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2006年05月27日

神田・神保町古書街

 5月25日に買った本。
・ 「この最後の者にも」ラスキン、中央公論、1971
・ 「性と文化の革命」W・ライヒ、けい草書房、1969
・ 「意味と生命」栗本慎一郎、青土社、1988
・ 「スタンド・アローン」川本三朗、筑摩書房、1989
・ 「哲学の現在」中村雄二郎、岩波新書、1977
・ 「術語集」中村雄二郎、岩波新書、1984
・ 「問題群」中村雄二郎、岩波新書、1988

2006年05月26日

「死をみつめる心」を読む

 本書は、数ヶ月で命を奪う黒色腫(メラノーム)という激しいガンに侵され、余命半年と宣告された宗教学者が、死に至るまでの十年間の「死をみつめる心」の記録である。
 宗教学者として、「いろいろな宗教は、この問題(死)を、どう解決するしようとしているか--調べてみた。--多少の例外はありますが、死に対する宗教の教え、解決方法というものには、一つの型がありまして、しかもその一つの型しかない、ということを知ったのです、--その共通の点というのは、人間の生命は、死後もつづくということを主張するところにありました。」「しかし、私の心は、それでは、どうしても納得しなかったのであります。--それは、いいかえれば、私という個人は死とともになくなる、ということであります。」「自分の死後をこのように考えるとしますと、自分にとって、残されているのは、現実のこの世界、この現実の人間世界、そして、今、営んでいるこの命だけ、ということになります。」
 「死をみつめる心」岸本英夫、講談社文庫、1973

 「--だからこそ、、私にとっては、この人生、この地上世界の人生が限りなく、大切になるのです。そうして、最後に死のときがくれば、従容として、この私の世界に別れを別れを告げて死んでゆくことができるように、平生から生きていかなければならないと思うのであります。もし、そうとすれば、私は、この人生を、どういう心構えで生きてゆかねばならないのか。それが次の問題になるのであります。」そして、「人間にとって幸福に生きるかどうかが、いちばん終局的な問題であるあるといってもよいと、信ずるのであります。」、「生き甲斐という感じに裏打ちされている幸福は、死の恐怖に対しても、強い抵抗を示してくれます」という。さらに、「生き甲斐ということは、むしろ、一つの目標をもって、その目標に心を打ち込んで、一筋にすすんでゆくことの中にあるのだ、ということに気がついたのであります」と述べる。
 死については、「人間にとって、大きな、全体的な“別れ”なのではないか。」そう考えたときに、私は、はじめて死に対する考えかたが、わかったような気がした」。そして、「この“別れのとき”があることを思うと、自分の日々の生活に対する態度も、おのずから、身のひきしまったのをおぼえるのである。と同時に、私のこの生き方の一ばん奥には、癌という筋が一本通っていて、そのために、ほんとうによく人生をおくってゆくk0おとができる。癌のおかげで、ほんとうの生活ができるのだという感じがするのである。」とまとめる。
* 独断と偏見
 ・ 余命半年と宣告された著者が、死を見つめる中で、「人間にとっては、きわめて身近にある自分の仕事の中に、意味を発見して、それを打ち込んでゆくことに、人生の本当の幸福がある、ということであります。」という境地で十年間を生き抜く。
 誠実に激しく「癌にならなかったより格段に充実した人生を送った」迫力に脱帽。
 ・ 死については、著者のいうように大別すると、1)死後も生命はつづく、2)死で生命は終わる、という立場に分かれる。
 著者は2)の立場に立って、“目標に心を打ち込んで、一筋にすすんでいき、生き甲斐のある幸福な人生”を送ることを勧めている。
 しかし、1)の立場に立つ既存宗教は、ほぼ共通に“死後の生命”が、“理想世界”に住めるかどうかは、、“この世での生き方の善し悪しによって決まる”との見解をもっている。と、いうことは、1)の立場に立っても、求められているのは、“この世での人生を人は、いかに良く生きるか”にほかならない。
 要は、1)2)の立場にかかわりなく、目ざすべきは、“この世での一回限りの人生をいかに良く生きるか”なのである。

2006年05月23日

「共生の生態学」を読む

 本書は、「西欧的自然観を基盤にした人間の自然への介入」が「地球環境問題と新規感染症」をもたらしたとの認識にたち、DNAによる個体決定論による生命進化論に疑問を投げかけ、反芻動物と微生物との共生などを具体例に、人間、地球へと視点を拡大し、人を含む生物と自然の生命維持ならびにその基礎となる物質(物質を構成する無機物)の循環などから説き起こし、個体レベル・郡レベル・種レベル・最後には地球レベルの共生原理に行き着く。
 ウシと微生物・人間と微生物との生物学的共生関係、生態系の進化論、人と自然との共生、エコテクノロジー論など幅広く基本をおさえており、生態系的共生につぃての良き入門書であるといえる。
 「共生の生態学」栗原康、岩波新書、1998

