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2006年12月16日

第十一回「女性たちの住まいづくり・暮らしづくりーースリランカの“スラム”改善」

・ 第十一回は、「女性たちの住まいづくり・暮らしづくりーースリランカの“スラム”改善」だった。
・ 「女性銀行について」: 1980年代半ばにスリランカ政府は、「住宅百万戸計画」を掲げ、その本での参加型スラム住環境改善プログラム「支援的政策」を推進した。
 その実施機関である国民住宅開発公社(NHDA)は、対象地域の中から優秀な住民リーダーを選び、彼らに住民組織化の仕事を任せた。
 組織活動の核心は、女性の組合づくりと融資プログラムの導入だった。活動を一年余り続けた後、彼らは自らの組織をつくり「コミュニティ支援者団」と名乗った。
 同時に1989年に、スラムの女性の組織化、貯蓄グループ形成、小口融資活動を行う女性大衆組織(通称「女性銀行」)を成立させた。
・ 講師: 日本福祉大学講師 穂坂光彦         2006年12月12日

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2006年11月17日

第十回「市民がつくる地域社会 ブラジル・ポルトアレグレの挑戦」

・ 第十回は「市民がつくる地域社会 ブラジル・ポルトアレグレの挑戦」だった。
・ ブラジルでは、1)国家による社会の侵食、2)市場による社会の侵食、3)制度改革の失敗に対応するため、1980年代以降多元的な経済制度を創造するため、1)参加型予算(国家改革)、2)連帯経済(社会の進化)、3)企業の社会的責任(市場改革)などが導入されてきた。
・ ポルトアレグレは、人口140万人のブラジル第二の州都で2001年の世界社会フォーラム発祥の地である。
 ブラジル全体の上記動向を、ポルトアレグレは先頭に立ち実践しており、その取り組みの紹介が行われた。
・ 第十回: 講師 小池洋一(ラテンアメリカ研究家)           2006年11月14日

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2006年10月25日

第九回「社会的企業の立ち上げと仕組み作りーー ビッグイシューの試みから」

 第九回は、「社会的企業の立ち上げと仕組み作りーービッグイシューの試みから」だった。
・ ビッグイシューは、ホームレスの人々に収入の機会を提供する事業として、1991年にイギリスのロンドンではじまった。
 今回はこのビッグイシューの日本版をいかにして立ち上げたのか、またその現状と将来についてのレクチャーだった。
* 講師は何故ビッグイシューを起業しようと思ったのか、三つの動機をあげる。
 1)個人的動機: 都市・地域問題のプランニングをやっていて、ホームレス問題は都市問題としてとらえて、解決すべきだと考えた。
 2)社会的動機: ホームレス問題は行政も企業も解決できていない問題。またこれを研究している人もほとんどいないという日本の実態のなかで、市民が自ら解決していかなければならないと思い、勉強会から始めた。
 3)国際的動機: 英国ビッグイシューを訪問しその活動を学んだ。
・ 第九回: 講師 (有)ビッグイシュー日本代表 佐野章二

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2006年10月05日

第八回「平和・教育国家コスタリカと反米化する南米」

 第八回は、「平和・教育国家コスタリカと反米化する南米」だった。
・ 「平和・教育国家コスタリカ」誕生のキッカケは、1948年の内戦にあった。その当時、人口100万人の国で2000人が死亡した。
 内戦終了後、その再発を防止するためにはどうすればいいかの議論が徹底して行われた。
 その結果、内戦を起こりにくくするには、「武器をなくす」そして大量の武器を所有する「軍隊をなくす」ことが有効との結論に達した。
 それを実行に移すため、1949年に自主憲法を制定、「永世非武装・積極的中立」を理念とし、具体的には「常備軍の放棄」を決定した。
 これにより、治安維持のために、警察と2000人の国境警備隊のみを有する平和国家が誕生した。
 第八回: 講師 朝日新聞記者 伊藤千尋        2006年10月3日

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2006年09月21日

第七回「オランダ型ワークシェアリング」

 第七回は「男の働き方も変えた!オランダ型ワークシェアリング」だった。
・ 講師は、日本の現状を、次のように指摘して話を始めた。
 歴史的に、日本の労働市場は、妻付き男中心に構成されてきた。これは、家事・育児・介護などが社会化されていない環境下で、男(夫)はこれらの仕事を妻に全面的に依存(=専業主婦化)することにより、安心して外に出て仕事に集中できることを意味し、一方雇用者も男(夫)に妻・子供を養える世帯賃金を支払うことで家庭は成り立っていた。
 こうした条件下では、女・子供(若者)は、働きに出ても一人前扱いしてもらえず、賃金も男(夫)に世帯賃金を支払っているという前提で大幅な格差がつけられ、働きにくい社会になっていた。
 80年代以降の円高・バブル崩壊・グローバライゼーションの進展にともなうメガコンペティションなどを背景に、90年代以降危機感を深めた企業は、従来は声域であった男(所帯主)のリストラに着手、同時に正規上従業員の非正規化をすすめた。
 この結果、女(主婦)が外に働きに出て収入を得る必要性が高まる中で、急速に所得格差が拡大、15~25歳の若年層の40%が非正規雇用化し、ますます働きにくくなるという事態が生じている。
 こうした問題を解決するのに参考になると思われる、オランダのワークシェアリングの成功事例が次に紹介された。
 講師: 朝日新聞記者 竹信三恵子  2006年9月19日

