)、”  ”
 : サブタイトル「大地からの”天気信号”を聴く」
452.「歌舞伎の見方」渡辺保、角川選書(2009)、2月26日  *
453.「渡辺保の歌舞伎劇評」角川書店(2009)、”  ”  *
454.「私の歌舞伎遍歴」渡辺保、演劇出版社(2012)、”  ”  *
455.「赤い百合」アナトール・フランス、臨川書店(2001、”  ”
456.「タチアーナの源氏物語」TBS(1996),”  ”
457.「土とふるさとの文学全集」10、家の光協会(1976)、2月27日  (1)
458.「共視論」北山修、講談社選書メチエ(2005)、”  ”
459.「劇的な精神分析入門」北山修、みすず書房(2007)、”  ”  *
460.「覆いをとること、つくること」北山修、岩崎学術出版(2009)、”  ”
461.「人間選書195 過剰人口」J・クラッツマン、農文協(1996)、”  ”
462.「   ”  272~4 昭和農業技術史への証言」8~10、西尾敏彦、” (2010~2)、”  ”
463.「   ”  261 木材革命}村尾行一、 ” (2005)、”  ”  *  (11)
464.「歴史文化ライブラリー152 宮本武蔵の読まれ方」櫻井良樹、吉川弘文館(2003)、”  ”
465.「      ”       302 「国民歌」を唱和した時代」戸ノ下達也、 ”  (2010)、”  ”
466.「      ”       317 <日本美術>の発見」吉田千鶴子、  ”   (2010)、”  ”
 : サブタイトル「岡倉天心がめざしたもの」
467.「教育社歴史新書<日本史>28 今昔物語の世界」坂口勉、(1980)、”  ”  *  (2)
468.「      ”           82 川柳・狂歌」浜田義一郎、(1977)、”  ”
469.「遠い崖」10~3、萩原延寿、朝日文庫(2008)、”  ”  **
470.「土とふるさとの文学全集」11、家の光協会(1977)、”  ”  (1)
471.「日本語臨床の深層第一巻 見るなの禁止」北山修、岩崎学術出版(1993)、”  ”
472.「       ”    第二巻 言葉の橋渡し機能」” 、    ”    (1993)、”  ”
473.「       ”    大三巻 自分と居場所」  ”  、    ”    (1993)、”  ”
474.「MINERVA人文・社会科学叢書64 草創期のアメリカ政治学」中谷義和、(2003)、”  ”
475.「          ”          82 日本の労働研究」野村正實、(2003)、”  ”
476.「人間選書258 戦後精神の探訪」鈴木正、農文協(2005)、”  ”
477.「   ”  238 庭にきた鳥」佐藤信治、  ”  (1999)、”  ”  *
478.「女を観る歌舞伎」酒井順子、文春(2014)、”  ”  *
479.「無頼化する女たち」水無田気流、洋泉社新書(2009)、”  ”
480.「黒山もこもこ、抜けたら荒野」 ” 、光文社新書(2008)、”  ”
481.「明治の山旅」武田久吉、平凡社ライブラリー(1999)、2月29日
482.「安藤昌益の思想史的研究」三宅元彦編、岩田書院(2001)、”  ”  *  (1)
483.「歴史とテクスト」井田進也、光芒社(2001)、”  ”
 : サブタイトル「西鶴から諭吉まで」
484.「日本アンソロジー 兆民をひらく」井田進也、 ” (2011)、”  ”
 : サブタイトル「明治近代の夢をもとめて」
485.「中江丑吉の人間像」鈴木正他編、風媒社(1970)、”  ”
 : サブタイトル「兆民を継ぐもの」
486.「近代日本の哲学者」   ”   、北樹出版(1990)、”  ”
 : 近代日本の十大哲学家: 西周・津田真道・福沢諭吉・中江兆民・西田幾太郎・田辺元・三木清・狩野亮吉・戸板潤・加藤正
487.「日本思想の可能性」鈴木正、五月書房(1994)、”  ”
 : 中江兆民・田中正造・井上円了・内村鑑三・大庭・柳田国男・柳宗悦・和辻哲郎など
488.「思想家のシルエット」鈴木正、勁草書房(1991)、”  ”
489.「近代日本の理性」鈴木正、    ”   (2002)、”  ”
490.「戦中と戦後精神」  ”  、    ”   (1981)、”  ”
491.「知の在野精神」   ”  、    ”   (1984)、”  ”
492.「日本知識人のアジア認識」 ” 、北樹出版(2003)、”  ”
493.「日本の合理論」   ”  、現代思想社(2001)、”  ”
494.「新版 日本思想史の遺産」 ” 、ミネルヴァ書房(1976)、”  ”
495.「日本のマルクス主義者」 ” 、風媒社(1973)、”  ”
496.「暗殺秘録」  ”  、原書房(1979)、”  ”
497.「書物・人物・心景」  ”  、北樹出版(1999)、”  ”
498.「渡辺大溝自由論集2 農村の救世主安藤昌益」農文協(1995)、3月1日  *
 : 小説仕立てで安藤昌益とその時代を描く。
499.「スーパー・ビジネス」フレイザー・ダハテイ、毎日(2012)、”  ”  *
 :企業の仕方とマネージメントのポイントを学ぶための良き入門書
500.「土とふるさとの文学全集」12、家の光協会(1976)、”  ”  (1)
501.「悲劇の発生論」北山修、金剛出版(1997)、”  ”
502.「映画と身体/性」斎藤綾子編、森新社(2006)、”  ”
503.「歴史文化ライブラリー304 流行歌の誕生」永嶺重敏、吉川弘文館(2010)、”  ”
504.「人間選書91 百億人を養えるか」ジョセフ・クラッツマン、農文協(1976)、”  ”  * (8)
 : 世界の食糧問題の案内書
505.「   ”  104 食べ物を教える」桑畑美沙子編、  ”  (1987)、”  ”
506.「   ”  231 水辺遊びの生態学」嘉田由紀子他、” (2000)、”  ”
507.「   ”  232 中国史のなかの日本像」王勇、  ”  (2000)、”  ”  (4)
508.「明治六年政変」毛利敏彦、中公新書(1978)、”  ”
509.「遠い崖」4、萩原延寿、朝日文庫(2007)、”  ”
510.「人間選書209 日本神道の現代的意義」王守華、農文協(1997)、3月2日  *
511.「2001年の中江兆民」井田進也、光芒社(2007)、”  ”
512.「これからの世界史9 国民国家のエルゴロジー」加藤哲学、平凡社(1994)、”  ”  *
 : エルゴロジー=人間自身に潜む自然の生理学
513.「近代日本の国家構想」坂の潤治、岩波(1996)、”  ”
514.「「挫折」の昭和史」山口昌男、岩波(1995)、”  ”
515.「「敗者」の  ”  」   ”  、  ” ( ”  )、”  ”
516.「開国経験の思想史」宮村治雄、東大(1996)、”  ”
 : サブタイトル「兆民と時代精神」
517.「戦後思想史を読む」峰島旭雄、北樹出版(1997)、”  ”
518.「歴史の危機」やすいゆたか、三一書房(1995)、”  ”
519.「対話 近代思想史」山本晴義、 ”   (1998)、”  ”
520.「近代アジア精神史の試み」松本健一、中公叢書(1993)、”  ”
521.「明治思想史」松本三之介、新曜社(1996)、”  ”
522.「知識人の宗教観」藤田友治、三一書房(1998)、”  ”  *
523.「力への思想」武田青嗣他、学芸書林(1994)、”  ”
524.「近代日本のアナーキズム」板垣哲夫、吉川弘文館(1996)、3月3日
525.「意味としての心」北山修、みすず書房(2014)、”  ”
526.「戦後思想の運命」田島建夫、窓社(1998)、”  ”
527.「教育社歴史新書<西洋史>A22 ペルシャ戦争」馬場恵二、(1982)、”  ”
528.「状況倫理の可能性」小原信、中公叢書(1971)、”  ”