* 独断と偏見
 本書は、その最後に、それまでに着々と積み上げた論理を、著者が自分で木っ端微塵に打ち砕くという類い稀な書である。
 著者は度々、「問題の本質は、--わたしたちが生態系に対して、いまなお多くを知らないことにある」と述べているにかかわらず、結論として、「三つのシステム---すなわち人工系、自然生態系、人為生態系」の内、「人工系ならびに自然生態系」は問題が多く、「人為生態系すなわち人工共生への道」が残された選択肢だと唐突に言い切る。
 生態系論に立てば、「西欧的自然観を基盤にした人間の自然介入」は、「生態系の回復能力を超える環境破壊をもたらし、不可逆的変化をもたらす可能性が大きい、あるいはすでにもたらしてしまったかもしれない」ので、「科学は、生態系の解明に全力を尽くすのがその使命であり、その間人類はこれ以上の地球環境破壊を喰い止めるための行動を早急に起こすべき」と結ぶべきであっただろう。
 * 独り言
 学究の徒が、その立場を忘れて、「願望」を結論として語ったのが、この本だ。

2006年05月20日

2006年読書目録

1.「コメを考える」祖田修、岩波新書、1月2日
2.「どうしてもコメの話」井上ひさし、文春文庫、1月4日
3.「血液型と性格」大村政男、福村出版、1月5日
4.「耕す文化の時代」木村尚三郎、ダイヤモンド社、1月5日
5.「日本のルネサンス人」花田清輝、1月6日
6.「ユング自伝」1,2、ヤッフェ編、みすず書房、1月7日
7.「元型」正・続、C・G・ユング、紀伊国屋、1月9日
8.「人間を超えて」中村雄二郎、上野千鶴子、河出文庫、1月10日
9.「市場対国家」上・下、ダニエル・ヤーキン、ジョセフ・スタ二クロー、日経ビジネス文庫、1月16日
10.「地方からの発想」平松守彦、岩波新書、1月18日
11.「童夢」大友克洋、双葉、1月19日
12.「ヘルメスの音楽」浅田彰、ちくま学術文庫、1月20日