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2006年09月07日

第六回「ドイツの市民団体ADFCの挑戦」

 第六回は、「自転車で街を駆け巡る!ドイツの市民団体AFDCの挑戦がテーマだった。
 講師は、交通分野が環境問題と交通事故という社会的に深刻な問題がクロスする場であり、また温暖化の原因となるCO2のここ数年の排出量増加の最大の要因は自動車にあるとの認識から、自動車に替わるオルタナティブの一つとしての自転車に注目したと述べる。
 ・ まず、ヨーロッパの交通市民運動の取り組みが簡単に紹介された後、具体例として、ADFC=「社団法人・一般ドイツ自転車クラブ」を取り上げその活動が紹介された。
 講師: 東京歯科大学助教授 清水真哉、2006年9月5日

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2006年07月27日

第五回「北欧のエネルギー・デモクラシー」

 第五回は、「北欧のエネルギー・デモクラシー」がテーマだった。
 ・ イントロとして、自然とエネルギーをめぐる1970年以降の時代の流れが紹介された。
 1970年代: ローマクラブ「成長の限界」で地球資源の有限性が指摘されたときに,くしくも973年に第一次石油危機が起き、石油資源依存からの脱却が叫ばれ始め、原子力論争、ユートピア的技術の自然エネルギーの模索が行われた。1979年にアメリカでスリーマイル島原発事故が発生し、原子力は政治的に選択肢とはなりえなくなった。
 1980年代: 石油代替エネルギーの追及、R&D段階の自然エネルギー。
 1990年代: 温暖化などの気候変動顕在化ーー京都議定書など新しい環境政策の登場、自然エネルギー普及の成功事例の登場。
 2000年代: エネルギー・セキュリティ: 多様な社会的価値を背景にしながら、自然エネルギーが「本流」へ。
 講師: NPO環境エネルギー政策研究所所長飯田哲也、2006年7月25日

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2006年07月13日

第四回「インド・ケーララ州の社会運動と地方分権化」

 第四回は「インド・ケーララ州の社会運動と地方分権化」の事例紹介であった。
 インド・ケーララ州は州誕生(1956年)以前、二十世紀初頭の植民地時代、開明君主とキリスト教ミッショナリーの教育活動により女性の識字率が全国平均の2~3倍、自然・資源にも恵まれ、また海のシルクロードの交易地として栄えていた。
 こうした歴史的背景を踏まえ、二十世紀前半ケーララでは、さまざまな運動が継続的に起きた。カースト内向上運動・小作土地改革闘争・協同組合、労働組合、職人組合等の団体結社・ソーシャルキャピタルの蓄積・カースト枠組み(縛り)低下・宗教的対立なしなどの特徴を有し、これらが後の運動の遺産となる。
 講師: 日本福祉大学 斎藤千宏教授、2006年7月11日

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2006年07月03日

第三回「タイの地産地消ネットワーク」

 第三回は、「タイの地産地消ネットワーク」が、テーマ。
 まず、歴史的背景として、1961年に42%あった東北タイの森林率は1998年に12%に低下、農村の自己完結の崩壊がおこり、輸出を念頭に置いた換金作物の導入により農村が貨幣経済にまきこまれ、歴史的には豊かだった農村が借金を抱え貧しくなっていっているという状況がある。
 今回はこうした状況を打開するための活動として二つの事例紹介が行われた。
 一つは、タイ東北部の農村での「地場の市場づくり」であり、もう一つがカラシン県プアカーオ市の生ごみ収集し堆肥化する「レインボープラン」である。
 第三回:講師: アジア農民交流センター(AFEC)松尾康範氏、2006年6月27日

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2006年06月22日

第二回「フランス“持たざる者”たちのネットワーク」

 第二回は、「持てる物」と「持たざる者」との格差が広がる社会で、フランスでは、失業者・ホームレス・移民労働者たちが、「住宅占拠」や「雇用占拠」を戦略に新しい社会のあり方を提案しており、その具体的な活動の紹介を行うという内容となっている。
 この運動は、フランスのバブル期に地上げ目的の放火によりアパートを焼かれ住むところのなくなった海外からの移住労働者が、1994年にバブル崩壊により空きビルになっていた建物を占拠し住み始めたことからスタートした。
 90年代後半から大量の失業者を巻き込み、「空家占拠」(住むところの確保)、「スーパーマーケット占拠」(食べ物確保)、「雇用占拠」(スーパーマーケット・郵便局など人員削減により長蛇の列が出来ている窓口で失業者が仕事に従事)、「公共交通占拠」(無賃乗車)などを展開している。
 第二回: 講師: 稲葉奈々子(茨城大学教員)、2006年6月13日

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2006年06月17日

第一回「政府とも市場とも違う人々のオルタナティブ 連帯セクターとは」

 第一回はこのコースの狙いとするところの全体図を描くというのがテーマである。
 講師は連帯経済の歴史と概念を簡単に紹介後、市場経済・公共経済・連帯(共生)経済・の特徴と問題点と相互関係について触れ、メキシコ・チバス州での試みの事例紹介を行い、最後に連帯経済を目ざす将来の理念型として修正資本主義か新しい資本主義か、それともそれ以外かの選択肢を紹介し、講義を終える。
第一回: 講師 山本純一(慶応義塾大学環境・情報学部教授)2006年5月25日

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