529.「柔構造の社会と暴力」永井勝之介、” (1971)、”  ”
530.「日本人の西洋発見」ドナルド・キーン、” (1968)、”  ”
531.「徳川合理思想の系譜」源了圓、  ” (1972)、”  ”  **  (2)
532.「制度と情念と」中村雄二郎、  ”  (1972)、”  ”
533.「宰相吉田茂」高坂正尭、  ”  (1968)、”  ”
534.「ロンド叢書2 <世界>にであうレッスン」三上勝生、新曜社(1995)、”  ”
 : サブタイトル「不思議の国のアリスを読む」
535.「   ”   3 希少性と欲望の近代」ニコラス、クセノス、”  (1995)、3月4日  *
 : 「稀少性」という概念は、近代西欧(相対的に豊かな社会に生まれた必然的に実現することのない欲望からなる環境)から作り出される。
536.「   ”   4 ルソー 自然の恩寵に恵まれなかった人」松本勤、 ” (1995)、”  ”
537.「   ”   6 気相の哲学」桑子敏雄、  ”  (1996)、”  ”  *  (5)
 : 西洋近代思想は、普遍性と厳密性を人間の内的な動機に求める。気相の哲学では、行為の理解ははるかに深く、「身体」と「状況」に入り込んでいる。本書で到達するのは、「配置」の概念。これによって価値や所有・廃棄といった現代哲学の大問題に接近するための道を開くことができる。
538.「遠い崖」8、萩原延寿、朝日文庫(2008)、”  ”
539.「土とふるさとの文学全集」13、家の光協会(1976)、”  ”  (1)
540.「戦後思想史の探求」鈴木正、平凡社(2013)、”  ”
541.「現代哲学選書16 近代日本の哲学」鈴木正、北樹出版(1983)、”  ”
542.「時代に反する思想」鈴木正、北樹出版(1997)、”  ”
543.「レクルス文庫133 狩野亮吉の思想」鈴木正、第三文明社(1980)、”  ”  **
544.「血の日本史」安部龍太郎、新潮社(1990)、”  ”
 : 袋井の乱(527)から大久保利通暗殺(1877)までの流血をともなった歴史的事件をたどる日本史。
545.「人間選書215 お父さんの面積」猪熊弘子、農文協(1998)、”  ”
 : 「父親不在」が叫ばれて久しいが、「うちのパパはちょっと違う」父親たちにインタビュー。
546.「教育社歴史新書<日本史>17 北辺の遺跡」藤本強、(1979)、”  ”
 : 北海道の自然と文化の歴史をたどる
547.「古典の読み方」藤井貞和、講談社学術文庫(1998)、”  ”
548.「親密性の変容」アンソニー・ギデンズ、而立書房(1996)、”  ”
549.「上原専禄著作集17 クレタの壺」評論社(1993)、3月5日  *
550.「中国像の検証」中嶋嶺雄、中公叢書(1972)、”  ”
551.「一日一日が旅だから」メイ・サートン、みすず書房(2001)、”  ”
552.「近代家族の形成」エドワード・シューター、昭和堂(1987)、”  ”  *
 : 今日の家族における夫婦間の愛情・母親の子どもに対する愛情が普遍的なものではなく、資本主義や個人主義の発達した近代社会の産物である、ことを論証し、欧米各国で一大センセーションを巻き起こした。
553.「現代哲学選書2 哲学の歴史」茅場良男、北樹出版(1971)、3月6日
554.「本を読む本」アドラー他、日本ブリタニカ(1978)、”  ”  *  (4)
 : 読むに値する良書を、知的かつ積極的に読むための規則を述べ世界的ベストセラーとなった本。読書のレベルを、1)「その文は何を述べているのか」、2)点検読書、3)分析読書、4)シントピカル(比較)読書に分類。
555.「言葉の波止場」和田誠、白水社(1995)、”  ”
556.「人間選書218 システムとしての<森ー川ー海>」長崎福三、農文協(1998)、”  ” ** (4)
 : サブタイトル「魚付林の視点から」
557.「   ”  219 従軍看護婦の見た病院船ヒロシマ」守屋ミサ、  ”  (1998)、”  ”
558.「   ”  221 日本の近代化と儒学」王家,  ”  (1998)、”  ”
559.「   ”  229 ふるさと総合学習」石川英志、 ” (1998)、”  ”  **
560.「   ”  259 健康の輪」G・T・レンチ、  ”  (2005)、”  ”
 : サブタイトル「病気知らずのフンザの食と農」
561.「教育社歴史新書<日本史>123 日本財閥」森川英正、(1978)、”  ”
562.「「家族」をつくる」村田和木、中公(2005)、”  ”
563.「親子という病」香山リカ、講談社現代新書(2008)、”  ”
564.「歴史と国家」永井道雄、中公叢書(1975)、3月7日
565.「理念の共和国」本間長世、 ”  (1976)、 ”  ”
 : サブタイトル「アメリカ思想の潮流」
566.「二十世紀の政治指導」野田宜雄、 ” (1976)、”  ”
567.「日本政治の分析視角」綿貫譲治、 ” (1976)、”  ”
568.「反体制の条件」山崎正和、  ”  (1976)、”  ”
569.「日本人の突破口」清水幾太郎、 ” (1975)、”  ”
570.「空間の社会学」加藤秀俊、  ”  (1976)、”  ”
571.「ことばと社会」鈴木孝夫、  ”  (1975)、”  ”
572.「読書のユートピア」清水徹、 ”  (1977)、”  ”
573.「人間のまなざし」霜山徳爾、 ”  (1977)、”  ”
574.「歴史と現在」堀米庸三、  ”  (1975)、”  ”
575.「宣長と篤胤の世界」子安宣邦、 ” (1977)、”  ”  *
576.「産業社会の病理」村上泰亮、 ” (1975)、”  ”
577.「日本農業の再生」坂本廣一、 ” (1977)、”  ”  *
578.「中国と多国籍企業」小林多加士、” (1974)、3月8日
579.「天智伝」中西進、  ”  (1975)、”  ”
580.「檸檬」山本秀夫、  ”  (1977)、”  ”
581.「評伝 内村鑑三」小原信、 ” (1976)、”  ”   
582.「土とふるさとの文学全集」14・5、家の光協会(1976・7)、”  ”   (9)
583.「現代哲学選書4 ことばの哲学」坂本百大、北樹出版(1972)、”  ”
584.「    ”    12 美の哲学」斎藤忍髄、    ”   (1973)、”  ”
585.「人間選書216 原点からの農薬論」平野千里、農文協(1998)、”  ”  *  (4)
586.「   ”  224 サルの生き方人の生き方」杉山幸丸、” (1999)、”  ”
587.「   ”  227 市場経済を組み替える」内山節他、 ” (1999)、”  ”
588.「   ”  228 村おこしは包丁のリズムにのって」坂本廣子、 ” (1999)、”  ”
589.「   ”  263 一流の田舎町」森澤茂、  ”  (2006)、”  ”
 : サブタイトル「二流の都会つくりをやめた町」
590.「多極世界の構造」永井陽之助、中公叢書(1973)、3月9日
591.「日本と東アジア」D・C・ヘルマン、  ”  (1973)、 ”  ”
592.「大東亜戦争の遺産」上山春平、   ”  (1972)、 ”  ”  *  (3)
593.「現代史への視座」河野健二、  ”  (1972)、”  ”
594.「沖縄文化論」岡本太郎、  ”  (1972)、 ”  ”
595.「女性の論理」外山滋比古、 ”  (1974)、 ”  ”
596.「日本語の論理」  ”   、 ”  (1973)、 ”  ”
597.「小説の現在」菅野昭正、  ”  (1974)、 ”  ”
598.「孔子伝」白川静、  ”  (1972)、3月12日
599.「李陵」護雅夫、  ”  (1974)、3月13日  **
600.「歴史文化ライブラリー323 戦国時代の足利将軍」山田康弘、吉川弘文館(2011)、3月17日