13.「聖なるもの」オットー、岩波文庫、1月22日
14.「現代文明を解読する」NHK編、NHK出版、1月23日
15、「多型倒錯」上野千鶴子・宮迫千鶴、創元社、1月24日
16.「ノマドの時代」黒川紀章」、徳間書店、1月25日
17.「論語は問いかける」H・フィンガレット、平凡社、1月26日
18.「女遊び」上野千鶴子、学陽書房、1月30日
19.「おしゃれの社会史」北山晴一、朝日選書、1月27日
20.「死と歴史」フィリップ・アリエス、みすず書房、1月29日
21.「脳の中の小さな神々」茂木健一郎、柏出版、1月31日
22.「いのちの女たちへ」田中美津、パンドラ、2月1日
23.「勝者の代償」ロバート・B・ライシュ、ダイヤモンド社、2月3日
24.「美しい庭の様に老いる」宮迫千鶴、筑摩書房、2月4日
25.「すばらしき旅」森本哲郎、ダイヤモンド社、2月6日
26.「感覚の分析」E・マッハ、法大出版、2月7日
27.「愛の起源」シドニー・I・W・メレン、どうぶつ社、2月8日
28.「時間と空間」E・マッハ、法大出版、2月8日
29.「ベットタイムアイズ」山田詠美、河出文庫、2月9日
30.「ハーレム・ワールド」山田詠美、講談社文庫、2月11日
31.「文化とコミュニケーション」エドマンド・リーチ、紀伊国屋、2月12日
32.「美しい農の時代」木村尚三郎、ダイヤモンド社、2月12日
33.「エコスフィエ 偉大なる料理人の生活」辻静雄、同朋社、2月12日
34.「ジェーシーの背骨」山田詠美、河出文庫、2月13日
35.「もう一つの日本は可能だ」内橋克人、光文社、2月13日
36.「不安社会を生きる」内橋克人、文芸春秋、2月13日
37.「霧中で影あつめ」吉田直哉、NHK、2月14日
38.「おごるな上司」堀田力、日経ビジネス文庫、2月14日
39.「デフレ生活革命」榊原英資、中央公論、2月15日
40.「エンデの遺言」河邑厚徳、NHK,2月15日
41、「太陽黒点が語る文明史」桜井邦朋、中公新書、2月17日
42.「再びの生きがい」堀田力、講談社、2月18日
43.「The Work of Nations」ロバート・E・ライシュ、ダイヤモンド、2月19日
44、「ふき寄せ雑文集」岸田秀、文芸春秋、2月21日
45.「100年デフレ」水野和夫、日本経済新聞、2月23日
46.「大衆食堂の人々」呉智英、史輝、2月24日
47.「OMソーラーの作り手たち」青土社、2月26日
48.「私は変温動物」山田詠美、講談社、2月27日
49.「私の会話学校」森本哲郎、角川書店、2月27日
50.「退職後NPO」米田雅子、東洋経済新報、2月27日
51.「セカンド・クリエーション」上・下、ロバート・P・クリースほか、3月2日
52.「アジア稲作の系譜」渡部忠世、法政大学、3月4日
53.「復興期の精神」花田清輝、講談社文庫、3月5日
54.「能の素晴しさ狂言の面白さ」和久田幸助、わんや、3月5日
55.「狂言を観る」和泉本秀、講談社、3月6日
56.「性の署名」J・マネーほか、人文書院、3月7日
57.「能・狂言必携」別冊文学界、3月7日
58.「誤釣生活」糸井重里、文芸春秋、3月8日
59「シュタイナー教育を考える」小安美知子、学陽、3月8日
60.「科学について」シモーヌ・ヴェーユ、みすず、3月12日
61.「人物評伝」ケインズ,岩波書店,3月14日
62.「大森界隈職人往来」小関智弘、岩波、3月15日
63.「フーコー・ドゥルーズ、デリダ」蓮見重彦、朝日、3月16日
64.「死にがいの喪失」井上俊、筑摩書房、3月18日
65.「ウェブ進化論」梅田望夫、ちくま新書、3月19日
66.「非エリートがエリートに勝つ日」中村功、東洋経済新報、3月18日
67.「馬鹿について」ホルスト・がイヤー、創元社、3月21日
68.「辺界の悪所」広末保、平凡社、3月21日
69「群衆と権力」上・下、エリアス・カネッティ、法政大学、3月23日
70.「人間というこわれやすい種」ルイス・トマス、晶文社、3月23日
71.「水紀行」玉城哲、日本経済評論、3月24日
72.「二十世紀をどう見るか」野田宣雄、文春新書、3月26日
73.「ネオコンの論理」ロバート・ケイガン、光文社、3月26日
74.「意志と表象としての世界」ショウペンハウアー、3月28日
75.「人間模様」南伸坊、講談社文庫、3月30日
76.「母権制」バハーリン、3月29日
77.「カラハリの失われた世界」L・ヴァン・デルポスト、ちくま文庫、4月2日