 : 「戦国時代における将軍は、国際社会での国連に比すべきような立場にあった」
601.「      ”       405 神都物語」ジョン・ブリーン、  ”  (2011)、”  ”
 : サブタイトル「伊勢神宮の近現代史」
602.「人間選書246 江戸時代田園漢詩選」池澤一郎、農文協(2002)、”  ”
603.「   ”  260 田んぼの虫の言い分、むさしの里山研究所、 ” (2005)、”  ”
604.「現代哲学選書1 哲学への道」茅野良男、北樹出版(1973)、”  ”
605.「    ”    8 歴史の哲学」高橋昭二他、  ”  (1980)、”  ”
606.「    ”   13 科学の哲学」竹尾治一郎、  ”  (1974)、”  ”
607.「    ”   14 生命の哲学」三輪正、     ”  (1981)、”  ”
608.「精神病学教室」石上玄一郎、冬樹社(1972)、”  ”
609.「レグルス文庫123 仏教と女性」岩本裕、第三文明社(1980)、”  ”  ***  (2)
 : 古代インド社会では、男女同権だったが、ヒンドウー教の興隆にともない、女性蔑視が生じた。仏教は基本的にはこれを受け継いだ。女人五障から変成男子に女人往生の道筋が生まれた。
610.「    ”    129 科学と信仰ティエール・ド・シャルダン」ウイルティールス、(1981)、3月18日
 : 「神」と「宇宙」、「信仰」と「科学」。両者の結びつき、収斂、そして本質的な同一性の把握。
611.「    ”    124 ホワイトヘッドの哲学」市井三郎、 ” (1980)、”  ”
 : 「経験論」と「理性主義」の統合。物心二元分裂の統合。
612.「    ”    125 ルソーの宗教観」森口美都男、 ”  (1980)、”  ”
613.「保守主義の本質」フランシス・ビム、中公叢書(1986)、”  ”
614.「時間の政治学」永井陽之助、   ”  (1979)、”  ”
615.「日本外交の座標」細谷千博、   ”  (1979)、”  ”
616.「新憲法の誕生」古関彰一、    ”   (1989)、”  ”
617.「アジア太平洋の時代」A・ベイ、  ”  (1987)、”  ”
618.「東南アジア世界の論理」矢野暢、 ”  (1980)、”  ”
619.「ECの挑戦 日本の選択」石川謙次郎、” (1990)、”  ”
620.「戦後日韓関係史」李庭植、  ”  (1990)、”  ”
621.「ソ連ー政治権力の構造」宇多文雄、 ” (1989)、”  ”
622.「アデナウアーと吉田茂」大嶽秀夫、 ”  (1986)、”  ”
623.「日本の教育智恵と矛盾」西尾幹二、 ” (1985)、”  ”
624.「情報の文明学」梅棹忠夫、  ”  (1988)、”  ”
625.「情報論ノート」    ”  、  ”  (1989)、”  ”
626.「歴史としての学問」中山茂、 ”  (1974)、”  ”
627.「敗者の戦後」入江隆則、  ”  (1989)、”  ”
628.「人間の顔をした経済政策」宮崎勇、 ” (1977)、”  ”
629.「文明の経済構造」岩村忍、  ”  (1978)、”  ”  *
630.「科学と現実」伊藤俊太郎、  ”  (1981)、”  ”
631.「日本人の「あの世」観」梅原猛、 ” (1989)、”  ”  ***  (28)
632.「「切れ」の構造 日本美と現代世界」大橋良介、 ” (1986)、”  ”
633.「日本人の表現心理」芳賀やすし、” (1979)、”  ”
634.「「私小説」を読む」蓮實重彦、  ” (1979)、”  ”
635.「石橋湛山 自由主義政治家の軌跡」筒井清忠、 ” (1986)、3月19日
636.「西田幾太郎」竹田篤司、  ”  (1979)、”  ”
637.「馬場辰猪」萩原延寿、  ”  (1967)、”  ”
638.「女と文明」梅棹忠夫、  ”  (1988)、”  ”
639.「からごころ 日本精神の逆説」長谷川三千子、 ” (1986)、”  ”
640.「知的唯仏論」宮崎哲弥、サンガ(2012)、”  ”  **
641.「レグルス文庫12 宮沢賢治の世界」高橋康雄、第三文明社(1972)、”  ”  *
642.「    ”    14 現代思想家論」中島誠、  ”  (1972)、”  ”
643.「    ”    22 現代小説作法」大岡昇平、  ”  (1972)、”  ”  *
644.「    ”    24 原日本おきなわ」三隅治雄、 ”  (1972)、”  ”  *
645.「    ”   131 啄木日記」小田切秀雄、  ”  (1981)、”  ”  *
646.「    ”   136 知的発達の心理学」滝沢武久、  ”  (1981)、”  ”
647.「    ”   138 科学の背理」小田切瑞穂、 ”  (1981)、”  ”
 : 科学と仏法の合流
648.「    ”   143 国家と社会」大沢正道、  ”  (1981)、”  ”
649.「知恵のある和の家和の食和の暮らし」魚柄仁之助、主婦と生活社(2005)、3月20日
650.「酒肴のススメ」魚柄仁之助、家の光協会(2006)、”  ”  *  (2)
651.「歴史文化ライブラリー340 江戸の政権交代と武家屋敷」岩本馨、吉川弘文館(2012)、”  ”
652.「レグルス文庫144 啄木書簡」小田切秀雄編、第三文明社(1982)、”  ”
653.「自由主義的改革の時代」大嶽秀夫、中公叢書(1994)、”  ”
 : サブタイトル「1980年代前期の日本政治」
654.「政党政治の再生」北岡伸一、  ”  (1994)、”  ”
 : サブタイトル「戦後政治の形成と崩壊」
655.「国際化時代の政治指導」  ”  、 ” (1990)、”  ”
656.「日米関係のリアリズム」  ”  、  ” (1991)、”  ”
657.「思想としてのアメリカ」本間長世、 ”  (1996)、”  ”
 : サブタイトル「現代アメリカ社会・文化論」
658.「戦後日米関係を読む」梅垣理郎、 ” (1993)、”  ”
 : サブタイトル「「フォーリン・アフェアーズ」の目」
659.「転換期日本の底流」神島二郎、  ”  (1990)、”  ”
660.「大蔵省統制の政治経済学」真淵勝、 ” (1994)、”  ”
661.「ドイツ再軍備」岩間陽子、  ”  (1993)、”  ”
662.「パリの周恩来」小倉和夫、 ”  (1992)、”  ”
663.「イスラムのペレストロイカ」山内昌之、 ” (1992)、”  ”  *  (3)
664.「近代アジア精神史の試み」松本健一、 ” (1993)、”  ”  *
665.「ビューティフル・デス」小原信、  ”  (1994)、”  ”  *
666.「比較文明と日本」伊藤俊太郎、 ”  (1990)、”  ”
667.「歴史と文明の論理」中楚肇、  ”  (1994)、”  ”
 : サブタイトル「ヘーゲル哲学で読む現代世界」
668.「不敗の条件」ロマノ・ヴルビッタ、 ” (1995)、”  ”
 : サブタイトル「安田與重郎と世界の思潮」
669.「エコ・ディベロップメント」大和田滝恵、 ” (1993)、”  ”
 : サブタイトル「シンガポール・強い政府の環境実験」
670.「ユートピアと性」倉塚平、 ” (1990)、”  ”  *
 : サブタイトル「オカイダ・コミュニティの複合婚実験」
671.「知政学のすすめ」米本昌平、 ” (1998)、3月21日
 : サブタイトル「科学秘術文明の読みとき」
672.「イギリスの智慧」マークス・寿子、 ” (2000)、”  ”
673.「新しい教養を求めて」筒井清忠、 ” (2000)、”  ”
674.「政治家追放」増田弘、 ” (2001)、”  ”
675.「自由と秩序」猪木武徳、” (2001)、”  ” 
 : サブタイトル「競争社会の二つの顔」
676.「新 桜の精神史」牧野和春、 ” (2002)、”  ”