78.「比較思想の先駆者たち」中村元、広池、4月3日
79.「比較思想論」中村元、岩波全書、4月4日
80.「生命科学から生命誌へ」中村桂子、小学館、4月4日
81.「免疫の意味論」多田富雄、青土社、4月5日
82.「コメの話」井上ひさし、新潮文庫、4月6日
83.「生涯発達の心理学」高橋恵子、岩波新書、4月9日
84.「生命の意味論」多田富雄、新潮社、4月8日
85.「翁童論」鎌田東二、新曜社、4月11日
86.「インドの古代社会」中村元、弘文堂、4月12日
87.「東洋のこころ」中村元、東京書籍、4月12日
88.「インド思想史」第二版、、中村元、岩波全書、4月13日
89.「犬と鬼」アレックス・カー、カー、講談社、4月13日
90.「原始仏教」中村元、NHK、4月14日
91.「自己の探求」中村元、青土社、4月15日
92.「人生を考える」中村元、青土社、4月16日
93.「原始仏典を読む」中村元、岩波書店、4月16日
94.「合理主義」中村元、青土社、4月16日
95.「八十路から眺むれば」マルコム・カウリー、創思社、4月17日
96.「学問の開拓」中村元、佼成出版、4月23日
97.「自我の終焉」J・クリシュナムディー、篠崎書林、4月20日
98.「イタリア 都市と建築を読む」陣内秀信、講談社アルファ文庫、4月22日
99.「田宮模型の仕事」田宮俊作、文春文庫、4月24日
100.「シンボーの常識」南伸坊、ちくま文庫、4月26日
101.「生の全体性」J・クリシュナムディ、平河出版、4月26日
102.「笑う哲学」南伸坊、ちくま文庫、4月29日
103.「ヒンドゥー教史」中村元、山川出版、5月2日
104.「不可触民」山際素男、三一書房、5月3日
105、「神秘と現実 ヒンドゥー教」山崎利男、淡交社、5月3日
106.「聖と俗のインド」山折哲雄、有学書林、5月4日
107.「わが内なるインド」荒松雄、岩波書店、5月6日
108.「複製される人」リー・M・シルヴァー、翔泳社、5月7日
109.「風と光のインド」紀野一義、佼成出版、5月7日
110.「インドを食べる」浅野哲哉、、立風書房、5月8日
111.「インドの民族宗教」斉藤昭俊、吉川弘文館、5月9日
112.「村に吹く風」山下惣一、新潮文庫、5月12日
113.「がんのセルフ・コントロール」カール・サイモントンほか、創元社、5月14日
114.「生命のまなざし」多田富雄、青土社、5月16日
115.「ガンディー自伝」ガンジー、中公文庫、5月17日
116.「バラモン経典原始仏典」中央公論、5月19日
117.「神の子ら」H・R・アイザックス、新潮選書、5月18日
118.「生と死の接点」河合隼雄、岩波書店、5月21日
119.「亜細亜の光」エドキン・アーノルド、岩波文庫、5月22日
120.「共生の生態学」栗原康、岩波新書、5月23日
121、「死を見つめる心」岸本英夫、講談社文庫、5月26日
122.「この最後の者にも」ラスキン、中央公論、5月27日
123.「インドの発見」上・下、J・ネルー、岩波書店、5月28日
124.「アメリカの没落」D・L・バーレット、ジャパン・タイムス、5月30日
125.「二十一世紀の資本主義論」岩井克人、筑摩書房、6月2日
126.「日本経済の迷路を解く大予言」星野芳郎、青春出版、6月4日
127.「日本経済非常事態宣言」斉藤精一郎、日本経済新聞、6月1日
128.「日本思想史」中村元、東方出版、6月8日
129.「正法眼蔵の側面観」橋田邦彦、大法輪閣、6月9日
130.「道元“永平広録・上堂”選」大谷哲夫、講談社学術文庫、6月10日
131.「死のクレパス」J・シンプソン、岩波現代文庫、6月13日
132.「往生要集」中村元、岩波書店、6月13日
133.「提婆達多」中勘助、岩波文庫、6月15日
134.「道元禅入門」田里亦無、産能大、6月15日
135.「クルーグマン教授の経済入門」ポール・クルーグマン、メディア・ワークス、6月16日
136.「経済学の実際知識」高橋亀吉、講談社学術文庫、6月16日
137.「母性社会日本の病理」河合隼雄、中央公論、6月17日
138.「日本風景論」志賀重昴、岩波文庫、6月18日
139.「ブッタ」1~12巻、手塚治虫、潮ビジュアル文庫、6月20日
140.「人類知抄」中村雄二郎、朝日、6月21日
141.「古い医術について」ヒポクラテス、岩波文庫、6月22日
142.「インドとまじわる」荒松雄、中公文庫、6月23日
143.「風邪の効用」野口春哉、ちくま文庫、6月23日