677.「iモード社会の「われとわれわれ」」小原信、 ” (2002)、”  ”
 : サブタイトル「情報倫理学の試み」
678.「ラスキとその仲間」水谷三公、 ” (1994)、”  ”
 : サブタイトル「「赤の30年代」の知識人」
679.「軍学考」兵頭二十八、” (2000)、”  ”
680.「国家への意志」櫻田淳、” (2000)、”  ”
681.「ミドル・クラス」川上源太郎、” (2000)、”  ”
 : サブタイトル「英国にみる知的階級宣言」
682.「「文明の裁き」を超えて」牛村圭、 ” (2000)、”  ”
 : サブタイトル「対日戦犯裁判読解の試み」
683.「正統の憲法 バークの哲学」中川八洋、 ” (2001)、”  ”  **
684.「ワシントン政治を見る眼」ポール室山、 ” (2001)、3月22日
685.「「アメリカ」を超えたドル」田所昌幸、 ” (2001)、”  ”
 : サブタイトル「金融グローバリゼーションと通貨外交」
686.「大学という病」竹内洋、 ”  (2001)、”  ”
 : サブタイトル「東大紛擾と教授群像」
687.「未完の大学改革」永井道雄、 ” (2002)、”  ”
688.「これからの世界史1 近代世界を剥ぐ」廣松渉、平凡社(1993)、3月23日
689.「     ”     5 ラーム神話と牝牛」小谷ひろゆき、 ” (1993)、”  ”
 : サブタイトル「ヒンドウー復古主義とイスラム」
690.「現代哲学選書11 宗教の哲学」小山宙丸、北樹出版(1989)、”  ”
691.「レグルス文庫25 小林秀雄と中原中也」秋山駿、第三文明社(1973)、”  ”
692.「    ”    29 仏教とキリスト教」堀堅士、     ”    (1973)、”  ”
693.「    ”    33 科学的生命論」小田切瑞穂、    ”    (1974)、”  ”
694.「    ”    39 トインビーの宗教観」山本新楠、  ”    (1974)、”  ”
695.「    ” 148~150 マハーバーラタ」上・中・下、  ”    (1983)、”  ”
696.「国家を斬る」佐藤優、同時代社(2997)、3月24日  **
697.「レグルス文庫12~3 ラーマーヤナ」上・下、  ”  (1971)、”  ”
698.「    ”   146 異色の日本論」西の辰吉、 ”  (1982)、”  ”
 : 7人(牧口常三郎、南方熊楠、滝沢敬二、大山木石、高祥一、長谷川伸、竹内好)を選んで、彼らが、日本と日本人について何を探索し、何を照らし出したのかを報告する。
699.「<意>の文化と<情>の文化」王敏、中公叢書(2004)、”  ”  *
700.「内閣政治と大蔵省支配」牧原出、   ”  (2003)、”  ”
701.「日本の領土」芹田健太郎、  ”  (2002)、”  ”
702.「戦略的金融システムの創造」内藤純一、 ”  (2004)、”  ”
703.「円は誰のものか」菊地悠二、  ”  (2002)、”  ”
704.「食卓文明論」石毛直道、  ”  (2005)、”  ”  *
705.「海軍の選択」相澤淳、  ”   (2002)、”  ”
 : サブタイトル「再考 真珠湾への道」
706.「在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由」趙海成、メディアハウス(2015)、3月25日
707.「これからの世界史12 近代の今日的位相」田口冨久治、平凡社(1994)、”  ”
708.「仏教教理問答」宮崎哲弥、サンガ(2012)、”  ”  **
709.「レグルス文庫158~60 中論」上・中・下、三枝充よし、第三文明社(1984)、”  ”
710.「    ”    153・4 ガンディの生涯」上・下、K・クリパラーニ、” (1983)、”  ”
711.「    ”    42 インドの思想」湯田豊、  ”  (1975)、”  ”  *
712.「    ”    43 仏教とヒンドウ教」鈴木一郎、 ” (1975)、”  ”
713.「    ”    67 民衆史観」芳賀登、  ”  (1976)、”  ”
714.「    ”    59 マルクスの哲学と宗教」竹内良知、 ”  (1976)、”  ”
715.「    ”    52 富永太郎と中原中也」大岡昇平、  ”  (1975)、”  ”
716.「さまよえる日本宗教」山折哲雄、中公叢書(2004)、”  ”
717.「文明の生態史観はいま」梅棹忠夫、 ”  (2001)、”  ”
718.「文明の環境史観」安田喜憲、  ”  (2004)、”  ”  *
719.「女王卑弥呼の国」鳥越憲三郎、 ” (2002)、”  ”   *
 : 「邪馬台国は物部王朝であった」「弥生時代初頭、北部九州から河内・大和へ稲作をもたらし、中期に大和で建国した」
720.「将軍の庭」水谷三公、 ” (2002)、”  ”
 : サブタイトル「浜離宮と幕末政治の風景」
721.「月瀬幻影」大室幹雄、 ” (2002)、”  ”  *  (2)
 : サブタイトル「近代日本風景批評史」
722.「モンゴルの二十世紀」小長谷有紀、 ”  (2004)、”  ”
 : サブタイトル「社会主義に生きた人々の証言」
723.「フランコ スペイン現代史の迷路」色摩力夫、 ” (2000)、”  ”
724.「アメリカ太平記」佐藤泰樹、  ”  (2001)、”  ”
725.「オルデンバーグ」金子務、  ”  (2005)、”  ”  *
 : サブタイトル「十七世紀科学情報革命の演出者」
726.「評伝 佐久間象山」上・下、松本健一、 ” (2000)、”  ”  *
727.「ある明治リベラリストの記録」高坂盛彦、 ”  、3月26日
 : サブタイトル「孤高の戦闘者竹越與三郎伝」
728.「テミストクレス」仲手川良雄、  ”  、”  ”  *
 : サブタイトル「古代ギリシャ天才政治家の発想と行動」
729.「アジア政治とは何か」岩崎育夫、 ” (2009)、”  ”
730.「地域再生の新戦略」諸富徹、 ”  (2010)、”  ”
731.「歴史と外交」山内昌之、  ”  (2007)、”  ”
732.「現代ロシア国家論」木村汎、 ” (2009)、”  ”  **
 : サブタイトル「プーチン型外交とは何か」
733.「ロカルノ条約」牧野雅彦、 ” (2012)、”  ”
 : サブタイトル「シュトレーゼマンとヨーロッパの再建」
734.「戦時下の経済学者」牧野邦昭、 ”  (2010)、”  ”
735.「職業としての大学教授」潮木守一、” (2009)、”  ”
736.「沖縄文化論」岡本太郎、  ”  (2002)、”  ”
737.「近代日本の詩と史実」野口武彦、 ” (2002)、”  ”  **
738.「現代哲学選書10 文化と文明の哲学」平井正、北樹出版(1976)、3月27日
739.「レグルス文庫61 女性ーその自立」青木やよひ他、第三文明社(1976)、”  ”
740.「   ”     73 科学・哲学・信仰」村上陽一郎、  ”    (1977)、”  ”
741.「   ”     83 近代と反近代」宮川透、  ”  (1977)、”  ”
742.「   ”     87 歴史観とは何か」西村貞二、 ” (1977)、”  ”
743.「   ”    157 ユダと提婆達多」岩本泰波、 ” (1983)、”  ”
744.「   ”    161 私の仏教観」池田大作、  ”  (1984)、”  ”  *
745.「   ”    165 日本教育のナショナリズム」中内敏夫、 ” (1985)、”  ”
746.「12色物語」上・下、坂口尚、潮出版(1982)、”  ”
747.「太陽を曳く馬」上・下、高村薫、新潮社(2009)、”  ”
748.「日本人の世界観」大嶋仁、中公叢書(2010)、3月28日  *
749.「日本に於ける理性の伝統」小堀桂一郎、 ” (2007)、”  ”  **
750.「道教とは何か」坂出祥伸、  ”  (2005)、”  ”
751.「幕末の朝廷」家近良樹、  ”  (2007)、”  ”
752.「西洋史学の先駆者たち」土肥恒之、 ” (2012)、”  ”
753.「吉野作造と中国」尾崎護、 ” (2008)、”  ”
754.「戦後演劇を撃つ」大笹吉雄、 ” (2001)、”  ”
755.「京劇」加藤徹、  ”  (2001)、”  ”  **
756.「ゴジラとアメリカの半世紀」W・M・ツツイ、 ” (2005)、”  ”
757.「現代日本のアニメ」S・J・ネイピア、  ”  (2002)、”  ”
758.「谷崎潤一郎とオリエンタリズム」西原大輔、 ” (2003)、3月29日
759.「「歌」の精神史」山折哲雄、  ”  (2006)、”  ”
760.「反人生」山崎ナオコーラ、集英社(2015)、3月30日
761.「ダライラマ」ジル・ヴァン・グラストルフ、河出書房(2004)、”  ”
762.「縁起の思想」三枝充よし、法蔵館(2000)、”  ”  *  (10)
763.「レグルス文庫155~6 ジャータカ物語」津田直子、第三文明社(1984)、”  ”
764.「   ”     122 インド昔話抄」山室静、  ”  (1979)、”  ”
765.「   ”    89・90 タゴールの生涯」上・下、K・クリバラーニ、 ” (1978)、”  ”
766.「   ”    16・97 中国思想史」上・下、森三樹三郎、 ” (1978)、”  ”  **
767.「   ”    180 西欧との対話」阿部良雄、  ”  (1989)、”  ”
 : サブタイトル「思考の原点を求めて」
768.「   ”    176 愛と性の心理」高山直子、 ” (1987)、”  ”
769.「   ”    168 北の大地に燃ゆ」島一春、 ” (1986)、”  ”

   タイトル数  769   813冊   情報カード  402ページ
 : サブタイトル「農村ユートピアにかけた大田寛一」

2016年01月14日

「2016年歌舞伎鑑賞」

1.「初春大歌舞伎」(昼の部)1月13日  **
 : 「廓三番叟」(傾城千歳太夫)孝太郎、(新造松ヶ枝)種之助、(太鼓持藤中)染五郎、「義経千本桜」<鳥居前>(佐藤忠信実は源九郎狐)橋之助、(源義経)門之助、(静御前)児太郎、(逸見藤太)松江、(武蔵坊弁慶)彌十郎、「梶原平三誉石切」<鶴ケ岡八幡社頭の場>(梶原平三景時)吉右衛門、(梢)芝雀、(俣野五郎景久)歌昇、(奴菊平)種之助、(山口十郎)由次郎、(川島八平)桂三、(岡崎将監)宗之助、(剣菱呑助)男女蔵、(大庭三郎景親)又五郎、(六郎太夫)歌六、「新古演劇十種の内 茨木」(伯母真柴実は茨木童子)玉三郎、(士卒運藤)鴈治郎、(士卒軍藤)門之助、(太刀持音若)左近、(家臣右源太)歌昇、(渡辺源次綱)松緑
 : 正月興行らしく、顔見世的な色彩の強い舞台だった。出し物・役者も揃っているのだが、なぜか盛り上がりの乏しかった。

2.「初春花形歌舞伎」1月15日  ***
 : 「菅原伝授手習鑑」<車引>(松王丸)獅童、(桜丸)春猿、(杉王丸)廣松、(藤原時平)市蔵、(梅王丸)右近、「弁天娘女男白波」<白波五人男>(弁天小僧菊之助、青砥左衛門藤綱)海老蔵、(日本駄右衛門)右近、(忠信利平)市蔵、(赤屋十三郎)笑三郎、(浜松屋宗之助)鷹之資、(浜松屋兵衛)右之助、(鳶頭清次)友右衛門、(南郷力丸)獅童、「歌舞伎十八番の内 七つ面」(元興寺赤右衛門)海老蔵、(舞台番右近)右近、(班女御前)笑三郎、(常陸大将百連)家橘、(吉田少将惟貞)友右衛門、(口上)右之助
 : 実力・人気を備えた中堅の役者を揃えた新橋演舞場での公演。海老蔵・獅童・右近を中心に演目も役者の魅力を十分に引き出せるものを選び、それに応え役者も熱演し、観客も大いに沸くという良循環を生み出す見ごたえのある舞台だった。中でも際立った存在感を示したのは海老蔵。弁天小僧菊之助はまさにはまり役だし、江戸以来上演の絶えていた「七つ面」を7年前に海老蔵が復活、それをさらに再構築し7年ぶりに上演、楽しい舞台に仕上げた意欲を大いに買える。
3.「初春大歌舞伎」(夜の部)1月21日  ***
 : 「猩々」(猩々)梅玉、(酒売り)松緑、(猩々)橋之助、「二条城の清正」<二条城大広間の場><淀川御座船の場>(加藤清正)幸四郎、(大政所)魁春、(豊臣秀頼)金太郎、(井伊直孝)松江、(池田輝政)廣太郎、(斑鳩平次)錦吾、(浅野幸長)桂三、(藤堂和泉守)高麗蔵、(本多佐渡守)彌十郎、(徳川家康)左團次、「廓文章」<吉田屋>(藤屋伊左衛門)鴈治郎、(吉田屋喜左衛門)歌六、(阿波の大尽)寿猿、(おきさ)吉弥、(扇屋夕霧)玉三郎、「雪暮夜入谷畦道」<直侍>(片岡直次郎)染五郎、(三千歳)芝雀、(暗闇の丑松)吉之助、(尞番喜兵衛)錦吾、(丈賀)東蔵
 : 「猩々」は中国の伝説に由来する正月らしいめでたい舞。「二条城の清正」「廓文章」は見ごたえがあった。「二条城の清正」は(清正)を幸四郎、(秀頼)を金太郎という祖父と孫の共演。この演目での共演は最後かもしれないという幸四郎の想いが伝わる熱演。「廓文章」は玉三郎の艶やかさと鴈次郎の達者さが上手く噛みあった良い舞台だった。
4.「二月大歌舞伎」(夜の部)2月15日  **
 : 「ひらかな盛衰記」<源太勘当>(梶原源太景季)梅玉、(腰元千鳥)孝太郎、(横須賀軍内)市蔵、(茶道珍斎)橘太郎、(梶原平次景高)錦之助、(母延寿)秀太郎、「籠釣瓶花街酔醒」(四幕七場)(佐野次郎左衛門)吉右衛門、(兵庫屋八ッ橋)菊之助、(下男治六)又五郎、(兵庫屋九重)梅枝、(同 七越)新悟、(同 初菊)米吉、(遣手お辰)歌女之丞、(絹商人丹兵衛)橘三郎、(釣鐘権八)彌十郎、(立花屋長兵衛)歌六、(立花屋女房おきつ)魁春、(繁山栄之丞)菊五郎、「浜松凬恋歌」(海女小ふじ)時蔵、(船頭此兵衛)松緑
 : 今公演で秀逸は「籠釣瓶花街酔醒」で、通しで人気狂言が演じられていいる。出来栄えも良いのだが、ストーリーが暗いためか、全体としての盛り上がりに欠け、ここ2年で空席が一番目立った。
5.「二月大歌舞伎」(昼の部)2月24日  ***
 : 「通し狂言 新書太閤記」(木下藤吉郎・羽柴秀吉)菊五郎、(織田信長)梅玉、(寧子)時蔵、(柴田勝家)又五郎、(織田信孝)錦之助、(上島主水)松緑、(濃姫)菊之助、(織田信忠)松江、(小早川隆景)亀三郎、(福島市松)亀寿、(林佐渡守・黒田官兵衛)鶴亀、(おゆう)梅枝、(加藤寅之助)歌昇、(森蘭丸)萬太郎、(小熊)廣太郎、(森力丸)種之助、(下男権三)橘太郎、(滝川一益)松之助、(延暦寺使僧)橘三郎、(佐久間信盛)宗之助、(武井夕庵)由次郎、(山渕右近・池田恒興)亀蔵、(蜂須賀彦右衛門)市蔵、(棟梁六兵衛・吉川元春)権十郎、(又右衛門妻こひ)萬次郎、(浅野又右衛門・安国寺恵瓊)團蔵、(前田利家)歌六、(母なか・丹波長秀)東蔵、(名古屋因幡守)彦三郎、(竹中半兵衛)左團次、(明智光秀)吉右衛門
 : 吉川栄治原作。15分くらい毎に場面が変わり、物語がポンポンと進んでいく小気味よい歌舞伎には珍しい展開。セリフも良く練りこまれており大いに楽しめた。残念だったのは、夜の部にもまして空席が目立ったこと。
6.「三月大歌舞伎」(昼の部)3月16日  *
 : 「寿曽我対面」(工藤祐経)橋之助、(曽我五郎)松緑、(曽我十郎)勘九郎、(化粧坂少将)梅枝、(近江小藤太)廣太郎、(八幡三郎)廣松、(喜瀬川鶴亀)児太郎、(梶原平次景高)橘太郎、(梶原平三景時)錦吾、(大磯の虎)扇雀、(小林朝比奈)鴈治郎、(鬼王新左エ門)友右衛門、「女戻駕」(吾妻屋おとき)時蔵、(吾妻屋おきく)菊之助、(奴萬平)錦之助、「俄獅子」(鳶頭梅吉)梅玉、(芸者お孝)孝太郎、(芸者お春)魁春、「鎌倉三代記」<絹川村閑居の場>(時姫)芝雀改め雀右衛門、(佐々木高綱)吉右衛門、(おくる)東蔵、(富田六郎)又五郎、(母長門)秀太郎、(三浦之助義村)菊五郎、「団子売」(杵造)仁左衛門、(お福)孝太郎