144.「ベーコン随想集」ベーコン、岩波文庫、6月24日
145.「エミール」上・中・下、ルソー、岩波文庫、6月27日
146.「自己創出する生命」中村桂子、哲学書房、6月28日
147.「人生論」トルストイ、新潮文庫、7月1日
148.「暴力批判論ほか」ヴァルター・ベンヤミン、岩波文庫、7月2日
149.「部分と全体」W・ハイゼルベルグ、みすず書房、7月6日
150.「中空構造日本の深層」河合隼雄、中公叢書、7月6日
151.「イタリア紀行」上・中・下、ゲーテ、7月10日
152.「ニコマコス倫理学」上・下、アリストテレス、岩波文庫、7月14日
153.「書物との対話」河合隼雄、潮出版、7月12日
154.「薔薇の名前」上・下、ウンベルト・エーコ、創元社、7月18日
155.「“人間復興”の経済を目指して」城山三郎・内橋克人、朝日新聞、7月19日
156.「影との戦い」ゲド戦記1、ル=ダウィン、岩波書店、7月21日
157.「資本主義を語る」岩井克人、講談社、7月22日
158.「こわれた腕環」ゲド戦記2、ル=ダウィン、岩波書店、7月22日
159.「さいはての島へ」ゲド戦記3、ル=ダウィン、岩波書店、7月23日
160.「帰還」ゲド戦記4、ル=ダウィン、岩波書店、7月24日
161.「アースーシの風」ゲド戦記5、ル=ダウィン、岩波書店、7月27日
162.「実利論」上・下、カウティリヤ、岩波文庫、7月26日
163.「ラモーの甥」ディドロ、岩波文庫、7月29日
164.「ヴェニスの商人の資本論」岩井克人、筑摩書房、7月30日
165.「ペルシャ人への手紙」モンテスキュー,筑摩書房、7月31日
166.「カンディド」ヴォルテール、筑摩書房、8月2日
167.「おはなしおはなし」河合隼雄、朝日新聞社、8月3日
168.「ゴドーを待ちながら」ベケット、白水社、8月5日
169.「社会学と人類学」1・2、M・モース、8月5日
170.「河合隼雄対談集」河合隼雄、三田出版、8月7日
171.「こころと人生」河合隼雄、
172.「ローズウォーターさんに神のおめぐみを」
173.「アメリカン・マインドの終焉」アラン・ブルーム、みすず書房、8月21日
174.「死ぬ瞬間」E・キュープラー・ロス、読売新聞社、8月22日
175.「続 死ぬ瞬間」E・キュープラー・ロス、読売新聞社、8月22日
176.「ゲド戦記外伝」ル=グウィン、岩波書店、8月24日
177.「自省録」マルクス・アウレリーウス、岩波文庫、8月25日
178.「異人たちとの夏」山田太一、新潮文庫、8月26日
179.「宗教と科学の接点」河合隼雄、8月28日
180.「フランス料理の手帖」辻静雄、新潮文庫、9月1日
181.「三万年の死の教え」中沢新一、角川書店、9月1日
182.「エチカ」上・下、スピノザ、岩波文庫、9月4日
183.「情報ネットワーク社会の展開」今井賢一、筑摩書房、9月5日
184.「ホワイトヘッドの対話」ルシアン・プライス編、9月7日
185.「ユングと共時性」イラ・ブロゴフ、9月8日
186.「言語論」N・チョムスキー,大修館、9月10日
187.「人性論」ヒューム,中央公論,9月11日
188.「教育の目的」ホワイトヘッド、松籟社,9月14日
189.「量子力学と意識の役割」D・ボーム、F・カプラ他、たま出版、9月16日
190.「自然現象と心の構造」C・G・ユング、W・パウリ、海鳴社、9月18日
191.「チベット死者の書」川崎信定訳、筑摩書房、9月19日
192.「如来蔵思想1」高崎直道、法蔵館、9月20日
193.「ユング」A・ストー、岩波現代選書、9月24日
194.「とりかえばや男と女」河合隼雄、新潮文庫、9月26日
195.「昔話と日本人の心」河合隼雄、岩波書店、9月26日
196.「エックハルト説教集」田島照久編訳、岩波文庫、9月27日
197.「声字実相義」空海、筑摩書房、9月27日
198.「三教指帰」空海、中央公論、9月28日
199.「時をかける少女」筒井康隆、角川文庫、9月29日
200.「トランスパーソナル宣言」R・N・ウォルシュ、F・ヴォーン編、春秋社、10月1日
201.「明恵上人」白洲正子、講談社学術文庫、10月1日
202.「明恵 夢を生きる」河合隼雄、京都松柏社、10月4日
203.「明恵上人集」久保田淳、山口秋穂校注、10月4日
204.「混迷の時代を超えて」E・F・シューマッハー、佑学社、10月6日
205.「人間性の最高価値」A・H・マズロー、誠信書房、10月7日