 : 昼の部は、ほとんどが「台詞」中心で物語が進行していく狂言で、見せ場が乏しく、盛り上がりに欠けた。
7.「三月大歌舞伎」(夜の部)3月23日  **
 : 「双蝶曲輪日記」<角力場>(濡髪潮五郎)橋之助、(藤屋吾妻)高麗蔵、(平岡郷左衛門)松江、(三原有右衛門)亀寿、(茶亭金平)橘三郎、(山崎屋与五郎、放駒長吉)菊之助、「五代目中村雀右衛門襲名披露 口上」、「祇園祭礼信仰記」<金閣寺>(雪姫)雀右衛門、(松永大膳)幸四郎、(狩野之介直信)梅玉、(松永鬼藤太)錦之助、(春川左近)歌昇、(戸田隼人)萬太郎、(内海三郎)種之助、(山下主水)米吉、(十河軍平実は佐藤正清)歌六、(此下東吉)仁左衛門、(慶寿院尼)藤十郎、「関三奴」(奴駒平)鴈治郎、(奴勘平)勘九郎、(奴松平)松緑
 : 「昼の部」と同様の「台詞」主体の進行。昼よりは盛り上がったが、テンション低し。
8.「四月大歌舞伎」(昼の部)4月18日  ***
 : 「松寿操り三番そう」(三番そう)染五郎、(後見)松也、「不知火検校」<浜町河岸より横山町の往来まで>(按摩富の市後に二代目検校)幸四郎、(生首の次郎後に手引きの幸吉)染五郎、(奥方浪江)魁春、(指物師房五郎)錦之助、(湯島おはん)孝太郎、(手引きの角蔵)松江、(丹次弟玉太郎)松也、(若旦那豊次郎)廣太郎、(娘おしづ)児太郎、(富之助)玉太郎、(魚売富五郎)錦吾、(初代検校)桂三、(因果者師勘次)由次郎、(夜鷹宿おつま)高麗蔵、(検校女房おらん)秀調、(岩瀬藤十郎)友右衛門、(鳥羽屋丹治)彌十郎、(母おもと)秀太郎、(寺社奉行石坂喜内)左團次、「身替座禅}(山陰右京)仁左衛門、(太郎冠者)又五郎、(侍女千枝)米吉、(侍女小枝)児太郎、(奥方玉の井)左團次
 : 二月・三月公演が今一つ盛り上がりを欠いていたが、久しぶりに充実した舞台だった。「三番そう」は、操り人形に躍らせるという趣向で、人形らしい動き、さらに軽快な動きを加味し染五郎が見事に演じていた。「不知火検校」は場面転換が早く、話が展開していくスピードが心地よく、かつ小悪党から大悪党に変身していく富の市を幸四郎が熱演、「身替座禅」は狂言「花子」の歌舞伎風味付け版。仁左衛門が「恐妻家」で「花子に逢い心浮きたつ」大名を軽妙に演じ、左團次の「恐妻」ぶりも見事だった。出し物の取り合わせもよく、それぞれ見事な舞台だった。
9.「四月大歌舞伎」(夜の部)4月20日  ***
 「彦山権現誓助剣」<杉坂墓所><毛谷村>(毛谷村六助)仁左衛門、(お園)孝太郎、(仙斧右衛門)彌十郎、(微塵弾正実は京極内匠)歌六、(お幸)東蔵、「幻想神空海)」(空海)染五郎、(橘逸勢)松也、(白龍)又五郎、(黄鶴)彌十郎、(白楽天)歌昇、(廷臣馬之幕)廣太郎、(牡丹)種之助、(玉蓮)米吉、(春琴)児太郎、(劉雲樵)宗之助、(楊貴妃)雀右衛門、(丹翁)歌六、(憲宗皇帝)幸四郎
 : 「彦山権現誓助剣}は人気義太夫狂言。ともすれば単調になりがちな舞台に変化をつけるため、コミカルな味付けも加えている工夫が評価できる。仁左衛門の熱演が光る。「幻想神空海」は夢枕獏原作の新作歌舞伎。京劇的雰囲気を漂わせた、衣装・舞台装置など通常の歌舞伎と異なった雰囲気が新鮮だった。
10.「團菊祭五月大歌舞伎」(夜の部)、5月9日  **
 : 「勢獅子音羽花籠」<寺嶋和史初お目見得>(鳶頭)菊五郎、(鳶頭)吉右衛門、菊之助、寺嶋和史(菊之助長男)、(鳶頭)松緑、海老蔵、團蔵、(茶や女房)萬次郎、秀調、(鳶頭)権十郎、(鳶の者)亀三郎、亀寿、松也、((芸者)梅枝、(鳶の者)萬太郎,巳之助、(芸者)右近、種之助、(鳶頭)錦之助、又五郎、(芸者)雀右衛門、時蔵、魁春、(世話人)彦三郎、左團次、(鳶頭)梅玉、「三人吉三巴白波」(お嬢吉三)菊之助、(お坊吉三)海老蔵、(夜鷹おとせ)右近、(和尚吉三)松緑、「時今也桔梗旗揚」(武智光秀)松緑、(小田春永)團蔵、(四王天但馬守)亀寿、(桔梗)梅枝、(森蘭丸)萬太郎、(森力丸)巳之助、(連歌師丈巴)橘太郎、(園生の局)笑也、(矢代條介)男女蔵、(安田作兵衛)松江、(皐月)時蔵、「男女道成寺」(白拍子実は狂言師左近)海老蔵、(所化)男女蔵、九團次、萬太郎、巳之助、竹松、右近、種之介、廣松、橘太郎、(白拍子花子)菊之助
 : 「勢獅子音羽花籠」は菊之助の長男「寺島和史」の初お目見得を兼ねており、獅子舞にも大いに力が入っていた。初お見得の和史は父親に抱き着いて泣いているという、かってなかった初お見得となったが、最後に手を振って愛嬌を振りまいていた。「男女道成寺」は、海老蔵・菊之助は踊りもうまく、美しいし、何よりも華があるのはいいし、飽きさせないような努力も見られたが、小一時間もたせるは流石につらかった。
11.「團菊祭五月大歌舞伎」(昼の部)5月20日  *
 : 「鵺退治」(源頼政)梅玉、(猪の早太)又五郎、(巫女梓)歌女之丞、(九条関白)錦之助、(菖蒲の前)魁春、「寺子屋」(松王丸)海老蔵、(千代)菊之助、(戸浪)梅枝、(延くり与太郎)廣松、(春藤玄蕃)市蔵、(百姓吾作)家橘、(園生の前)右之助、(武部源蔵)松緑、「十六夜清心」(清心)菊之助、(十六夜)時蔵、(恋塚求女)松也、(船頭三次)亀三郎、(俳諧師白蓮実は大寺正平衛)左團次、「楼門五三桐」(石川五右衛門)吉右衛門、(右忠太)又五郎、(左忠太)錦之助、(真柴久吉)菊五郎
 : 今公演の圧巻は「寺小屋」海老蔵の松王丸。以前にも「寺小屋」は観たが、海老蔵の存在感は圧倒的。
12.「六月大歌舞伎義経千本桜」(第一部)「碇知盛」6月8日
 : 「渡海屋・大物浦」(渡海屋銀平実は新中納言知盛)染五郎、(源義経)松也、(入江丹蔵)鶴亀、(亀井六郎)歌昇、(片岡八郎)巳之助、(伊勢三郎)種之助、(駿河次郎)宗之助、(銀平娘お安実は安徳帝)竹田タケル、(武蔵坊弁慶)猿弥、(相模五郎)右近、(女房お柳実は典侍の局)猿之助、「時鳥花有里」(源義経)梅玉、(傀儡師染吉)染五郎、(白拍子園原)笑三郎、(白拍子帚木)春猿、(鷲の尾三郎)東蔵、(白拍子三芳野)魁春
13.「六月大歌舞伎義経千本桜」(第二部)「いがみの権太」6月16日
 : 「木の実・子金吾討死」(いがみの権太)幸四郎、(主馬小金吾)松也、(鮓屋弥左衛門)錦吾、(猪熊大之進)市蔵、(若葉の内侍)高麗蔵、(小せん)秀太郎、「すし屋」(いがみの権太)幸四郎、(弥助実は三位中将維盛)染五郎、(お里)猿之助、(若葉の内侍)高麗蔵、(鮓屋弥左衛門)錦吾、(おくら)右之助、(梶原平三景時)彦三郎、(小せん)秀太郎
14.「六月大歌舞伎義経千本桜」(第三部)「狐忠信」6月17日  ****
 : 「道行初音旅」(佐藤忠信実は源九郎狐)猿之助、(逸見藤太)猿弥、(静御前)染五郎、「川連法眼館」(佐藤忠信実は源九郎狐)猿之助、(駿河次郎)松也、(亀井六郎)巳之助、(川連法眼)寿猿、(飛鳥)吉弥、(静御前)笑也、(源義経)門之助
 : 六月大歌舞伎」は「義経千本桜」を三部に分けて公演するという変則興行。何といっても観客が沸いたのは、第三部の猿之助の早変わりと最後の宙乗りで舞台から3階席に消えるという派手なエンディング。第一部・第二部とも脚本も忠・孝・義理・人情を上手く組み合わせ、流石に良くできていて、江戸っ子に大うけした人気狂言だったのもうなずける作品。また、第一部は染五郎、第二部は幸四郎の大熱演で大いに見どころのある芝居に仕上がっているのだが、観客の盛り上がりはいまひとつ。現代の観客と江戸とのギャップを考えさせられた公演だった。
15.「七月大歌舞伎」(昼の部)7月13日  ***
 : 「柳影澤蛍火柳澤騒動」(通し狂言)(柳澤吉保)海老蔵、(護持院隆光)猿之助、(茶道千阿弥)右近、(犬役人久保勘兵衛)男女蔵、(成瀬金吾)、(藤原数馬)九團次、(おさめの方)尾上右近、(侍医順庵)寿猿、(お伝の方)笑三郎、(曽根権太夫)猿弥、(奥方松江)笑弥、(犬役人酒井万蔵)市蔵、(柳澤弥左衛門)家橘、(徳川綱吉)中車、(桂昌院)東蔵、「流星」(流星)猿之助、(織姫)尾上右近、(牽牛)巳之助