206.「永遠の哲学」オルクス・ハックスレー、平河出版、10月9日
207.「宇宙との連携」カール・セイガン、河出書房、10月11日
208.「ユング心理学入門」河合隼雄、培風館、10月12日
209.「完全なる人間」A・H・マズロー、誠信書房、10月13日
210.「アートマンプロジェクト」ケン・ウィルバー、春秋社、10月15日
211.「創造のダイナミクス」A・ストー、晶文社、10月18日
212.「子どもの本を読む」河合隼雄、講談社α文庫、10月19日
213.「飛ぶ教室」エーリヒ・ケストナー、岩波書店、10月19日
214.「二人のロッテ」エーリヒ・ケストナー、岩波書店、10月19日
215.「つみつみニャー」長新太、あかね書房、10月19日
216.「長くつ下のピッピ」リンドグレーン、岩波書店、10月19日
217.「ピッピ船にのる」リンドグレーン、岩波書店、10月20日
218.「ピッピ南の島へ」岩波書店、10月20日
219.「ぼんぼん」今江祥智、理論社、10月21日
220.「おれたちのおふくろ」今江祥智、10月21日
221.「トムは真夜中の庭で」フィリバ・ビアス、岩波書店、10月22日
222.「<身>の構造」市川浩、講談社学術文庫、10月22日
223.「未来の生」J・クリシュナムルティ、春秋社、10月23日
224.「夢分析の実際」たたら幹八郎、創元社、10月24日
225.「兄貴」今江祥智、評論社、10月25日
226.「意識のスペクトル」1・2、ケン・ウィルバー、春秋社、10月29日
227.「終りなき世界」柄谷行人、岩井克人、大田出版、10月27日
228.「フィールド 響き合う生命・意識・宇宙」リン・マクタガード、11月1日
229.「砦」モリー・ハンター、評論社、11月2日
230.「本の中の世界」湯川秀樹、岩波新書、11月5日
231.「神曲」ダンテ、河出書房、11月6日
232.「貨幣論」岩井克人、筑摩書房、11月7日
233.「生命ー その始まりの様式」多田富雄・中村雄二郎、誠信書房、11月8日
234.「全体性と内蔵秩序」D・ボーム、青土社、11月11日
235.「ホログラフィック・ユニバース」マイケル・タルボット、春秋社、11月12日
236.「クォンタム・セルフ」ダナー・ゾーバー、青土社、11月14日
237.「生命のニューサイエンス」ルパート・シュルドレーク、工作舎、11月17日
238.「江戸の性愛術」渡辺信一郎,新潮選書、11月17日
239.「呪師になる」カルロス・カスタネダ、二見書房、11月20日
240.「脳の言語」K・H・ブリグラム、誠信社、20日
241.「脳を超えて」スタニスラフ・グロフ、春秋社、11月22日
242.「水の神」マルセル・グリオール、せりか書房、11月25日
243.「方法への挑戦」P・K・ファイアーベント、新曜社、11月25日
244.「偶然の本質」アーサー・ケストラー、蒼樹書房、11月26日
245.「食糧破局」レスター・ブラウン、ダイアモンド社、11月26日
246.「宗教的経験の諸相」上・下、岩波文庫、11月30日
247.「機械の中の幽霊」アーサー・ケストラー、ぺりかん社12月2日
248.「信念と腕力」ジョージ・ギルダー、新潮社、12月3日
249.「地球文明の条件」佐和隆光、岩波書店、12月3日
250.「自己組織化する宇宙」エンリッヒ・ヤング、工作舎、12月6日
251.「パプリカ」筒井康隆、中央公論、12月6日
252.「スーパーネイチャー」ライアル・ワトソン、蒼樹書房、12月10日
253.「スーパーネイチャー2」ライアル・ワトソン、日本教文社、12月10日
254.「ネオフェリア」ライアル・ワトソン、12月11日
255.「接近遭遇」上野千鶴子、けいそう書房、12月13日
256.「フーコーの振り子」上・下、ウンベルト・エーコ、文芸春秋、12月17日
257.「不均衡動学の理論」岩井克人、岩波書店、12月14日
258.「神々の時代」森本哲郎、弘文堂、12月17日
259.「東アジア食の文化」石毛直道他、平凡社、12月19日
260.「もの食う人々」辺見庸、角川文庫、12月20日
261.「斉民要術」雄山閣、12月21日
262.「酒仙」南條竹則、新潮文庫、12月21日
263.「沈黙の宗教ー儒教」加地伸行、ちくまライブラリー、12月23日
264.「愛酒楽酔」坂口謹一郎、サントリー、12月24日
265.「日本食物史」樋口清之、柴田書店、12月26日
266.「韓非子」上、中公文庫、12月29日