 : 三等席は一早く完売で大入り満員の人気興行。大入りの理由は、海老蔵を応援しようというファン心理と、猿之助の六月に続くラストの派手な曲乗り目当てか。「柳影蛍火」は、大きな動きが乏しいため、全体として観客の盛り上がりいま一つ、「流星」は猿之助のお面を付け替えての一人四役の踊りと、エンディングの四回観客席に消えていく曲乗りが大いに受けていた。
16.「七月大歌舞伎」(夜の部)、7月20日  ***
 : 「荒川の佐吉」(荒川の佐吉)猿之助、(相模屋政五郎)中車、(極楽徳兵衛)男女蔵、(大工辰五郎)巳之助、(お八重)米吉、(絵馬屋重作)桂三、(あごの権六)由次郎、(鐘道の甚兵衛)猿弥、(丸総女房お新)笑也、(墨田の清五郎)門之助、(成川郷右衛門)海老蔵、「壽三升景清」<鎌髭>(修行者快鉄実は悪七兵衛景清)海老蔵、(伊熊入道)右近、(下男太郎作実は梶原源太)亀三郎、(下男二郎作実は尾形次郎)九團次、(下男三郎吾実は愛甲三郎)巳之助、(下女お梅実は梶原妹白梅)尾上右近、(下女お菊実は尾形妹園菊)米吉、(下男四郎丸実は三浦四郎丸)鷹之資、(うるおい有右衛門)市蔵、(おわうそお蓮)萬次郎、(鍛冶屋四郎兵衛実は三保谷四郎)左團次、<景清>(悪七兵衛景清)海老蔵、(梶原源太)亀三郎、(尾形次郎)九團次、(愛甲三郎)巳之助、(三浦四郎丸)鷹之資、(阿古屋)笑三郎、(岩永左衛門)猿弥、(花菱屋女房おさく)右之助、(秩父庄司重忠)猿之助
 : (夜の部)は最近では久しぶりに盛り上がった。中心は海老蔵の景清。海老蔵を応援しようという観客の声援に、海老蔵も熱演で応えていた。
17.「八月納涼大歌舞伎」(第一部)8月19日  ***
 : 「こもち山姥」萩野屋八重桐)扇雀、(太田太郎)巳之助、(局藤浪)歌女之丞、(沢瀉姫)新悟、(煙草屋源七実は坂田蔵人時行)橋之助、「権三と助十」(権三)獅童、(助十)染五郎、(権三女房おかん)七之助、(助八)巳之助、(小間物屋彦三郎)壱太郎、(猿回し与助)宗之助、(左官屋勘太郎)亀蔵。(石子伴作)秀調、(家主六郎兵衛)彌十郎
 : 「こもち山姥」は近松門左衛門による「しゃべり」と呼ばれる長咄(長いセリフ)を聞かせるのが趣向という出し物。その分動きが乏しいので現代の観客には盛り上がりの欠けた舞台だった。「権三と助十」は江戸っ子の心意気を、喜劇仕立てでみせる舞台で大いに盛り上がった。
18.「八月納涼歌舞伎」(第二部)8月26日  ****
 : 「東海道中膝栗毛」(弥次郎兵衛)染五郎、(劇場支配人出飛人・奉行大岡伊勢守忠相)獅童、(盗賊白井髭左衛門)右近、(天照大神)笑也、(十六夜)壱太郎、(茶屋女お稲実は三ツ大お新)新悟、(五日月屋番頭藤六)廣太郎、(梵太郎)金太郎、(政之助)團子、(読売屋文春)弘太郎、(老船頭寿吉)寿猿、(家主七郎兵衛)錦吾、(役者・女札親師毬夜)春猿、(石油王夫人麗紅花)笑三郎、(役者・用人山田重右衛門)猿弥、(闇金利太郎)亀蔵、(アラブの石油王亜刺比亜太)門之助、(五日月屋女房お綺羅)高麗蔵、(女房お米)竹三郎、(喜多八)猿之助、「艶紅曙接拙」<紅翫>(紅翫)橋之助、(朝顔売阿曽吉)勘九郎、(団扇売お静)七之助、(蝶々売留吉)巳之助、(町娘お梅)児太郎、(大工駒三)国生、(角兵衛神吉)宗生、(角兵衛清吉)宜生、(庄屋銀兵衛)彌
 : 今年一番切符を買いにくかった公演。幕見席も1時間半めに並んでやっと座れたという人気ぶり。皆さんのお目当ては「東海道中膝栗毛」。お馴染み十返舎一九の原作に大幅に手を加えて、エピソードを大幅に膨らませてラスベガス訪問まである。また猿之助の演出は徹底したコミック調で異色の舞台に仕上がっていた。最後には3か月連続の幕見席に宙を飛んで消えるエンディングを染五郎と二人でやるという大サービス。今年一番の盛り上がりを見せ、観客も大喜びだった。
19.「八月納涼歌舞伎」(第三部)8月26日  ***
 : 「土蜘」(叡山の僧智籌実は土蜘の精)橋之助、(平井左衛門尉保昌)獅童、(源頼光)七之助、(巫女榊)児太郎、(渡辺源次綱)国生、(坂田主馬之丞公時)宗生、(碓井靭負之丞貞光)宜生、(卜部勘解由季武)鶴松、(太刀持音若)團子、(石神実は小姓四郎吾)波野哲之、(番卒藤内)巳之助、(番卒次郎)勘九郎、(番卒太郎)猿之助、(侍女胡蝶)扇雀、「廓噺山名屋浦里」(酒井宗十郎)勘九郎、(花魁浦里)七之助、(牛太郎の友蔵)駿河太郎、(留守居役田中)亀蔵、(留守居役秋山)彌十郎、(山名屋平兵衛)扇雀
 : 「土蜘」は河竹黙阿弥作の古典歌舞伎を手堅く見せてくれた。大いに盛り上がったのは「廓噺山名屋浦里」。これは笑福亭鶴瓶の新作落語を歌舞伎に仕立てた作品。謹厳実直堅物の武士を勘九郎が熱演し、絶妙に観客の笑いを引き出している。
20.「秀山祭九月大歌舞伎」(夜の部)9月14日  ****
 : 「妹背山婦女庭訓 吉野川」(大判事清澄)吉右衛門、(久我之助)染五郎、(腰元桔梗)梅枝、(腰元小菊)萬太郎、(雛鳥)菊之助、(太宰後室定高)玉三郎、「らくだ」(紙屑買久六)染五郎、(手斧目半次)松緑、(駱駝の馬吉)亀寿、(半次妹おやす)米吉、(家主佐兵衛)歌六、(家主女房おいく)東蔵、「元禄花見踊」玉三郎、亀三郎、亀寿、歌昇、萬太郎、隼人、吉之丞、梅枝、種之助、米吉、児太郎
 : 最近では、最もバランスのよく取れた演目の組み合わせで十分に楽しめた。「吉野川」は江戸の人気狂言で、主たる登場人物が4人、この4人のセリフと2人の義太夫語りの謡で約2時間の舞台を務めるが、4人の力量がモノを言い、長いと感じさせない舞台。「らくだ」は「落語」の歌舞伎化という珍しい出し物で、滑稽さを売りにした軽い舞台。おとなしい紙屑買が酒が入り、態度が豹変するおかしさを、染五郎が熱演。「元禄花見踊」は玉三郎を中心に元禄の江戸の花見の華やかさを忍ばせるあでやかな舞台。踊りは、歌舞伎発祥の原点であり、重要な要素だが、30分が限度との私見どうり、役30分に収めていた。
21.「秀山祭九月大歌舞伎」(昼の部)、9月21日  **
 : 「碁盤忠信」(佐藤忠信)染五郎、(塩梅よしのお勘実は呉羽の内侍)菊之助、(右平太)歌昇、(左源次)萬太郎、(万寿姫)新悟、(三郎吾)隼人、(小車の霊)児太郎、(浮橋)宗之助、(壬生の小猿)桂三、(摺針太郎)由次郎、(宇都宮弾正)亀鶴、(江間義時)松江、(番場の忠太)亀蔵、(横川覚範)松緑、(小柴入道浄雲)歌六、「太刀盗人」(すっぱの九郎兵衛)又五郎、(田舎者万兵衛)錦之助、(従者藤内)種之助。(目代丁字左衛門)彌十郎、「一條大蔵譚」<檜垣><奥殿>(一條大蔵長成)吉右衛門、(吉岡鬼次郎)菊之助、(お京)梅枝、(八剣勘解由)吉之丞、(成瀬)京妙、(茶亭与一)橘三郎、(常盤御前)魁春
 : 「碁盤忠信」は染五郎、「一條大蔵譚」は吉之助が力演。「太刀盗人」は狂言の歌舞伎仕立て。しかし、全体としてみると、訴えてくるものが乏しい舞台だった。
22.「芸術祭十月大歌舞伎」(夜の部)10月21日  ***
 : 「外郎売」(外郎売実は曽我五郎)松緑、(大磯の虎)七之助、(曽我十郎)亀三郎、(小林妹舞鶴)右近、(化粧坂少将)児太郎、(近江小藤太)福之助、(八幡三郎)歌之助、(茶道珍斎)吉之丞、(小林朝比奈)亀寿、(梶原景時)男女蔵、(工藤佑経)歌六、「口上」(橋之助改め)芝翫、(国生改め)橋之助、(宗生改め)福之助、(宣生改め)歌之助、藤十郎他幹部俳優、「「熊谷陣屋」(熊谷直実)芝翫、(相模)魁春、(藤の方)菊之助、(亀井六郎)歌昇、(片岡八郎)右近、(伊勢三郎)福之助、(駿河次郎)歌之助、(梶原平次景高)吉之丞、(堤軍次)橋之助、(白毫弥陀六)歌六、(源義経)吉右衛門、「藤娘}(藤の精)玉三郎
 : (夜の部)は芸術祭参加公演。この公演は橋之助の芝翫襲名披露もあり、前月10日に3階席が全日売り切れるという大入り。中村屋・贔屓筋の力の入れようが表れていた。演目は「外郎売」「熊谷陣屋」「藤娘」と人気のあるものを揃えており、一つ一つの出来ばえも良いのだが、全体としては、台詞主体と踊りで、動きが乏しく、盛り上がりに欠けた。「口上」では、玉三郎が出ていたが、他の役者の挨拶中の姿勢が、ほとんどお辞儀をしておらず、「今の橋之助には芝翫を襲名する資格はない」という意思表示のように見えたのは、うがちすぎだろうか?