「田宮模型の仕事」を読む

 本書は、父の創業した田宮模型に入社数年後、海外から精密なプラモデルが輸入されはじめ、素朴な木製模型を作っていた会社が倒産の危機に直面し、全く経験の無かったプラモデルに最後発で参入し、“どこまでも実物に近く”の実現のため世界中を駆け回り戦車などの情報を収集したり、金型の自社生産を始めたりしながら、戦艦・戦車・レーシングカー(F1)・電動カーなど次々とヒットを飛ばし、遂にミニ四駆で大爆発、気がついたら世界のトップに立っていたという歴史を、中興の祖の二代目社長が振り返ってまとめたもの。
 「田宮模型の仕事」田宮俊作、文春文庫、2000

* 独断と偏見
 本書の一般的な楽しみ方は、数々のプラモデルのヒット商品が生み出された内幕をファン的立場で追って行くというものであろう。しかし、一番のオススメは、経営の実践指南書としての読み方である。
 経営について語るときには色々な切り口がある。1)戦略的経営計画(ヴィジョン・目標・用件・施策=戦術・体制)、2)Q(クオリティ)、C(コスト)、D(研究・開発)、D(デリバリー)、M(マネージメント)、
3)4M=Man(人)、Machine(ハード)、Method(ソフト)、Material(素材)など。
 田宮模型の経営はどの切り口で見ても、“エクセレント経営の実践”になっている。
 2~3具体的にみてみる。
 まず「経営ヴィジョン」だが、1966年アメリカへのスロットカーの売り込みに失敗時に、社是のなかった会社に、「日本一ではなく、世界一でなければダメだ」という気持ちをこめ,“FIRST IN QUALITY
AROUND THE WORLD”というスローガンを掲げた。“クオリティ”は狭い意味での品質ではなく、ホビーとしての総合的な質の高さとしてとらえ、模型そのものの質はもちろん、説明書、パッケージ、サービス、社員の技術的レベルすべてにおいて“世界水準”を目指すということ。これに、後日、「模型作りの楽しさとは実物の背景にある物語を新たに読み解くことにある」を踏まえた“クオリティ”へとヴィジョンを深化・発展させている。
 次に開発、基本にあるのは「どこまでも実物に近く」という執念。そのために、1)実物情報の徹底収集しディーテールへ反映(戦車、F1など)、2)正確な縮尺では実物にみえないところはデフォルメ。
 マーケティングでは、開発した商品を市場にだし、顧客の反応をみて素早く手を加えていくテスト・マーケティングの実践など。
* 独り言
 極楽トンボのマネージメントの一言定義は「求心力を働かす」こと。田宮さんは、“従業員に求心力を働かし”、“世界中の代理店に求心力を働かし”、顧客に“実物の背景にある物語を新たに読み解くことを可能にする模型を提供する”ことにより“顧客にも求心力を働かし”“ヴィジョン”を実現してしまったのだ。

2006年05月18日

「藤田嗣治展」を観る

 5月16日「藤田嗣治展」に行った。藤田嗣治の生誕120年を記念し、約100点の作品を集めた大規模な展示会である。
 展示は作品を三期に分けて行われている。
 第一期がエコール・ド・パリ時代。藤田をパリ・サロンの寵児とした「すばらしい乳白色(かってない透き通った白い肌)」特徴とする画風の時代。
 第二期は中南米そして日本。鮮やかな色彩と豊かな量感の画風と戦争画の時代。
 第三期が日本を脱出し再びパリに戻り、カトリックの洗礼を受けフランスに帰化した時代、画風としては20年代の「すばらしき乳白色」と30年代以降の豊かな色彩が溶け合った時代。
 「藤田嗣治展」東京国立近代美術館、2006年3月28日~5月21日

* 独断と偏見
 藤田の絵を見て考えさせられたのは「画家の眼」について。まず感じたのは「画家の眼の良さ」。人体・表情・色彩・陰影等々実に鋭く対象を捉えているという印象。しかし、藤田の画風は変化している。何故か?描く対象そのものがそのような変化をしているはずはない、だとしたら、変化しているのは「画家の眼」だ。つまり、画家は、「画家の眼」を先に「創り上げ」その「創り上げた眼」で見た対象をえがいているのだ。
 ここまで考えたところで「アレッ!誰かそんなことを、ズット深く・鋭く言っていたなあ。」と思い出してしまったのだ。「見る脳・描く脳」という名著なのだ。是非直接読んでその醍醐味を味わっていただきたい。うろ覚えで要約すると「絵画の革新の歴史は、脳科学の発達に先立ち、脳の認識パターンを把握した画家が、その認識の眼で絵を描き新しい画風を開拓してきた歴史である」。
 引き続き、その映像版といえるのが「脳内イメージと映像」であり、これも名著。
* お勧め本
 「見る脳・描く脳」岩田誠、東大出版、1997
 「脳内イメージと映像」吉田直哉、文春新書、1998

2006年05月17日

神田・神保町古書街

 5月16日に買った本
「生と死の接点」河合隼雄、岩波書店、1989
「神の子ら」H・R・アイザックス、新潮選書、1970
「共生の生態学」栗原康、岩波新書、1998

2006年05月14日

「がんのセルフ・コントロール」を読む

 本書は、治療不可能と宣告された末期がん患者を対象に心身医学的側面からの治療を行い、驚異的な効果を上げたサイモントン療法についての開発者自身の手になる解説書である。
 中味は、二部構成となっており、第一部が理論篇、第二部が実践篇であり、豊富な実例を各所に折り込み、著述が平板に流れないように良く工夫されている。
 著者(サイモントン夫妻)たちが、四年間にわたり、159名の末期がん患者(生存可能期間平均12ヶ月)をサイモントン療法で治療した結果、志望した患者の平均寿命は20.3ヶ月と対照群の1.5以上生き長らえ、1978年1月現在の生存者63名中、がんが消滅したもの14名22.2%、退縮したもの12名19.1%と目ざましい成果を上げている。
 「がんのセルフ・コントロール」カール・サイモントン他、創元社、1982