23.「十月大歌舞伎」(昼の部)10月24日  **
 : 「初帆上成駒宝船」(橋彦)橋之助、(福彦)福之助、(歌彦)歌之助、「女暫」(巴御前)七之助、(舞台番松吉)松緑、(轟坊震斎)松也、(手塚太郎)歌昇、(紅梅姫)右近、(女鯰若菜)児太郎、(局唐糸)梅花、(東条八郎)吉之丞、(江田源三)亀寿、(猪俣平六)亀三郎、(成田五郎)男女蔵、(清水冠者義高)権十郎、(蒲冠者範頼)又五郎、「(お染久松)浮時鷗」(女猿曳)菊之助、(お染)児太郎、(久松)松也)、「幡随長兵衛」<公平法問諍>(幡随院長兵衛)芝翫、(女房お時)雀右衛門、(唐犬権兵衛)又五郎、(伊予守源頼義)七之助、(坂田公平)亀三郎、(御台柏の前)児太郎、(極楽十三)橋之助、(雷重五郎)福之助、(神田弥吉)歌之助、(下女およし)梅花、(舞台番新吉)吉之丞、(坂田金左衛門)男女蔵、(渡辺綱九郎)権十郎、(出尻清兵衛)松緑、(近藤登之助)東蔵、(水野十郎左衛門)菊五郎
 : 今公演で出色は「女暫」の七之助、襲名披露の4人を抑えて圧倒的存在感を示していた。これを除くと全体としては盛り上がりに欠けた舞台だった。その理由は演目の組み合わせ、「幡随院長兵衛」は人気狂言ではあるが、台詞主体で居眠りをする観客が散見されたし、「初帆上成駒宝船」「浮時鷗」は舞踊であり、一公演に二曲は多すぎた。
24.「吉例顔見世大歌舞伎」(夜の部)11月18日  ***
 : 「元禄忠臣蔵」<御浜御殿綱豊卿>(徳川綱豊卿)仁左衛門、(豊森助右衛門)染五郎、(中臈お喜世)梅枝、(中臈お古宇)宗之助、(津久井九太夫)橘太郎、(小谷甚内)松之助、(上臈浦尾)竹三郎、(御祐筆江島)時蔵、(新井勘解由)左團次、{襲名披露口上」(橋之助改め)芝翫、(国生改め)橋之助、(宗生改め)福之助、(宣生改め)歌之助、「<近江源氏先陣館>盛綱陣屋」(佐々木盛綱)芝翫、(篝火)時蔵、(伊吹藤太)鴈治郎、(早瀬)扇雀、(信楽太郎)染五郎、(四天王)萬太郎、(同)竹松、(同)右近、(同)廣太郎、(小四郎)左近、(古郡新左衛門)秀調、(竹下孫八)彌十郎、(北条時政)彦三郎、(微妙)秀太郎、(和田兵衛秀盛)幸四郎、「芝翫奴}(奴駒平)橋之助、歌之助、福之助
 : 今公演は芝翫と3人の息子の襲名披露の舞台であり「口上」がメイン。先月に引き続いての襲名披露公演であり、「口上」に若干の変化をつけようという工夫が見えたのは評価できた。また、今公演は「顔見世大歌舞伎」でもあり「元禄忠臣蔵」「盛綱陣屋」を出し物として用意している。そして「盛綱陣屋」は襲名披露の成駒屋一家が中心で演じるという構成になっている。芝居の出来ばえは「元禄忠臣蔵」が圧倒的で仁左衛門・染五郎の存在感は特筆に値する。
25.「吉例顔見世大歌舞伎」(昼の部)11月21日  ***
 : 「四季三葉草」(翁)梅玉、(千歳)扇雀、(三番そう)鴈次郎、「毛抜」(粂寺弾正)染五郎、(秦秀太郎)松也、(腰元巻絹)梅枝、(小野春民)萬太郎、(八剣数馬)廣太郎、(錦の前)児太郎、(小原万兵衛)亀鶴、(小野左衛門春道)門之助、(秦民部)高麗蔵、(八剣玄蕃)彌十郎、「祝勢揃壽連獅子」(狂言師後に親獅子の精)芝翫、(狂言師後に子獅子の精)橋之助、福之助、歌之助)、長楽坊(萬太郎、(萬年坊)右近、(昌光上人)梅玉、(慶雲上人)仁左衛門、(文殊菩薩)藤十郎、「加賀鳶<盲長屋梅加賀鳶>」(天神町梅吉、竹垣道玄)幸四郎、(女按摩お兼)秀太郎、(春木町巳之助)染五郎、(魁勇次)松也、(虎屋竹五郎)巳之助、(盤石石松)右近、(お朝)児太郎、(数珠玉房吉)橋之助、(御守殿門次)福之助、(昼っ子尾之吉)歌之助、(道玄女房おせつ)梅花、(おつめ婆)歌女之丞、(伊勢屋与兵衛)錦吾、(金助町兼五郎)男女蔵、(妻恋音吉)松江、(天狗杉松)亀蔵、(御神輿弥太郎)友右衛門、(雷五郎次)左團次、(日陰町松蔵)梅玉
 : 今公演は「顔見世大歌舞伎」と「芝翫と3人の息子の襲名披露」を合わせたもの。歌舞伎座という母屋を借りて、力一杯「襲名披露公演}をおこなっていた。「顔見世大歌舞伎」は幸四郎・染五郎親子、仁左衛門を中心にこれを迎え討ち、その存在感で圧倒していた。「あれこれは、染五郎の襲名披露じゃあないよね」という印象。
26.「十二月大歌舞伎」(第三部)11月19日  ***
 : 「二人椀久」(松山太夫)玉三郎、(椀屋久兵衛)勘九郎、「京鹿子娘五人道成寺」(白拍子花子)玉三郎、勘九郎、七之助、梅枝、児太郎、(所化)亀三郎、萬太郎、橘太郎、吉之丞
 : 12月は京都南座の「顔見世興行」に主力役者が出払うため、留守を守る舞台。第三部は玉三郎を中心に「踊り」の上演。「二人椀久」は、従来より、芝居的所作を増した新しい振付。「五人道成寺」は(花子)を五人で演じるという華やかな舞台で大いに観客を沸かしていた。10・11月は切符は売り切れでも当日ちらほらと空席が目についたが、今公演は空席が全くなかった。
27.「十二月大歌舞伎」(第二部・第三部)12月21日  ***
 : 「あらしのよるに」(がぶ)獅童、(めい)松也、(みい姫)梅枝、(たぶ)萬太郎、(はく)竹松、(山羊のおじじ)橘太郎、(ばりい)猿弥、(猿のおばば)萬次郎、(ぎる)中車、「吹雪峠」(直吉)中車、(助蔵)松也、(おえん)七之助、「菅原伝授手習鑑」<寺小屋>(松王丸)勘九郎、(武部源蔵)松也、(戸浪)梅枝、(園枝の前)新吾、(与太郎)弘太郎、(下男三助)寿猿、(春藤玄蕃)猿弥、(千代)七之助
 : 「あらしのよるに」は絵本を原作とする新作歌舞伎。狼(獅童)と山羊の娘(松也)が嵐の夜に出逢い、色々な困難に直面しながらも、それを乗り越えて友情を深めていくというメルヘンチックな物語。作品の持ち味を、獅童・松也が熱演で良く引き出しており、観客の入り・反応も良かった。「吹雪峠」は35分の短い一幕だが、人間の機微を鋭く描くことに成功している。「寺小屋」は時代物の中での屈指の名作。1時間40分の舞台をほとんど台詞だけで演じる。勘九郎をはじめ熱演しているが、観客の盛り上がりはいま一つで、空席も目立った。