 第一部の柱になっている理論は,“生体フィードバック理論”。「これを簡単に言えば、精神と感情と体は一つの統一された組織であって、互いに影響をし合っているということ、つまり自分が意識的に影響を与えることが可能な組織になっているというこたなのです」。
 要は、精神的ストレス(精神面・感情面)が要因で病気が起きたのなら、そのプロセスを逆に活用し、精神の力(信念・目標等)によって病気が治せるという理論。
 第二部は、実践篇で、健康回復への自己参画(信念と自覚など)、将来の目標設定、リラクゼーションとイメージ療法など実際のサイモントン療法を具体的に分かりやすく説明している。
 *独断と偏見
 心身二元論にもとずく近代西洋医学の根っこは、デカルト、ニュウトンに代表される還元主義の哲学ならびに方法論にある。したがって、西洋近代主義と同じ陥穽にはまらざるをえない。
 サイモントン療法とは何かといえば、心身一元論にもとずく全人的アプローチの医学、それの末期がん患者への具体的適用であると言えよう。
 正しい人間観にもとずく医学が、誤った人間観にもとずく西洋医学を大きく超える成果を生み出すのは必然なのだ。
 *独り言
 極楽トンボの生き様(=人・世間がどう言おうと思おうと、自分の大事だと思うこと、関心のあることに
マイ・ペースで集中する)は、ストレス・ゼロで健康にもベストであることを確認させてくれた本であった。

神田・神保町古書街

 5月12日に買った本
「がんのセルフ・コントロール」カール・サイモントン他、創元社、1982
「生命へのまなざし」多田富雄対談集、青土社、1995
「日本風景論」志賀重昴、岩波文庫、1995
「ものぐさ精神分析」岸田秀、中公文庫、1982
「カーマ・スートラ」角川文庫、1971

2006年05月13日

「複製される人」を読む

 この本は、人のクローニングと遺伝子操作の是非を、生命科学・生命倫理の二つの観点から検討したものである。
 本題に入る準備として、まず、精子と卵子の売買・代理母契約(妊娠請負)を含む人工授精の進化の歴史について、生命科学と生命倫理の観点からまとめている。
 それを踏まえ著者は人のクローニングと遺伝子操作の過去・現在・未来について整理し、現在、人にこれらの技術を適用することに対して過半数の反対があるものの、生命科学面での技術的課題克服は充分可能であり、また生命倫理面でも問題は無いし、将来の人間の能力の飛躍的改良につながる以上これを活用すべきとの見解をのべ、筆を置く。
反対が多い理由を著者は、1)生命の定義:身体的生命と意識(精神的生命)の二面性に対する理解不足、2)科学とは異なる宗教をはじめとする思い込みの強さにあると、分析する。
 「複製される人」 リー・M・シルヴァー、翔泳社、1998

* 独断と偏見
 ・独断: この本の長所は、人工授精に始まり、クローニングと遺伝子操作に至る過去・現在・未来を生命科学・生命倫理の観点から、これらの技術の人間への適用についての多くの反対者の見解にも充分に目配りもしながら、要領よく論点を整理し・まとめられており、この領域の全体像を掴むのにはお勧めの一冊である。
 ・偏見: 本書の最大の問題(同意できないところ)は、直接触れられていない著者の前提にある。
1)“進歩”へのあくなき信仰:遺伝子の改良=人間の改良というダーヴィニズム的前提に立っているが、意識面での人間は改良されていくのか、現実を直視すれば、むしろ悪化しているのではないか。
2)“ジーン・リッチ=人間改良”との見解のベースにあるのは、ジーン・リッチの人間がより“価値の高い人間である”との価値観。この価値観がもたらすのは、ジーン・リッチか否かにもとずく新たな差別社会の創出。
ジーン・リッチか否かは、特徴の違いを意味するだけであり、価値の差を意味しない。
* 独り言
 極楽トンボも、あなたも、全ての人間は、それぞれの遺伝子型を与件としてこの世に生を受け、個人に選択の余地は無い。
 一人一人の人間にとって、人生とは、遺伝子型にかかわりなく、与えられた環境の中で人々・社会・世界と刻々と新しい関係を作り上げ、“一回限りでかけがえの無い自分らしい”価値を生み出すことに他ならない。

2006年05月06日

神田神保町古書街

 5月5日に買った本
 「複製される人」リー・M・シルヴァー、翔泳社、1998
 「ものぐさ箸やすめ」岸田秀、文芸春秋、1993
 「死を見つめる心」岸本英夫、講談社文庫、1973
 「村に吹く風」山下惣一、新潮文庫、1988
 「アメリカの没落」ドナルド・L・バーレット、ジェームス・B・スティール、ジャパン・タイムス、1993
 「二十一世紀の資本主義論」岩井克人、筑摩書房、2000
 「日本経済非常事態宣言」斉藤精一郎、日本経済新聞、2001
 「日本経済の迷路を解く大予言」星野芳郎、青春出版社、1998